再エネ賦課金とは?単価の推移や計算方法、オフィスの負担を軽減する方法を紹介

2024.04.09
省エネ

電力会社から供給される電気を使用している場合、再エネ賦課金を負担しなければなりません。再エネ賦課金は一般家庭だけでなく、電力会社と契約しているオフィスにも負担を求められます。

近年の電気代の高騰を受け、毎月の電気料金に再エネ賦課金が含まれていることを始めて知った企業や担当者もいるのではないでしょうか。

本記事では再エネ賦課金とは何か、なぜ負担が必要なのかなどを解説します。

再エネ賦課金の負担は、工夫次第で抑えることが可能です。オフィスで再エネ賦課金の負担を抑える方法も紹介するので、自社の電気代を削減する際に役立ててください。

再エネ賦課金(ふかきん)とは?

再エネ賦課金は、2012年から徴収されはじめた費用です。毎月の電気代に含まれているため、明細書を詳しく確認しないと気づかないこともあります。まずは、再エネ賦課金について理解を深めておきましょう。

再エネ電力の買取費用の一部

再エネ賦課金(ふかきん)とは、電力会社が再生可能エネルギーによって発電された電力を買い取る際にかかった費用の一部を指します。正式名称は、再生可能エネルギー発電促進賦課金です。

エネルギー資源には限りがあるため、多くの国や地域が再生可能エネルギーに注目しています。日本では再生可能エネルギーの普及を促進するために、2012年7月から「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」、通称「FIT制度」が始まりました。

FIT制度は再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が保証する制度です。電気の買取にかかった費用を、国民全体から再生可能エネルギー発電促進賦課金という形で徴収しています。

電気を使うすべての国民が対象

FIT制度では、再エネ賦課金の支払い対象を電気料金の契約をしているすべての個人と法人にしています。大手電力会社や新電力と契約し、電気を使用している場合は、一般家庭でも事業者でも再エネ賦課金の負担が必要です。

ただし再生可能エネルギーの自家発電や自家消費をしているケースは対象外です。たとえば自宅やオフィスに太陽光発電システムを設置し、発電した電力で賄っている場合は、そもそも電気料金の契約をしていないため、再エネ賦課金を負担する必要がありません。

1ヶ月当たりの電気使用量×単価で算出

再エネ賦課金は「1ヶ月当たりの電気使用量×単価」で計算されます。この単価は、全国一律で、どこに居住していても同じです。

単価は毎年更新され、2023年度は1kWh当たり1.40円でした。再エネ賦課金の単価が毎年更新される理由は、固定買取価格や再生可能エネルギーの総発電量などが変動するためです。再生可能エネルギーの普及が進むほど買取額も増えるため、再エネ賦課金が値上がりする傾向にあります。

再エネ賦課金の計算方法

上記で紹介したように、再エネ賦課金は1ヶ月当たりの電気使用量×単価で計算されます。毎年度の単価の計算式は「買取費用-回避可能費用+広域的運営推進機関費用)÷販売電力料」です。

買取費用とは、年度中に再生可能エネルギーで発電した電力の買取にかかる費用の推計です。回避可能費用は、買取費用を市場価格で調達したときにいくらかかるかの推計を指します。

広域的運営推進機関費用は、入札業務や費用負担調整業務を担う機関に支払う費用です。販売電力量は、年度中に見込まれる販売電力量の推計のことです。このように、再エネ賦課金にはさまざまな費用が深く関係しています。

【最新版】再エネ賦課金単価の推移

再エネ賦課金の単価は、年度ごとに更新されます。2012年度から2023年度までの単価は、次のとおりです。

年度1kWh当たりの単価
2012年0.22円
2013年0.35円
2014年0.75円
2015年1.58円
2016年2.25円
2017年2.64円
2018年2.90円
2019年2.95円
2020年2.98円
2021年3.36円
2022年3.45円
2023年1.40円

※出典元:

経済産業省 資源エネルギー庁「第3節 再生可能エネルギーの主力電源化に向けて」

東京電力ホールディングス「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価のお知らせ」

東京電力ホールディングス「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価のお知らせ」

経済産業省「FIT制度における2021年度の買取価格・賦課金単価等を決定しました」

経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2023年度以降の買取価格等と2023年度の賦課金単価を設定します」

FIT制度が始まった2012年度の単価は、0.22円でした。2012年度から2021年度までは徐々に上がり続けていましたが、2023年度は前年度比-2.05ポイントにまで落ち込んでいます。

