蛍光灯とLEDの違いとは?気になる電気代や購入価格を徹底比較

2024.03.12
省エネ

オフィスの照明には、蛍光灯やLEDなどが使用されています。近年は、蛍光灯からLEDに切り替えるオフィスも少なくありません。その背景には、LEDへの切り替えがオフィスにさまざまなメリットをもたらすことが関係しています。

既設の照明の老朽化により、蛍光灯を使用し続けるか、LEDに切り替えるか迷っている企業や担当者もいるのではないでしょうか。本記事では、蛍光灯とLEDの特徴や両者の違いを解説します。

蛍光灯の特徴

蛍光灯は、放電で発生する紫外線を利用して発光する仕組みです。蛍光管のなかの水銀ガスに電流が通ると、紫外線が発生します。蛍光管の内側には蛍光塗料が塗られており、そこに紫外線がぶつかることで塗料が発光します。

蛍光灯が誕生したのは、1938年です。当時、アメリカの大手電機メーカーであるゼネラル・エレクトリック社が蛍光灯の開発に成功しました。日本では、1940年に実用化されたという経緯があります。

当初は、軍事用をはじめとする特殊な用途で使用されてきました。その後、ガス灯・白熱灯に次ぐ第3の照明として、蛍光灯が普及しました。現在は、スタンダードな照明として国内でも広く使用されています。

LEDの特徴

LEDは「Light Emitting Diode」の略で、日本語で「光る半導体」を意味します。LEDは、発光ダイオードと呼ばれる半導体発光素子に電気を流すことで発光する仕組みです。

LEDが誕生したのは1906年で、初期は黄色に発光していましたが、その後さまざまな色のLEDが登場しました(赤・橙・黄緑など)。1995年以降は白色LEDが開発され、特に照明用途で注目を集めるようになりました。

現在LEDは、ガス灯・白熱灯・蛍光灯に次ぐ第4世代の照明として普及しています。

蛍光灯とLEDの違い【寿命】

蛍光灯とLEDには、寿命に大きな違いがあります。

蛍光灯の寿命は、6,000~10,000時間程度です。たとえばオフィスで1日8時間点灯させる場合、約2〜4年で寿命が尽きると考えられます。また、蛍光灯はオンとオフを頻繁に繰り返すと寿命が短くなる傾向があり、1回の点灯で約1時間寿命が減少するとも言われています。

一方、LEDの寿命は40,000~60,000時間程度で、オフィスで1日8時間点灯させる場合、約13〜17年持つと予想されます。LEDは点灯時にほとんど負荷がかからないため、オンとオフを繰り返しても寿命にほぼ影響がないのが特徴です。

蛍光灯とLEDの違い【購入価格】

蛍光灯とLEDは購入価格にも違いがあります。蛍光灯の1個当たりの価格は、700~1,200円程度です。直管形LEDランプの1本当たりの購入価格は1,000~3,000円程度で、高性能なLEDはこれよりも高くなります。

従来LEDの購入価格は、蛍光灯よりも高額でした。しかし、現在では一般的なLEDと蛍光灯の購入価格に大きな差がなくなってきています。

蛍光灯とLEDの購入価格がほとんど変わらない一方で、トータルコストには差があります。

LEDの寿命は蛍光灯よりも長いため、あまり交換せずに済むのが特徴です。長期的な視点で見ると、トータルコストは蛍光灯よりもLEDのほうが低くなります。

蛍光灯とLEDの違い【電気代】

電気代は、蛍光灯とLEDで大きく差があります。

一般的な丸形蛍光灯102W形の場合、年間約5,184円の電気代がかかることがわかっています。一方で、当社LEDシーリングライトCL8N-MFEの年間の電気代は約1,172円です。LEDは年間で約4,010円もの電気代を節約できます。

