新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、重症化リスクの高い高齢者が多数入居する介護施設では、感染症対策を徹底する必要があります。そこで本記事では、厚生労働省が作成した「介護現場における感染対策の手引き」から感染症対策の注意点や取り組むべきことを解説し、衛生環境を整える清掃ソリューションや感染拡大を防ぐAI機器・設備機器をご紹介します。
感染症対策ガイドラインから見る基礎知識
新型コロナウイルスの感染拡大により、感染症に関する対策が見直され、現場では改めて感染拡大防止に向けた取り組みが十分であるかを確認する必要が出てきています。特に、65歳以上の高齢者および40歳以上の特定疾病のある方が利用される介護施設では、感染予防対策を着実かつ適切に行うことが求められます。
そこで以下では、介護現場で必要な感染症の知識や対応方法などについて、介護現場における感染対策の向上を目的として厚生労働省老健局が作成した「介護現場における感染対策の手引き」をもとにご紹介します。
出典:
厚生労働省老健局 介護現場における感染対策の手引き 第2版(令和3年3月)
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000814179.pdf
感染症の定義と3つの感染経路
感染とは、自然界にいるさまざまな微生物のうち、病気を引き起こすウイルス、細菌、真菌などが、ヒトや動物など宿主の体内に入り、臓器や組織の中で増殖することを意味します。そして、感染によって発熱、下痢、体調不良などが生じることを感染症と呼びます。
主な感染症の感染経路は、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染の3つです。
介護現場における感染経路としては、それぞれ以下のようなケースが考えられます。
空気感染
空気中に漂う塵や飛沫核を媒介とし、それらを他者が吸い込み体内に入ることで起きる感染です。各部屋などの密閉空間では、空気中の広い範囲を病原体が漂っているため、空気の入れ替えがない状態だと他者が吸い込んで感染しやすくなります。
飛沫感染
病原体を持っている人の咳やくしゃみなどにより飛ばされた5μm以上の粒子により起きる感染です。介護施設では自分で移動できない人が多いことから、近くに座っている人に感染するリスクが高いです。
接触感染
病原体に直接触れるか、触れたものを通じて体に付着することで起きる感染です。介護施設ではタオルを共用したり、手すりやエレベーターのボタンに触れたりして感染するケースが多いです。
感染症対策の3つの柱と大原則
感染症は、病原体と感染経路、そして感受性宿主の3つが存在することで発生します。
そのため、病原体(感染源)の排除、感染経路の遮断、宿主の抵抗力向上という3つの対策が重要です。これを感染症対策の3つの柱と呼びます。
特に重要なものは感染経路の遮断であり、感染症対策を実施するうえでの大原則と言えます。
感染経路を遮断するためには、主に、①病原体を持ち込まない、②病原体を持ち出さない、③病原体を広げない、という3点への配慮が大切です。
以上でご紹介したのは感染症対策の基本的な知識です。以下では実際に感染症対策を行っていくうえで、気を付けるべきことをご紹介します。
介護施設における感染症対策で
気を付けるべきこと
介護施設における感染症を防ぐためには正しい対策を行う事が重要です。特に以下2つのポイントを押さえる必要があります。
健康管理の徹底
感染症対策は、感染症を完全に防ぐことはできません。特に、感染症への抵抗力が弱い高齢者が集団生活をする介護施設では、感染が広がりやすい傾向にあります。
そのため、感染症対策を実施する際に、まずは施設利用者の健康管理の徹底が極めて重要です。
日々の健康状態を丁寧に観察し、少しでも異常があった場合には迅速に対応できる体制を整えておきましょう。
環境管理の徹底
利用する施設内の環境や職員の仕事環境の管理も重要です。
たとえば、施設内での3密(密集・密閉・密接)の回避や、定期的な清掃・消毒・換気の徹底、感染症発生時のゾーニングなどが必要です。職員の仕事環境の管理としては、体調不良者への受診の推奨、休暇の取得や相談がしやすい体制の構築などが挙げられます。
介護施設が行うべき感染症対策の取り組み
前述の感染症対策で気を付けるべきポイントを押さえたうえで、具体的には以下のような取り組みを実施することが重要です。
標準予防対策(スタンダード・プリコーション)の実施
