電気代を左右するデマンド値とは?計算方法やデマンド値を抑える方法を解説

2024.04.01
省エネ

工場には多くの機器があるため、電気代が高額になりがちです。電気代を節約したいときにはデマンド値を把握し、値が上がらないようにコントロールする必要があります。

しかし、電気代を節約するにあたって、デマンド値の意味やコントロールする方法を知らない担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では、デマンド値の意味や値をコントロールする具体的な方法を解説します。

また、デマンド値をコントロールする際には、デマンドコントロールシステムを導入する方法もあります。デマンドコントロールシステムの種類や導入手順も紹介するので、工場の電気代を削減するために役立ててください。

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デマンド値とは?

工場の電気代を削減するためには、デマンド値を抑えることが効果的です。まずはデマンド値の意味を理解し、電気代にどのような影響を及ぼしているかを確認しておきましょう。

30分ごとの電力消費平均量

デマンド値とは、30分ごとの電力消費の平均量です。

電力会社がデマンド値を計測するのは、50kW以上の高圧電力でデマンド契約をしている場合です。

デマンド値の計測は30分ごとに行われ、たとえば最初の15分間に3kW使用し、残りの15分で2kW使用した場合、デマンド値は2.5kWになります。

デマンド値は平均量であり、たとえば最初の15分に多く使用しても、後半が少なければ全体として下げることが可能です。

電気代を左右する数値

契約電力50kW以上の高圧電力契約では、一般家庭の低圧電力契約と異なり、「基本料金+電力量料金+消費税」で電気代を計算します。このうち基本料金の計算式は「単価×契約電力×力率割引」です。

契約電力は、最大デマンド値が基準となります。最大デマンド値とは、1年間のデマンド値で最も高い数値です。普段から節電を心がけていても、大量に電力を消費した時間帯があれば、翌年の電気料金が急激に高くなってしまうというわけです。

高圧電力契約の場合は最大デマンド値が電気代に大きく影響するため、継続的に値を抑える工夫が必要です。最大デマンド値を抑えられれば基本料金が下り、電気代の節約につながります。

デマンド値を抑える方法

工場でデマンド値を抑えるには、30分間に消費される電力の平均値を下げなければなりません。

しかし、工場や冷蔵倉庫などの製造ラインの動力を節電するのは難しい場合があります。そこで、製造ラインの動力以外でデマンド値を抑える方法を紹介します。

しかし、節電に注力し過ぎても失敗する可能性があり、注意が必要です。デマンド値は少ない電力を長時間使用するよりも、短時間で大量の電力を使用する方が高くなります。

空調設備・照明の省エネ化

デマンド値は、工場内の空調設備や照明の省エネ化によって抑えることが可能です。

資源エネルギー庁の「節電アクション」によると、製造業における電力消費のピークは平日の9時~20時であることがわかっています。

空調設備では、季節や時間帯、気象などの状況に応じて温度設定を変えてみましょう。ピーク時間帯に空調設備の温度設定を調整すると、無駄な電力消費を抑えられ、大きな節電が期待できます。

また、常に使用しない部屋には、人感センサー付きの照明を取り付けるのがおすすめです。従業員にこまめな消灯を求めても、消し忘れが発生することもあります。人感センサー付きの照明を取り付けると、電気の消し忘れを防げるため、節電につながります。

当社では、スイッチ一つで3つのモードに切り替えられる「人感・明るさセンサー付LED一体型ベースライト」を取り扱っているので、ぜひご検討ください。

※出典元:経済産業省 資源エネルギー庁「節電アクション」

太陽光発電の導入

工場のデマンド値を抑えるためには、太陽光発電を導入する方法もあります。

通常、ピーク時には電力消費量が増加し、それに伴ってデマンド値も上昇します。太陽光発電で生成した電力をピーク時に使用することで、ピーク時の電力消費量を削減できます。これを「ピークカット」と呼びます。

一方、ピークカットの対義語に「ピークシフト」という用語があります。ピークシフトとは、電力消費量を多い時間帯から少ない時間帯に移動させることです。

太陽光発電を導入すると、電力消費量を調整することが可能です。ピークカットとピークシフトを上手く組み合わせることで、デマンド値をコントロールしつつ、電気代の節約につながります。

