IT点呼とは?遠隔点呼との違いや導入メリット、実施要件を徹底解説

更新日:2025年07月09日
コラム

IT点呼とは、IT機器を通して遠隔で点呼を行うことです。

近年、運送業界の人手不足や法令遵守の厳格化が進む中、IT点呼は業務効率化の切り札として注目されています。

本記事では、IT点呼とは何か、混同されやすい遠隔点呼や電話点呼との違い、導入メリット、実施要件をわかりやすく解説します。自社で導入する際の参考にしてください。

 

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IT点呼とは?

 

まずはIT点呼とは何かをみていきましょう。あわせてIT点呼と混同されやすい遠隔点呼や電話点呼との違いも解説します。

 

IT機器を使用して行われる点呼のこと

IT点呼とは、スマートフォンやパソコンに内蔵されたカメラ、アルコールチェッカーといったIT機器を使って実施される点呼のことです。貨物自動車運送事業輸送安全規則や旅客自動車運送事業運輸規則では、運行の安全を確保し、事故を防止するためにドライバーの点呼が義務づけられています。

 

点呼には「乗務前点呼」「乗務後点呼」「乗務途中点呼(中間点呼)」があり、運行管理者がドライバーと対面して行うのが原則です。ただし、遠隔地での業務など対面点呼が難しい場合の代替方法として、IT点呼による実施が明記されています。

※参考:貨物自動車運送事業輸送安全規則 | e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/402M50000800022
※参考:旅客自動車運送事業運輸規則 | e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800044/

遠隔点呼との違い

遠隔点呼とは、生体認証機能による本人確認や高度な点呼機器を用いて、遠隔地でも対面との同等の確認を行うための点呼です。

IT点呼は自動車運送事業所の安全性を評価する「Gマーク」の取得が必須ですが、遠隔点呼は以下の要件を満たせばすべての事業所で導入可能です。

遠隔点呼の要件

  • 国土交通省が定めた機器の使用
  • ドライバーの顔とカメラ間の照度は500ルクス程度
  • アルコールチェッカーの使用状況を確認できる監視カメラの設置
  • 点呼の途絶や音声不良を回避するための環境の確保 など

IT点呼は比較的安価に導入でき、小規模事業者やコストを抑えたい企業に適します。遠隔点呼は高度な機器とシステムを必要とするため導入コストは高くなりますが、より詳細な状況確認が可能です。複数の営業所を持つ企業やより安全管理を意識したい企業に適しています。

電話点呼との違い

電話点呼とは、運行上やむを得ない場合に限り認められる点呼方法です。ドライバーが遠隔地で乗務を開始または終了する場合など、物理的な事情で対面点呼が難しい状況で適用されます。

 

電話点呼ではスマートフォン、携帯電話、業務無線などを使用し、ドライバーと直接対話して健康状態を確認します。IT点呼や遠隔点呼が制度として認められた運用であるのに対し、電話点呼は特例措置であり、国土交通省が定めた機器を使用する必要がない点が異なります。

ただし、車庫と営業所が離れている場合や運行管理者が早朝・深夜に出勤していない場合は「やむを得ない事情」に該当せず、電話点呼は認められません。また、FAXや電子メールといった一方的な連絡方法は、電話点呼とは認められません。

 

IT点呼のメリット

 

IT点呼を導入すれば、対面以外の方法で実施できるため、ドライバーのさまざまな業務状況に対応できるようになります。さらにヒューマンエラーを防げ、記録を一元管理できるなど、企業や運行管理者にもメリットがあります。

人手不足の解消を期待できる

最大のメリットは、人手不足の解消が期待できることです。点呼はドライバーと運行管理者が対面で行うのが基本ですが、渋滞や荷待ちなど状況により営業所に戻る時間を読むのが難しく、運行管理者が長時間労働になってしまうことも。

また人手不足の場合は、すべての営業所に運行管理者を配置できないケースもあります。IT点呼を導入すると、時間や場所を問わず点呼を実施可能です。時刻や状況に応じて点呼を担当する営業所を変更することで、すべての営業所に運行管理者を配置する必要性を減らせます。

ヒューマンエラーを防止できる

IT点呼は機器を使用して実施し記録が自動保存されるため、ヒューマンエラーを防げます。

 

手書きで記録・管理する場合、記入ミスや記入忘れ、記録簿の紛失が発生するリスクがあります。また法令で義務づけられている記録項目は多く、記入漏れがあれば再提出を求められるケースも。点呼が実施されていないとみなされると、警告や営業停止などの行政処分を受ける可能性もあり、点呼内容の適切な記録・管理が必要です。

