
開発マインド開発秘話 BROIT(ブロイト)
業界の常識を変える。
水拭き業務用清掃ロボで
日本の労働者不足を解消せよ。
BROIT(ブロイト)
開発のきっかけ
2024年に発売した、「水拭き機能」を搭載した業務用清掃ロボット「BROIT」。水拭き機能の搭載は、これまでの清掃スタイルに新たな選択肢が加わり、省人化・効率化による労働者不足の解消に大きく貢献している。ゼロからイチを生み出す開発プロセスでは、数えきれないほどの試行錯誤があり、若手社員が着実に力をつけ目覚ましい成長を見せている。日本が抱える課題の解決を目指す開発者3人に、着想から発売に至るまでの約3年間について話を聞いた。
※当記事の情報は取材時(2025年7月)のものです。
話を聞いた開発メンバー
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- ロボティクス開発
- 1996年 新卒入社
家電開発部 ロボティクス課
ロボティクスチーム
淡路
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- ロボティクス開発
- 2023年 新卒入社
家電開発部 ロボティクス課
ロボティクスチーム
秋田谷
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- ロボティクス開発
- 2023年 新卒入社
家電開発部 ロボティクス課
ロボティクスチーム
田中
プロジェクトの始動
ロボット技術によって
労働者不足を解消したい。
開発の起点は社会の課題。
−従来は人力で行っていた水拭きをも自動化し、業界に大きな衝撃を与えた業務用清掃ロボット「BROIT」。その開発がスタートした背景には現代の日本が抱える深刻な社会課題があった。
淡路 当社では経営理念の柱のひとつに、商品開発を通して日本の様々な社会課題を解決に導くことを目指す「ジャパン・ソリューション」を掲げ、年々その事業領域を広げています。この考えのもと2020年よりスタートしたのがロボティクス事業です。ロボット技術による省人化・効率化によって国内の少子高齢化とそれにともなう労働者不足を解消するため、私たちロボティクスチームが結成されました。
秋田谷 当社がロボティクス事業に参入し、設計から製造までを外部に委託する形で最初に発売したのが「集塵機能」を搭載した業務用清掃ロボットWhiz iです。現在は累計で6,000社以上のお客様に導入いただくなど清掃コストの削減や清掃品質の向上に大きく貢献する人気商品となっています。そして、その清掃現場でお客様からいただいた新たなご要望が「集塵と同様に負担の大きい水拭きについて自動化できないか」というものでした。
田中 当時、業務用清掃ロボットはまだ一般的ではなく、清掃はモップや自動洗浄機を用いた人力作業が主流でした。そこで、未開拓の市場を切り開き、ジャパン・ソリューションを提供することを目指しました。経営トップの迅速な判断により、業務用清掃ロボット「BROIT」の商品化が決定しました。
淡路 さらに、従来は外部に委託していたハードウェア製造を内製化へと移行し、業務用清掃ロボットとしては初めて自社工場での製造を実現しました。これにより、仕様変更への迅速な対応や品質の向上が可能となり、ロボットの社会実装を推進するための基盤の一つが整いました。清掃業界の常識を打ち破り、当社の未来を切り拓く新たな挑戦が始まりました。
手探りの地道な開発
失敗してもいい、フォローする。
先輩の力強い支えが、
若手の自信を育んでいく。
−商品化が決定し詳細設計のフェーズに入ったものの、その開発プロセスはまさに「ゼロイチ」の連続。新人もベテランも年次を問わず意見し合い、仮説と検証を繰り返しながら最適化した。
淡路 社内に蓄積された家電製品の開発ノウハウを活かしながら、ロボット開発に挑戦しました。しかし、部品点数の多さや制御の複雑さは家電とは比較にならず、想像以上に困難なものでした。社内にはロボット開発の経験者が少ない中、外部の有識者から知見を得たり、関連部門の技術者と連携したりしながら、既存技術の応用可能性を一つひとつ検証していきました。社内で議論を重ね、手探りながらもチーム一丸となって着実に前進していった過程は、非常に学びの多い経験となりました。
田中 特に、各種性能に関する評価基準の策定には大きな課題がありました。清掃性能をはじめ、走行、安全、操作といった複数の観点で、実使用環境を想定した検証を繰り返し、最適な条件を導き出す必要がありました。問題点を一つひとつ明確化し、改善策を積み重ねることが、確かな品質を実現するプロセスでした。
秋田谷 さらにその当時、私と田中さんはまだ新人でしたので会社のことも商品のこともわからず、次から次へと課題が生じていく毎日に「失敗したらどうしよう」「足手まといになるのでは」と不安でいっぱいでした。それでもなんとか前を向けたのは「やってみよう!失敗してもフォローするから」という先輩たちの力強い支え後ろ盾があったから。失敗しても次に生かしていけばいいのだと次第にポジティブに考えられるようになっていきました。
