空気には、ウイルスやほこり、花粉などの見えない物質が含まれています。従業員が快適に働ける職場環境を整備するには、空気をきれいにすることが大切です。
空気をきれいにするためには、職場内に空気清浄機を設置するという方法もあります。
本記事では、職場に空気清浄機を設置するメリットや家庭用空気清浄機との違いなどを解説します。空気清浄機の選び方も解説するので、職場に空気清浄機の設置を検討している企業や担当者はぜひ役立ててください。
空気清浄機とは?
空気清浄機とは、空気中に浮遊しているアレルギー物質や不快な臭いを軽減する機器です。
一般的には、パネル・集塵フィルター・脱臭フィルター・ファンで構成されており、本体内のファンが吸い込んだ空気を各種フィルターを通して、空気中の汚れや臭いを除去します。
ただし、タバコの煙に含まれるガス成分の一部や一酸化炭素は取り除くことができません。
業務用空気清浄機と家庭用空気清浄機の違い
空気清浄機には家庭用と業務用があります。
家庭用空気清浄機は通常、自宅での使用を想定しており、広いスペースやオフィスなどでは花粉やほこりを完全に除去できない可能性があります。
一方の業務用空気清浄機は広いスペースでの使用を想定しており、家庭用空気清浄機よりもパワフルで除去機能も優れているのが特徴です。
職場に空気清浄機を設置するメリット
近年、職場に空気清浄機を設置する企業が増えています。設置するメリットを紹介します。
■感染症対策ができる
新型コロナウイルスやインフルエンザなど感染症が流行する時期は、一人の従業員が感染すると瞬く間に職場内に広がる可能性があります。
感染症対策には換気も有効ですが、オフィスの立地によっては窓を開けるのが難しいケースもあるでしょう。
そのような場合にはウイルス抑制機能のある空気清浄機がおすすめです。完全にウイルスを除去できるわけではないものの、感染症対策に役立ちます。
■臭い対策ができる
職場に空気清浄機を設置すると、空気中の嫌な臭いを除去できるため、臭い対策に役立ちます。
オフィスビルでは、エアコンや排水口、配管などが原因となり、建物全体に嫌な臭いが広がることがあります。
臭い対策のために換気をしたくても、周辺の状況によっては窓を開けられないケースもあるでしょう。こうした状況下で、空気清浄機には嫌な臭いを除去する機能があるため、空気中に漂っている臭いの原因物質を取り除き、快適な職場環境を実現できます。
■アレルギー対策ができる
空気清浄機は、感染症や臭い対策だけでなく、アレルギー対策にも役立ちます。
オフィスや商業施設など多くの人が出入りする場所では、屋外の空気中の汚れが人の衣服や髪の毛に付着し、建物内に侵入しやすくなります。
花粉やほこり、ハウスダスト、PM2.5などがオフィス内に侵入すると、従業員がアレルギー症状を引き起こす可能性も否めません。
空気清浄機には空気中に漂う細かい粒子を集塵し、吸着する機能があります。職場に空気清浄機を設置すると、アレルギーの原因物質を取り除いてくれるため、アレルギー対策にもなります。
■乾燥対策ができる
多くの従業員が働く職場では、乾燥対策も必要です。職場内の乾燥は、肌荒れやかゆみといった肌トラブルや感染症のリスクを増大させる可能性があります。
空気清浄機のなかには、加湿機能を備えたものもあります。加湿機能を備えた空気清浄機を職場に設置することで、室内の空気を清浄に保つだけでなく、同時に乾燥対策にもなるというのもメリットです。
【集塵方式別】業務用空気清浄機の選び方
空気清浄機の集塵方式には、ファン式・電気式・イオン式の3種類があります。空気中の汚れや臭いの取り除き方は、集塵方式によって異なります。
■ファン式
ファン式の空気清浄機は、モーターでファンを回転させて室内の空気を取り込み、フィルターを通して有害物質を取り除いてからクリーンな空気を室内に放出する仕組みです。この動作は掃除機と似ています。
構造はシンプルでコンパクトなため、会議室など常時使用されない場所に持ち運んで1台を使い回すことができます。
