まずは、アルコールチェックの義務化の内容を確認しておきましょう。義務化の対象は、安全運転管理者を置く義務のある事業所で、乗車定員11人以上の車両を1台以上保有している場合、またはその他の車両を5台以上保有している場合です。
2023年12月1日からは目視等による確認だけでなく、アルコールチェッカーを用いたアルコールチェックも義務化されます。アルコールチェッカーは公安委員会が定めた基準を満たしたものを用い、常時有効な状態で保持することも必要です。
さらに、確認結果は何らかの方法で記録し、1年間保存しなければなりません。対象事業者には法律に即した行動が求められるため、違反になってしまわないよう事前に備えておきましょう。
アルコールチェックの基本的な運用ルール
アルコールチェックには、実施のタイミングや方法などの基本的なルールがあります。一つでも怠ると違反になる可能性もあるため、基本的なルールを把握しておくことが大切です。
■実施のタイミング
義務化の内容には、アルコールチェックを実施するタイミングが含まれています。アルコールチェックのタイミングは、原則として運転前後の2回です。
直行直帰や遠隔地での業務などにより事業所でアルコールチェックできない場合でも、運転前後の2回の実施が必要になります。
ただし、必ずしも運転直前や直後に実施しなければならないわけではなく、業務の開始前後や出退勤時でも問題ありません。
■チェック方法
いわゆる白ナンバーの車両を一定台数以上保有する対象事業者は、これまで目視等によるアルコールチェックが義務づけられていました。
「目視等による確認」とは、ドライバーの状態を顔色、呼気の臭い、応答の声の調子などを観察し、酒気帯びを確認することを指します。
2023年12月からは目視等による確認のほか、アルコールチェッカーを用いた酒気帯びの確認も義務づけられます。
アルコールチェックは、原則として対面での実施が必要です。しかし、業務状況によっては、対面の実施が難しい場合もあるでしょう。対面が難しい場合の実施方法については、「アルコールチェックの運用やルールに関するよくある質問」で詳しく紹介します。
■記録・保存方法
アルコールチェックに関する法律では、実施内容を日誌やデータなどに記録することが義務づけられています。記録が必要な実施内容の項目は、次のとおりです。
- 実施日時
- 実施者名
- 運転者
- 運転者が業務で使用する車両の自動車登録番号または識別できる記号・番号
- 実施方法
- 酒気帯びの有無
- 指示事項
- その他の必要事項
実施内容の記録は、1年間の保存が必要です。なお、2023年10月時点で、様式の指定はありません。これから作成する場合は、国土交通省のモデル様式を参考にするのも良いでしょう。
実施内容を紙媒体で管理する場合、書き込みやファイリングなどに手間がかかり、離れた事業所の運用状況が把握しづらい側面があります。記録を管理しやすくするためには、クラウドサービスを活用するのも一つの手です。
当社のアルコールチェック クラウド管理サービス「ALPiT(アルピット)」はアルコールチェックを自動化し、一元管理できるクラウドサービスです。安全運転管理者の負担軽減につながるため、アルコールチェック開始前に導入を検討してみましょう。
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アルコールチェックの運用に向けて押さえておくべきポイント
自社でアルコールチェックを実施するためには、いくつか準備しておくべきことがあります。アルコールチェックをスムーズに運用するためにも、ポイントを押さえて備えておきましょう。
■安全運転管理者の選任
アルコールチェック義務化には、安全運転管理者が深くかかわります。2022年4月からは安全運転管理者の業務内容として、アルコールチェックの実施と内容の記録、保存が義務づけられました。
事業所が乗車定員11人以上の車両を1台以上、またはその他の車両を5台以上保有している場合、1人の安全運転管理者を選任する必要があります。さらに、車両を20台以上保有している事業者は、20台増えるごとに副安全運転管理者を1人選任する必要もあります。
上記に該当する事業者であるにも関わらず、安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなかった場合は、50,000円以下の罰金が科せられます。
■アルコールチェッカーの準備
2023年12月以降は、すべての対象事業者にアルコールチェッカーによるアルコールチェックが義務づけられました。
アルコールチェックは、基本的には対面で行う必要があります。対面での実施が難しい場合であっても、アルコールチェッカーを用いたチェックは必ず行わなければなりません。
事業所以外でのアルコールチェックが想定される事業者は、ドライバーに携行させるアルコールチェッカーを準備しておきましょう。
なお、アルコールチェックの義務化に伴い、使用するアルコールチェッカーにもいくつかの基準が設けられています。詳細は「アルコールチェックの運用やルールに関するよくある質問」で解説します。
アルコールチェックの運用やルールに関するよくある質問
ここからは、アルコールチェックの運用やルールに関するよくある質問を紹介します。
■対面での実施が難しい場合はどうする?
