パッケージエアコンとは、室内機と室外機がセットになった業務用エアコンのことです。家庭用エアコンに比べ冷暖房効果が高く、オフィスや店舗、工場など幅広い空間で利用されています。今回は、パッケージエアコンの種類や特徴、仕組みを解説し、最適な1台の選び方まで紹介します。
パッケージエアコンとは

まずはパッケージエアコンとはどのようなものか、言葉の由来やルームエアコンとの違いを説明します。
業務用エアコンの一種
パッケージエアコンは、室外機と室内機がセットになった業務用エアコンの一種です。ひとつの室外機で複数台の室内機を稼働させられるのが特徴です。複数の機器がひとまとめにされていることから、「パッケージ」と呼ばれます。
ルームエアコンとの違い
ルームエアコンとは、一般家庭のリビングや寝室など、特定の部屋の温度・湿度を調節するための家庭用エアコンのことです。設置工事も比較的簡単で、壁掛け型が主流です。一方、パッケージエアコンは店舗やオフィス、工場などで使われる業務用エアコンのこと。
ルームエアコンとパッケージエアコンの大きな違いは、冷暖房機の能力と室内ユニットの形状です。パッケージエアコンは大規模空間に対応できるように設計され、冷暖房能力が大きく異なります。室内ユニットも天井埋込カセット型・天吊り型・床置き型など多彩な形状があり、空間の用途やレイアウトに合わせて柔軟に対応できます。
パッケージエアコンの種類と特徴

パッケージエアコンには、設置される環境や用途に応じた種類があります。続いては代表的な3種類のパッケージエアコンについて、その特徴を解説します。
店舗オフィス用エアコン
建物内の小規模から中規模の空間で使われるエアコンです。オフィスや飲食店、理容美容室、店舗など広い空間や複数の部屋がある環境でよく使われます。
一般に「パッケージエアコン」といえば、この種類のエアコンを指すことが多く、室内機と室外機がセットで販売され、冷媒ガス配管の距離が短く設置できることが特徴です。室外機1台で1台から4台の室内機を一括連動させて稼働できます(室内機ごとの個別運転は不可。すべて同時に運転・停止します)
業務用マルチエアコン(ビル用マルチエアコン)
ビルなどの大規模施設で使われるエアコンです。店舗オフィス用エアコンより馬力が大きく、主に3,000平方メートル以上の大規模な建物が対象です。
1台の室外機に対して複数の室内機を接続でき、室内機ごとの個別運転ができます。接続できる冷媒配管の長さも店舗オフィス用エアコンより長く、冷媒配管長や室内・外機の高低差の許容範囲が大きく、設置の自由度が高いのが特徴です。
設備用・工事用エアコン
工場や倉庫などの事業所や大規模施設など、広くて特殊な環境に対応する業務用エアコンです。室外機と室内機が一対になり、冷却方式には空冷式と水冷式があります。
工場内や施設内の人に向けた対人空調に特化したもの、商品・生産品の保存や試験室など温度と湿度のコントロールが必要な場所や油煙・粉塵対応のエアコンなど、設置する現場に合わせてさまざまなタイプがあります。
パッケージエアコンの仕組み

