オフィスの適切な明るさは?必要照度の基準や照明の選び方を紹介

2024.02.08
省エネ

オフィスの明るさは、作業やスペースごとに適切な照度にする必要があります。照度を見直すと企業イメージや業務効率の向上など、企業や従業員にさまざまなメリットをもたらします。

本記事では、オフィスの適切な明るさの最低照度や目安となる照度を解説します。オフィスを適切な明るさにするメリットや照明の選び方も解説するので、オフィスの明るさを見直す際に役立ててください。

オフィスの適切な明るさとは?

オフィスの明るさは、企業側で自由に設定することが可能です。ただし、法律で定められた最低照度を下回ってはならないとされています。

■最低照度が定められている

労働安全衛生規則では、オフィスの明るさについて最低照度が定められています。

最低照度は、作業区分によって異なり、一般的な事務作業では300ルクス以上、付随的な事務作業は150ルクス以上です。

付随的な事務作業とは事務作業のうち、文字の読み込みや資料の細かい識別が必要ない作業を指します。

※出典元:e-GOV法令検索「事務所衛生基準規則」

■適切な明るさは作業内容やスペースによって異なる

上記の最低照度は、あくまでも基準の一つに過ぎません。

個々の事務作業に応じた適切な照度については、上記基準を満たしたうえで日本産業規格「JIS Z9110」の推奨照度を参照するとよいでしょう。

オフィスに必要な照度の単位は、「ルクス」です。ルクスとは光に照らされた面の明るさを示す単位で、数値が高いほど明るい状態であることを表しています。オフィス内で従業員が仕事をする際に手元が暗いと感じている場合は、ルクスの数値が低く、必要照度を満たしていない可能性があります。

照度は照度計と呼ばれる機器で測れるため、オフィス内の明るさが適切かを確認してみると良いでしょう。

オフィスの基本的な照度基準

オフィスの推奨照度は日本産業規格「JIS Z9110」で定められています。

■【作業別】照度基準

「JIS Z9110」で示されている作業別の基本的な推奨照度は、次のとおりです。

作業領域または活動の種類推奨照度
超精密な視作業2,000lx
非常に精密な視作業1,500lx
精密な視作業1,000lx
やや精密な視作業750lx
普通の視作業500lx
やや粗な視作業300lx
粗い視作業200lx
ごく粗い視作業100lx

※出典元:日本産業規格「事務所の照度基準」

視作業が精密になるほど推奨照度が高くなっていることがわかります。照度計で計測し、推奨照度に達していない場合は、適切な明るさになるようにしましょう。

■【スペース別】照度基準

推奨照度は、執務スペースや共有スペースなどのスペースによっても異なります。

執務スペース

執務スペースの推奨照度は、次のとおりです。

執務スペースの種類 推奨照度
  • 設計室
  • 製図室
  • 事務室
  • 役員室
  • 玄関ホール(昼間)
750lx
  • 診察室
  • 印刷室
  • 電子計算機質
  • 調理室
  • 集中管理室
  • 守衛室
500lx
  • 受付
300lx

※出典元:日本産業規格「事務所の照度基準」

事務作業がメインの執務スペースには、750lxの照度が推奨されています。受付の推奨照度は300lxですが、玄関ホールに近い場合は750lxを目安にすると良いでしょう。

共有スペース

共有スペースの推奨照度は、次のとおりです。

共有スペースの種類 推奨照度
  • 会議室
  • 応接室
  • 集会室
500lx
  • 宿直室
  • 食堂
  • 化粧室
  • エレベーターホール
  • 喫茶室
300lx
  • 給湯室
  • 更衣室
  • 書庫
  • 便所
  • 洗面所
  • 電気室
  • 機械室
200lx
  • 階段
150lx
  • 休憩室
  • 倉庫
  • 廊下
  • エレベーター
  • 玄関ホール(夜間)
  • 玄関(車寄せ)
100lx

※出典元:日本産業規格「事務所の照度基準」

会議室や応接室などの人とのコミュニケーションが必要な場所は、執務スペースにおける普通の視作業と同じ照度が推奨されています。

オフィスの明るさを見直すメリット

従業員が快適に仕事をできる環境を実現するためには、オフィスの明るさを見直すことも重要です。オフィスを適切な明るさにすると、企業や従業員にさまざまなメリットをもたらします。