また、ファン式の空気清浄機にはファンが取り付けられているため、イオン式よりも集塵力に優れています。一方で、エアコンと同様に使用し続けるとフィルターが目詰まりするため、定期的な清掃や交換が必要です。
■電気式
電気式の空気清浄機は、高圧放電により空気中のごみやほこりを帯電させ、それを集塵極に集めてきれいな空気を室内に放出する仕組みです。
電気式はフィルターの目詰まりが少ないため、ファン式に比べてフィルターのメンテナンスが少なくて済みます。また、ファンがないため運転時の騒音が少なく、静音性に優れています。
一方で、ファン式に比べて価格が高めであり、多くの数をまとめて購入する場合には予算を考慮する必要があります。複雑な構造で本体が大きいため、持ち運びには不向きです。
■イオン式
イオン式の空気清浄機は、空気中にイオンを放出して汚れた空気を分解し、クリーンな空気を室内に戻す仕組みです。このタイプの機器はファンがないため、動作音が静かな点が特徴です。
また、価格が比較的手頃な商品も多く、コンパクトなサイズなので持ち運びにも便利です。
しかし、イオン式は大きな微粒子には効果が薄く、ほかの集塵方式の空気清浄機に比べると性能が低い場合があります。また、室内の空気を綺麗にするまでに時間がかかるため、広い場所や人の出入りが多い場所には適していない側面があります。
【機能別】業務用空気清浄機の選び方
空気清浄機に搭載されている機能は、室内の空気をきれいにする機能や加湿機能などさまざまです。職場に空気清浄機を設置する際には、求める機能が搭載されているものを選びましょう。
■空気清浄機能
空気清浄機能はウイルスや花粉などの汚れた空気を吸い込み、フィルターを通して室内の空気をきれいにする機能です。この機能は空気清浄機のなかで基本的な機能です。
空気清浄機能の性能は、フィルターの密度や適応畳数などで異なります。職場に設置する際は、広い範囲の空間をカバーできる高性能なフィルターを搭載した空気清浄機能を選ぶと良いでしょう。
■加湿空気洗浄機能
加湿空気清浄機は、一般的な空気清浄機能に加湿機能が加わったタイプの空気清浄機です。1台で空気清浄と加湿を同時に行えます。
一方で加湿機能が搭載された空気清浄機は、機能が空気清浄に限定されているものよりもメンテナンスに手間がかかる側面があります。適切にメンテナンスしなかった場合、水垢が溜まったり雑菌が繁殖したりする可能性があるので注意しましょう。
■脱臭機能
脱臭機能は、空気中の臭いや菌、ウイルスの軽減に特化した機能です。一般的な空気清浄機よりも臭いに対する効果が高い傾向にあります。タバコや汗などの強い臭いを軽減することが期待できるため、職場内の不快な臭いが気になる場合におすすめです。
臭いを除去する仕組みには、臭いを吸収するタイプとイオンを放出させて消臭するタイプの2つがあります。臭いを吸収するタイプは、特定の場所の臭いに効果的とされています。一方のイオンを放出させて消臭するタイプは、広いスペースの臭いを取り除くのに適しています。
■空間洗浄機能
空間洗浄機能とは次亜塩素酸や除菌水を空気中に放出し、除菌する機能です。空間洗浄機能が搭載された空気清浄機では、ドアや壁、カーテンに付着した菌やウイルスまで取り除けるとされています。
インフルエンザをはじめとした感染症が流行しやすい時期には、空間洗浄機能が搭載された空気清浄機を設置すると、感染症対策に役立つでしょう。フィルターが取り付けられていない商品は、コンパクトサイズで持ち運びにも便利です。
【その他】業務用空気清浄機の選び方
職場に設置する空気清浄機を選ぶ際には、集塵方式や機能以外にも確認しておきたいポイントがあります。
■適用床面積
空気清浄機を選ぶ際には、適用床面積を確認することが大切です。適用床面積とは、日本電機工業会が定めた基準のもと、30分で一定の粉塵濃度を浄化できる部屋の広さを指します。同じ空気清浄機でも、部屋の広さによって空気清浄化に要する時間が異なることがあります。
適用床面積は、メーカーの公式サイトでも確認できます。空気をより早くきれいにしたい場合は、設置スペースよりも2~3倍程度の適用床面積に対応したものを選ぶのがポイントです。
