デマンドレスポンスとは、電力の供給がひっ迫した際に需要を調整することで、効率的かつ安定した電力利用を目指す仕組みです。本記事では、デマンドレスポンスとは何か、その意味や種類、メリット・デメリットに加え、似た言葉であるデマンドコントロールとの違いについても解説します。

デマンドレスポンスとは
デマンドレスポンスとは電力消費を管理する手法です。最初にデマンドレスポンスとは何か、仕組みや電力制御のパターンについて説明します。
電力の需要と供給のバランスを調整する仕組み
デマンドレスポンス(ディマンド・リスポンス)とは、電力の需要量(消費量)と供給量(発電量)のバランスを調整するための仕組みです。日本語では「需要応答」といい、略して「DR」と表記されます。需要家(消費者)が電力の供給状況に応じて電気使用量を制御し、電力需要パターンを変化させるのが目的です。
例えば、電力供給量が少なくなるタイミングで、照明や空調その他の設備を調節する(節電)や、電力需要の少ない夜間に電気を貯め、昼間に余った電気を使用する(ピークシフト)などがあります。
電力制御のパターン
デマンドレスポンスは電力需要の制御パターンにより、下げDRと上げDRの2つに区分されます。
需要制御のパターン | 特徴 |
---|---|
下げDR | 電力供給量が少ない場合に電力需要量を減らす 需要のピーク時に照明や空調など需要機器の使用を抑える |
上げDR | 電力供給量が多い場合に電力需要量を増やす 再生可能エネルギーの供給が過剰になった場合などに、電化製品を使用したり蓄電池や電気自動車を充電したりして需要と供給のバランスをとる |
デマンドレスポンスとデマンドコントロールとの違い
デマンドレスポンスと似た言葉にデマンドコントロールが挙げられます。デマンドコントロールとは何かを確認し、2つの違いをみていきましょう。
デマンドコントロールとは?
デマンドコントロールとは、電力の需要量を管理し、ピーク時の需要電力を抑える仕組みのことです。主に工場やビルなどで使われ、最大需要電力(デマンド値)を超えないように設備や機器の稼働を調整します。
一般的に電気料金の基本料金は最大デマンド値を用いて算出されますが、デマンドコントロールすることで電気料金の基本料金を抑えたり、契約容量を効率的に活用したりが可能です。
11月記事「デマンドコントローラー」
役割や目的の違い
デマンドレスポンスもデマンドコントロールもどちらも電力需要を管理する手法ですが、目的や役割が異なります。
デマンドレスポンスは電力供給者からの要請に応じて需要家が電力使用量を調整することで、電力需給のバランスを保ち、供給側の負担を軽減します。一方、デマンドコントロールは、企業や施設といった需要家が自主的に自社設備の電力需要量を調整することで、主に電力料金の削減が目的です。
デマンドレスポンスの種類
デマンドレスポンスは電力需要を制御する仕組みにより、電気料金型デマンドレスポンスとインセンティブ型デマンドレスポンスの2つに分けられます。それぞれの特徴を説明します。
電気料金型デマンドレスポンス
電気料金型デマンドレスポンスとは、電力需要が最も高くなる時間帯の電気料金を引き上げることで、電力消費を間接的に抑制する仕組みのこと。電力会社にとって比較的簡単に実施でき、大多数に適用できる点がメリットです。ただし需要家の反応によるので、実際に電力需要の抑制につながるか確実ではありません。
インセンティブ型デマンドレスポンス
インセンティブ型デマンドレスポンスとは、電力需要の抑制量に応じてインセンティブ(報酬)を設定することで需要を抑制する仕組みのこと。「ネガワット取引」とも呼ばれます。
事前に電力会社と契約した需要家が、要請に応じて電力需要の抑制を行うと、抑制量に応じた料金の支払いや電気料金の値引きといったインセンティブを受けとれます。
デマンドレスポンスのメリット
続いてデマンドレスポンスのメリットについて、みていきましょう。主なメリットに地球温暖化対策につながる、電気料金を削減できる、電力使用を効率化できるという3点があります。
電気料金を削減できる
デマンドレスポンスの大きなメリットは、電気料金の削減につなげられることです。デマンドレスポンスによりピーク時の電力使用を抑えられるため、電力会社からインセンティブ(報酬)を受け取れます。また最大需要電力(デマンド値)を下げることで基本料金が削減され、全体的な電気料金を抑える効果が期待できます。
地球温暖化対策につながる
デマンドレスポンスにより電力需要を調整し、地球温暖化対策につなげられます。電力需要を削減すれば発電所の稼働を抑え、特に石炭や天然ガスといった化石燃料を使用する火力発電の依存を減らせます。それにより、二酸化炭素(CO2)の排出量を削減でき、地球温暖化対策に貢献可能です。
