エアコンの節電は、電気代の削減に直結します。特に業務用エアコンは家庭用に比べて電力消費が大きく、節電が重要な課題です。設定温度や定期的なメンテナンスを見直すことで、無駄な電力消費を減らし、電気代の削減につながります。日々の管理で効率的な運用を目指しましょう。エアコンの節電効果や方法、注意点を紹介します。

エアコンの電気代

エアコンを多く使う時期は電気代の請求書を見て驚くことも。以下の計算式を参考にどれくらいの電気代がかかっているかの目安を計算し、夏場と冬場におけるエアコンの電気代の違いなども把握しましょう。
電気代の計算式
エアコンにかかる電気代は、部屋の広さや形状といった使用環境、室内外の気温など使用状況、電力会社の契約内容によって変わります。
<エアコンの電気代を求める計算式>
消費電力(kW)× 使用時間(h)× 電力量料金(円/kWh)= 電気代(円)
※家庭用エアコンも業務用エアコンも計算式は同じ
消費電力はエアコンの機種によっても、また冷房時と暖房時でも異なります。エアコンのカタログを見れば該当機種の消費電力を調べられるので、参考にしてみてください。
夏場にエアコンの需要が高まる時間帯
昨今の気温上昇により、特に夏場のエアコン使用時間が増えていることを気にしている人も多いのではないでしょうか。一般的には夏の電力需要が高まるのは13時~17時とされています。また電力需給は太陽光発電の出力が減少する17時~22時頃に厳しくなる傾向に。夕方以降は特に省エネ・節電の取り組みが重要です。
オフィスや店舗の場合は以下を参考にしてください。
区分 | 電力消費が高い時間帯 | 消費電力の内訳 |
オフィスビル | 9時から19時 |
空調48.6%・照明23% |
卸・小売店舗 | 9時から21時 |
空調26.2%・照明21.8% |
オフィスビルと店舗のいずれも、最も多くの電力を消費するのが空調です。そのことからも、エアコンの節電の取り組みが重要だといえます。
冷房・暖房での電気代の違い
冷房・暖房・除湿といったエアコンの運転モードには、それぞれ異なる特徴があります。
まず、運転モードごとに消費電力は異なります。特にエアコンの消費電力が大きくなるのは、設定温度と実際の室温に差があるときです。一般的に、冷房よりも暖房のほうが電気代は高くなる傾向にあります。冬場の暖房運転では、設定温度と室温の差が大きくなりやすく、エアコンは設定温度に達するまで高出力で運転を続けるため、電気代がかさみやすくなります。
除湿モードには「弱冷房除湿」と「再熱除湿」という2つの方式があり、それぞれで消費電力や電気代に違いが出ます。最も電気代が安く抑えられるのは、室外機や熱交換器がほとんど作動しない送風モードです。
エアコンの節電方法
節電効果が最も高いのは省エネ性能に優れたエアコンへの買い替えですが、その他にも設定温度や運転モード、使い方の工夫によって節電効果が得られます。ぜひ実践してみましょう。
空調設定温度と風向きの見直しを行う
エアコンを効率良く使うためには、設定温度や風向きに工夫が必要です。
冷房時には設定温度を高めに、暖房時には低めに設定するのがポイントです。環境省では、夏は室温28℃、冬は20℃を目安にすることを推奨しています。機種や使用環境にもよりますが、エアコンの設定温度を1℃調整するだけで、冷房時には約13%、暖房時には約10%の消費電力を削減できるとされています。
特に電気室やサーバー室では、機器保護のために低めの温度設定になりがちですが、必要以上に冷やしすぎると無駄な電力消費につながります。各機器の許容温度範囲を確認し、設定温度を適正に見直しましょう。適正温度の維持により、設備の寿命延伸や保守費用の抑制にもつながります。
また、エアコンの風向きも冷暖房効率に大きな影響を与えます。冷房時は風を水平に近い角度に、暖房時は下向きに設定することで、冷気や暖気が部屋全体に効率良く循環し、より効果的に室温をコントロールすることが可能です。
空調機の節電機能を活用する
業務用エアコンには、ピーク時の電力使用を抑えるピークデマンドカット機能や、外気温や室内環境に応じて自動調整する省エネモードなど、さまざまな節電機能が搭載されています。これらを有効に活用することで、快適性を保ちながら無駄な電力使用を抑えることができます。設定の最適化や定期的な確認により、より高い節電効果が得られます。
ガス吸収式冷温水機の空気比を適正化する
ガス吸収式冷温水機では、燃焼に使う空気の量(空気比)が多すぎると、排ガスからの熱が無駄になり、熱効率が低下します。逆に空気が不足すると不完全燃焼の原因となります。したがって、適正な空気比を維持することが放熱ロスの防止につながり、省エネ効果を高めます。定期的な燃焼調整や点検によって、効率の良い運転状態を維持することが重要です。
サーキュレーターを併用する
冷房使用時には、冷気が床付近にたまりやすくなります。サーキュレーターを天井に向けて稼働させれば、空気を効率良く循環させられます。さらに、エアコンから出た風が落ちてくる位置に、エアコンと向かい合わせる形でサーキュレーターを設置すれば、空気の循環スピードがより一層アップ。
室温のムラがなくなれば、エアコンの設定温度を必要以上に下げずにすむため、結果として消費電力の削減にもつながります。
日々のメンテナンスを行う
