電子黒板は、GIGAスクール構想を背景に、教育現場での普及が進んでいるツールのひとつです。従来の黒板のメリットは活かしつつも、動画や画像の投影などを行うことで、視覚的に理解しやすい授業を進められる点が大きな魅力です。本記事では、電子黒板の概要やメリットに加え、具体的な活用法や導入事例について、詳しく紹介します。

電子黒板とは?
まずは、学校における電子黒板とはどのようなものなのか、具体的に解説します。通常の黒板との違いや、普及率の現状などについても把握しておきましょう。
黒板やホワイトボードの代わりに使える、デジタルツール
電子黒板は、教室に設置された大型提示装置に教材を映し出せるデジタル黒板のことで、指や専用ペンで書き込むのはもちろん、拡大表示や内容の保存も可能です。2010年の「フューチャースクール推進事業」で先行導入されて以降、ICTを活用した授業に欠かせない存在となっています。
主な方式は、画面に直接触れて操作できる「タッチディスプレイ型」、スクリーンに映像を投影する「プロジェクター型」、既存のテレビやモニターに専用ユニットを取り付けて電子黒板化する「ユニット型」の3種類があります。
通常の黒板との違い
電子黒板は、画像や動画をディスプレイに投影できる他、タッチペンなどで直接操作できる点が特徴です。通常の黒板では、教師が手作業で黒板に書いたり消したりするのが基本ですが、電子黒板であれば、書き込みの削除がワンタッチでできる上に、書いた内容をデータとして保存しておくことも可能です。
また、動画や音声教材の再生、授業の録画も簡単に行えるため、授業内容の共有や振り返りに役立ちます。
電子黒板の普及率は約8割
文科省「教育の情報化の実態等調査」(2022)によると、電子黒板機能付き大型提示装置の整備率は78.7%でした。2020年度のGIGAスクール構想によって、1人1台端末の整備の促進や大型提示装置の導入が、整備率を加速させた背景といえます。
また、コロナ禍に対応するための補正予算や自治体の補助金によっても普及が後押しされ、電子黒板は学校における標準整備になりつつあります。
学校の授業で電子黒板を使うメリット
電子黒板は、授業の効率化はもちろん、教員の負担軽減にもつながるなど、生徒・教員の双方にメリットのあるツールです。導入を検討する際には、授業で活用するメリットをしっかりと理解しておくことが大切です。
視覚的に分かりやすく、生徒の集中力や意欲が高まる
まず、大画面に画像や動画を投影できるため、生徒がひと目で内容を理解しやすいのがメリットです。色や文字の大きさもタッチ操作で簡単に変更できるため、強調したいポイントがある場合も容易に対応できます。視覚的なわかりやすさに加え、操作のスピードによって無駄な時間を省けることで、生徒の授業への集中力や興味を持続させやすくなるのも魅力です。
また、動画や音声教材を組み合わせることで、さまざまな感覚を刺激でき、学習意欲のさらなる向上も期待できます。
教員と生徒が双方向にコミュニケーションを取れる
従来の黒板を使った授業の場合、教師が板書した内容を生徒がノートに書き写すという、一方通行の授業になりがちです。しかし電子黒板であれば、生徒が1人1台持っているタブレットとディスプレイを接続して内容を共有することで、双方向のコミュニケーションが可能になります。
授業の効率がアップし、教員の負担が軽減する
板書の保存や配布ができる他、教材や資料をすぐに表示できるため、授業を途切れさせることなくスムーズに進められるのも、電子黒板の魅力です。 授業の効率化だけではなく、黒板の掃除や掲示物の貼り替えといった、教師の手間や負担も軽減できます。
また、映し出す内容に動画や写真、音声を入れたり、印刷物をデジタル配信したりすることで、生徒への説明時間や印刷物の準備といった作業も省けるでしょう。
さらに、遠隔授業やオンライン研修にも電子黒板を活用することで、出張による移動や会議の準備も不要となり、業務の効率化に繋がります。
エコでランニングコストを抑えられる
従来の黒板を使用する場合、チョークや黒板消しといった備品が必要です。特にチョークは消耗が早く、定期的な補充が欠かせません。一方、電子黒板であればチョークの補充は不要で、費用面・手間の両方の負担を軽減できます。
また、黒板を使った授業では、生徒全員にプリントを配布することも多く、その際にはインク代や紙代が発生します。電子黒板なら、資料を画面に投影して全員に共有できるため、プリントの配布が不要となり、コスト削減はもちろん、環境負荷の低減にもつながります。
電子黒板の使い方
電子黒板は、授業だけではなくコミュニケーションにも役立ちます。以下では、具体的な使い方について見ていきましょう。
生徒の発表やノートの共有に使う
生徒が書いたノートや作成した資料、発表用の資料などを電子黒板に投影すれば、クラス全員で内容を共有できます。発表の際には、ペンで色分けしたり表示を拡大したりすることで、より分かりやすく伝えることが出来るでしょう。
黒板へ書き写す作業が不要になることで、発表準備の手間や授業の進行が止まる時間を減らし、授業をスムーズに進められます。
