オンライン授業とは、インターネット回線を使った遠隔授業です。コロナ禍で一斉休校が行われたことをきっかけに、一気に普及が進みました。今や学校教育だけではなく、塾や社会人向けのスクール、社内研修などで広く活用されるオンライン授業について、導入に必要なツールやメリット、デメリット、また導入事例を紹介します。
オンライン授業・オンライン教育とは
近年、特に学校教育においてオンライン導入が急速に進み、令和元年は7.6%だった実施率が令和4年には75.9%にまで拡大しました。この背景には、コロナ禍を契機に令和3年度までにほぼ全ての児童・生徒に1人1台の端末環境が整備されたことが挙げられます。学校教育以外の現場でも、オンライン教育は広がりを見せています。
インターネット回線を介した遠隔授業
オンライン授業(オンライン教育)は、インターネット回線を介して遠隔で行う教育の手段です。インターネット環境さえあれば、生徒は場所の制約なくパソコンやタブレット端末、スマートフォンなどを使って授業を受けられます。もともとは1990 年代にインターネットが世界中に普及したことで、欧米の大学を中心にオンライン授業の導入が進みました。
日本国内では2020年春、新型コロナウイルス感染症の拡大による一斉休校が実施されたことで、全国でオンライン授業の導入が急速に進みました。
学校教育の他にもさまざまな導入事例がある
オンライン授業と聞くと、まず思い浮かぶのは小・中・高校、そして大学といった学校教育かもしれません。しかし近年では活用範囲が広がり、さまざまな教育の現場で導入が進んでいます。
<一例>
・学習塾、予備校
・大学や大学院
・社内研修
・社会人学習(リカレント教育)
・オンラインレッスン
オンライン授業・オンライン教育の種類
インターネットを通じたオンラインで行われる授業には、大きく分けて2つの種類があります。それぞれの特長を解説します。
ライブ配信
インターネット回線を使い授業をリアルタイムで配信する形式です。離れた場所からでも教室にいるのと同じような感覚で授業が受けられ、双方向のやりとりも可能です。Zoom(ズーム)やGoogle Meet(グーグル ミート)といったWeb会議システムを使って授業が行われます。
オンデマンド配信
あらかじめ収録された授業を、生徒が好きな時間・場所で視聴できる学習スタイルです。パソコンやスマートフォンなどを使い、インターネット経由で何度でも視聴可能です。動画教材は、教室での授業をそのまま撮影したものや、テロップや装飾といった編集を加えることもあります。活用例としては、授業の復習、反転授業の事前学習、欠席時の補講、個人の理解度やペースに合わせた学習などがあります。
オンライン+対面のハイブリッド型
上記の他に、ライブ配信とオンデマンド配信を組み合わせたハイブリッド型もあります。それぞれのメリットを活かすことで、より柔軟で効果的な学習環境を実現します。
▼ライブ配信+対面
授業を一部の生徒は教室にて対面で受け、一部の生徒はライブ配信で受けるスタイルです。感染症対策などの理由によって教室に入れる人数の制限が必要な場合や、生徒が教室に通えない場合などに活用されています。
▼オンデマンド型+対面
オンデマンドの授業を事前に受けて知識を付けたうえで、対面の授業で学びを深めていくというスタイルです。
オンライン授業のメリット
オンライン授業が、対面での授業や紙の教材による自主学習と比較して、どのようなメリットがあるかを紹介します。
登校ができない状況でも授業を受けられる
オンライン授業の大きなメリットの1つが、場所に縛られずに学べることです。自然災害や感染症などの影響、また病気の治療などで登校するのが困難な状況でも、学習の機会を得られます。また著名な外部講師を招いた授業をする場合、教室のキャパシティに関係なく多くの生徒が参加できます。
場所の制約なく授業を受けられる
登校する必要がないので、通学にかかる時間や交通費を節約できるのもメリットです。過疎地や離島に住んでいても、都市部に住んでいる人と同じように授業が受けられます。
繰り返し視聴できる
オンデマンド配信は、いつでも何度でも繰り返し視聴ができます。視聴スピードもコントロールでき、一時停止や巻き戻しもできるので、自分のペースで学べて理解が深まります。
情報のやりとりがスムーズにできる
