違反種別 | 呼気中のアルコール濃度 | 違反点数 | 処分 | 罰則 |
---|---|---|---|---|
酒気帯び運転 | 0.15mg/L以上~0.25mg/L未満 | 13点 | 免許停止(90日) | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
0.25mg/L以上 | 25点 | 免許取消し(欠格期間2年)※ | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | |
酒酔い運転 | アルコール濃度にかかわらず、酒に酔った状態 | 35点 | 免許取消し(欠格期間3年)※ | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
企業の安全運転管理者に対し、2023年12月1日からアルコールチェッカーによる酒気帯び等の確認が義務化されました。本記事では、飲酒運転となるアルコールチェッカーの数値の基準や罰則などを紹介します。さらに数値に関する注意点やドライバー以外に科される罰則も解説しますので、参考にしてください。

アルコールチェッカーの数値の見方
道路交通法では、飲酒運転を「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類に分けて定義しています。
次の表にそれぞれのアルコール基準値や違反点数、処分などをまとめます。(ただし前歴およびその他の累積点数がない場合)
違反種別 | 呼気中のアルコール濃度 | 違反点数 | 処分 | 罰則 |
酒気帯び運転 | 0.15mg/L以上~0.25mg/L未満 | 13点 | 免許停止(90日) | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
0.25mg/L以上 | 25点 | 免許取消し(欠格期間2年)※ | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 | |
酒酔い運転 | アルコール濃度にかかわらず、酒に酔った状態 | 35点 | 免許取消し(欠格期間3年)※ | 5年以下の懲役または100万円以下の罰金 |
※欠格期間:運転免許の取消し処分を受けた者が再取得できない期間のこと
酒気帯び運転とは
酒気帯び運転とは、呼気1リットルに含まれるアルコール濃度が0.15mg/L以上で運転した状態を指します。アルコールチェッカーで測定した結果の数値が0.15mg/L以上であれば、酒気帯び運転です。基準値を超えている状態でドライバーが車両を運転した場合には、アルコール濃度に応じた罰則が科せられます。
道路交通法に定められた酒気帯び運転の罰則は、呼気1リットル中のアルコール濃度0.15mg/L以上0.25mg/L未満と0.25mg/L以上の2種類に区分されます。0.25 mg/Lを超えた場合は違反点数がより大きくなり、罰則は免許取り消し処分で2年間は再取得できません。
酒酔い運転とは
酒酔い運転とは、ドライバーが正常に運転できないおそれがある状態のことです。基準値のある酒気帯び運転とは異なり、酒酔い運転はアルコールチェッカーの数値にはかかわりません。
ドライバーが以下のような状態かどうかを見て、酒酔い運転と判断されます。
- 直線上をまっすぐに歩けるか
- 警察官の質問にきちんと受け答えができるか
- 視覚や視点から認知能力が機能しているか など
酒酔い運転の場合、酒気帯び運転よりも厳しい処分が下されます。違反点数は35点です。免許取り消し処分に加え、最低3年間は再取得不可です。さらに5年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる場合があります。
飲酒運転の罰則
酒気帯び運転および酒酔い運転には厳しい罰則が科されますが、対象は実際に車を運転したドライバーだけではありません。状況によってはドライバーの雇用企業や安全運転管理者、酒類の提供者、同乗者も罰則対象になります。
ドライバーへの罰則
飲酒運転をした場合、免許停止や免許取消しといった処分だけではなく罰則も科せられます。罰則の内容は、酒気帯び運転か酒酔い運転かによって異なります。
- 酒気帯び運転の場合:3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金
- 酒酔い運転の場合:5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金
酒類の提供者・同乗者への罰則
ドライバーに酒類を提供したり飲酒を勧めたりする者や、飲酒運転と知りながら車両に同乗した者にも刑罰が科せられる場合があります。
- 酒気帯び運転の場合:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
- 酒酔い運転の場合:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
ドライバーを雇用している企業・安全運転管理者への罰則
業務中のドライバーが飲酒運転をした場合、雇用している企業や安全運転管理者も罰則の対象です。アルコールチェックを怠ったら、安全運転管理者の義務違反と見なされ、是正措置命令が出される可能性があります。是正措置命令に対して適切に対応しなかった場合、50万円以下の罰金が科されます。
従業員の飲酒運転を容認していた場合、企業に以下のような罰則が下される可能性も。
- 従業員が酒酔い運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 従業員が酒気帯び運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
自動車運送事業者に該当する場合は、一定期間の自動車等の使用停止処分や事業停止処分となる可能性があります。
出典:飲酒運転の罰則等|警視庁
2023年12月からアルコールチェッカーの使用が義務化
2023年12月から、事業用の白ナンバー車を一定台数以上保有する事業者に対し、アルコールチェッカーを用いた酒気帯び確認が義務化されました。これは、2022年4月の道路交通法改正により始まったアルコールチェック義務化の強化措置です。
対象は以下の条件に該当する事業者です。
- 乗車定員11人以上の車を1台以上保有
