近年、世界的に環境問題への関心が高まっており、企業にもSDGsなど環境を保護する取り組みが求められています。企業が環境に配慮した取り組みを行うなかで、注目されているのが節電対策です。
本記事では、オフィスの節電対策を検討している企業や担当者に向け、具体的な節電方法や役立つグッズなどをご紹介します。
オフィスにおける電力消費の現状
資源エネルギー庁によると、オフィスビルの電力消費のうち、空調が48%、照明が24%、OA機器が16%を占めています。これらの合計は約88%です。
10時から17時までの間は電力消費が高く、14時前後はピークに達します。終業後は消費量が減少し、夜間は昼間の約30%の消費量となります。そのため、オフィスで電力を節約するには、昼間の空調、照明、OA機器の使用を見直すことが重要です。
オフィスで実践できる「空調」の節電対策
まずはオフィスで電力消費が最も高い「空調」から節電対策を見ていきましょう。
■適切な温度を設定する
エアコンは冷媒や水を用いて外気との熱交換をすることにより室内を冷やす(暖める)ため、外気との温度差が大きいと消費電力量が多くなります。つまり、外気との温度差をできるだけ小さく保つことが効果的です。
環境省は電力消費を減らすために、夏季は28度、冬季は20度の温度設定を推奨しています。冷房は1度上げると約13%、暖房は1度下げると約10%の節電になると言われており、ささいに思える変更も大きな効果が期待できます。
一方で、節電を考慮するとエアコンの稼働自体を制限することになるケースも多く、節電性とオフィス内の温度や湿度の快適さを両立させることが課題になります。ただし大規模なオフィスでは、温度管理が課題です。日々の適切な温度だけでなく、部屋の構造や利用者数によっても最適な温度は異なります。
当社のAI搭載空調省エネソリューション「エナジーセーバー」は、既存のエアコンに設置することで、エアコン運転の最適化制御をし、約30%の節電効果を期待できます。
空調システムを交換せずに節電対策を取りたい企業には、特におすすめです。
アイリスオーヤマでは事前調査から施工、アフターフォローまで責任をもって行っております。ぜひご検討ください。
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■定期的にフィルターを清掃する
エアコンのフィルターを定期的に清掃することも節電につながります。
エアコンはフィルターが汚れると目詰まりを起こし、温度調整が難しくなります。さらに汚れが詰まった状態で稼働し続けると、設定温度を維持するために多くの電力を消耗します。
オフィスで常にエアコンを使用する場合は、2週間に1回程度のフィルター清掃が理想的です。エアコンを清潔に保ち、効率を維持するよう心がけましょう。
■オフィス内の空気を循環させる
オフィス内の空気循環を促すことも大切です。空気を隅々まで行き渡らせることで、室温の偏りや温度ムラが改善され、エアコンの稼働効率がよくなるため、電力消費を減らせます。
【便利グッズ】扇風機やサーキュレーター
オフィス内の空気を循環させるには、扇風機やサーキュレーターが有効です。
部屋の空気は、冷気は下に、暖気は上に溜まりやすいため、扇風機やサーキュレーターを利用して空気の循環を促すことで節電効果を期待できます。
扇風機とサーキュレーターは似ていますが、それぞれ目的が異なります。
扇風機は人が涼むために使われますが、サーキュレーターは空気の循環を目的としており、風を遠くまで送るように設計されています。そのため、効率的な空気の循環が可能です。
■ブラインドを活用して日射を遮蔽する
ブラインドを活用するのも、節電対策の一つです。
窓からの日差しはオフィスの温度上昇につながります。その対策として、窓にブラインドを設置して日射を遮断し、空調の消費電力を削減しましょう。
なお、ブラインドを下げるタイミングとしては、西窓は14時以降、東窓は退社のタイミングが効果的とされています。
■終業時間を見直す
外気温との差がある時間帯は、エアコンの電力消費が高くなります。そのため、季節によって就業時間を見直すのも一つの方法です。
