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開発マインド開発秘話 スティッククリーナー

ユーザー視線にこだわる。
ニーズに応えることを諦めない。
強い想いが生んだ、新常識のクリーナー。

スティッククリーナー

開発のきっかけ
家の掃除で毎日のように使われているクリーナー。
しかし、冷蔵庫の下や棚の上、裏などクリーナーで掃除できない場所も多くある。
当たり前すぎて見逃していたこの事実に着目。
日常生活の些細な不便を解決するべく、狭い場所まで掃除できるクリーナーの開発が始まった。

話を聞いた開発メンバー

  • 商品企画・開発
    2017年入社
    家電開発部 生活家電課
    クリーナーチーム
    齋藤
  • 商品企画・開発
    2020年入社
    家電開発部 生活家電課
    クリーナーチーム
    辻岡
  • 商品企画・開発
    2015年入社
    家電開発部 生活家電課
    クリーナーチーム
    柳澤

開発が始動した経緯
ユーザーインの発想にこだわる。
つまり、お客様の声に耳を澄ませる。
それが商品開発の起点となった。

−静電モップを搭載した二刀流のクリーナー。アイリスオーヤマの大ヒット商品となったこのクリーナーは、お客様目線にこだわるユーザーインという考えから生まれた。その開発が始動した経緯とは、一体どのようなものだったのか。

辻岡 きっかけはお客様の声でした。新しいクリーナーを作るにあたって、既存のクリーナーにお客様はどんな不満を感じているのか。どんな機能を求めているのか。マーケティング担当チームの力も借りながらリアルなお客様の声を集めていきました。

齋藤 私達が製品開発をする際に一番大切にしているのがユーザーインという考え方。自分達が何を開発したいのか、得意分野はどこか。そうしたことも無視することはできませんが、それより何より、お客様視線にこだわること。自分もユーザーの一人として使いたい、欲しいと思えるものを作る。それを一番の根底に置いて考えたいから、お客様の声を起点に製品開発を始めたんです。

柳澤 その結果見えてきたニーズが、クリーナーだけで掃除できない場所も掃除したいというもの。テレビの裏や冷蔵庫の下など、クリーナーのヘッドが入らずに掃除できない場所は家の中にたくさんあります。しかし、その都度掃除器具を持ち替えて掃除するのは面倒。なら、床も棚も、その下や裏までこれ一つで掃除できる。そんなクリーナーを作ろうということで開発が始まりました。

辻岡 製品コンセプトが決まった後は、詳細な仕様を決めていきました。どうやって、今まで掃除できなかった場所を掃除するようにするのか。チーム内でも協議を重ねた結果、クリーナーと一体化する形で別の器具をつければいいのではという意見になりました。

齋藤 粘着シート型のクリーナーやモップ、ハンディクリーナー等あらゆるものを検討した結果、モップをセットにすることにしました。モップであれば、クリーナー本体の機能でモップ自体を掃除すれば半永久的に使用でき、セットにすることの相乗効果も生まれる。使い捨てではないのでコスト面でも環境面でもメリットがある。これならいけると思いました。

立ちはだかる壁
使い捨てのモップではランニングコストがかかる。
繰り返し使用だと、薬剤が剥がれて吸着力が落ちる。
矛盾に挟まれながら、どちらも諦めないという道を選んだ。

−従来では掃除できない場所も掃除できる、モップ一体型のクリーナーという大枠は見えた。しかし、それはまだスタート地点であり、本当に大変なのはここからであった。製品化に向かう開発チームの前に立ちはだかった壁とは。

柳澤 まず難航したのが、モップの素材選定です。使い捨てのモップは買い替えが面倒だというお客様の声もあったので、繰り返し利用できるものにすることは、初期から決めていました。しかし、これが思ったより難しかったんです。

齋藤 市販されている使い捨てモップの多くは、表面をゴミをキャッチしやすくする薬剤でコーティングしているんです。使用とともに薬剤は剥がれますが、吸着力が落ちたら買い替えて下さい、という仕組みです。しかし、今回は使い捨てではありません。使っていくうちにゴミはキャッチできなくなります、では話になりませんよね。

辻岡 そこで目をつけたのが静電モップ。その名の通り、静電気の力でゴミを吸着する仕組みです。そこからは、どんな材質であれば静電気が起きやすくなるか、モップを収納するケースと合わせて、あらゆる材質の配合を微妙に変えたりしながら試行錯誤を繰り返しました。ゴミの取れやすさはもちろん、モップ自体の汚れづらさや耐久性も考慮する必要があり、材質だけではなくモップの形状にも左右されます。この工程で数え切れないほど試験をしたと思いますね。