オンライン授業では、画面共有や資料の送信といった機能を使って、情報のやりとりが簡単にできます。こういった、双方向のやりとりが可能な点も大きなメリットです。また対面授業では「挙手して発言するのが恥ずかしい」と感じる生徒でも、チャット機能を使えば気軽に質問や意見を伝えやすいでしょう。
ライブ配信型の授業であれば、その場で手を挙げて質問したり、講師とリアルタイムにやりとりしたりすることも可能です。
個々の学習進捗を把握しやすい
オンライン授業では、学習履歴が自動で蓄積されるため、一人ひとりの学習進捗を簡単に管理できます。このデータを活用することで、生徒の理解度や状況を正確に把握し、最適な授業内容や教材を提供することが可能になります。
オンライン授業のデメリット
多くのメリットがある一方で、デメリットもあります。対面授業と比較した場合のデメリット、そしてそれをどのように解消できるかを紹介します。
環境整備の必要がある
オンライン授業を始めるには初期費用が必要です。パソコンやカメラなどの機材に加え、安定したインターネット環境も欠かせません。ネット環境が不安定だと音声が途切れたり接続が切れたりして、トラブルが起こりやすくなります。
また、学習者側にもオンライン授業を受けるための環境が必要です。しかし、十分なネット環境がない生徒や、スマートフォン以外の端末を持っていない生徒もいることが考えられます。そのため、自治体によっては家庭にネット環境がない生徒のために、モバイルWi-Fiルーターの貸与や通信費補助を行っているケースもあります。
深いコミュニケーションが生まれにくい
オンライン授業は情報のやりとりがスムーズにできる一方で、対面授業のような「空気感」までは共有しにくいという課題があります。教える側は伝えたい内容を明確に伝えやすいものの、生徒の反応を十分に読み取るのが難しく、深いコミュニケーションが生まれにくい側面は否めません。
そのため雑談の時間を設けたり、グループワークやブレイクアウトルームを活用して生徒が主体的に参加できる工夫をしたりと、このデメリットを補う取り組みが求められます。
体験を伴う授業をするのが難しい
図工、理科の実験、家庭科など、実習や体験が必要な授業はオンラインで行うのが難しいといえます。教師の負担は大きくなりますが、手元をアップで映すなどカメラの工夫である程度はカバーできるでしょう。
生徒のモチベーションを維持しにくい
オンライン授業は基本的に1人で受けるため、自宅などのプライベートな空間では気が散りやすく、騒音や周囲の環境によっては授業に集中し続けるのが難しい場合があります。これを防ぐために、グループワークやミニテストの導入、授業後のアンケートなど、参加意識を高める工夫が必要です。
オンライン授業・オンライン教育に最低限必要なツール
オンライン授業を行うにあたり、教育者が最低限準備するのはパソコン、インターネット回線、配信ツールの3つです。学習者は動画を見られる端末、インターネット回線があれば授業を受けられます。
パソコンなどの機材
オンライン授業には、パソコンやマイク、カメラといった機材が欠かせません。スマートフォンにもカメラは内蔵されていますが、チャットや画面共有などの操作性を考えると、パソコンの方が使いやすいでしょう。200万画素以上の画質なら、ホワイトボードや黒板の細かな文字も読み取れます。また、なるべく画面が大きいパソコンを使うことで、生徒とのやりとりがスムーズになります。オンデマンド配信のために授業を録画し編集する場合は、動画編集ツールも必要です。
インターネット環境
オンライン授業をスムーズに行うには、安定したインターネット回線が不可欠です。配信途中で映像が止まったり、音声が途切れたりするトラブルを防ぐために、ある程度の回線容量を確保することが重要です。特にライブ配信の場合は、安定した接続環境を整えることが授業の質を左右します。
配信ツール
オンライン授業には、ZoomやTeams、Google MeetなどのWeb会議システムの導入が欠かせません。これらのツールはアプリのインストールが必要ですが、使い勝手が良く、多くの学校や企業で利用されています。
Zoomは、生徒が会員登録をしなくても、送られたミーティングURLにアクセスするだけで無料で参加可能です。TeamsはMicrosoftのサブスクリプションサービス「Office 365」に標準搭載されているアプリで、同サービスを利用しているユーザー同士や招待されたユーザーが利用できます。