田中 私は、先輩にいただいた「枠にとらわれず、自分の考えを大切にして行動してみよう」という言葉を鮮明に覚えています。社歴を問わず誰もが主体的に意見し合い、新しい価値を生み出すために、自ら考え行動できる環境こそが、当社の大きな魅力です。若手でありながら自ら提案したアイデアを形にしたり、経営トップに向けたプレゼンに携わったりと、小さな成功体験の連続が自信につながっていきました。
立ちはだかる障壁
ハード面とソフト面の
双方で生じた予期せぬ事態。
困難を教訓に進み続ける。
−若手の2人が頼もしい戦力になりつつある中、二つの大きな試練が開発チームを待ち受けていた。それらをいかにして乗り越えたのか、そしてそこから得られた教訓とは何だったのか。
淡路 詳細設計と並行して進めた実地検証は、予想以上に困難を伴いました。閉店後の店舗に試作機を持ち込んで検証を行った結果、自律清掃中の予期せぬ停止、床の汚れによる動作不良、スキージーの摩耗など、想定外の課題が次々に判明しました。これらの課題に対しては、開発部門と営業が連携し、現場の要望を踏まえながら仕様の改善を進めました。その結果、量産移行に向けた課題が急増し、対応に追われる状況となりました。
秋田谷 社内評価では問題ないとされていたものの、実際の現場ではうまくいかないことが多々ありました。特に、床の汚れによる不具合については、「なぜ、どんな条件で発生しているのか」をいくら机上で考えても答えが出ませんでした。そこで、実地検証先に足を運び、床材や汚れの状態などの情報を現場で収集しました。そのデータをもとに社内で再現実験を行った結果、ようやく不具合原因を特定。無事に解決することができました。お客様に安心して使っていただける品質に仕上げることができ、問題を乗り越えた達成感と安堵の気持ちは、今でも心に残っています。
田中 さらに、ロボットを動かすソフトウェアの開発を自社で完全にコントロールできない状況が、開発上の大きな課題になっていました。ハードウェアは自社で内製していたものの、ロボットの脳の役割を果たすソフトウェアの設計・開発は外部に委託していたため、想定外の停止動作や清掃不良などの不具合が発生するたびに調整と原因究明を重ねる必要がありました。その結果、最終段階での細かな改修に多くの時間を割くことになりました。
淡路 この事態は、当社のロボティクス事業の発展において重要な教訓となりました。ロボットは、ハードウェア・ソフトウェア・エレキ(回路・電子系)といった複数の技術が密接に連携して初めて成立するものであり、いずれかが欠けると開発は困難になります。現在、当社ではこれらすべてを内製化できる体制を整えており、設計から製造・販売までを一貫して行う「ロボットメーカーベンダー」としての自立を目指しています。前例のない「BROIT」の開発には多くの困難がありましたが、その過程で得た知見は、当社の未来を切り拓く原動力になると確信しています。
終わりなき挑戦と熱意
日本の高い清掃品質を
世界へ広めていくために。
挑戦はまだまだ続く。
−着想から約3年が過ぎた2024年、満を持して「BROIT」がお客様のもとに導入され始めた。業務用清掃ロボットのかつてない進化に評判は上々。開発者たちの次なる挑戦の舞台はグローバル市場だ。
田中 発売当時は私たち開発部門も、商業施設やオフィスビル、医療施設などの現場に出向いて実地検証を行いましたね。「水拭き清掃にかかっていた時間を別の仕事に充てられる」「従来よりも隅々までキレイになった」「シンプルな設計で初めてでも使いやすい」など嬉しい言葉をたくさんいただき、苦労した日々が報われました。日本の清掃現場を深く理解し、その知見を設計に活かせることは、私たちならではの強みです。この強みを原動力に、これからも現場に寄り添った価値を生み出し続けます。
淡路 単に商品を販売するのではなく、お客様の多様なご要望に迅速にお応えする「コンサルティング営業」を徹底したことも、市場に受け入れられた大きな要因の一つです。さらに、お客様の現場環境や運用状況に応じて、最適なロボットの導入をサポートしています。誤作動を防ぐための調整や運用に関するアドバイスなど、現場ごとの課題に合わせた対応を徹底しています。世界でも特にキレイ好きな日本人の感覚を満たす、細やかな清掃品質を実現しているからこそ、将来的にはグローバル市場でも十分に通用するのではないかと期待しています。
秋田谷 ロボットの研究をしていた学生時代は、どれほど構想があっても社会実装に至ることはなく、もどかしさを感じていました。しかし今では、「BROIT」がお客様の清掃現場で活躍する姿を目にして、大きな手応えを感じています。当社は家電、ホーム、ヘルスケア、食品など多岐にわたる事業を展開していますので、ロボットが活躍するフィールドはより一層広がっていくはずです。今後はグローバルな課題にも挑んでいきたいです。
淡路 若手の皆さんに何よりも伝えたいのは、「独りよがりにならず、常にお客様の困りごとに焦点を当てたモノづくりをしてほしい」ということです。ロボティクス事業を通じた当社の挑戦は、まだ始まったばかりです。生活者の日々の暮らしが、もっと快適に、もっと便利に変わっていく。その変化の先にある未来は、誰かが創るものではなく、自分たちの手で築いていくものだと、私たちは信じています。
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