柳澤 さらに、クリーナーでモップを掃除する仕組みも一筋縄ではいきませんでした。最初はシンプルに、クリーナーヘッドの吸い込み口にモップを入れて綺麗にする仕様を考えていたのですが、これがボツに。汚いところを掃除するものですから、そこに入れるのはよくないだろうと。そこで、クリーナースタンドの形状を工夫し、スタンドにモップを入れて清掃する仕様へと変更しました。

辻岡 ここでも、スムーズに出し入れができ、十分に綺麗にできるよう差し込み口の形状やサイズを工夫しました。また、差し込み口には静電気除去用のプレートを設置することで、清掃効率をあげています。モップをつけておしまい、ではなくここまでやるのがアイリスオーヤマらしさ。ユーザー目線を忘れることなく、細部まで使いやすさにこだわり抜きました。

最後に乗り越えるべき山
各社が大々的に吸引力を謳う中、
アイリスオーヤマは軽量化で勝負。
本当にユーザーが求めていることにこだわった。

−一年半にも及ぶ試行錯誤を繰り返した結果、吸着力はそのままに、買い換える必要のないモップの開発に成功。しかし、たしかな手応えを感じて喜ぶ彼らの前には、最後にもう一つ乗り越えるべき山が控えていた。

辻岡 新商品の要であるモップの仕様はなんとか確定。これはいい商品になるぞという手応えも感じていましたが、最後にもうひと頑張りしなくてはいけませんでした。それが、クリーナー本体の性能です。

齋藤 あくまで、静電モップ一体型「クリーナー」。本分であるクリーナーの性能が秀でていなくては、苦労して開発したモップも活かせない。当然、妥協は許されませんでした。

柳澤 こだわったのは軽量化。今や軽量を謳うクリーナーは珍しくありませんが、開発当時は各社、吸引力の強さで勝負していた製品がほとんど。吸い込む力を示す数値をどれだけ高められるかという風潮の中で、私たちは軽量化を目指したんです。

辻岡 これも、ユーザーインの開発だから辿り着いた結論です。ユーザーが本当に求めているものは何なのかを突き詰めたら、絶対軽い方がいいだろうと。もちろん、ゴミが吸引できなければダメですが、掃除に支障のない吸引力さえあれば、無駄に超強力な掃除機よりも、軽量の方が嬉しいはず。

柳澤 それからはまたトライアンドエラーの毎日です。一つひとつの部品を1gでも軽量化できないか試し、モーター周りも工夫を施しました。

辻岡 吸引力はある程度モーターの大きさに左右されますが、モーターの大きさは製品としての重量にも大きな影響を与えます。このバランス調整や、サイズを上げずに吸引力を保つのは本当に大変でした。

齋藤 苦労の果てに販売に漕ぎ着けた時には、開発開始から2年近く経っていました。しかし、苦労の甲斐あって、商品は大ヒット。今もまだ売れ続けている超ロングセラーとなりました。

柳澤 ヒットしたことも、好評価のコメントをいただけることも嬉しいです。でも、この商品を担当して一番よかったなと思うポイントは、大きな学びを得たことです。それは、諦めないこと。そして、ユーザーインにこだわることの大切さ。

齋藤 その想いは開発メンバー全員同じだと思います。実はこの商品、一番最初の社内プレゼンで否認されているんです。そんな製品は売れないと。でも、そこで全員諦めなかった。ユーザーのニーズがある以上、そこに応えることに拘り続けた。この学びを忘れずに、また会社を代表するような大ヒット商品を生み出してみせます。

開発者コメント

  • 齋藤 当時は、軽量クリーナーもそうですが、充電式クリーナー自体もそれほど数がなかったんです。ユーザーに喜んでもらえるだけでなく、業界のトレンド自体も生み出していける喜びを感じさせてくれた製品ですね。

  • 辻岡 私は今も、この機種の後継機の開発に携わっています。初代開発の苦労や工夫を知っている分、それに恥じないものづくりをしようという意識は強くありますね。こんなに進化したのか、と思ってもらえるよう頑張っていきたいです。

  • 柳澤 発売までの苦労も多くありましたが、大ヒットしたために量産化への対応も記憶に残っています。大量に作れば、基準を満たせない商品も僅かに出てくる。それをゼロに近づけるため、中国の現地工場まで足を運んで組み立て工程に至るまで最適化しました。