たとえば、夏には正午近くが最も暑くなるので、いわゆるサマータイムで出勤時間を早めればエアコンの運転時間を短縮できます。一方、冬には出社時間を遅めに調整することで、オフィスでのエアコン使用を最小限に抑えることができます。
オフィスで実践できる「照明」の節電対策
オフィスでの電力消費量で、エアコンに次いで大きな割合を占めるのが照明です。しかしながら、快適なオフィス環境を維持するためには、適切な照明環境が必要不可欠です。照明に関する対策は慎重に検討する必要があります。
■不要な照明をこまめに消す
オフィス内で、常に利用されているスペースには照明が必要ですが、人がいない場所については不要な照明を消すようにしましょう。
特に会議室、休憩室、トイレなどは常時点灯していることが多い場所ですが、利用されていない時間は当然電力の無駄遣いになります。照明は使用するときに点け、使用後は消すように従業員にも周知しましょう。
また、資源エネルギー庁が提唱するオフィスビルの節電指針では、日常的な節電において昼休みなどに完全消灯することを推奨しています。一斉に休憩時間をとる企業では、昼間の節電を実現できるでしょう。
【便利グッズ】無線調光制御システム
特に大規模なオフィスでは、手動で照明を管理するのには限界があります。
そこでおすすめなのが、当社の無線制御システムLiCONEX(ライコネックス)です。
LiCONEXは、独自の通信方式により高速で安定した通信を実現します。タブレットやスイッチから状況や用途に合わせて照明の明るさや光色を調節することで、大幅な節電が可能です。
LiCONEXでは日時に合わせた時間調光や、人感センサーで人のいるときにのみ点灯、明るさセンサーで外光を感知し、外光が暗いときのみ点灯させるといったことも可能です。蛍光灯のLED化と併せて導入すれば、快適な照明環境を保ちながら、約60%の節電が実現できます。導入をご検討の方はぜひお気軽にお問い合わせください。
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【便利グッズ】人感センサー式照明
オフィス内で使用されていない部屋の照明の消し忘れを防ぐには、人感センサー式の照明を導入するのもおすすめです。人感センサー式の照明は、人の動きを検知すると自動的に点灯し、一定時間動きを感知しないと自動的に消灯します。
人感センサー式の照明がおすすめの場所は次のとおりです。
- トイレ
- 廊下
- 会議室
- 休憩室(自動販売機コーナーなど)
- 応接室
- 非常階段 など
当社では、人感センサー式の照明を数多く提供しています。
たとえば、LED一体型ベースライト「LXラインルクス」は、1台で「人感センサーモード」「常時点灯モード」「明るさセンサーモード」と3つの機能を搭載しており、用途に合わせて切り替え可能です。
センサーの切り替えはリモコンで簡単に操作できます。
一体型ベースライトのラインルクスは一般的な直管器具に比べて約30%薄いので、天井がすっきり見えるのも魅力です。
■照明の数を見直す
オフィスで節電対策をするなら、照明自体の数を見直すのも一つの方法です。オフィス全体で見直すと大幅な節電効果が期待できます。
資源エネルギー庁によると、オフィスの照明を半分に減らすことで約8%の節電効果が得られることがわかっています。
ただし、照明の数を見直す際は、従業員の業務や健康に影響を及ぼさないよう慎重に行う必要があります。照明を減らしても、執務のための十分な明るさが確保できるようにし、必要のない照明だけを見直すことがポイントです。
※参考:資源エネルギー庁「オフィスでも省エネに取り組みましょう」
■照明のLED化を図る
オフィスの照明が白熱電球や蛍光灯である場合、LED照明への改修によって節電効果が期待できます。
たとえば従来の蛍光灯からLED化することで、消費電力を最大70%も削減できます。年間でかかる電気代も大幅に削減できます。
また、LED照明の寿命は白熱電球の40倍、蛍光灯の4~5倍と言われており、長期的にコストパフォーマンスが向上します。さらにLED照明は発熱しにくいため、室温上昇を抑える効果もあり、結果的に二重のメリットを享受できるでしょう。
■照明器具を定期的に清掃する