■業務効率の向上

照明が暗過ぎると手元が見えにくく、文字の読み込みや資料の細かい識別が難しくなる可能性があります。

オフィスを明るくすることで、従業員の業務効率の向上が期待できます。

ただし、照明は明るいほど良いというわけではありません。照明が明る過ぎる場合、目が疲れやすくなり、仕事に集中できないケースがあります。

オフィスの明るさは従業員の仕事や健康にも影響するため、適切な明るさを維持することが重要です。

■企業イメージの向上

オフィスの雰囲気は、企業のイメージに大きく影響します。たとえば照明が暗いと、オフィスを訪れた人にも暗いイメージを与えてしまうかもしれません。

一方で適切な明るさのオフィスは従業員の働きやすさを促し、外部からは活気のある印象を与えられます。

また、オフィスのイメージは明るさのほか、照明器具のデザインや色なども大きく影響します。自社のコンセプトに沿ったデザインや色の照明を使用すれば、オフィス全体の空間に統一感を持たせることが可能です。

企業イメージは事業の成果にも影響するため、照明器具にもこだわってみましょう。代の削減につながります。

また、資源エネルギー庁は、各家庭や企業に節電対策を求めています。LED電球は、白熱電球や蛍光灯よりも消費電力が少ないことが特徴です。オフィスの照明をLED照明に

■電気代の削減

近年は社会情勢の影響によって燃料価格が引き上げられ、電気代の高騰が続いています。広いオフィスほど電気代がかかるため、削減したいと考えている企業も多いでしょう。

電気代を削減するためには、オフィス内の明るさの見直しも効果的です。オフィスの明るさを見直す際に新しいLED照明を採用すれば、省エネ効果が期待できるため、電気代を実現できます。

【電球の種類】オフィスに適切な照明の選び方

オフィスに適切な照明を選ぶ際には、電球の種類にも注目してみましょう。価格や使用感、電気代などは、電球の種類によって異なります。

■LED電球

近年、電球のなかでも特に注目を集めているのがLED電球です。LED電球は2000年代に登場した新しい電球で、発光ダイオードを使用して発光する仕組みです。

ほかの電球に比べて消費電力が少なく、電球の寿命が長いのが特徴です。省エネ効果が期待できるため、LED電球に切り替えるオフィスも増えています。

また、LED電球は電球自体が熱くならないため、観葉植物やインテリアを照らす目的でも使用できます。

■白熱電球

白熱電球は内部の抵抗体に電気を流し、発熱させることで発光する電球です。

白熱電球にはさまざまな色があり、暖色系の白熱電球は、リフレッシュスペースや休憩室などの従業員のリラックスを目的とした場所に適しているでしょう。

1つ当たりの価格が比較的安い傾向にありますが、消費電力が大きいため、電気代は高くなりやすいのが特徴です。

また、ほかの電球に比べて寿命が短く、交換の手間もかかります。

■蛍光灯

蛍光灯は、水銀の放電で発生する紫外線を利用して発光する電球です。明るく自然光に近い色味が多いため、執務スペースや会議室に適していますが、電源を入れてから完全に明るくなるまでに時間がかかり、すぐに使用したいスペースには不向きです。

また、蛍光灯は水銀に関する水俣条約により、2027年末で製造が禁止されたため、今後は購入できなくなります。

【色味】オフィスに適切な照明の選び方

照明にはさまざまな色味があり、どれを選ぶかで空間の印象が異なります。オフィスに適切な照明は、スペースや雰囲気に合うものを選ぶと良いでしょう。

■電球色

電球色は、オレンジ系で温かみのある暖色です。明るさは控えめではあるものの、落ち着いた印象を与えられるため、リラックス効果が期待できます。

オフィスにおいては、従業員の気分転換を目的としたリフレッシュスペースや来客を出迎えるエントランスに適しているでしょう。

また、電球色は朝日や夕日の色に近い優しい色合いなので、目が疲れにくいとも言われています。

■昼白色

昼白色は自然光に近い色味で、見た目が明るく、色の識別がしやすいことが特徴です。色味に癖がなく、多くの人に馴染みがあるため、比較的どのような場所でも使用できます。

昼白色はいきいきとした空間を演出できるため、議論の活性化を図りたい会議室に適しているでしょう。生活圏では、コンビニやスーパーマーケットなどで昼白色が多く使用されています。

■昼光色

昼光色は、白っぽく青みがかった色味が特徴です。照明の色味のなかでは最も明るく、すっきりとした印象を与えられます。

明るく細かい文字も見えやすいため、執務スペースにおすすめです。昼光色の照明なら集中して仕事に取り組める環境を作れるでしょう。

【照明器具の種類】オフィスに適切な照明の選び方

オフィスの明るさや印象は、照明器具によっても異なります。工夫次第では、おしゃれなオフィスを実現できます。

■直管LEDランプ

直管LEDランプは、まっすぐな筒状のLED照明です。

蛍光灯と同様の形状・サイズで、蛍光灯器具との互換性があります。ただし、直管LEDランプと既設器具の組み合わせが不適切な場合、発煙や火災などの重大事故につながるおそれがあるため、注意が必要です。