デマンドコントロールの導入

デマンドコントロールとは、使用する電力量を監視・調整し、消費電力量を計画的にコントロールする仕組みのことです。工場にデマンドコントロールを導入すると、無駄な電力消費を抑えられます。

電力消費量を調整できれば最大デマンド値の上昇を避けられるため、電気代の削減にもつながります。

工場で消費電力量を計画的にコントロールするためには、システムや装置の導入が必要です。次章では、デマンドコントロールの種類やメリット・デメリットを詳しく解説します。

デマンドコントロールの種類

デマンドコントロールには、デマンドコントロールシステムとデマンド監視装置の2種類があります。種類によって人による作業の工程数が異なるため、工場の人的リソースを考慮して選ぶと良いでしょう。

デマンドコントロールシステム

デマンドコントロールシステムは、最大デマンド値を超えないよう、建物内に設置された各種設備の消費電力量を監視するシステムです。

システムの基本性能は、次のとおりです。

  • 消費電力量の監視
  • 消費電力量の管理
  • 警告
  • 各種設備の自動制御

デマンドコントロールシステムは、温度設定や風量などを細かく制御することが可能です。各種設備の電源や消費電力量を自動で調整してくれるため、人による作業が少ない傾向にあります。

遠隔操作にも対応しているため、大規模な施設や工場で人の手による機器の操作が難しいケースでも活躍が期待できます。

デマンド監視装置

デマンド監視装置は、事前に設定したデマンド値を超えそうになったタイミングで知らせてくれるシステムです。知らせる方法は、警報機やメールなどシステムによって異なります。装置の基本性能は、次のとおりです。

  • 消費電力量の監視
  • 消費電力量の管理
  • 警告

デマンドコントロールシステムとは、消費電力量の監視・管理・警告は同じです。ただし、デマンド監視装置は監視がメインになるため、各種設備の自動制御が基本性能に含まれていません。

デマンドコントロールの導入手順

デマンドコントロールシステムやデマンド監視装置によってデマンド値をコントロールする際には、導入手順を確認しておくことも大切です。デマンドコントロールの導入手順は、次のとおりです。

  • STEP1:電力の使用状況を把握する
  • STEP2:デマンドコントロールを導入する
  • STEP3:電力会社に申請する

まずは、建物内の電気の使用状況を把握しましょう。どのような設備にどのくらいの電気が使用されているかを確認しておくことが必要です。

業者にシステムや装置の導入を相談したときには、過去2年間分の電気代明細書の提示を求められることもあります。電気代明細書が手元にない場合は、電力会社に問い合わせて入手しておきましょう。

電気の使用状況を確認し、明細書を準備した後は、業者に問い合わせて見積りを依頼しましょう。

業者からは専門の調査員が派遣され、設備の使用状況の調査が実施されます。現地調査の希望日を複数設けておきましょう。

デマンドコントロールシステムまたはデマンド監視装置の導入後は、電力会社に減設申請が必要です。減設申請とは、契約中の電力を下げるよう求める手続きのことです。

必要書類を提出し、契約中の電力が下げられると判断されれば、申請が認められます。

デマンド値を抑えて工場の電気代を削減しよう

工場は数多くの設備を使用するため、電気代が高額になりがちです。しかし、50kW以上の高圧電力契約をしている場合は、デマンド値を抑えることで電気代の削減が期待できます。

電気代には、1年間のデマンド値で最も高い数値の「最大デマンド値」が影響します。短時間でも大量に電力を消費した時間帯があれば、翌年の電気代が高くなるため、継続的にデマンド値を抑えるための工夫が必要です。

デマンド値を抑えるためには、デマンドコントロールシステムやデマンド監視装置の導入が効果的です。空調設備の電気代を節約するなら、当社のエナジーセーバーを導入する方法もあります。エナジーセーバーとは、既存の空調設備に取り付けるだけで最大50%の省エネを実現できるシステムです。

電気代を抑えつつ、建物内は快適な環境を維持できるため、従業員は快適に作業できるでしょう。エナジーセーバーの詳細はこちらから確認できますので、ぜひご検討ください。

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