業務用ロボット掃除機の寿命は?長く使うためのメンテナンスと導入のポイント

更新日:2025年08月12日
店内を走行する業務用ロボット掃除機
コラム

室内に置かれたロボット掃除機

業務用ロボット掃除機の寿命は使用状況などで変わるものの、バッテリーが平均2〜3年、本体は5~6年です。業務用ロボット掃除機は人手不足の解消や業務効率化などを目的に導入が進んでいますが、長く使うためには、正しい知識と適切な運用が欠かせません。業務用ロボット掃除機を長く使うためのポイントや市場動向、導入時の注意点を紹介します。

業務用ロボット掃除機の寿命はどれぐらい?

ロボット掃除機の内部に絡まった髪の毛

業務用ロボット掃除機がどれくらいの期間使えるかは、機種や使用頻度、使用環境などによって変わってきます。目安となる耐用期間や、寿命が近づいてくると見られるサインについて解説します。

本体の耐用年数は5~6年

業務用ロボット掃除機の耐用年数は、本体とバッテリーで異なります。掃除機本体は5~6年、バッテリーの耐用年数は平均2~3年とされています。稼働量が多いと、バッテリーの消耗はさらに早まります。バッテリーの寿命は本体の性能にも影響を与えるため、定期的な交換が必要です。

業務用ロボット掃除機の寿命が近づくサイン

耐用年数はあくまで目安であり、使用状況によってはそれより早くバッテリーが消耗することも考えられます。次のようなサインが出れば、バッテリー交換が必要だといえます。

 

<業務用ロボット掃除機の寿命が近づいているサイン>

  • バッテリーの持ちが悪くなってきた
  • 電源が入らない、稼働中に停止してしまう
  • 吸引量が落ちてきた
  • 使用中に本体が発熱する、焦げ臭いにおいがする

 

頻繁に動かなくなるなど、使用に支障をきたすようになる前にバッテリーを交換しましょう。特に発熱した場合は火災のリスクがあるため、ただちに使用を中止してください。

業務用ロボット掃除機の寿命に悪影響を与える要素

工場内の風景

業務用ロボット掃除機は、日々の清掃業務の効率を大幅に向上してくれます。しかし使い方や環境によっては、本来の寿命よりも早く故障や性能低下が発生してしまうことがあります。以下では、ロボット掃除機の寿命に悪影響を与える代表的な要因について、注意すべきポイントを整理します。

負荷の高い使用環境

ロボット掃除機は精密な電子機器です。温度や湿度が高い場所、さらに直射日光が当たるような場所での稼働や保管は、内部回路やセンサー、バッテリーに負担をかけ、寿命を縮める原因に。また厨房や工場内といった温度変化が激しく粉塵の多い場所では、冷却効率が落ちたり、ホコリが通気口やセンサーに詰まり、故障の原因となったりすることがあります。使用環境には十分注意が必要です。

メンテナンスの不足

定期的なメンテナンスは、ロボット掃除機を長く使うために欠かせません。フィルターやブラシに溜まったゴミや髪の毛をそのままにしておくと、吸引力が低下し、モーターに余計な負荷がかかってしまいます。また、センサーが汚れていると誤作動を引き起こす可能性もあります。マニュアルに記載されている清掃頻度を目安に、定期的な点検やメンテナンスを行いましょう。

バッテリーの劣化

ロボット掃除機はバッテリーで稼働していますが、充放電の管理を誤るとバッテリーは早く劣化してしまいます。バッテリーが完全に空になるまで放置する「過放電」や長時間充電しっぱなしにする「過充電」は、バッテリーに大きな負担をかけるものです。極端に暑い・寒い場所で保管することも避ける必要があります。メーカーの推奨する充電方法を守り、定期的にバッテリーの状態を確認することで、長く安定した稼働を保てるでしょう。

