SDGs(持続可能な開発目標)は、2030年に向けて達成を目指す17の目標です。これらの目標達成には、日本だけでなく、世界全体や一人ひとりの行動が不可欠です。本記事では、SDGsの背景や具体的な目標、日本や世界での現状、企業の取り組み事例を紹介。持続可能な社会の実現に向けた具体的な取り組みを解説します。
SDGsとは?
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、日本語では「持続可能な開発目標」を意味します。2015年に国連で採択され、2030年までに達成すべき17の目標を掲げています。
SDGsは、貧困や飢餓の撲滅、環境保護、ジェンダー平等など、社会・経済・環境の3つの側面を重視。「誰ひとり取り残さない(leave no one behind)」という理念のもと、世界各国が協力し合って取り組みを進めています。さらに、企業や自治体、個人にも行動が求められており、持続可能な社会づくりへの積極的な貢献が期待されています。
SDGsが生まれた背景
SDGsが誕生した背景には、技術革新や経済成長による社会・環境の大きな変化、そして戦争を経験した人類が人権尊重への意識を高めてきた歴史的な流れがあります。
SDGsの前身となったのは、2000年に採択されたMDGs(ミレニアム開発目標)です。MDGsは開発途上国の貧困削減や感染症対策で一定の成果を収めましたが、一方で教育や衛生環境などの課題が未解決のまま残りました。
こうした課題を引き継ぎ、先進国を含む全世界の共通目標として、2015年に新たに国連で合意されたのがSDGsです。SDGsは、経済発展に伴う環境破壊や格差拡大など、現代社会が抱える問題を包括的に解決するために設定された、世界共通の指針となっています。
SDGsの17の目標
SDGsの17の目標は、「People(人間)」「Planet(地球)」「Prosperity(豊かさ)」「Peace(平和)」「Partnership(パートナーシップ)」という5つのカテゴリに分類されています。これらはそれぞれが単独で機能するものではなく、互いに関連しあっているのが特徴です。各課題をバラバラに考えるのではなく、統合的なアプローチで取り組むことが求められています。
カテゴリ | 目標番号 | 目標名 | 内容 |
People(人間) | 目標1 | 貧困をなくそう | あらゆる場所、あらゆる形態の貧困を終わらせる |
目標2 | 飢餓をゼロに | 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する | |
目標3 | すべての人に健康と福祉を | あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する | |
目標4 | 質の高い教育をみんなに | すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する | |
目標5 | ジェンダー平等を実現しよう | ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児のエンパワーメントを行う | |
目標6 | 安全な水とトイレを世界中に | すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する | |
Planet(地球) | 目標12 | つくる責任、つかう責任 | 持続可能な消費生産形態を確保する |
目標13 | 気候変動に具体的な対策を | 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる | |
目標14 | 海の豊かさを守ろう | 持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する | |
目標15 | 陸の豊かさも守ろう | 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する | |
Prosperity(豊かさ) | 目標7 | エネルギーをみんなに、そしてクリーンに | すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的なエネルギーへのアクセスを確保する |
目標8 | 働きがいも経済成長も | 包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する | |
目標9 | 産業と技術革新の基盤をつくろう | 強靭(レジリエント)なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る | |
Peace(平和) | 目標16 | 平和と公正をすべての人に | 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する |
Partnership(パートナーシップ) | 目標10 | 人や国の不平等をなくそう | 国内及び各国家間の不平等を是正する |
目標11 | 住み続けられるまちづくりを | 包摂的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する | |
目標17 | パートナーシップで目標を達成しよう | 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する |
出典:国連広報センター「SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字」
日本のSDGsの現状と取り組み
日本は国を挙げてSDGsの目標達成に向けた取り組みを進めていますが、現状では目標達成度は十分ではありません。日本の現状とその取り組みを詳しく見ていきましょう。
日本のSDGs目標達成度18位(2024年発表)
2024年のSDGs達成度ランキングにおいて日本は167ヵ国中18位となり、過去最低だった前年の21位から3つ順位を上げました。