再エネ賦課金の単価が変動する理由

再エネ賦課金の単価は毎年見直されており、2023年度には大きく落ち込んでいます。このように再エネ賦課金の単価が変動する背景には、買取量の変化や燃料価格の高騰などが深く関係しています。

【上がる理由】再エネ電力の買取量が増えたため

上記で紹介したとおり、再エネ賦課金の単価は2012年にFIT制度が開始してから2022年度までは、上昇し続けていました。再エネ賦課金の単価が上がる理由は、再生可能エネルギーによって発電された電力の買取量が増えていたためです。

再生可能エネルギーに対しては、FIT制度や補助金など国による支援があります。そのため、家庭や事業所などで、太陽光発電システムをはじめとする発電設備の設置が相次ぎました。

発電設備の設置が多くなるほど、再生可能エネルギーによって発電された電力が増えます。結果、電力会社の買取量が増えるため、再エネ賦課金の単価も上昇するというわけです。

【下がる理由】化石燃料の市場価格が高騰したため

2023年度の再エネ賦課金の単価は、FIT制度が開始されて以降、初めて低下しました。再エネ賦課金の単価が低下した理由として考えられるのは、化石燃料の市場価格が高騰したことです。

毎年度の再エネ賦課金単価は、(買取費用-回避可能費用+広域的運営推進機関費用)÷販売電力料」で計算されます。

化石燃料の価格が上昇すると、回避可能費用が増加します。その結果、再エネ賦課金の単価が減少したというわけです。

化石燃料の価格は、今後も上昇する可能性があります。価格の高騰が続く場合は、再エネ賦課金の単価が低下するでしょう。

オフィスの再エネ賦課金の負担を軽減する方法

再エネ賦課金は電気料金に含まれるため、単価が電気代に直結します。単価が高いほど電気代が高額になるため、負担を軽減するためにはオフィスで電気の使い方の工夫が必要です。

節電に取り組む

オフィスが支払う再エネ賦課金の負担を抑えるためには、節電が効果的です。

再エネ賦課金は、電力使用量に応じて高くなります。節電して電力使用量を減らせば、再エネ賦課金の負担軽減につながります。

オフィスで取り組める節電対策の例は、次のとおりです。

  • 使用していない部屋の電気をこまめに消す
  • 蛍光灯からLEDに切り替える
  • 空調設備の温度を調節する など

資源エネルギー庁の「節電アクション」によると、一般的なオフィスビルの電力消費は、空調が48%、照明が24%、OA機器が16%を占めていることがわかっています。これらの節電に取り組むと、大きな節電が期待できるでしょう。

なお、オフィスで実践できる具体的な節電方法は、こちらの記事で紹介しているのでぜひお読みください。

オフィスで実践できる節電対策まとめ|具体的なアイデアや便利グッズも紹介

オフィスで実践できる節電対策まとめ|具体的なアイデアや便利グッズも紹介 | アイリスオーヤマ
オフィスの節電対策に乗り出してみませんか。本記事ではオフィスの節電対策を検討している企業や担当者に向け、節電方法や役立つグッズなどをご紹介します。明日からでもオフィスで始められる節電方...

※出典元:資源エネルギー庁「節電アクション」

電気料金プランを見直す

再エネ賦課金の負担を抑えるためには、電気料金プランを見直すのも手段の一つです。電気料金プランには、一般的なプランと市場連動型プランの2種類があります。一般的なプランは、いつ電気を使用しても単価が変動しないタイプです。

一方の市場連動型プランは、市場価格に応じて電気代の単価が変動するタイプです。再生可能エネルギーで発電した電力が使用に流れる時間帯(昼間)や、休日のような電力ニーズが低い時間帯は、市場価格が下がります。

この時間帯に電力を多く使用するオフィスでは、市場連動型プランに切り替えることで、電気代と再エネ賦課金の負担を軽減できる可能性があります。

まずは自社が契約している電気料金プランを確認し、必要に応じて切り替えを検討しましょう。

太陽光発電システムを導入する

電気を契約しているすべての個人と法人は、再エネ賦課金の負担が必要です。

ただし、再生可能エネルギーの自家発電や自家消費をしている場合は、再エネ賦課金の支払い対象外です。自社に太陽光発電システムを設置し、自家消費する仕組みを作れば、再エネ賦課金を支払う必要がなくなります。

近年は、自社の屋上や敷地に太陽光発電システムを設置する企業も増えています。

自社に設置した設備で発電し、自家消費できれば、大幅な電気代の削減も期待できるでしょう。余った電力は蓄電できるため、災害によって停電が発生した場合のBCP対策の強化にもつながります。