蛍光灯を使用している場合は、配線工事を行うことで、既設器具を活かして直管LEDランプに交換できます。適切な製品を選び、電気工事士の資格を持つ専門スタッフによる配線工事を依頼しましょう。

LEDランプの交換は、当社にお任せください。

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■ダウンライト

ダウンライトは、天井に埋め込むタイプの照明です。照明自体が目立ちにくいため、オフィス空間をスタイリッシュなイメージに仕上げることが可能です。光源自体が目に入らないため、優しい光を演出できるでしょう。

ダウンライトはおしゃれな空間作りに役立つため、社外の人が立ち寄るロビーやトイレに適しています。

■スポットライト

スポットライトは、特定の方向に光を集中的に当てるタイプの照明です。天井や梁などに直接取り付けるタイプのほか、取り外ししやすいライティングダクトタイプもあります。

照明器具の位置を調整し、光を当てる向きを変えられるのが特徴です。

エントランスや特定のオブジェクトを照らすために利用されるほか、光のバランスを調整するために、ダウンライトと一緒に使われることもあります。

■ベースライト

ベースライトは、基本的に配線を直接照明器具に接続し、天井に直接設置する照明です。埋込み型、直付け型、吊り下げ型の3つのタイプがあります。

オフィスや学校などでよく見られ、空間全体を広く明るく照らす基礎照明として利用されています。

オフィスの明るさを見直す際の注意点

オフィスの明るさを見直す際には、電球の種類や色味、照明器具のほかにおさえておきたいポイントがあります。ここからはオフィスの明るさを見直す際の注意点を紹介するので、照明を選ぶ際の参考にしてください。

■内装に合う照明を選ぶ

照明には、さまざまな色味やデザインがありますが、オフィス向けの照明を選ぶ際には内装や雰囲気を考慮することが重要です。

デザイン性にこだわり過ぎると、光の強さや弱さが適切でなくなる場合があります。また、すべて同じ色味の照明を使うと、空間にマッチしないことも考えられます。

オフィスの照明は商品の色味やデザインだけでなく、使用するスペースの雰囲気に合うものを選ぶようにしましょう。

■従業員の年齢を考慮する

オフィス内の明るさの感じ方は、個人や年齢によって異なります。同じ照明の明るさでも、従業員の中には明るすぎると感じる人もいれば、逆に暗いと感じる人もいます。そのため、オフィスの明るさを見直す際には、感覚だけでなく、lxの数値を基準にすることが重要です。

また、年配の従業員がいる場合は、照度を上げる、スタンドライトを活用するなどの対策も検討すべきです。すべての従業員が快適に働けるよう、年齢を考慮した明るさのオフィスを実現しましょう。

適切な明るさのオフィスを実現するおすすめ商品

オフィス内の適切な明るさは、従業員の業務内容やスペースに応じて異なります。理想的な状態は、業務内容やスペースに合わせて明るさを詳細に設定することです。ただし、従業員数が多く、スペースが広いオフィスでは、明るさを細かく調整するのは限界があります。

業務内容やスペースに応じてオフィスの明るさを見直す際には、当社の無線制御システム「LiCONEX(ライコネックス)」をご検討ください。

LiCONEXを導入すると、高速かつ安定した通信で照明の明るさや光の色を調節できます。照明の明るさは、時間や曜日ごとに自動制御でき、同じスペースでもミーティングやプレゼンテーションなどの状況に応じて照明を切り替えることも可能です。

省エネ効果も期待できるため、ぜひ当社のLiCONEXをご活用ください。

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照明を工夫して明るく快適に働けるオフィスを実現しよう

オフィスには、最低照度が義務づけられています。しかし、法律で定められた基準はあくまでも最低照度であり、十分な明るさを確保できない可能性があります。適切な明るさのオフィスにするためには、JISの推奨照度を参考にすると良いでしょう。

また、照明器具の種類や色味などにより、明るさの雰囲気が異なります。近年は、デザイン性や機能性に優れた照明器具が数多く存在しています。

照明を選ぶ際にはデザイン性や機能性だけでなく、スペースの雰囲気も考慮することが重要です。オフィスで働く従業員のために、適切な明るさの照明を選びましょう。