<イベントレポート>
法人向けのDX清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」発売に伴う
トークセッションイベントを開催
ロボットの社会実装の成否を分ける重要な鍵は“運用”!?その真相に迫る!
当社は、2026年7月1日に発売する法人向けのDX清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」の発売に先立ち、「ロボットの社会実装はどう進むのか?~現場と開発のリアルから読み解くサービスロボットの現在地~」をテーマとするトークセッションイベントを、2026年6月26日にアイリスグループ 東京アンテナオフィスで開催しました。当日は、当社執行役員 ロボティクス事業本部 本部長 吉田 豊と、株式会社シンクロボ 代表取締役社長 小倉 崇が登壇し、事業と開発の両視点からパネルディスカッションを行ったほか、DX清掃ロボット「JILBY」の稼働デモンストレーションや体験を通じて、現場での活用イメージを共有しました。
3年連続シェアNo.1※1の知見とフィジカルAIで効率化と最適化を実現
【当社初】ソフトウェア・ハードウェア完全内製の
DX清掃ロボット「JILBY(ジルビー)」
「JILBY」は、床面の集塵清掃を自動で行う法人向けのDX清掃ロボットです。アイリスグループのシンクロボが初めてソフトウェアの開発を手掛け、ハードウェアは自社の大連工場(中華人民共和国・遼寧省)で製造しています。
これまで当社がサービスロボットの導入を通じて得た知見を基に、業務用清掃ロボット使用時の課題を洗い出し、清掃完了後に自動で充電ステーションに帰還する自動充電機能や、清掃中の稼働音を抑えた静音モード、操作性・メンテナンス性の高い設計など、ユーザーの声を反映した機能や特長を搭載しています。
さらに、NTT西日本グループが提供する「AIロボティクスプラットフォーム」※2と連携させることで、フィジカルAIを実現します。タブレットやスマートフォンなどの端末を通じて、ユーザーとロボット間のテキストや音声による双方向のコミュニケーションが可能になり、蓄積された清掃データなどを基にAIが学習し、最適な清掃ルートや頻度、時間帯などを「AIエージェント」が提案することで、清掃業務の効率化と最適化を実現します。
■パネルディスカッション
〈セッション①サービスロボットの社会実装の現在地は?〉
ディスカッションは、日本におけるロボットの社会実装の現状と、現在のサービスロボット市場の実態に関するセッションからスタートしました。サービスロボットの世界市場は2022年で約4兆円規模、2028年にはさらに5兆円を超える規模に拡大する見込み※3です。
こうした中、小倉は、「少子高齢化による労働力不足の加速を背景に、ロボットやAIの活用はもはや避けて通れない」と指摘しました。また、「配膳・清掃・警備ロボットなどは、日本においても身近な場所で目にする機会も増えてきている一方で、定着という観点ではまだ入り口段階」と現状を分析しました。
これを受けて吉田は、「ロボットにおいて導入と定着は別の話であり、ロボットは現場で継続して活用されてこそ価値を発揮する」と説明するとともに、運用を通じて蓄積されるデータがさらなる品質向上につながるという好循環の重要性にも言及しました。
〈セッション②社会実装への課題とは?〉
続いて、労働力不足が深刻化する一方で、ロボットの普及を阻む要因について意見が交わされました。
吉田は最大の課題として「運用設計」を挙げ、「ロボットを現場の業務フローにどう組み込むかが不十分なまま導入されているケースが多い」と指摘しました。こうした課題に対し、「当社ではサブスクリプションモデルを採用し、導入のハードルを下げるだけでなく、継続的にお客様と密に接点を持ち、運用面まで伴走できる体制を整えている」と語りました。また、導入後のアフターフォローの重要性についても強調しました。
その上で小倉は、「現場のロボットに求められているものは“技術”ではなく“運用”である。どれほど高性能であっても、現場にフィットしなければ価値は発揮されない。だからこそ“ユーザーイン(ユーザー目線)”の設計や仕様が重要である」と発言しました。技術の進化に注目が集まりがちなロボット分野において、この言葉は参加者に強い印象を残しました。
〈セッション③開発と現場、社会実装を進める取り組みとは?〉
開発面の取り組みでは、DX清掃ロボット「JILBY」の開発にも焦点が当てられました。
小倉は、社会実装を前提とした清掃ロボットの開発について「数えきれないほどの失敗があった」と振り返り、特にソフトウェア開発では、「施設ごとに異なる環境への適応に苦労した。ある施設では正常に動作した設定が、別の施設では通用しないといったケースもあり、調整と検証を重ねた」と説明しました。また、ハードウェア開発においても、「安全性を担保するためのセンサー設計やメンテナンス性の向上など、“現場で活用され続けること”を前提とした改良を実施した」と当時の苦労を語りました。さらに、集塵用の紙パックの交換のしやすさや、操作性・メンテナンス性の高い設計には当社がクリーナーなどの家電事業で培ったノウハウも活かされているとし、アイリスグループの多事業展開ならではの強みについても言及しました。
これに続いて吉田は、「当社の強みは企画・開発・製造・販売・アフターサービスまでの一貫体制をグループ内で実現している点にある」と語り、業務用清掃ロボットのベンダーシェア3年連続No.1※1の実績を背景に、現場から得た知見を製品に反映させたことで、「『JILBY』は現場にフィットするロボットに仕上がった」と手応えを語りました。
〈セッション④サービスロボットの未来、日本はどのようになっていくのか?〉
ディスカッションの最後には、ロボットの社会実装が加速する中、人とロボットが共存する社会の在り方について意見が交わされました。