業務用ロボット掃除機の寿命を伸ばすメンテナンス方法

ロボット掃除機のブラシを掃除する人

業務用ロボット掃除機を長持ちさせるには、使い方や日々のメンテナンスが重要です。汚れが蓄積した状態で使い続けると吸引力が落ちたり、バッテリーに負荷がかかったりしてしまいます。なるべく長持ちさせるため、以下のメンテナンスを実践しましょう。

①ブラシやフィルターなどを定期的に清掃する

ロボット掃除機の本体やセンサー、ブラシ、フィルターなどを定期的に洗浄します。ダストボックスの中のゴミはこまめに捨てましょう。自動ゴミ捨て機能が搭載されていても、細かなチリやホコリが残ることがあり、やはり定期的な掃除が必要です。

 

ブラシは糸くずや髪の毛などが絡みやすいため、なるべく毎回取り除きます。絡みついてしまった場合はハサミで切り、ピンセットなどで取り除いてください。また、フィルターが汚れていると吸引力が低下します。水洗いできるパーツは取り外して洗い、乾かします。作業の際は、必ず取扱説明書を確認しましょう。

②正しく充電する

バッテリーが満充電の状態でさらに充電を続ける過充電は、バッテリーの寿命を縮めます。さらにリチウムイオンバッテリーなどは発熱や膨張、劣化の原因になってしまいます。最近の機種は過充電防止の機能がついていますが、古いモデルはリスクがあります。充電ステーションに長時間放置するのも避けたほうが良いでしょう。

 

バッテリーを限界まで使い切る過放電も良くありません。充電をギリギリまで使い切ると、バッテリーの寿命を縮めてしまうため注意が必要です。

③直射日光が当たらない涼しい場所で保管する

充電ステーションを置く場所や、稼働する環境もバッテリーの寿命に影響します。直射日光が当たる場所や、工場内などの温度変化が大きな場所、高温多湿の環境で保管するとバッテリーの劣化が早まります。ロボット掃除機は、直射日光が当たらない涼しい場所で保管しましょう。

④ルート上の障害物を減らす

走行ルート上の障害物を減らす工夫も必要です。ケーブルや小物などの障害物があるとロボット掃除機が絡まり、衝突の原因につながります。できる限りケーブルや段差を減らす工夫をして、スムーズな走行ルートを確保しましょう。

⑤定期点検を欠かさない

自分たちで行える日々のメンテナンスに加え、定期的にメーカーの点検を受けることも大切です。不具合を早く解消することで、持ちが良くなります。また導入時には、メーカーや販売店のサポートを受けることをおすすめします。操作担当者へ使い方や運用方法のレクチャー、適切な運用計画のサポートなどをしてもらえると、スムーズな運用につなげられるでしょう。

業務用ロボット掃除機の市場動向

市場拡大のイメージ

業務用ロボット掃除機の市場規模は年々拡大を見せ、今後も成長が見込まれています。具体的な市場規模や、市場拡大の背景について紹介します。

市場規模

現在、ロボット掃除機の国内市場は約150億円規模にまで成長しています。2030年には稼働台数が2万5,000台に達し、2023年と比べて約5.3倍に増加すると予測されています。

市場規模拡大の背景

業務用ロボット掃除機の導入が加速している背景には、人手不足や人件費の高騰といった課題が挙げられます。

 

人手不足の深刻化

清掃業界では深刻な人手不足が続き、2035年には約33万人の清掃員が不足すると予測されています。この状況を受けて、業務用ロボット掃除機の導入を検討・実施する企業が増加しています。

 

コスト削減ニーズ

人件費の上昇に伴い、清掃業務の自動化を通じたコスト削減が、企業の重要な経営課題となっています。ロボット掃除機は、長期的に見れば人件費の削減に貢献できる手段として注目されています。

 

技術革新

AIやセンサー技術の進化により、ロボット掃除機の性能は大きく向上しました。スマートマッピングやリアルタイムの障害物検出などの機能が搭載され、より広範囲かつ効率的な清掃が可能です。

 

補助金制度の活用

業務用ロボット掃除機の導入には、自治体や国による補助金制度を活用できるケースもあります。特に中小企業にとっては、初期費用のハードルを下げる有効な手段として、導入を後押しする役割を果たしています。