また、授業中に書き込んだ内容を配信すれば、生徒の家庭学習や欠席した生徒へのフォローにも活用できます。
教員の説明や解説に使う
資料や投影した内容をデータで保存しておけば、次の授業の振り返りに活用したり、他クラスの授業で再利用することができ、新たに資料を準備する手間が省けます。
また、動画や画像を取り入れて電子黒板で説明することには、教科ごとのメリットもあります。例えば、数学でグラフや表を使って
、視覚的に分かりやすく説明でき、社会の授業なら、映像を見せながら具体的に説明することで、生徒の理解力をより深められるでしょう。
他校との交流に使う
電子黒板は、他校との交流にも活用できます。双方で教材や板書を投影すれば、お互いの学習内容をリアルタイムで共有でき、図表の整理や意見の集約もスムーズに行えます。
また、大画面で投影された資料は見やすく、音声も鮮明に聞こえるため、生徒の集中力も維持しやすいでしょう。オンライン上で交流することで、現地への移動が不要になり、負担の軽減にもつながります。
教員間の情報共有のために使う
教員と生徒の間だけではなく、教員同士のコミュニケーションにも活用できます。
授業や生徒の発表内容、作品を他の先生と共有することで、今後の指導方針についてより具体的に話し合えるでしょう。このように意見交換することによって授業をアップデートでき、生徒にとってもよりよい学びにつながります。
また、校内の離れた場所にいる先生との打ち合わせもスムーズに行えます。カメラやマイクが搭載されているものが多いため、機材の準備に手間がかかることもありません。
電子黒板の導入事例
電子黒板を実際に導入した学校によると、さまざまな効果を得られたようです。以下では、電子黒板の導入事例とその効果について、詳しく解説します。
事例1:導入により生徒の興味関心・集中力アップ
ある学校では、電子黒板を活用し生徒自身が書いたノートをディスプレイに映し出す取り組みを行っています。
導入前は、生徒が書いた内容を板書したり、印刷したものを黒板に貼ったりしていたそうですが、準備に時間がかかるうえ、生徒の集中力が途切れてしまうことが課題でした。
電子黒板の導入後は、生徒のノートをそのまま投影でき、スムーズに授業を進められるようになりました。生徒の興味・関心を引き出しながら、お互いの学びを深める機会が増えました。また、生徒自身が感じたことを説明する力も身につき、「考える」ことを繰り返すことで、テストの成績にも良い影響が見られたそうです。
事例2:アナログの黒板との併用でスムーズに授業を展開
従来の黒板と電子黒板を併用する学校では、それぞれのメリットを活かした授業づくりを実現しています。
資料や動画は電子黒板で大きく鮮明に映し出し、実際に文字を書くのは黒板で、生徒の視線や集中力を自然に誘導しました。電子黒板を補足説明するためのツールとして活用することで、ICT教育の効果がより高まったと実感されています。
このように、既存の設備と組み合わせることで、無理なくICTを導入できる点も、電子黒板の魅力のひとつです。
事例3:遠隔授業によって交流を深める
電子黒板を活用して、他校との交流を深めている学校もあります。実際に出向くことができないような遠方の学校でも、電子黒板を使えば簡単につながることができ、リアルタイムで教材や情報を共有しながら学び合えるのが大きなメリットです。 実際の交流では、お互いの住む街の魅力を簡単に共有して、生徒たちは画面越しに相手の街の様子を知ることで、自然と興味を持つようになりました。
アイリスオーヤマの「電子黒板」でできること
Google Workspace for Educationと連携しており、PCがなくても教材を呼び出せるオールインワン設計が特徴です。カメラとマイクが内蔵されているため、アプリを立ち上げるだけですぐに授業を開始できます。
画面のサイズは、65型と75型の2種類を展開しており、どちらのモデルにもカメラとマイクが内蔵されており、対面はもちろん、遠隔での授業も高画質で行えます。最大4人まで同時に書き込みできる上に、2〜4画面に分割表示することで、共同学習や比較整理も効率的に行えます。。
さらに、手書き文字の自動テキスト化機能の他、タイマーやスクリーンショットなど、授業の進行に便利な機能も標準搭載されているため、授業の準備や記録作業を大幅に効率化できます。
授業の効率化のため、電子黒板の活用法や使い方を理解しよう
電子黒板は、従来の黒板に比べて情報をスムーズに共有でき、生徒の関心や集中力を高めやすいツールです。また、教材準備にかかる教員の負担や、チョーク・印刷物といったランニングコストの削減にもつながり、学校教育において欠かせない存在となりつつあります。アイリスオーヤマでは、シンプルな操作性と多彩な機能を兼ね備えた、、教育施設向けの電子黒板を提供しています。授業の効率化やICT教育の推進をお考えの方は、ぜひ導入をご検討ください。
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