業務用エアコンの導入には、本体価格だけでなく設置工事や条件次第で追加費用がかかります。タイプごとに相場が異なるため、導入前に特徴やコストを把握しておくことが重要です。本記事では種類別の価格や工事費、追加費用が発生するケースまでわかりやすく解説します。
【種類別】業務用エアコンの本体価格と設置費用の目安

業務用エアコンは、設置場所や用途に合わせて壁掛け型・天井吊り型・天井埋め込み型・床置型の4種類があります。それぞれ特徴や適した空間が異なり、本体価格と設置費用も変わります。ここではタイプごとの相場と特徴を紹介します。
①壁掛け型
壁掛け型は、壁に取り付けて使用するタイプの業務用エアコンで、家庭用のルームエアコンと見た目が近く、小型店舗やオフィスなどに適しています。室内機が比較的小さく、設置スペースを選ばないうえ、工事もシンプルに済むのが大きなメリットです。
コストを抑えたい場合によく選ばれるタイプで、本体価格はおよそ15万〜80万円、設置工事費は4万〜13万円程度が目安。工事費込みの合計では、19万〜93万円ほどが相場です。
②天井吊り型
天井吊り型は、天井から本体を吊り下げて設置するタイプの業務用エアコンです。本体が露出するため、空間によってはやや圧迫感が出ることもありますが、天井に穴をあける必要がないため後付けしやすいのが特徴です。
風を前方に強く送ることができるため、奥行きのある店舗や広めのオフィスに適しています。本体価格はおよそ15万〜100万円、設置工事費は7万〜20万円ほどで、工事費込みの合計は22万〜120万円程度が目安です。
③天井埋め込み型
天井埋め込み型は、天井にすっきりと収まるデザインが特徴で、オフィスや店舗で最も多く採用されているタイプです。主流は4方向吹出しタイプで、空間全体に均一に風を送り、ムラなく快適な環境を保つことができます。
用途や設置場所に応じて、1方向や2方向タイプのモデルを選べます。本体価格は20万〜100万円程度、設置工事費は10万〜20万円ほどで、工事費込みの合計は20万〜120万円程度です。
④床置型
床置型は、室内機を床に直接設置するタイプの業務用エアコンで、天井工事が不要なためトータルコストを抑えられるのが特徴です。設置にはある程度のスペースを確保する必要がありますが、掃除やフィルター交換といったメンテナンスがしやすい点が大きな利点です。
本体の存在感はややありますが、小規模オフィスや店舗などで扱いやすく、導入しやすいタイプといえます。本体価格はおよそ15万〜70万円、設置工事費は5万〜18万円ほどで、合計20万〜88万円程度が相場です。
業務用エアコンの本体価格が変動するポイント

業務用エアコンの本体価格は、馬力や室内機のタイプ、省エネ性能によって変動します。用途や空間の広さに合わせた選定が大切です。ここでは本体価格が何に左右されるのか、そのポイントを確認してみましょう。
室内機のタイプ
業務用エアコンの価格は、壁掛け型・天井吊り型・天井埋め込み型など、室内機のタイプによって大きく異なるのは、先述の通りです。
さらに、室内機1台に対して接続する室外機には、シングル・ツイン・マルチタイプの3種類があります。ツインやマルチタイプは、シングルタイプに比べて機器代や工事費が高くなる傾向がありますが、室外機1台で複数の室内機を接続できるため、省スペース化や工事の簡略化といったメリットがあります。
本体の馬力・能力
業務用エアコンは、馬力が大きくなるほど本体価格が高くなる傾向があります。また、室外機のサイズや重量も増すため、設置費用も高額になりやすい点に注意が必要です。
用途や空間の広さ、業態などに合わせて適切な馬力を選定することが重要です。買い替えの際には現在の冷暖房能力が過不足ないかを見直すと良いでしょう。
省エネ性能
省エネタイプの業務用エアコンは、標準タイプに比べて本体価格がやや高めですが、電力消費が少ないため年間の電気代を抑えられるのが大きなメリットです。
特に毎日長時間使用する場合は、電気代の削減効果が大きく、長期的に見ると標準タイプよりも経済的です。
業務用エアコンとルームエアコンとの違い