業務用ロボット掃除機導入のメリット

オフィスを清掃する男性社員

人が行う清掃に比べ、ロボット掃除機は経費削減など多くのメリットがあります。従業員の負担軽減や業務効率化などを考慮すれば、費用に見合う効果が十分に期待できるでしょう。代表的なメリットには以下の5つが挙げられます。

経費を削減できる

業務用ロボット掃除機の導入は、人件費を始めとする経費削減につながります。人が行う清掃作業の時間を短縮できるため、スタッフをより生産的な業務に振り分けることが可能です。ロボット本体や維持管理に一定のコストはかかりますが、中長期的には費用対効果の高い投資といえるでしょう。

従業員の負担を軽減できる

従業員が清掃業務を担う場合、本業の合間を縫って作業時間を確保する必要があり、時間的・精神的な負担がかかります。ときには、業務時間外の清掃作業が発生することもあるかもしれません。

 

業務用ロボット掃除機を導入すれば、業務時間外に自動で清掃を行うことができ、従業員の負担を大幅に軽減できます。体力的な負担はもちろん、清掃に対する精神的なストレスも軽減でき、働きやすい職場環境の整備にもつながるでしょう。

 

業務効率化につながる

ロボット掃除機に清掃を任せることで、業務の生産性が向上します。従業員は、これまで清掃に充てていた時間を別の重要な業務に充てられるため、作業効率がアップします。

 

さらに、AI機能を搭載した業務用ロボット掃除機は、稼働を重ねるごとに施設のレイアウトや汚れやすい場所を学習し、最適な清掃ルートを自動で作成可能です。また、清掃データを分析することで、より効率的な清掃計画が立てられ、清掃効率の向上と生産性アップが実現します。

 

清掃品質が安定する

人が清掃を行う場合、どうしても担当者によって清掃品質にばらつきが生じます。 一、業務用ロボット掃除機はプログラムに従い、決まったルートで正確に清掃を行うため、作業にムラがありません。 その結果、常に一定の清掃品質を維持できます。

さらに清掃頻度を高めることができるため、施設内をより清潔に保つことが可能です。 清潔な環境は、利用者や訪問者の印象アップにもつながり、施設の衛生状態向上に大きく貢献します。

 

業種別・業務用ロボット掃除機の活用事例と導入効果

スーパーで作業中の清掃ロボット

ロボット掃除機を導入することでどのような効果が期待できるか、業種別に紹介します。特に清掃範囲が広い商業施設や工場などでは、よりその効果を実感しやすいでしょう。

病院・介護施設

  • 用途:食堂、診察室、待合室、廊下の床清掃
  • 効果:一貫した清掃品質で感染症のリスクを軽減でき、安全確保を実現
  • 導入理由:医療スタッフの業務負担を減らし、業務に専念できるため。感染リスクを軽減するため

オフィス

  • 用途:執務室・会議室・廊下の清掃
  • 効果:業務時間外に稼働させることで、業務の妨げを最小限に
  • 導入理由:コスト削減と衛生管理の標準化

 商業施設・店舗

  • 用途:売場通路・フードコートの床面清掃、共用通路やエントランスの定期清掃
  • 導入理由:人件費の削減と施設全体の清潔感維持
  • 効果:広範囲の清掃を自動で行うことで、スタッフの巡回業務を軽減

工場・倉庫

  • 用途:広い床面の粉塵やゴミの除去
  • 効果:安全な作業環境を保ち、清掃の手間を削減。広範囲の清掃を網羅
  • 導入理由:生産や物流の作業を妨げることなく、施設の衛生管理や安全性向上を図るため

レストラン・飲食店

  • 用途:営業終了後のフロア清掃
  • 導入理由:人手不足の補完と、衛生レベル維持のため
  • 効果:スタッフの作業時間を短縮、営業時間外の清掃による効率アップ