さらに再生可能エネルギー由来の電力を効果的に使用可能になり、環境負荷を軽減できるので、持続可能な社会の実現に向けて貢献できます。
電力使用を効率化できる
デマンドレスポンスにより、電力の使用を効率化できます。無駄な電力を消費している機器や設備の有無を確認することで自社の電力使用状況を見直すきっかけになり、効率化につながるでしょう。
デマンドレスポンスのデメリット
デマンドレスポンスには多くのメリットがある一方で電気使用量の把握が必要である、条件に縛られるといったデメリットもあります。
電気使用量を把握する必要がある
デマンドレスポンスに参加するにあたって、自社の電気使用量を把握しなければなりません。効率的に節電するには、消費電力が大きなものから実施することが大切です。細かく電力需要を調節するには、各設備や機器ごとに電気使用量を把握する必要があります。電気使用量を可視化する仕組みがない場合は、困難が伴うでしょう。
条件に縛られる
電力会社が行うデマンドレスポンスに参加する際、消費電力量を減らすなどの条件が課される場合があります。
夏季や冬季の電力需給がひっ迫しやすい時期には、条件の達成が困難なことも。また電力使用量が増える日中や夕方といった時間帯の電力需要を避けなければならず、従来とは違う行動が必要になる場合もあります。
自社の電力使用量を把握し、無理のない範囲でデマンドレスポンスに取り組んでください。
アイリスオーヤマの空調管理システム「エナジーセーバー」
省エネには自主的なデマンドコントロールが大切です。ここでは、消費電力のうち大きな割合を占める空調機のコントロールに効果的な、アイリスオーヤマの空調管理システム「エナジーセーバー」について詳しく紹介します。
既存の空調機に取り付け可能
エナジーセーバーは既存の空調機に取り付けて省エネを実現可能です。一般に空調機の入れ替え作業は大規模な工事が必要ですが、エナジーセーバーなら空調機の吸気口と給気口の2ヵ所に高性能な温度センサーを取り付け、本体を空調機の横に設置するだけで完了です。
空調機メーカー各社に対応していますので、メーカーを問わずに取り付け可能。導入費用を抑えられるのも魅力です。自治体によっては、省エネルギー設備等導入支援事業補助金など補助金や助成金の対象ですのでチェックしてみてください。
AIが空調機の運転を最適化
AIが空調の運転を最適化します。空調の吸気口と給気口に取り付けた2つの温度センサーで室温を保ちながら、AIが温度の上下変動を最適化。温度ムラをなくしてコンプレッサーの無駄な稼動を防げます。空調機に負担をかけず、快適な空間を保ったまま消費電力の無駄を削減し、最大40%の節電効果※を実現します。
※アイリスオーヤマ調べ
導入までの流れ
エナジーセーバー導入の流れは以下の通りです。
- 資料請求・お問い合わせ
- 削減効果のご案内(状況をヒアリングし、導入でどれくらいの削減効果が見込めるのか試算の上、最適な設置案をご提案します)
- 設置・工程確認の打ち合わせ
- 設置工事・初期設定(導入施設にて設置工事を行い、初期設定後、お引き渡しです)
多彩な利用プラン
利用については、一括購入・リース・「あんしん空調省エネパック」を用意しています。
「あんしん空調省エネパック」は年1回の定期・空調点検や毎年夏冬1回ずつの運用設定・サポートを受けられます。保証期間や無料訪問サポートは、利用期間の7年間ずっと継続。手厚いサポートを希望するなら「あんしん空調省エネパック」がおすすめです。
<エナジーセーバーの詳細はこちら>
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/air/products/energy-saver/
その他、アイリスオーヤマでは電力エネルギー利用を最適化するEMSソリューション・ENEVERSE(エネバース)を提供しています。
ENEVRERSEの電力モニタリングサービスでは使用電力を設備単位で見える化して、電力値の動向を通知して、積極的な省エネを促します。
<ENEVERSEの詳細はこちら>

<電力モニタリングサービスの詳細はこちら>

デマンドレスポンスで効率的な電力需要を目指そう

デマンドレスポンスは、電力需要のバランスを調整するための重要な仕組みです。ピーク時の電力使用を抑えることで電気料金の削減や地球温暖化対策などが叶います。自主的に電力需要をコントロールするデマンドコントロールを組み合わせれば、より大きな効果を得られるでしょう。電力の効率的な利用を進めながら、持続可能な社会の実現に向けて一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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