パッケージエアコンは、冷媒を循環させることで熱を移動させながら、冷暖房を行います。ここでは、冷媒循環サイクルの基本原理と各サイクルの流れについて解説します。
冷媒循環サイクルの基本原理
パッケージエアコンの基本的な仕組みは、家庭用ルームエアコンとほぼ同じです。冷媒が循環しながら、室内や室外の熱を移動させるヒートポンプという仕組みを利用して冷暖房を行います。
ヒートポンプのサイクルは、圧縮、膨張、蒸発、凝縮の4つの工程で、液体から気体、気体から液体へと状態変化を繰り返しながら、空間を冷やしたり暖めたりします。
冷房時:室内機で冷媒が熱を奪って蒸発し、室内の熱を外気に排出
暖房時:冷媒が室外機で外気の熱を奪い、その熱を室内機で室内に排出
サイクル1. 圧縮
蒸発した冷媒ガスを圧縮し、高温・高圧の冷媒ガスにする工程。
蒸発で気体になった冷媒は圧縮機(コンプレッサー)に戻され、そこで高圧・高温の気体に圧縮されます。圧縮により冷媒の温度が上昇します。
サイクル2. 膨張
液冷媒の圧力を下げる工程。
液体となった冷媒は膨張弁を通ることで、急激に圧力が低下します。これにより冷媒の温度も低下し、蒸発前の準備段階として低圧・低温の液体状態になります。
サイクル3. 蒸発
液冷媒が蒸発し、外気あるいは室内空気から熱を奪う工程です。
膨張して低圧低温となった液冷媒は熱交換器を通過し、室内の空気または外気から熱を吸収します。この時、冷媒は液体から気体へと変化。気化の過程で周囲の熱を奪うことで、冷房時には部屋が冷え、暖房時には暖まる効果が得られます。冷房時は室外機の熱交換器、暖房時は室内機の熱交換器を通過します。
サイクル4.凝縮
冷媒ガスから熱を奪う工程です。
圧縮機(コンプレッサー)で冷媒を圧縮、高温高圧になった冷媒ガスが凝縮器(コンデンサー)を通して冷却されます。この時、ガスが液体に変化し、余分な熱が外部に排出される。暖房運転中はこの熱が室内空気を温める役割を果たします。
パッケージエアコンの選び方

パッケージエアコンを導入する際は、必要な広さ・用途に対応できる能力(馬力)および設置環境に適した室内機の形状を確認することが大切です。ここでは、馬力と形状のポイントを紹介します。
能力(馬力)で選ぶ
業務用エアコンを導入する際は、室内の人数や広さに合った馬力を搭載したものを選びます。
馬力とは、パッケージエアコンの能力やパワーを表す単位のことです。家庭用ルームエアコンでは、エアコンの能力を何畳用という表記を用いますが、パッケージエアコンでは馬力で表します。馬力が高いほどパワーが強力になります。
日本冷凍空調工業会の規定によると、業務用エアコンにおいて1馬力ごとの消費電力の目安は約2.8kw 。室内の広さ・部屋数・用途ごとに適切な馬力が異なるため、専門家に相談するのがおすすめです。
形状で選ぶ
パッケージエアコンの室内機にはいくつか種類があり、設置環境に合ったものを選びましょう。
| タイプ | 特徴 | 主な設置場所 |
|---|---|---|
| 天井カセット型 | 天井に埋め込むため見た目がすっきり。1方向・2方向・4方向吹出しがある。最も普及している。 | オフィス、店舗、住宅のリビング |
| 天井吊型(吊下げ型) | 天井裏のスペースが不要。吹出し口が広く、大空間にも対応可能。 | 店舗、飲食店、工場 |
| 壁掛型 | 家庭用と似た形状だが高馬力で省スペース設置が可能。比較的小規模な空間に適している。 | 中小規模の店舗、会議室 |
| 床置型 | 天井が高い場所や天井工事が難しい環境に適応。広い空間にも強い。 | 体育館、工場、ロビー |
| ビルトイン型 | 室内機本体を天井内に設置し、本体から離れた位置にダクトで吹き出し口をつなぐ。室内のインテリアや装飾に馴染みやすく、目立ちにくい。 | 店舗、ホテル、オフィス |
パッケージエアコンの節電におすすめのエナジーセーバー

アイリスオーヤマのエナジーセーバーは、空調機に取り付け、空調運転を最適化することで省エネ効果をする空調管理システムです。既存の空調に取り付けるだけで運転を最適化します。設定温度と室温の温度ムラを減らし、消費電力の無駄を削減。設定温度自体は変更しないので、暑さや寒さを我慢せずに快適に省エネを実現します。
実際にエナジーセーバーを導入した工場で、夏季の消費電力を30%前後削減できた事例があります。
<エナジーセーバーの詳細はこちら>

パッケージエアコンの特徴を理解して最適な機種を選ぼう

パッケージエアコンとは、店舗やオフィス、工場など幅広い現場で利用される業務用エアコンのことです。家庭用エアコンと比べて能力が高く、設置環境や用途に合わせて多彩な種類や形状から選べるのが特徴です。導入にあたっては、必要な能力(馬力)と室内機の形状をしっかり見極めることが重要です。パッケージエアコンの特徴を理解して最適な機種を選びましょう。
※こちらに掲載されている商品情報・価格・キャンペーンは掲載日時点での情報です。
※価格は変動することがございますのであらかじめご了承ください。