近年、燃料価格の高騰や社会情勢などの影響を受け、電気代の値上がりが続いています。オフィスの照明をLEDに切り替えることで、電気代の節約が期待できます。

※出典元:アイリスプラザ「暮らし便利ナビ」

蛍光灯とLEDの違い【点灯方式】

蛍光灯とLEDは、点灯方式に違いがあります。

蛍光灯の点灯方式は、グロースタータ方式・ラピッドスタート方式・インバーター方式です。

蛍光灯の点灯方式 特徴
グロースタータ方式 グロースタータと呼ばれる点灯管を利用して点灯させる方式
  • 点灯管が必要になるため、定期的に交換しなければならない
  • 点灯までに時間がかかりやすい
ラピッドスタート方式 早く点灯するように設計されている方式
  • グロースタータ方式のように点灯管を利用しないため、定期的な交換が不要
  • 重量はグロースタータ方式よりも重い
インバーター方式 点灯管が不要で早く点灯するように設計されている方式
  • グロースタータ方式とラピッドスタート方式のメリットを併せ持つ
  • 省エネかつ明るい
  • 光の加減を調節できる商品もある
  • 照明器具の価格が高い傾向にある

グロースタータ式は、グロースタータと呼ばれる点灯管を利用して点灯させる方式です。点灯までに時間がかかる傾向がありますが、比較的安価であり、広く普及しています。

ラピッドスタート方式は、早く点灯するように設計された方式です。点灯までの時間は1~2秒で、グロースタータ方式よりも点灯速度が速い特徴があります。一方でグロースタータ方式よりもサイズが大きく、重い側面があります。

インバーター方式は、グロースタータ方式とラピッドスタート方式のメリットを併せ持つタイプです。軽量で明るく、省エネ性能が高いため、現在主流となっています。

LEDの点灯方式は、スタティック方式とダイナミック方式の2種類があります。

LEDの点灯方式 特徴
スタティック方式 常に電流を流し続け、点灯したままにする方式
  • 多くの電力が必要になる
  • ちらつきが起こりにくい
ダイナミック方式 一定周波数で高速に点灯させる方式
  • 調光システムは、ダイナミック方式を活用した機能
  • スタティック方式のように多くの電力を必要としない
  • 現在は多くのLEDでダイナミック方式が採用されている

スタティック方式は常に電流を流し続け、点灯したままにする方式です。多くの電力を必要とするため、ダイナミック方式に比べて寿命が短い傾向にあります。

ダイナミック方式は、一定周波数で高速に点灯させる方式です。スタティック方式のように多くの電力を必要としないため、寿命は長い傾向にあります。現在は、ダイナミック方式のLEDが主流です。

蛍光灯は2027年末で製造および輸出入が禁止

オフィスの照明に蛍光灯を検討している場合は、将来的な視点で注意しなければなりません。

2023年11月3日、スイスのジュネーブで開催された「水銀に関する水俣条約」の第5回締約国会議で、2027年末までに蛍光灯の製造および輸出入が禁止されることが決定されました。

この背景には、水俣病が深く関係しています。水俣病は、メチル水銀化合物を吸収した魚を人が食べることで引き起こされる神経疾患です。

同会議では水銀を含む製品の製造および輸出入が制限されることが決まりました。蛍光灯だけでなく、水銀を使用したボタン型電池や化粧品の製造および輸出入も禁止されます。

将来的には蛍光灯の入手が難しくなる可能性があるため、オフィスの照明はLEDに切り替えましょう。

照明をLEDに切り替えるメリット

照明をLEDに切り替えると、電気代の節約につながる、メンテナンスに手間がかからないなどのメリットがあります。

■電気代の節約につながる

LEDは蛍光灯に比べてエネルギー変換効率が高いため、消費電力を抑えられます。

資源エネルギー庁の「夏季の省エネ・節電メニュー」によると、オフィスビルの電力消費のうち、照明は23.1%を占めていることがわかっています。

用途 電力消費率
空調 48.6%
照明 24%
パソコン 6.6%
複合機 7.3%
エレベーター 7.3%
その他 7.0%

※出典元:資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー」

オフィスビルにおける照明の電力消費率は、空調に次ぐ割合です。オフィスの照明を従来型蛍光灯から直管型LED照明に交換した場合、約50%の消費電力を削減できるとされています。