- 乗車定員10人以下の車を5台以上保有(50cc以上の二輪車は0.5台換算)
使用するアルコールチェッカーは、「呼気中のアルコールを検知し有無や濃度を数値・警告音・警告灯で表示できるもの」と国家公安委員会により規定されています。アルコールチェックを適切に行うために、規定に適合した機器を準備し、適切な運用を行いましょう。
アルコールチェッカーの正しい使い方
従業員の飲酒運転を事前に防ぐためには、アルコールチェッカーの正しい使い方を知っておくことが大切です。ドライバーを管理する企業や担当者として、正しく測定できる環境を整えましょう。
飲食直後の測定は避ける
身近な飲食物にも微量のアルコールが含まれているので、飲食直後は正確なアルコール値を測定できない場合があります。アルコール飲料以外に含まれているアルコールに反応することもあるので、アルコールチェックは飲食直後を避け20分から30分程度時間をあけて行うと良いでしょう。
測定前にうがいをする
アルコールチェックは、うがいをした後に実施するように徹底しましょう。口の中に飲食物が残っていると、アルコールチェッカーが誤検知する可能性があります。うがい薬には微量のアルコールが含まれているため、水でのうがいがおすすめです。
息をしっかりと吹きかける
アルコールチェッカーは、センサー部分で呼気中のアルコール濃度を測定します。センサー部分にしっかりと息を吹きかけましょう。吹きかけた量が足りない場合、正しい測定ができずにエラーとなることもあるので注意してください。
アルコールチェッカーの注意点
アルコールチェッカーを活用し、正確に測定するために気をつけたいポイントを紹介します。
飲酒していなくても、アルコールが検知される場合がある
ドライバーが飲酒していない場合でもアルコールチェッカーが反応し、基準値を超える数値が測定される場合があります。これには、測定前にドライバーが口に入れたものが影響します。以下のようなものはアルコールチェッカーが反応しやすいでしょう。
飲食物、薬、タバコ、うがい薬、歯磨き粉 など
「ノンアルコール」と表示されている飲食物にも、微量のアルコールが含まれていることもあります。アルコール成分配合の消毒液を使用すると、大気中に残留したアルコールを検知し、正しく測定されない可能性があるので注意が必要です。
定期的なメンテナンスが必要
アルコールチェッカーのセンサーは劣化するため、長時間の使用により故障する可能性があります。定期的なメンテナンスが不可欠です。また各アルコールチェッカーには使用回数や使用期限が指定されています。付属の取扱説明書を確認し、メーカー指定の使用回数や期限を守りましょう。
安全運転管理者には、アルコールチェッカーを常時有効に保持することが義務付けられています。
アルコールチェッカーの数値が正確とは限らない
アルコールチェッカーの測定結果はあくまでも参考値に過ぎないので、アルコールチェッカーの数値に頼りすぎないことが大切です。測定結果は、チェック時の環境やアルコールチェッカーの状態に影響を受け、正確な数値が得られないこともあります。
アルコールチェッカーを使ってアルコールチェックした場合でも、安全運転管理者による対面確認は必要です。管理者はアルコールチェッカーの測定結果だけでなく、ドライバーの顔色や声の調子などもあわせて確認しましょう。
アルコールチェッカーの点検・メンテナンス方法
アルコールチェッカーで正しく測定するためには、定期的な点検やメンテナンスが欠かせません。日常点検とメンテナンス方法について説明します。
日常の点検方法
日常点検には、ドライバーが運転する日の前日もしくは業務終了後に行う毎日の点検と週に1度は行うべき点検があります。
点検のタイミング | 点検項目 |
毎日(業務ごと) | ・電源が入るか
・本体が損傷していないか |
週1回以上 | ・アルコールが含まれていない場合、アルコールを誤検知しないか
・アルコールが含まれる場合、正しくアルコールを検知するか |
メンテナンス方法
アルコールチェッカーのセンサーは、使用回数や耐用年数が定められています。超えた場合はセンサー交換のためのメンテナンスが必要です。多くの機種では使用回数や残り回数が本体に表示されたり、製造元から交換時期を知らせるメールが届いたりして、メンテナンスすべきタイミングを把握できます。
メンテナンスは製造元に依頼するのが基本で、製造元にアルコールチェッカーを送付します。センサー交換式であれば、センサー部分を購入して利用者自身で交換可能なタイプもありますので、取扱説明書を確認してください。センサー交換ができないタイプは本体ごと買い替えが必要です。
アルコールチェッカー購入時には、センサーの交換が可能かどうかや交換時期の把握方法を確認しましょう。
アルコールチェッカーで高い数値が検出された際の対応
運転前の確認でアルコールが検出されたら、その程度にかかわらず運転はさせられません。運転前の確認で問題がなくても運転後の確認でアルコールが検出されたら、運転中に飲酒した可能性があります。飲酒運転が疑われる際には警察への通報が必要です。
安全運転管理者の不在時に代理人がアルコールチェックの確認を行った場合にアルコールが検出されたら、ただちに安全運転管理者へ報告してください。
参考:アルコール検知器を用いた酒気帯び確認等に係るQ&A|警察庁
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画像ALT:アイリスオーヤマのALPiT
アイリスオーヤマのALPiTは、アルコールチェックを自動化・一元管理化できるクラウド管理サービスです。安全運転管理者の業務負担を大幅に減らして効率化でき、コスト削減にもつなげられます。
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アルコールチェッカーの数値だけに頼らず正しい確認を
2023年12月からアルコールチェックの義務化に伴い、企業は測定環境の整備やデータの保存が求められるようになりました。アルコールチェッカーの数値を把握するだけではなく、正しく測定できる環境を整備することが大切です。また測定結果の数値にとらわれず、運転者の様子を確認することも安全管理のポイントです。正しい知識と適切な運用で、ドライバーの安全を守りましょう。
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