賦課金減免制度を活用する

電力使用量が特に多い企業は、再エネ賦課金の減免措置が受けられます。

減免措置の内容は製造業と非製造業で異なり、減免率は製造業が最大80%、非製造業が最大40%です。

ただし、減免措置の適用を受けるためには、国から認定を受ける必要があります。認定基準は、電気使用に係る原単価が平均の8~14倍超、申請事業の電気使用量が年間100kWh超などの要件を満たさなければなりません。

国から認定を受けたあとは、電力会社への申し出も必要です。詳しい要件や申請方法などは、資源エネルギー庁のサイトからご確認ください。

※出典元:資源エネルギー庁「なっとく!再生可能エネルギー」

再エネ賦課金の負担軽減におすすめの節電アイテムやサービス

再エネ賦課金の負担を軽減するためには、節電に取り組むことも大切です。当社では、再エネ賦課金の負担軽減につながる節電アイテムやサービスを提供しています。

エナジーセーバー

当社のエナジーセーバーは、既存の空調設備に取り付けるだけで最大50%の省エネを実現できる空調省エネソリューションです。室内機と吸気側に温度センサーを取り付け、室内温度の上下変動を小さくすることで、室外機の電力使用量を抑えられます。

オフィスの節電を実践する際には、デマンドコントローラーを導入する方法もあります。

しかし、デマンドコントローラーは、電力使用量が多くなったタイミングで室外機の運転を強制的に停止せざるを得ない状況でした。室外機の急停止は、本体に負荷がかかりやすい側面があります。

一方のエナジーセーバーは室外機への負荷が少なく、室内温度を比較的安定させたまま電力使用を制限することが可能です。

〈エナジーセーバーの詳細はこちら〉
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LED照明

オフィスの節電効果を高めるためには、蛍光灯からLED照明に切り替えるのも手段の一つです。

一般的な蛍光灯からLED照明に切り替えた場合、最大約69%の節電につながります。

当社では、豊富な種類のLED照明を取り揃えております。こちらのページでは、蛍光灯からLED照明に切り替えた場合の電気代を計算できます。利用中の照明や交換を希望する照明、数量などを選択するだけで、どのくらいの電気代を削減できるかシミュレーションすることが可能です。

〈消費電力・コスト削減かんたんシミュレーション!〉
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LED照明への切り替えをご希望される場合は、ぜひ当社にお問合せください。

LiCONEX(ライコネックス)

LED照明へ切り替える際は、当社のLiCONEXの導入もおすすめです。LiCONEXは、当社独自の通信方式であるメッシュリンクを採用した無線制御システムです。状況や用途にあわせて照明の明るさや光色を調整できるため、さらに大幅な節電を実現できます。

小規模施設に対応したLiCONEX  LITEは各種設定をパッケージ化することで、既存のLiCONEXに比べてコストを抑えて導入することが可能です。

〈LiCONEXの詳細はこちら〉
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LED節電パック

オフィスのLED化をスムーズに進めたい場合は、当社のLED節電パックをご検討ください。LED節電パックは、LED照明の購入と工事をセットで提供し、スピーディーなLED化で節電を実現するサービスです。

特殊な照明器具に対しても、LED照明に交換できる方法を提案させていただきます。ご希望に応じて、「ネット完結スピードプラン」と「LED交換スタンダード」のいずれかを選べます。

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ネット完結スピードプランは、申し込みからLED照明の施行までをスピード優先で実施するシンプルなプランです。

問い合わせからLED化までは約2週間です。オフィスをLED化した後は、約76%の節電を実現できます。

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LED交換スタンダードプランは打ち合わせから現地調査、LEDプランの提案、施行など、標準的なステップを踏んでLED照明を導入するプランです。

当社で十分に検証したうえで、照度計算やコストシミュレーションを実施するため、より丁寧にLEDを計画できます。

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再エネ賦課金の負担軽減には節電対策が効果的

再エネ賦課金は、電力会社が再生可能エネルギーによって発電された電力を買い取る際にかかった費用の一部を指します。電力を契約しているすべての個人と法人が対象です。

ただし、自家消費のための再生可能エネルギー発電設備は除外されます。再エネ賦課金の負担を軽減するためには、自社に太陽光発電システムを設置する方法がありますが、導入費用が高額になりやすい側面があります。

再エネ賦課金は、オフィスの電力消費量を減らせば負担を軽減することが可能です。オフィスでは照明の電力消費量が多いため、組織全体で取り組めば、大きな節電につながるでしょう。