■メンテナンスに手間がかからない

オフィスの照明をLEDに切り替えると、メンテナンスの手間が省けます。

オフィスで1日8時間使用すると、蛍光灯は2~4年で寿命を迎えるため、定期的な交換が必要です。一方でLEDは13~17年程度持つため、交換の頻度が蛍光灯よりも格段に低くなります。

また、LEDは蛍光灯のように頻繁にオンやオフを繰り返しても寿命に影響しません。

LEDへの切り替えにより、交換頻度の減少によるランニングコストの削減が期待できます。長寿命であるため、経費を抑えつつも照明の品質や効率を維持することが可能です。

■環境にやさしい

企業がオフィスの照明をLEDに切り替えることは、環境保全への取り組みの一環となります。

近年、地球温暖化問題が深刻化していることから、世界じゅうで環境保全に対する意識が高まっています。

環境保全への取り組みは、個人だけでなく企業にも求められており、多くの企業が環境に配慮した取り組みを実践しています。LED照明は水銀・鉛・カドミウムを使用していないため、環境に対して優しい照明の一つです。

■紫外線・赤外線の放出が少ない

蛍光灯を使用すると、わずかながら紫外線や赤外線が放出されます。

紫外線には虫を集めやすい性質があるため、蛍光灯を使用する場所によっては虫が集まり、死骸が床に散らばるケースがあります。

また、紫外線は被照射物への負荷が大きく、オフィス内の展示物が劣化するおそれがあるのが現状です。特に生鮮食品や衣類など熱に弱い商品を扱っているオフィスでは、紫外線や赤外線の影響により劣化が進むことも懸念されます。

一方のLEDは、使用しても紫外線や赤外線が放出されません。

LEDの照明を使用することで、商品や展示物の劣化を防ぐことが可能です。エントランスの照明をLEDに切り替えれば、虫が集まりにくくなるため、衛生面も向上するでしょう。

LEDへの切り替えならLXシリーズがおすすめ

オフィスの照明をLEDに切り替える際には、当社のLED一体型ベースライトLXシリーズをご検討ください。LED一体型ベースライトLXシリーズは、直線型の美しい光と高い省エネ性を併せ持つLED照明です。

本体にソケットがないため、連結時にユニット同士が隣り合っても継ぎ目がほとんど気になりません。一般的な逆富士型蛍光灯に比べて約30%薄型なので、すっきりとした印象に仕上がります。約54~70%の省エネを実現できるため、オフィス全体の電気代の節約が期待できます。

当社の無線制御システムLiCONEX(ライコネックス)と併用すれば、季節や時間に応じて明るさを調整することも可能です。

〈LED一体型ベースライトLXシリーズの詳細はこちら〉
LED一体型ベースライト | 法人向けLED照明 | アイリスオーヤマ
直線型の美しい光と高い省エネ性を持ったLED一体型ベースライト ラインルクス(LX)です。器具本体とLEDユニットの豊富な品揃えに加え、防雨・防湿、オイルミスト、低温など特殊な環境にも...

オフィスの照明はLEDに切り替えよう

蛍光灯は、2027年末までに製造および輸出入の禁止が決定しています。そのため、新たに蛍光灯に切り替えても、いずれ交換できない事態に陥ります。オフィスの照明が寿命を迎えたときには、蛍光灯ではなくLEDに切り替えましょう。

LEDは蛍光灯に比べて消費電力が少なく、寿命が長いことが魅力の一つです。省エネ効果に優れているだけでなく、一定の明るさを維持することも可能です。LiCONEXを導入すればタブレットやスマホから調色・調光できるため、空間全体の演出効果も期待できます。

当社では、LEDへの切り替えと同時に無線制御システムLiCONEXの導入に対応しています。照明をLEDへの切り替えをご検討の企業様は、ぜひお問い合わせください。

〈LED・LiCONEXに関するお問い合わせはこちら〉
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