また、適用床面積は天井の高さを2.4メートルで算出しているため、部屋の天井が高い場合は適用床面積が広いものを選びましょう。
■フィルターの性能
職場に設置する空気清浄機を選ぶ際には、フィルターの性能も確認することも重要です。フィルターの性能は、空気洗浄能力に大きく影響します。
フィルター性能のチェックポイントは、何マイクロメートルまで対応しているかです。一般的な空気清浄機に使用されている「HEPAフィルター」は、0.3マイクロメートルの粒子を99.97%以上カットできます。
スギの花粉は30~40マイクロメートル、ハウスダストは10~40マイクロメートル、黄砂は1~5マイクロメートルと非常に小さいのが特徴です。
0.3マイクロメートルに対応している空気清浄機だと、花粉やハウスダストなどの小さな物質の除去を期待できるでしょう。
■メンテナンスの頻度
空気清浄機には集塵フィルターだけでなく、プレフィルターや脱臭フィルターが取り付けられているのがほとんどです。各フィルターは消耗品のため、定期的な清掃や交換が必要になります。
しかし、メンテナンスの頻度は、空気清浄機によって異なります。フィルターの寿命は、6カ月から10年程度までさまざまです。メンテナンスに手間をかけたくない場合は、フィルターの寿命が長いものを選びましょう。
空気清浄機のなかには、エアコンのようなフィルターの自動清掃機能が搭載されたものもあります。自動清掃機能が搭載された空気清浄機を選べば、メンテナンスの手間が省けるでしょう。
■ランニングコスト
空気清浄機を購入する際には、ランニングコストも考えておく必要があります。
フィルターが使い捨ての空気清浄機の場合、定期的な交換が必要になるため、その都度フィルター代が発生します。
また、空気清浄機の使用には電気代もかかり、運転モードや使用時間によって電気代が変動します。
近年は、省エネ性能に優れた空気清浄機も数多く販売されています。燃料価格の上昇によって電気代が高騰しているため、電気代の増加を課題に抱えている企業は、省エネ機能が搭載された商品を選ぶと良いでしょう。
■静音性
オフィスでは、空気清浄機の運転音も重要なポイントになります。静かなワークスペースで空気清浄機の運転音が響くと、音が気になって従業員が業務に集中できなくなる可能性もあります。
運転音の基準は次のとおりです。
- 20~30db:比較的静か
- 40~50db:一般的な機械音
- 60~70db:運転音が気になるレベル
静音性を重視する場合は、運転音(db)の項目をチェックしましょう。dbは、数値が低いほど静音性に優れていることを示しています。
空気清浄機の効果を高める設置場所
空気清浄機の効果を高めるためには設置場所の工夫も必要です。
■スペースの中央
職場では、空気清浄機をできるだけスペースの中央部分に設置するようにしましょう。壁や障害物が近くにある場所に設置すると、空気の循環が妨げられる可能性があり、空気清浄機の効果が十分に発揮されないかもしれません。
空気清浄機をスペースの中央部分に設置すると、広い範囲の汚れた空気を吸い込みやすくなるため、空間全体の空気がきれいになるでしょう。
また、空気の吸い込みや放出をスムーズにするために、吸込口や放出口周辺に障害物を置かないように気をつけることも重要です。
■人の出入りが多い場所
空気清浄機を職場で使用する場合、できるだけ人の出入りが多い場所に設置しましょう。花粉やほこりなどは、人の動きによって舞い上がるため、出入りが多い場所に空気清浄機を置くと、汚れた空気をより効果的に吸い込めます。
また、エントランスやワークスペースの出入口付近などに空気清浄機を配置することで、室内に侵入する汚れた空気を抑える効果も期待できるでしょう。
職場で空気清浄機の効果を高めるポイント
空気清浄機の設置効果を高めるためには、適切な使用方法や設置場所を把握しておくことも重要です。
■できるだけ24時間稼働させる
空気中の微粒子は、一度舞い上がると数時間漂い続けます。近年は電気代が高騰しているため、節電対策として終業後は各種機器の電源をオフにすることを心がけている企業も多いでしょう。