10個の目標で進捗状況を評価されましたが、一方、5つの目標については依然として深刻な課題が指摘されています。特に、目標5のジェンダー平等と目標13の気候変動対策は、長年にわたって進展が見られていない状況です。
出典:Sustainable Development Report 2024
SDGs目標達成における日本政府の取り組み
日本政府は2016年に「SDGs推進本部」を設立し、国内外においてSDGs達成に向けた取り組みを本格化させました。この本部は総理大臣を本部長とし、副本部長には官房長官と外務大臣が就任、全閣僚が構成員となっています。
また、「SDGs推進円卓会議」を通じて、行政や民間企業、NGOなど幅広いステークホルダーとの意見交換を行っています。2021年には2回目となる自発的国家レビュー(VNR)を実施するとともに、SDGs実施指針を策定しました。さらに毎年「SDGsアクションプラン」を発表し、全省庁が連携して具体的な施策を推進しています。
出典:外務省「日本政府の取組」
世界のSDGsの現状と取り組み
欧州ではSDGsの取り組みが進んでいますが、全世界で見ると2030年までの目標達成は困難な状況です。世界全体の目標達成状況と、欧州の具体的な取り組みについて紹介します。
世界のSDGs目標達成状況
2024年のSDGs達成度ランキングでは、フィンランドが4年連続で1位を維持しました。上位5カ国にはフィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フランスが名を連ね、いずれも欧州諸国が占めています。18位の日本を除けば、24位のオランダまで上位国はすべて欧州に集中しています。
一方、主要経済国である米国は46位、中国は68位にとどまり、達成度には大きな差が見られます。特に北欧諸国は、環境教育の充実や国民の高い当事者意識を背景に、高い達成度を維持している点が特徴です。
しかし、国連が発表した「持続可能な開発目標(SDGs)報告2024」によると、SDGsの169のターゲットのうち、順調に達成へと向かっているのはわずか17%にすぎません。さらに、全体の3分の1以上が進展を見せておらず、むしろ後退しているという厳しい現状が報告されています。このままでは、2030年の目標達成には遠く及ばないことが懸念されています。
出典:国連「持続可能な開発目標(SDGs)報告2024」
欧州におけるSDGsの取り組み
ヨーロッパ諸国では、特に気候変動対策に積極的な国が多く見られます。たとえばデンマークの「UN17 Village」では、雨水やリサイクル建材を活用したエコ・ビレッジが建設中です。
フランスでは、SDGsに関する情報発信を強化するために「Agenda2030」という専用のプラットフォームを開設し、政策や取り組みを広く社会に共有しています。また、スウェーデンやフィンランドでも、CO₂排出削減に向けたさまざまな施策が実施されており、先進的な環境対策が進行中です。
企業のSDGsの取り組み事例
日本では多くの企業がSDGs達成に向けた取り組みを進めています。ここでは、2つの企業の具体的な取り組み事例を紹介します。
事例①引越事業者
SDGsの目標達成に向け、環境負荷の低減を目的とした取り組みを推進しています。「ごみゼロ」「事故ゼロ」を掲げ、持続可能な引越サービスの実現を目指しています。具体的には、梱包資材の削減を目的に、紙資源を使わずに荷物を梱包できる「エコ楽ボックス」を開発。また、使用済みダンボールを回収・再利用することで、廃棄物の削減にも貢献しました。
社内では、社員にエコバッグの配布と使用を推奨し、日常的な環境意識の向上を促進しています。さらに、クリーンディーゼル車の導入とエコドライブの実践により、CO₂排出量の抑制にも努めています。
事例②航空運送事業者
SDGsの「17の目標」すべてに取り組む企業の一つとして、航空業界の中でも先進的な活動を展開しています。特に、人身取引の防止に力を入れており、業界全体で進められている対策をさらに強化し、水際での防止策を徹底しています。
また、貧困問題の解決に向けては、「TABLE FOR TWOプログラム」やユニセフへの支援を実施。機内募金「Change for Good®」や、外国通貨の輸送支援といった活動も通じて、世界中の子どもたちへの支援を行っています。
さらに、ジェンダー平等推進のため「JAL D&Iラボ」を設立し、女性活躍支援や乳がん啓発キャンペーンを展開しました。2021年には「J-Winダイバーシティ・アワード」において企業賞と個人賞を同時に受賞するなど、取り組みが高く評価されています。
SDGs達成に貢献するエナジーセーバーによる省エネ空調管理
エナジーセーバーは、既存の空調機に取り付けるだけで、AIが運転を最適化し、省エネを実現する新しい省エネソリューションです。冷暖房の過剰運転を抑制しながら、室内温度を変えることなく消費電力を削減できるのが特徴。
この取り組みは、SDGs目標7「エネルギーをみんなに、そしてクリーンに」に貢献するもので、エネルギー効率の向上と持続可能な社会の実現を目指しています。また、温度ムラを減らし、快適な室内環境を保ちながらエネルギーの無駄を最小限に抑えることができます。既存の設備をそのまま活用できるため、導入コストを抑えつつ高い省エネ効果を得られる点も、企業や施設にとって大きなメリットです。
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SDGsの取り組みで持続可能な未来を作ろう
SDGsは、持続可能な社会を実現するための国際的な取り組み。日本や世界中でさまざまな努力が進められていますが、2030年までの実現はまだ遠く及ばないのが現状です。企業の事例や省エネ技術の導入など、個人の行動が目標達成につながります。一人ひとりが積極的に行動して、よりよい未来を築きましょう。
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