業務用エアコンは店舗やオフィス向け、ルームエアコンは家庭向けとして設計されており、能力や設置方法、工事内容に違いがあります。ここではその相違点を解説します。
冷暖房能力
業務用エアコンは、広い空間を快適に保つために1.5〜10馬力までの幅広い能力を備えています。一方で、家庭用のルームエアコンはおおむね3馬力程度が中心で、小規模な空間に適した設計です。空調能力は「馬力」や「kW(キロワット)」で表され、1馬力はおよそ2.8kWに相当します。
業務用は大人数が集まる店舗やオフィスなど、熱負荷の高い環境でも安定した冷暖房性能を発揮できるのに対し、家庭用は省エネ性やコンパクトさを重視したモデルが多く見られます。
設置方法と工期
業務用エアコンは、天井埋め込み型や吊り下げ型など設置方法のバリエーションが多く、配管やダクトの構造も複雑になりやすいのが特徴です。そのため、1台あたりの工事時間は6〜8時間以上かかることが多く、場合によっては2日以上かかることもあります。
ルームエアコンは壁掛け型が主流で、設置工事も比較的シンプル。おおよそ1.5〜3時間ほどで完了します。業務用は作業量や準備工程が多く、施工時間に大きな差が生じる点も大きな違いといえます。
工事費
業務用エアコンは、天井埋め込み形など開口工事が必要な機種や、重量のある室外機が多く、搬入や施工には高度な技術と専門資格が求められます。そのため、工事費は一律ではなく、作業内容や設置条件によって大きく変動します。
ルームエアコンは壁掛け型が主流で工事も比較的簡単なため、業務用ほど費用は掛かりません。
ただし、広い施設では家庭用を複数台設置するよりも、業務用エアコンを導入した方が効率的で結果的にコストパフォーマンスが良くなる場合もあります。
業務用エアコンの設置費用が追加で高くなるケース

業務用エアコンの設置費用は一律ではなく、条件によって追加料金が発生します。室内外の距離や設置場所、電源の有無、既存機器の撤去など、現場ごとの要因が工事価格を左右します。これらの点を踏まえ、具体的な費用について詳しく解説します。
室内機と室外機の距離が離れている
業務用エアコンは、室内機と室外機を配管でつないで設置するため、両者の距離が長くなるほど工事費が高くなります。配管の延長に伴って材料費や施工費、さらに冷媒の充填量も増えるため、基本工事費内に収まらない場合は追加料金が発生することがあります。
例えば天井埋め込み型の場合、標準で8mまでが基本料金に含まれ、それを超えると1mごとに延長費用が加算されるケースが一般的。設置環境が複雑なオフィスや店舗では、事前に配管距離を確認しておくことが重要です。
屋上や壁に室外機を設置する
業務用エアコンの室外機は、家庭用に比べてサイズも重量も大きく、高所に設置する場合には追加費用が発生します。屋上や壁面への取り付けでは、クレーン作業や人力での荷上げが必要になることが多く、工事が大掛かりになるためです。
さらに、道路を使用して作業を行う場合には「道路使用許可」が必要となり、その申請や準備にかかるコストも加わります。
対応電源がなく新たに電気工事をする
業務用エアコンは出力が大きいため、主に三相200Vの電源を使用します。設置場所に対応する電源がない場合や、建物の電力容量が不足している場合には、新たに電気工事が必要となり、追加費用が発生します。電気工事の費用はおおむね1万円程度からかかることが多く、内容によってはさらに高額になるケースもあります。
また、容量不足のままでは電気代が上がる可能性もあるため、必要に応じて契約プランの見直しを検討することが大切です。
既存製品の撤去と廃棄費用が必要
既存の業務用エアコンを入れ替える際には、本体の撤去や廃棄に追加費用が発生します。さらに、冷媒配管の洗浄やガスの適切な処理も必要となるため、作業内容や機種、台数によって費用は大きく変動します。
壁掛けタイプであれば数万円程度で済むことが多い一方、天井埋め込み型やマルチタイプの場合は、20万円前後かかるケースもあります。
業務用エアコンを効率的に使用するならエナジーセーバーの導入を

業務用エアコンの効率を最大限に高めるには、「エナジーセーバー」の導入が効果的です。既存の空調機に後付けできるため、買い替えの必要がなく初期投資を抑えられます。AI制御によって冷暖房の無駄を減らし、過剰運転やコンプレッサーの稼働を最適化。室内の温度ムラを軽減し、快適性を保ちながら省エネを実現します。
幅広いメーカーや機種に対応しており、現場の状況に合わせた導入が可能です。電力使用量を大幅に削減した実績も多く、光熱費の削減によって短期間で投資回収が期待できます。
業務用エアコンの価格と設置費用の目安を理解して導入しよう

業務用エアコンの価格はタイプや馬力、省エネ性能によって幅があります。設置条件次第で工事費が増えることもあるため、総額を見据えて計画することが大切です。導入後の光熱費を含めたランニングコストを考慮すれば、効率的で経済的な空調環境を整えられます。長期的な視点でコストを把握し、快適な空調環境を実現しましょう。
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