小倉は、ロボットの今後について、「まずは配膳・清掃・警備などの専用ロボットの普及が進み、その後ヒューマノイドロボットが補完する形で広がっていく」と見解を示しつつ、“ロボットは万能ではない”という前提を改めて明確にしました。「清掃員の仕事は、単に“掃除”を行うだけではない。現場の状況を判断し、経験に基づく気付きや判断をもとに清掃品質を担保している。ロボットは状況の“意味”や“暗黙知”までは理解できない」と説明。その上で、人とロボットの役割分担の在り方について、「例えば、床の定期清掃はロボットが担い、人は仕上げや品質確認などの付加価値の高い業務に集中するというように人の仕事自体は減るのではなく、中身が変わっていく」と将来像を語りました。
吉田は、内閣官房がAIロボット市場において2040年に世界シェア3割超の獲得を目指し、日本がアメリカと中国に並ぶAIロボット大国を目指す方針※4を示している点についても触れました。それを踏まえ、ロボットの普及に伴い一部で懸念されている「人の仕事がロボットに奪われてしまうのではないか」という声に対し、「ロボットは人の仕事を奪う存在ではなく、支えるパートナーである。我々は人と一緒に働くことを前提にロボットの開発・運用設計をしている」と強調しました。
また、今後の展望について、小倉は「日本発のロボットソフトウェアで世界を狙っていきたい」と意気込みを語り、「今後も現場データを活用し、継続的にソフトウェアを進化させるとともに、フィジカルAI時代を見据えた開発を進めていく」と方針を示しました。
これに続き、吉田は「労働力不足は日本だけの課題ではない」と指摘。「清掃ロボットに分野において、日本は“清潔”なイメージが強く、日本市場で鍛えられたロボットは高い競争力を持っている。そのため海外においても十分な需要が見込める」との見解を示しました。さらに、「当社は現在、日本国内における業務用清掃ロボットのベンダーシェアでNo.1※1を獲得しているが、今後は日本国内にとどまらず、サービスロボットの稼働・運用で世界No.1を目指し、さらなる労働力不足の解決に貢献していきたい」と力強く語り、パネルディスカッションを締めくくりました。
■DX清掃ロボット「JILBY」を稼働させ、フィジカルAIを体験
会場では、DX清掃ロボット「JILBY」の稼働デモンストレーションと体験会も実施しました。「JILBY」が自律的に走行しながら床面の集塵清掃を行う様子を披露したほか、「AIエージェント」の機能として、タブレット端末からロボットに清掃の指示を出すだけでなく、蓄積された清掃データなどを基にロボットからも清掃の提案があり、人とロボットが双方向にコミュニケーションをとる様子を披露しました。
■当社のロボティクス事業について
当社は日本の社会課題の一つである労働力不足を解決するため、2020年11月にロボティクス事業に参入しました。その後、業務用清掃ロボットにおけるベンダーシェアは2023年から3年連続で1位を獲得し、現在ではサービスロボットの累計導入社数は7,000社※5、累計出荷台数は25,000台を超え※6、ロボット事業における主要な企業に成長しています。また、2023年7月にはソフトウェアの内製化を目的に、ロボット開発を行うベンチャー企業のスマイルロボティクス株式会社(現:株式会社シンクロボ)の全株式を取得しグループ会社化しており、ロボットメーカーベンダーとしての自立を進めてきました。また、2026年1月には、清掃にとどまらない労働力不足のさらなる解決に向けて警備ロボットメーカーシェアNo.1※7の SEQSENSE株式会社の株式を取得しグループ会社化しています。
■登壇者プロフィール
【アイリスオーヤマ株式会社 執行役員 ロボティクス事業本部 本部長 吉田 豊(よしだ ゆたか)】
外資系を含む複数の業種・業態で、新規事業の立ち上げに携わる。2019年にアイリスグループへ参画し、2020年にロボティクス事業部を創設。業務用清掃ロボットにおいて3年連続で国内ベンダーシェアNo.1※1を達成。現在はロボット×通信に加え、今年1月にグループ会社化したSEQSENSE株式会社を筆頭に警備領域にも展開を拡大し、世界トップクラスのサービスロボットの社会実装企業を目指して事業の推進を主導。
【株式会社シンクロボ 代表取締役社長 小倉 崇(おぐら たかし)】
東京大学大学院 情報システム工学研究室にて博士号を取得後、トヨタ自動車株式会社、Google Japan G.K.などでロボティクスの研究・開発に従事。2019年にスマイルロボティクス株式会社(現:株式会社シンクロボ)を創業。2023年にアイリスグループに参画し、ロボットのさらなる社会実装と産業拡大を牽引。
■ブランドサイト
DX清掃ロボット「JILBY」:https://www.irisohyama.co.jp/b2b/robotics/products/jilby/
「AIエージェント」:https://www.irisohyama.co.jp/b2b/robotics/products/ai-cleaning-agent/
- ※1:富士経済「2024年版・2025年版 自律走行ロボットポテンシャル分析、2026年版 国内自律走行ロボット市場分析」〈業務用清掃ロボット、2023年・2024年・2025年実績、ベンダーシェアNo.1〉。
- ※2:NTT西日本グループ提供のオプション機能です。
- ※3:総務省「令和7年版 情報通信白書 図表Ⅱ-1-7-6 世界のロボット市場規模の推移及び予測」参照。1ドル約160円換算。
- ※4:内閣官房「AIロボティクス戦略」(2026年3月)より参照。
- ※5:2020年1月~2025年12月までのサービスロボットの累計(アイリス電工株式会社での販売分、及びトライアルを含む)。
- ※6:2020年1月~2026年4月までのサービスロボットの累計(アイリス電工株式会社での販売分、及びトライアルを含む)。
- ※7:富士経済「2025年版 ワールドワイドロボット関連市場の現状と将来展望 サービスロボット編」〈2024年・日本市場〉参照。
(更新日:2026年06月29日)