システムや機器により予実や数値を正確に管理でき、抜け・漏れを防げ、より確実な点呼の実行と記録管理につなげられます。

記録を一元管理できる

IT点呼を導入すれば、システム上で点呼記録を一元管理できます。

 

IT点呼はシステムに、免許証リーダーやアルコールチェッカー、スマートフォンといったデジタル機器を連携可能です。アルコールチェッカーと連携して点呼とドライバーのアルコールチェックを同時に管理できます。

さらに免許証リーダーと連携すれば、本人確認がスムーズに実施でき、点呼にかかる時間短縮につながります。点呼やアルコールチェックなどのデータは、システム上またはクラウド上に保存され、一元管理できるので、全社視点での安心・安全を向上できるでしょう。

 

IT点呼を行うための要件と必要なもの

 

さまざまなメリットのあるIT点呼ですが、実施するには一定の要件が設けられています。ここからは、IT点呼を行うための要件を解説します。

Gマークの取得

IT点呼の実施には、基本的にGマークの取得が必要です。Gマークとは、貨物自動車運送事業所の安全性を評価する「安全性優良事業所」の認定制度のこと。

全国貨物自動車運送適正化実施機関(全日本トラック協会)が、以下の評価項目をもとに審査を行います。

<評価項目>

  • 安全性に対する法令の遵守状況(配点40点・基準点数32点)
  • 事故や違反の状況(配点40点・基準点数21点)
  • 安全性に対する取り組みの積極性(配点21点・基準点数12点)
  • 認定要件は、合計80点以上または基準点数以上

 

他に法に基づく認可申請や届出、報告事項が適正になされていること、社会保険等の加入が適正になされていることも認定要件です。

 

ただし現在は要件が緩和され、下記の要件をすべて満たせば、Gマークを取得していない場合でもIT点呼を導入できます。

<要件>

  • 営業所の開設から3年以上経過している
  • 過去3年間で自動車事故報告規則第二条にある事故の中で、第一当事者となる事故を起こしていない
  • 過去3年間で点呼に関する違反で行政処分や警告を受けていない

※参考:国土交通省|Gマーク制度(貨物自動車運送事業安全性評価事業)
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000013.html

国土交通省が認定した機器の使用

IT点呼を実施するには、国土交通省が定めた要件を満たす機器を使用する必要があります。

<要件>

  • 映像越しにドライバーの状況を随時確認できること
  • アルコール測定記録が自動で保存されること
  • 運行管理者がすぐにアルコール測定記録を確認できるシステムであること

IT点呼は映像を通じて確認するので、テレビ電話やWeb会議など映像でお互いの表情が確認でき、会話できる環境の整備が必要です。アルコールチェックの測定結果は自動保存できる環境が求められます。手書きでの対応は認められません。

さらにアルコールチェックの測定結果は、運行管理者が常時確認できることが必要です。なお国土交通省の認定機器は、国土交通省の公式ホームページで確認できます。

※参考:令和6年度 過労運転防止認定機器一覧 ◆ITを活用した遠隔地における点呼機器
https://www.mlit.go.jp/jidosha/anzen/subcontents/data/r6_karou_itiran.pdf

クラウド型アルコールチェッカーを導入するなら「ALPiT」

 

IT点呼の前段階として、まずはアルコールチェッカーの導入をおすすめします。

 

運送業界の人手不足に対応するためにも、クラウド管理型のアルコールチェッカーを導入し、安全運転管理者がドライバーの記録や車両の管理に慣れておくことが重要です。

アイリスオーヤマのALPiTは国土交通省の認定機器ではありませんが、アルコールチェックを自動化・一元管理化できるクラウド管理サービスです。

アプリを起動してアルコールチェッカーに息を吹き込み、測定結果を読み取って顔写真を撮影すると、結果がクラウドに自動送信されます。測定結果を管理画面でリアルタイムに確認可能です。

毎日のアルコールチェックが簡単に完了し、かつ安全運転管理者の業務負担を大幅に減らして管理を効率化できます。毎年交換用センサーが自動で届くので、端末の買い替えも不要です。月額料金にはアルコールチェッカー代が含まれ、寿命が近づいたら交換用のセンサーが届くのもポイント。

 

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IT点呼を導入して業務効率化を実現しよう

 

近年は少子高齢化による生産年齢人口減少により、多くの業界が人手不足に陥っています。特に運送業界の人手不足は著しいですが、IT点呼を導入すれば人手不足の解消、ヒューマンエラーの防止、記録の一元管理といったメリットをもたらします。

 

Gマークの取得や国土交通省認定機器の使用といった要件を満たす必要があります(※)が、これらの条件をクリアすることでより安全で効率的な運行管理体制を構築することができるでしょう。より安全と業務の効率化を目指し、IT点呼の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

※ALPiTは国土交通省の認定機器ではありません

 

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