エアコンの清掃が重要なように、照明器具の定期的な清掃も欠かせません。照明器具にホコリや汚れが付着していると、照度に影響が出ます。
取扱説明書に従って適切な清掃を行い、明るく快適な空間を保ちましょう。
また、照度が上がると必要のない照明が目立つ可能性があります。これを踏まえて、照明の設置場所や数も見直すことが重要です。
オフィスで実践できる「OA機器」の節電対策
OA機器は、仕事をする上で欠かせないものです。そのため、節電対策といっても使用する機器そのものを減らすことは難しいでしょう。OA機器の節電対策は、使い方に工夫を凝らすことが重要です。
ここからは、「OA機器」の節電対策について詳しく見ていきましょう。
■省電力モードを活用する
パソコンやプリンターなど、機器によっては消費電力を削減するための「省電力モード」が備わっています。
省電力モードは、一定期間操作がないとディスプレイの輝度を下げたり、スリープ状態に移行したりする機能です。
資源エネルギー庁でも効果的な節電の一例として「長時間席を離れる際はOA機器の電源を切るか、スタンバイモードにする」ことを推奨しています。
■使用しない機器のコンセントを抜く
使わない機器はコンセントを抜いておくのも、節電対策の一つです。OA機器は電源を切っていても、コンセントをさしている限りは待機電力を消費しています。
資源エネルギー庁によると、家庭の消費電力のうち待機電力が約6%を占めていることがわかっています。OA機器を多く使用するオフィスでは、これ以上の待機電力が発生することが予想されるでしょう。
使用していないOA機器は電源を切り、コンセントも抜いてしまうことで無駄な電力消費を防げます。従業員に機器の使用状況を確認しながら、使わないOA機器にはコンセントを抜く習慣を取り入れてみましょう。
【便利グッズ】スイッチ付きタップ
コンセントが抜きにくい状況では、スイッチ付きタップがおすすめです。
スイッチ付きタップをコンセントとOA機器の間に接続し、スイッチを切り替えると、電力を完全に遮断できます。
ひとつひとつのコンセントを抜く手間を省きながら、スイッチを使って電力消費を停止できる便利な機器です。
■省エネタイプのOA機器を導入する
省エネ効果が高いOA機器を導入することも検討してみましょう。古いOA機器は最新の省エネ機器に比べて、省エネ効果が低いケースがあります。
OA機器は常に進化しており、新しい省エネ機能が搭載されたり、効果が向上したりしています。節電効果をより高めるためには、OA機器を買い替えるのも有効でしょう。
オフィスで節電対策に取り組む際のポイント
オフィス全体での節電対策は大規模なため、全体を見渡した計画が必要です。
オフィスで節電対策に取り組む際のポイントを紹介するので、ポイントをおさえ、スムーズに節電対策を行いましょう。
■社内全体で取り組む
節電対策は企業全体の従業員の協力が不可欠です。一部の従業員だけが節電対策を行っても、大きな節電効果は期待できません。
退出時の消灯を貼り紙で周知するなど、従業員に節電の重要性を理解してもらえるように工夫しましょう。
節電はオフィス環境の悪化にならないように、慎重に進めなければなりません。従業員へ気遣いをしつつ取り組んでください。
■補助金・助成金の活用を検討する
オフィスの節電対策には、政府が提供する補助金や助成金制度を活用することも可能です。
たとえば、大規模なLED照明への切り替えや無線調光制御システムの導入には、多額のコストがかかることが予想されます。しかし、国の制度を上手く活用することで、節電対策の負担を軽減しながら実現できます。
当社のLED照明や無線調光制御システムは、制度の対象となっています。制度の利用も念頭に置き、節電対策を検討してみてはいかがでしょうか。
※参考:補助金・助成金のご案内
オフィス全体で節電対策を進めよう
オフィスでは、空調、照明、OA機器などさまざまなものを対象とした節電が可能です。それぞれの効果的な節電対策を計画し、消費電力を削減しましょう。
節電は環境への配慮はもちろん、企業の電気代を削減するメリットがあります。ぜひご紹介した対策方法を参考に、従業員の協力を得ながら節電対策を進めてください。