近年教育のデジタル化が進み、ICT機器を導入する学校が増えています。ICT教育に取り入れることで、授業がよりわかりやすくなったり、準備がスムーズになったりといったメリットがあります。この記事では教育のデジタル化についての概要や背景、メリットを解説します。導入事例も併せて紹介しているので、検討している学校や担当者はぜひ参考にしてください。
教育のデジタル化(教育DX)とは?

教育のデジタル化(教育DX)とは?
最初に教育のデジタル化とは何かをみていきましょう。似た言葉である「IOT」や「IT」との違いも紹介します。
デジタル技術を活用した教育手段
教育のデジタル化(教育DX)とは、教育現場でデジタル技術を活用し、教育方法や手段、教職員の業務を含む教育モデルを変革する取り組みのことを指します。
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、デジタル技術を用いて社会や生活スタイルを変化させることです。
従来の教科書や黒板を使用した授業に加え、電子黒板やPC、タブレットといったデジタル機器を活用する教育スタイルが進んでいます。政府の方針により、教育現場においてもICT(情報通信技術)の導入が進められ、社会とともに教育もデジタル化が推進されています。
ICTについて詳しくは以下の記事を参照してください。

IOTとの違い
IOTとは「Internet of Things」の略で、直訳すると「”もの”のインターネット」のことです。あらゆるモノがインターネットとつながることで、従来の課題を解決したり、より便利な使い方ができたりすることが期待されています。
IOTがデジタル技術の一種であるのに対し、教育のデジタル化はIOTをはじめとしたデジタル技術を活用して教育の質や効率を向上させることが目的です。
ITとの違い
ITとは「Information Technology」の略で、情報技術そのものを示します。教育のデジタル化が「教育の在り方をデジタルで変革する」ことを目的とするのに対し、ITは情報管理や業務効率を高めるための技術そのもののことで、目的は教育の変革に特化していません。
教育のデジタル化(教育DX)が求められている背景

近年は、教育現場でもDXの推進が求められています。その背景には文部科学省による推進のほか、教育ニーズの変化やデジタルネイティブ世代への対応などが関係しています。
近年は、教育現場でデジタル化の推進が求められています。その背景を読み解いていきましょう。
文部科学省による推進
文部科学省は、2020年に「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」を打ち出しました。
デジタル化推進プランは3つの柱で構成されており、このうちの一つ「教育におけるデジタル化推進」では、学校教育を充実させるためのさまざまな取り組みが提示されています。具体的には、GIGAスクール構想による一人一台の端末の活用や教育データの利活用による個人の学びなどです。
GIGAとは「Global and Innovation Gateway for All」の略称で「すべての児童生徒のための世界へつながる革新的な入口」という意味です。
デジタル化推進プランには、教育を受ける側の生徒だけではなく、教師の指導や支援も含まれています。
※参考:文部科学省「文部科学省におけるデジタル化推進プラン」
リモート教育に対するニーズの高まり
2020年頃からの新型コロナウイルス感染症拡大により、学校をはじめとする教育期間が休校となり、リモート授業へのニーズが高まりました。2023年5月からは新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行しましたが、今後も同様の状況に陥るリスクはゼロではありません。教育現場も突発的な事態に備えることが重要です。
また、リモート教育は、都市部と地方の教育格差を解消する際にも役立ちます。複数の学校をつないだ合同授業や外部人材の活用も行いやすく、学習の幅を広げることができるでしょう。
世代に合わせた教育への対応
現在教育を受けているのは、1990年代から2000年代に生まれた「デジタルネイティブ世代」と呼ばれる世代です。この世代は幼少期からデジタルツールを扱い、PCやスマートフォンなどの使用に慣れています。
教育のデジタル化により、従来の一斉指導だけではなく自分のペースで学ぶ自立学習が可能になり、生徒の主体性を育むことが期待できます。また単にデジタルツールを使いこなすのではなく、実際に社会で活用できるスキルが求められています。教育現場でのデジタル化が、子どもたちのスキルアップに不可欠です。
教育のデジタル化(教育DX)を推進導入するメリット

教育のデジタル化の導入は、教育を受ける生徒側と教育を提供する側の教職員の双方にメリットがある取り組みです。ここからは、教育のデジタル化導入のメリットを紹介します。
生徒一人一人の学習状況を把握できる
教育のデジタル化を導入すると、すべての生徒の学習データをすばやく分析できます。デジタル技術で分析できる内容は、学習の進捗状況をはじめ、得意な分野や苦手な分野などさまざまです。学習データを容易に収集し、分析できる環境を構築できれば、生徒一人一人の学習状況をすばやく把握できます。その結果、個々に適した教育の提供につながり、学習の理解度や習熟度を高められるでしょう。
教職員の業務負担を軽減できる
教育のデジタル化をすることは、教職員の業務負担軽減につながります。教職員の業務は授業だけではなく、テストの採点や成績評価など多岐にわたります。近年は、教職員の長時間労働や過重労働が問題視されているのが現状です。
教育のデジタル化を導入して一部の業務を自動化すると、教職員の業務負担を軽減できるため、働き方改革の一環にもなるでしょう。
生徒に平等な学習機会を提供できる
教育のデジタル化の導入は、生徒に平等な学習機会を提供できる環境を構築できます。教育基本法第四条では「すべての国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならない」と定められています。
しかし、感染症の拡大や大規模災害などの突発的な事態により、学校への登校が難しくなることも。また、体調不良による欠席で、授業内容についていけない生徒が出てくるかもしれません。教育のデジタル化により、リモート学習に対応でき、生徒は場所を問わず授業を受けられます。
※出典元:e-GOV法令検索「教育基本法」
教育のデジタル化(教育DX)を推進する際の課題