しかし、終業時間に合わせて空気清浄機の電源をオフにすると、それ以降の時間は空気がきれいになっていないため、翌日従業員が出社したときに空気中の有害物質を吸い込んでしまうおそれがあります。
メーカーでも空気清浄機の24時間の稼働を推奨しています。従業員が快適に働ける環境を実現するためにも、職場で空気清浄機を使用する際には、基本的に24時間稼働し続けるようにしましょう。
■換気口の位置を確認しておく
オフィスビルでは、機械換気によって室内の換気をするために、換気口が設置されています。しかし、換気口が室内の空気の循環を妨げてしまうことも。
換気口に近い場所に空気清浄機を設置すると、きれいな空気がすぐに外に排出されてしまうため、上手く空気が循環されません。そのため、空気清浄機は排気口の周辺を避けて設置するようにしましょう。
■高温多湿な場所への設置は避ける
空気清浄機は、高温多湿な場所への設置を避けるようにしましょう。
高温多湿な場所に空気清浄機を設置すると、フィルターにカビが生えやすくなり、花粉やほこりなどの吸着作用が低下します。
フィルターにカビが生えたまま空気清浄機を使用し続けると、カビの胞子をオフィス内に放出させてしまう懸念もあります。
また、漏電による感電や火災の原因にもなりかねないため、高温多湿な場所に設置しないようにしましょう。
職場におすすめの空気清浄機とサービス
最後に、職場におすすめの空気清浄機とサービスを紹介します。
■空気清浄機:IAP-A110
当社の空気清浄機IAP-A110は45畳まで対応しているため、ワークスペースをはじめとする広いスペースにおすすめです。空気汚れモニターを搭載しており、センサーで計測した空気の汚れ具合の目安を数字で表示します。
また、フィルターを交換する時期になるとランプで通知するため、交換のし忘れを防げます。
キャスター付きなので別の部屋への移動もしやすいのが特徴です。
〈空気清浄機IAP-A110の詳細はこちら〉
■加湿機能付き空気清浄機:CHA-A55
空気清浄・サーキュレーターによる空気循環・加湿ができる空気清浄機です。サーキュレーターが室内の空気を循環させるため、ムラなく空気をきれいにできます。
フィルターにはHEPAフィルターを採用しており、0.3マイクロメートルの微細な粒子もキャッチできるため、花粉や黄砂が気になる季節でも安心です。運転モードは、ターボ・標準・静音の3モードを搭載しています。
〈加湿機能付き空気清浄機CHA-A55の詳細はこちら〉
■PlasmaGuard PRO™ アイリスエディション
PlasmaGuard PRO™ アイリスエディションには、空調ダクトタイプと工事不要の置き型タイプの2種類があります。
空調ダクトタイプ
大規模空間の空気と壁や床、オフィス家具などの表面を除菌できるシステムです。独自のプラズマ放電技術で99.9%のウイルス抑制と90%以上の脱臭効果が期待できるため、より快適なオフィス空間を実現できるでしょう。
空調ダクトタイプは既存の空調ダクトに設置できるため、空調を買い替える必要がありません。
〈空調ダクトタイプ: PlasmaGuard PRO™ アイリスエディションの詳細はこちら〉
置き型タイプ
独自の除菌技術でウイルスや菌を99.9%抑制。また部屋に付着した臭いやカビ菌にも効果を発揮します。
工事・メンテナンス不要で簡単に導入可能です。一般的な空気清浄機とは異なり、フィルター式でないため、取り外して洗浄するなど手間のかかるお手入れは必要ありません。
〈置き型タイプ: PlasmaGuard PRO™ アイリスエディションの詳細はこちら〉
空気清浄機を設置して快適な職場環境を実現しよう
近年は、従業員の健康を考慮し、職場に空気清浄機を設置する企業が増えています。
従業員の健康を保護するためには、清潔な職場環境を維持することが重要です。
業務用空気清浄機は広いスペースにも対応しており、汚れや臭いの除去機能も優れているとされています。空気清浄機には集塵方式や機能性などが異なるさまざまな種類があるため、自社の目的に合うものを選びましょう。