オンライン授業・オンライン教育の質を高めるツール
基本のツールだけでもオンライン授業の実施は可能ですが、さらに内容の質を高めるには以下のようなツールがあると便利です。
書画カメラ
書画カメラは、手元を映すことができる固定式のビデオカメラです。パソコンに内蔵されたカメラでは、手元にある教科書や問題集のページまでは映せないため、書画カメラを組み合わせれば、より分かりやすい授業を提供できます。Web会議ツールでも利用可能で、ビジネスでの利用も増えています。
外付けのWebカメラやマイク
パソコンに内蔵されているマイクやカメラでもオンライン授業はできます。しかし、さらに音声や映像の質を上げるには、外付けのマイクやカメラを使うのがおすすめです。
電子黒板
電子黒板はインタラクティブホワイトボードと呼ばれ、学校でも導入が進んでいるツールです。リアルタイムでの板書を提供できる他、画像や動画の挿入も可能で、理科や美術といった視覚教材が多い科目で特に活用されています。
さらに生徒が電子黒板に書き込むことができ、その内容は画像やPDFで保存可能です。他にも、チョークやホワイトボードを使うよりも効率良く授業が進められるメリットがあります。
オンライン授業・オンライン教育の導入事例
学校教育、塾、ビジネス研修など幅広い場面でオンライン授業・オンライン教育が導入されています。ここでは導入事例を3つ紹介します。
信州大学
信州大学では、オンラインによる1年生のための学修支援体制を構築しました。全学部の1年生が利用する中央図書館にて、ピアチューターによる学修支援サービス「ピアサポ@Lib」を展開しています。このサービスは、学修相談を担うラーニング支援部門と、レポート執筆支援を担うライティング支援部門で構成されています。
2020年度からはコロナ禍を契機に、オンラインによる学修支援を開始。事前予約制で、自宅からでも1年生がピアチューターに相談可能な体制を整えました。キャンパスが複数に分かれる中で、オンラインを活用した横断的な支援体制の構築を実現しています。同大学はオンラインを最大限活用し、1年生が積極的に学修支援を活用できる環境づくりを推進中です。
歩学舎
学習塾の歩学舎では、生徒の学力に応じたオーダーメイド型のライブ授業を実施しています。以前は講師が2つの教室を行き来しながら授業をしていましたが、効率化を図るためライブ授業を導入しました。教室間をつなぐ仕組みにより、2つの拠点がまるで1つの教室のように機能。対面授業と同等のクオリティを、遠隔でも実現しています。
和歌山県
和歌山県では、約4,500名の県職員を対象にしたDX研修をオンデマンド配信で実施しました。オンデマンド配信導入の最大のメリットは、県立病院や図書館などに勤務する職員など、どんな勤務地・勤務形態の職員でも都合の良い時間に視聴できる点でした。
しかし集合研修と比較して、一人ひとりの状況が把握しづらいという課題もありました。そこで動画の途中にクイズやアンケートを入れて動画の流し見を防ぎ、視聴ログの分析も行って対策しました。
オンライン授業におすすめのアイリスオーヤマの電子黒板
アイリスオーヤマの電子黒板は、教育現場のICT化を推進する多機能ツールです。Googleモバイルサービスを標準搭載し、Googleドキュメントやカレンダーなどを活用した授業運営・校務管理が可能。タッチ操作やデジタルペン対応により、直感的な板書や書き込みもスムーズに行えます。48MPカメラと8つのマイクを内蔵し、オンライン授業にも即時対応。PCやタブレットとのワイヤレス接続、画面の分割表示や同時書き込み機能により、学習効果の向上が期待されます。集中管理アプリで複数端末の一括管理も実現します。
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オンライン授業は時間や場所に捉われない学びを実現できる
オンライン授業・オンライン教育は、教室という枠を超え、時間や場所に縛られない学びを実現できる教育の手段です。遠隔地に住む生徒や、なかなか通学に時間が取れない人にも学びの機会を提供できるオンライン授業を、ぜひ検討してはいかがでしょうか。
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