デジタル化を推進するには、教育機関、教員、生徒など、多くの関係者の理解と協力が必要です。現状の課題をみていきましょう。
インフラ整備に時間やコストがかかる
教育のデジタル化を推進する際は、次のようなインフラ整備が必要になり、時間やコストがかかります。
- すべての生徒や教職員にデジタル機器を配布する
- インターネット環境を構築する
- セキュリティ対策を強化する など
また、リモート学習を実施する場合は、各家庭におけるインフラ整備も必要です。
セキュリティの対策が必要になる
インターネットを利用するには、セキュリティ対策が不可欠です。セキュリティが脆弱だと、不正アクセスやマルウェアといったサイバー攻撃を受けるリスクが高まり、生徒や保護者、教職員などの個人情報が外部に流出する可能性があります。また、生徒や教職員がデジタル機器を紛失することで情報漏洩につながるケースも。
教師と生徒が使用するネットワークを分ける、個々の端末にセキュリティ対策ソフトを導入する、多要素認証を取り入れるなどの対策が有効です。さらにデジタル機器の紛失に備え、リモートで端末をロックできるシステムの導入もおすすめです。
教職員にITリテラシーの向上が求められる
教育のデジタル化を推進する際は、教職員のITリテラシーの向上が必要です。ITリテラシーとは、膨大な情報の中から正しいものを読み解き、活用できるスキルのこと。
特に年齢が高い教職員は、デジタルネイティブ世代ほどデジタル機器に慣れていないかもしれません。教職員には研修やセミナーを実施し、ITリテラシーを高める取り組みが必要です。外部から講師を招いたり、自治体が実施する教職員向けのオンライン勉強会を利用したりするのもよいでしょう。
教育のデジタル化(教育DX)の導入事例
続いては教育のデジタル化(教育DX)の具体的な取り組み例として、教育機関におけるアイリスオーヤマ製品の導入事例を紹介します。
和歌山市立芦原小学校
和歌山県和歌山市では、教育機関53カ所に電子黒板601台を導入。和歌山市立芦原小学校では、教室内の黒板と併用して活用しています。
「生徒がどのように考えたかを伝える際、リアルタイムに共有できる」「黒板に書くと見づらい図形や表なども、スタンプのように簡単に書けて便利」と好評をいただいています。

函館白百合学園高等学校
前身である聖保禄女学校は1886年創設と歴史ある中高一貫の女子校で、学校法人白百合学園が運営しています。同校では電子黒板を設置し、教育のデジタル化を推進しています。

学校法人朴沢学園 仙台大学附属明成高等学校
2019年に創立140周年を迎えた仙台大学附属明成高等学校では、新校舎の建設に合わせて「AIインタラクティブホワイトボード」を合計8台導入しました。導入の決め手は、授業に関するデータをPCに保存すれば板書不要で、教員たちの手間が格段に減ること。最新機器を使える環境により、生徒にも積極的に授業に参加してもらえると期待しています。

教育のデジタル化(教育DX)推進に役立つアイリスオーヤマの電子黒板
ここからは、教育のデジタル化として、アイリスオーヤマ「教育施設向け電子黒板」をご紹介します。アイリスオーヤマの電子黒板はシンプルで分かりやすく誰でも直感的に操作できるのが特徴です。
教職員のデジタル機器から資料を投影できて板書の時間を削減できるため、生徒のグループワークやディスカッションの時間を増やせます。
Googleアプリを利用できる
Googleモバイルサービスを標準搭載※し、電子黒板上でGoogle Chromeブラウザやカレンダーなどの各種アプリの利用が可能に。学習管理アプリや文書作成アプリを活用し、より授業の質を高めるのに役立ちます。
※Googleからライセンスを得ることで、Googleが提供する各種アプリやサービスをAndroid OS搭載端末で利用可能になるサービスです。
シンプルな操作性
まるで大きなタブレットのような操作性で、電子黒板上のアイコンを見て直感的に基本操作ができます。カメラとマイク内蔵により、アプリを開けばすぐにリモート授業も始められます。
多彩な機能
電子黒板の画面には、手書きで直接書き込むことが可能。教職員は、生徒に話しながらポイントの強調や追加説明、マーキングができます。手書きで書いた内容をGoogle検索でき、画面を分割して表示する機能も搭載しています。
この他、画面を2~4分割して複数人が同時に書き込める「同時書き込み」や、画面の拡大・縮小やスクリーンショット機能、タイマー機能、クリーンアップ機能など、多彩な機能を搭載。画面には特殊コーティングガラスを採用しており、耐久性にも優れています。
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