業務用ロボット掃除機導入時の注意点

店内を走行する業務用ロボット掃除機

メリットが多いロボット掃除機ですが、導入の際にはいくつかの注意点があります。特に補助金や助成金を利用する場合は、余裕を持った準備と慎重な検討が必要です。

自社の環境に合ったモデルを選ぶ

清掃エリアの規模や床材、床面の障害物や段差など、自社の環境に合ったモデルを選ぶことが重要です。また、導入コストや費用対効果、操作性やメンテナンスの頻度も事前にしっかり確認しましょう。

 

ロボット掃除機はモデルによって、稼働時間や対応できる床材が異なります。水拭きやモップ掛け機能の有無、消耗品の交換頻度、運用コストや耐久性も比較検討のポイントです。これらを踏まえて、自社の環境に最適な業務用ロボット掃除機を選ぶことが、効率的な清掃業務の実現につながります。

導入前に補助金申請をする

補助金制度を利用すれば、ロボット掃除機の導入コストを抑えられます。利用する場合は、必ず導入前に申請が必要です。業務用ロボット導入時におすすめの補助金・助成金は以下の2つです。

 

 

補助金名 対象事業者 補助率 上限額 補助対象・概要
中小企業省力化投資補助金 中小企業・小規模事業者 導入費用の最大1/2 従業員数に応じて200万〜1,000万円 業務の省力化・効率化につながる製品(ロボットやIT機器等)の導入支援。飲食・宿泊・保育・介護・清掃・建設業など人手不足が深刻な業種が対象。省力化製品カタログ掲載品に限る。
業務改善助成金 中小企業・小規模事業者(最低賃金1,000円未満) 導入費用の最大75%(条件で最大90%) 30万〜600万円(賃金引き上げ額と労働者数で変動) 事業場内最低賃金引き上げとあわせて行う生産性向上のための設備投資費用の一部助成。

 

申請手続きや詳細情報は、各団体の公式サイトで確認してください。

 

<参考>

独立行政法人中小企業基盤整備機構│中小企業省力化投資補助金

厚生労働省│業務改善助成金

 

業務用ロボット掃除機の選び方

業務用ロボット掃除機を検討するビジネスマン

ロボット掃除機はいろいろなモデルがありますが、自社に合ったものを選ぶことが大切です。どの程度の清掃品質を担保したいのか、使用する環境や床材はどんなものか、またアフターフォローも重要なポイント。最適なモデルを検討しましょう。

自社のニーズにマッチした清掃ができるか

ロボット掃除機には、ホコリやゴミを吸い取る掃除機タイプ、モップで水拭きができるタイプ、両方の機能を備えたハイブリッドタイプなど、さまざまな種類があります。施設の特徴や求める清掃品質に合わせて、最適なモデルを選ぶことが大切です。

 

使用場所の規模や床材に対応できるか

施設の広さや床材の種類、汚れの種類、障害物の有無、清掃頻度によって最適なロボット掃除機のモデルは異なります。例えば、店舗やクリニックのような狭い通路やテーブル下を通り抜ける必要がある場所では、コンパクトなサイズが適しています。

 

一方、規模の大きい施設や工場では、広範囲をカバーできるモデルが望ましいでしょう。カーペット、タイル、大理石、コンクリートといった対応可能な床材の種類、また1回の充電で清掃できる面積を確認するのも忘れずに。

 

導入後のサポートが充実しているか

ロボット掃除機の運用をスムーズに定着させるには、メーカーのサポートが重要です。最適な清掃計画の提案や定着までのフォローアップ、操作トレーニングプログラムの提供、トラブル時の迅速な対応など、実際の現場運用を想定した手厚いサポートがあるメーカーを選びましょう。

業務用ロボット掃除機は寿命を意識した導入と運用を

業務用ロボット掃除機を検討するビジネスマン

業務用ロボット掃除機は、正しい使い方と定期的なメンテナンスで寿命を延ばし、安定した清掃効率を維持できます。自社の環境やニーズに合ったモデルを選ぶことで、費用対効果の高い導入が可能です。また、スムーズな運用を実現するために、アフターフォローが充実したメーカーを選ぶことも重要です。

 

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