エアコンを効率的に使うには、日々のメンテナンスが欠かせません。まず、目詰まりしたフィルターを清掃することが大切です。節電効果を考えるなら、最低でも2週間に一度はフィルターを掃除することをおすすめします。また、室外機の背面や側面にあるアルミフィンの汚れも忘れずに掃除しましょう。
室外機に直射日光が当たるのを防ぐ
冷房使用時、室外機が熱を持っていると効率的に放熱できず、冷房効率が低下するおそれがあります。そのため室外機は日陰に設置するか、日除けを使って直射日光を防ぐことが重要です。また室外機周辺に塀や植木などの障害物があると、風の流れが悪くなって冷房効率が落ちてしまいます。
周囲に障害物がない場所に室外機を設置することが、エアコンの効率を高め、結果的に節電にもつながります。
省エネ性能が高いエアコンを選ぶ
10年近く使用している場合は、新しいエアコンへの買い替えを検討するのが賢明です。近年、エアコンの省エネ性能は年々向上しているので、買い替えることで電気代を抑えられます。
業務用エアコンの場合、初期費用は高くなるものの、従来製品に比べて消費電力が低く、長期的に見ればコストダウンにつながります。初期投資を上回る節電効果を期待できるため、長期的にはお得といえるでしょう。
エアコンはつけっぱなしにしたほうが節電になるのか?
「エアコンをつけっぱなしにしたほうが電気代を節約できる」と聞いたことがある人も多いかもしれません。しかし実際にそれがお得かどうかは、使用状況によります。エアコンは起動時に最も電力を消費します。そのため24時間営業の店舗などでは、エアコンをつけっぱなしにしたほうが効率的な場合があります。一方で、30分以上無人になる場合は、その都度エアコンをオフにするほうが節約につながります。
店舗や工場、オフィスでは、営業時間終了後にエアコンを切り、翌日の営業開始時に再稼働させるのが望ましい方法です。
エアコンの節電効果
節電の効果は目に見えにくいものですが、地道な取り組みが大切です。取り組みごとの節電効果の目安を紹介します。
業務用エアコンの節電効果
無理のない範囲で室内温度を調節した場合、建物に対する全体節電効果はオフィスで4.1%、店舗で2.4%が望めます。
またオフィスの場合は以下の対策も有効です。
- ブラインド、カーテン、遮熱フィルム、ひさし、すだれを活用して日中の日射を遮る→3.7%の節電効果
- 冷凍機の冷水出口温度を高めに設定し、ターボ冷凍機、ヒートポンプ等の動力を削減する。(セントラル空調の場合) →2.4%の節電効果
家庭用エアコンの節電効果
無理のない範囲で室内温度を調節した場合、家庭用エアコンでは5.4%の節電効果が見込めます。目詰まりしたフィルターを清掃すれば 1.9 %の節電効果がプラスされるので、これだけでも7.3%の節電を実現できるでしょう。
エアコンを節電したいときの注意点
エアコンの節電をする際、間違った使い方をすると消費電力が多くなり、逆効果になることがあります。以下の注意点をふまえて、適切な使い方を実践しましょう。
「弱」で使い続けない
エアコンの消費電力を抑えたいからと、ずっと風量を「弱風」に設定するのはNGです。節電方法でも解説したとおり、弱風のままだと結果的に余計な電力を消費してしまいます。エアコンの風量設定は「自動」がおすすめです。
「除湿モード」で使い続けない
冷房より除湿のほうが節電できるというイメージがあるかもしれませんが、除湿の種類によっては冷房よりも電気代がかかることがあります。除湿には空気を冷やしながら除湿を行う「弱冷房除湿」と除湿するために冷やした温度を暖め直してから戻す「再熱除湿」の2種類があります。後者は空気を暖めるときにエネルギーを使うので、冷房よりも消費電力が多くなってしまうのです。
こまめにつけたり消したりしない
こまめに電源を消すのは節電の基本アクションですが、エアコンの場合は逆効果になることがあります。エアコンが最も多くの電力を消費するのは、運転開始直後です。頻繁にスイッチをつけたり消したりすると、再度運転を開始したときに多くの電力を消費することになってしまいます。
効果的に節電するには、エナジーセーバーがおすすめ
オフィスや店舗、工場における省エネ対策において、空調設備の改善は重要な要素です。特に規模が大きくなるほど、空調設備の消費エネルギー量も増加するため、省エネ対策に取り組む工場では、空調設備の見直しや改善が積極的に進められています。
そこでおすすめしたいのが「エナジーセーバー」です。既存のパッケージエアコンにそのまま設置できる空調管理システムで、設定温度と室温の温度ムラを少なくし、消費電力の無駄を減らします。また、コンプレッサーの無駄な稼働を感知して減らすことで、コンプレッサーの消費電力削減にもつながります。
エナジーセーバーでは設定温度自体は変更しないので、暑さや寒さを我慢することなく、快適に省エネを実現できる点が特長です。実際にエナジーセーバーを導入した工場では、夏季の消費電力を約30%前後削減できたという事例もあります。
<エナジーセーバーの詳細はこちら>

エアコンの節電ポイントを押さえて効率良く電気を使おう
エアコンの電気代は、使い方や環境によって大きく変わります。特に夏場・冬場の違いや、設定温度・風向きの工夫で節電効果が期待できます。自動運転の活用やサーキュレーターとの併用、定期的なメンテナンスなど、日々の工夫が電気代の節約につながります。無理なく続けられる方法を取り入れ、快適な室温を保ちつつ、効率的に電気を使いましょう。
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