1章で説明した感染症対策の柱を実行するためには、「標準予防策(スタンダード・プリコーション)」と呼ばれる基本的な対策を実施し、感染経路ごとに予防策を講じることが必要です。
もともとは病院内の感染予防策ですが、近年は介護分野を含め、感染の可能性が高い施設において必要な「基本的な感染予防策」と考えられるようになってきています。
介護における具体的な標準予防対策(スタンダード・プリコーション)は以下の通りです。
・常日頃からのマスクの着用
・「1ケア1手洗い」を徹底する
・清掃を徹底し、手すりやドアノブ、パーテーション等の共有物については必要に応じて消毒
・発熱がある利用者にケアを行う場合には、エプロンを着用のうえ、必要時には手袋を着用して実施
感染症対策の指針・
マニュアルの整備
感染症対策を実施するために、介護施設・事業所としての理念、考え方や方針を事前に示しておきましょう。たとえば、マニュアルを活用して日常的なケアの場面における具体的な実施手順を明確にしておくことが重要です。マニュアルには、感染症に対する基本的な考え方を前提に「感染管理体制」、「日頃の対策」、「感染発生時の対応」などを規定します。
職員研修の実施
次に、感染者に対する差別や偏見を防止する観点から、職員に対して十分な教育・研修を行います。すべての職員が感染症の知識や感染リスクを正しく把握し、感染を広げる不適切な行動を抑制することで、前述した衛生管理を徹底できます。
また、感染症が流行している時期には、実際に発症した場合を想定した演習を実施し、研修内容の実効性確保とその定着を図ることも求められます。
施設内の衛生管理
感染症予防のためには、介護施設や事業所内の衛生状態を良好に保つことも重要です。日頃から整理整頓を心掛け、こまめな清掃を行うなど、住みやすい環境づくりを心がけましょう。
特に体液、嘔吐物、排泄物などが付着しやすい床、トイレ、浴室といった場所は丁寧に清掃する必要があります。また、空気中の菌やウイルスを減らすことや、感染経路となる人の出入りを管理することも衛生管理を行ううえで重要です。
このような施設内の衛生管理は、感染症対策として非常に重要ですが、工数がかかるうえ、職員への負担も大きいという難点があります。そこで以下では、施設内の衛生管理を効率化し感染症対策を促進する清掃ソリューションやAI機器・設備機器をご紹介します。
感染対策を行う清掃ソリューション・
AI機器・設備機器をご紹介
感染症対策として実施が容易で重要度も比較的高いものとして、清掃業務の改善があります。
清掃を改善するためのソリューションとして、まずは清掃ロボットによる衛生環境の改善が必要です。
その理由としては、人による清掃では、目に見える汚れだけを掃除したり、床面積が広く清掃に時間がかかったりと清掃にムラが出る可能性が高く、除菌・ウイルス対策としては不十分であることが多いためです。
それらを解決するには、清掃を自動化・効率化できる清掃ロボットの導入がおすすめです。
アイリスオーヤマが提供するDX清掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」は、床の菌量を1/2に低減し、空気中の浮遊菌量を最大約1/5に低減した実績があるため、感染症対策に最適です。職員の手間と時間がかかっていた清掃の一部を自動化することで、手すり掃除やパーテーションの設置など、床以外の感染症対策に時間を充てられます。
また、空気清掃も感染症対策として効果的です。空気清浄化技術「PlasmaGuard PRO™-アイリスエディション-」は、空調ダクトに取り付けることで空間全体の菌やウイルスを99.9%抑制できます。空間から物体表面を除菌し、空気自体を清潔に保つことができるため、「Whiz i アイリスエディション」による床清掃と組み合わせることでより万全の感染症対策を実現します。特に空気感染、飛沫感染の防止に効果的です。
さらにアイリスオーヤマでは、施設内の感染口となる人の出入りを管理する方法として、体温測定や顔認証ができる「AIサーマルカメラ」、施設関係者や認知症の徘徊者、外部訪問者の検知・導線の監視ができる「AIカメラ」も提供しています。誰がいつ、どこを通ったかを正確に記録できるため、感染者が出た際に感染ルートを特定できます。
このようにロボットやAIを利用することで効率的かつ効果的に衛生環境を改善することが可能です。上述したWhiz i アイリスエディション・PlasmaGuard PRO™-アイリスエディション-・AIサーマルカメラ・AIカメラに関しては、詳細内容を以下でご紹介していますのでぜひご覧ください。
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