
お米マイスター 秋沢毬衣さん
お米マイスター納得の炊き上がり!
銘柄炊き、銘柄量り炊きの秘密
今回ご協力いただいたのは、米屋の6代目で五つ星お米マイスター、米食味鑑定士の資格を持つ秋沢毬衣さん。アイリスオーヤマの「低温製法米 つや姫」を、同じ機種の「通常炊飯」「銘柄炊き」「銘柄量り炊き」という3種類の機能で炊いて、食べ比べてもらいました。
お米マイスター
秋沢毬衣さん
秋沢毬衣 あきざわ・まりえ
1989年、東京都調布市生まれ。1905(明治38)年創業の米屋「山田屋本店」の6代目。五つ星お米マイスター(日本米穀商連合会)、米食味鑑定士(日本精米工業会)の資格を持つ。2015年、入社。営業企画担当として、調布の本店と銀座三越の「銀座米屋彦太郎」を行き来しながら、全国の米農家を積極的に訪ねている。
機能が違えば炊き上がりも違う!
三者三様の炊き上がりに
通常炊飯と銘柄炊きの違い
通常炊飯では、甘くてほんのり稲わらのような香り、もっちりした食感というつや姫の特徴がよく出ていますね。でも、少し軟らかいかな。銘柄炊きでは、通常炊きより香りが濃いように感じます。切ったときのエアリー感がある一方で、もっちりとしたお米の粒感が引き立っています。混ぜたときには、少しみずみずしすぎるかなと思いましたが、粒離れもいいですね。
銘柄量り炊きは違いが歴然
銘柄量り炊きでは、お米のつやが全然違う! 一粒一粒がしっかりしていて、粒立ちの良さを感じます。芯から、ふっくらと炊き上がっている証拠です。鼻に抜ける香りが強く、前の2つより、もっちり感がありつつ粒離れも良く、バランスがいい。これが重さで計量するよさか、と思います。あとで冷めてからもう一度食べて、3種類を比較させてください。
ご飯をおいしく炊くためには
米も水も「重さで量る」ことが大切
この食べ比べは初めての経験
私は五つ星お米マイスター(日本米穀商連合会)、米食味鑑定士(日本精米工業会)として 各地の生産地を訪ねるほか、お米コンテストの審査員なども務めています。でも、同じ銘のお米を、同じ炊飯器の異なる機能で炊いて食べ比べるのは初めてですね。お米やパックご飯を販売し、ご飯の研究をしているメーカーが作る炊飯器に興味があって、今回の取材をお引き受けしました。
ご飯をおいしく炊くポイント
ご飯をおいしく炊くために大切なポイントは、①低温での保存、②重さで量ること、③しっかり吸水させること、④高火力で炊くこと。③と④は一般的に炊飯器の機能として備わっていますから、気を付けたいのは①と②ですね。米は暑さで酸化するので、冷蔵庫で保存して1か月以内に食べ切るのがベストです。また、炊飯時には「量」ではなく「重さ」で量って、米と水のバランスを一定にすることが大切です。どういうことなのか、実際にやってみましょう。
米と水の重さを量ることが
おいしいご飯への第一歩
計量カップで量った誤差
ご飯を炊く時、一般的にお米は計量カップで量りますよね。水は、洗ったお米を炊飯器の釜に入れてから、釜の内側の線に合わせて入れるでしょう。皆さんが普段やっているような感じで、計量カップでお米を量り、銘柄量り炊きモードで釜に入れると……160g! 米は1合=150gで計算して水の量を決めていますから、10gの誤差です。水の量も、釜の線に合わせて入れるとしたら、目線の高さで変わってしまいます。これが、炊き上がりが一定にならない原因です。
重さで量ることへのこだわり
お米と水を重さで計量するのは母が始めた取り組みで、私はそのメリットを実感しているからこそ、重さでの計量にこだわっています。私のお店では、新米の時期には必ず各銘柄を炊いて検食するんです。その中で、重さで量ると炊き上がりが安定することを覚えました。両方を重さで量るのは、安定しておいしいご飯を炊くために重要なポイントなんですよ。その点、銘柄量り炊きではお米と水の重さを自動計量してくれますから、手軽なのに確実ですね。
きちんと炊けたご飯は冷めても美味。
実食の感想は?
炊いたご飯をおむすびやお弁当にすることもあるので、冷めたときのおいしさも重要です。きちんと炊けているご飯は、冷めてもおいしいんですよ。通常炊飯のご飯は、普通においしいですね。つや姫はもともと粒感がある銘柄ですから、おむすびにぴったり。その特徴がよく出ています。銘柄炊きでは、炊き立てのときより、つや姫の特徴である甘みがのりました。粒感がしっかりしていて冷めてもベチャッとせずに、ほぐれ感がありますね。銘柄量り炊きでは、こちらも、つや姫の特徴である甘みがのったと感じます。冷めてから、さらにもっちりと、みずみずしくなりました。炊き立てのときとはまた違う、よい香りが強いです。
炊き上がりが違うから
合わせるオススメ料理もそれぞれ
銘柄量り炊きは生産者の理想
3つのモードを比べてみると、通常炊飯→銘柄炊き→銘柄量り炊きの順に、香りの層が厚くなって複雑さを増しています。銘柄量り炊きに至っては、生産地の農家さんが「こう炊いて食べてほしい」と望む理想的な味です。でも、個人的には銘柄炊きの炊き加減が好みかな。歯応えのあるご飯が好きな人向きで。
食べ合わせの基本は「咀嚼回数」
炊き上がりが違うから、オススメ料理もそれぞれ。実は、ご飯と同じくらいの咀嚼回数で食べられる料理が、よく合うんですよ。通常炊飯なら、お刺身。炊き上がりの食感が軟らかいので、身が軟らかい魚の刺身に合いますね。銘柄炊きは焼肉。粒感がしっかりしていて、食べ応えのある料理にオススメです。銘柄量り炊きは、納豆や卵をかけて。粒がしっかりしておいしいからこそ、ご飯が主役になる食べ方がいいですね。各銘柄の個性を引き出して、かつ一定の炊き上がりにできれば、お米のおいしさを感じることができます。銘柄量り炊きでは、炊飯器がそれをやってくれるのがすごい! 計量の手間も省けるなんて、主婦の発想ですよ。
株式会社山田屋本店 お米館調布本店
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