アルコールチェックは通常、対面で行われることが求められます。
ただし、直行直帰や遠隔地での業務などにより対面での実施が難しい場合は、運転者に携帯型アルコール検知器を携行させるなどした上で、カメラやモニターなどを利用した確認も有効です。ビデオ通話を利用すると、声だけでなく表情も確認できるというメリットがあります。
また、たとえば、電話や無線を通じてドライバーの声の調子を確認する方法もあります。
アルコールチェッカーを使用した確認では、ドライバーが携行した機器を使って測定し、その結果を必ず報告させるようにしましょう。
■事業所と訪問先を往復する場合はどうする?
基本的に、アルコールチェックは運転前・運転後の計2回の実施が義務づけられています。
しかし、ドライバーの業務状況によっては、同じ日に何度も事業所と訪問先を往復するケースもあります。このような場合は、業務の開始前後や出退勤時に実施することで差し支えないとされています。
実施する際には一般的なケースと同様に、目視等による確認とアルコールチェッカーによる確認が必要です。
■同乗者に対してもアルコールチェックは必要?
業務状況によっては、同じ車両に複数の従業員が同乗することもあります。アルコールチェックの対象者は、あくまでも業務で車両を運転するドライバーに限られています。そのため、同乗者が運転しない場合、アルコールチェックは不要です。
ただし、ドライバーが酒気帯び運転をしたときには、ドライバーはもちろんのこと、同乗者も処分の対象になるので注意しましょう。処分の内容は、ドライバーの酒気帯び状況によって異なり、同乗者には2~3年以下の懲役または30~50万円以下の罰金が科せられます。
■アルコールチェッカーはどのメーカーでも良いの?
アルコールチェックに用いるアルコールチェッカーは、国家公安委員会が定めた基準に沿ったものでなければなりません。国家公安委員会が定めた基準は、次のとおりです。
- 呼気中のアルコールを検知すること
- アルコールの有無や濃度を警告音や警告灯、数値などで示すこと
市場に出回っている多くの商品は上記の基準に適合しているものの、購入する際には念のため確認しておくことをおすすめします。
また、アルコールチェッカーは、常時有効な状態で保持する必要があります。常時有効な状態とは故障がなく、正常に作動することです。アルコールチェッカーは適切に管理しましょう。
おすすめのアルコールチェッカーとクラウドサービス
最後に、当社のアルコールチェッカーとクラウドサービスを紹介します。
■アイリスオーヤマのアルコールチェッカー
当社では状況に応じて使い分けられるよう、携帯型と据置型のアルコールチェッカーをご用意しています。
携帯型アルコールチェッカー
携帯型アルコールチェッカーは約30gと軽量で、持ち運びに便利なコンパクトサイズです。
測定結果の保存は、50件まで対応しています。センサーの寿命はランプで通知されるため、メンテナンスのタイミングも把握できます。
また、アルコールチェッククラウド管理サービス「ALPiT(アルピット)」と連携でき、記録義務項目すべてを一元管理することが可能です。
顔認証据置型アルコールチェッカー
顔認証据置型アルコールチェッカーは、事業所に据え置いて使用するタイプのアルコールチェッカーです。顔認証カメラを搭載しており、本人確認と体表面温度の測定を同時に行えます。
センサーには高性能な電気化学式センサーを採用しているため、精度の高いアルコールチェックを実現できるでしょう。
記録義務項目と体表面温度を本体に自動記録できるため、手書きによる負担を軽減できます。
■アルコールチェッククラウド管理サービス「ALPiT」
ALPiTは、携帯型アルコールチェッカーのデータを一元管理できるクラウドサービスです。実施内容を手書きで記録する場合、記載ミスや記載し忘れなどのヒューマンエラーが発生する可能性があります。
ALPiTを活用すれば実施内容をクラウドで自動記録できるため、ヒューマンエラーを防止し、記録にかかる手間の削減につながるでしょう。
アルコールチェッカーを含めたお得なプランをご用意しておりますので、アルコールチェック業務の効率化を目指したい企業様はぜひお問い合わせください。
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運用やルールを確認してアルコールチェックの義務化に備えよう
アルコールチェックの運用ルールで押さえておくべきポイントは、実施タイミングとチェック方法、記録・保存方法です。それぞれ法律で指定されているため、違反しないようにきちんと確認しておくことが大切です。 また、2023年12月からは義務化の内容が変更され、白ナンバーでもアルコールチェッカーによるアルコールチェックが必要になります。データ管理を容易にするためにクラウドサービスと連携させるのもおすすめです。安全運転管理者の業務効率化のためにも、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。