ホテルや旅館などの宿泊施設では、照明が空間の印象や滞在中の快適さに大きく関わります。明るさを抑えた設計や間接照明の活用など、落ち着きと演出性のバランスを意識して選ぶことが大切です。また省エネ効果が高いLED照明を選ぶのもポイント。この記事では、ホテル照明の特徴や選び方、空間別の設計ポイントを紹介します。
ホテルなどの宿泊施設と一般住宅の照明の違い
ホテルと住宅では、照明の目的や設計に大きな違いがあります。ホテルは、非日常感を演出するために照明を使い分け、明暗のコントラストによって落ち着きや高級感を表現します。一方で、住宅は日々の生活のしやすさを重視し、部屋全体を均一に明るく照らす設計が一般的です。
特に寝室では、ホテルは休息を第一に考えて照度を抑え、複数の間接照明を使うことで空間に奥行きとやすらぎをもたらすのが特徴です。対して住宅の寝室は、作業性や利便性も意識して全体的に明るい照明を選ぶ人もいます。
ホテルに設置する照明の特徴
ホテルや旅館などの宿泊施設では、ただ空間を照らすだけでなく、居心地の良さや特別感を演出するために、明るさやデザイン性の高さなどが重視されています。主なポイントを見ていきましょう。
明るさを抑えている
ホテルの照明は、明るすぎず落ち着いた空間を演出することが基本。非日常感を味わえるよう、各照明は控えめな明るさに設定されているのが特徴です。その代わり、複数の照明をバランスよく組み合わせることで、部屋全体の調和が保たれるよう工夫されています。
照明の数や配置も、部屋の広さやコンセプトにあわせて計算されており、細部までこだわった設計がなされています。
間接照明を利用している
ホテルなどの客室では、間接照明を活用して落ち着いた雰囲気を演出しています。光を壁や天井に反射させることで、柔らかく広がるあかりとなり、リラックス感を高める効果が期待できます。
例えば、天井に埋め込むダウンライトや、ベッド周りのスタンドライトなどがよく使われている照明です。ムードと快適さを両立させる手法として、多くの宿泊施設で採用されています。
照明をインテリアとして活用している
照明をインテリアの一部として上手に活用している宿泊施設も少なくありません。光の広がり方や照明器具のデザイン次第で、部屋全体の印象は大きく変わります。
ベッド周辺にはやわらかな間接照明を、ラウンジにはアートのような個性的な照明器具を配置するなど、用途や雰囲気に合わせた工夫がされています。こうした照明の使い方によって、宿泊空間に統一感や個性が生まれ、より居心地のよい空間が実現するのです。
ホテルに設置する照明の選び方
宿泊施設にふさわしい照明を選ぶには、空間の雰囲気や用途に合わせた工夫が欠かせません。ここでは、色味の選び方や照明の組み合わせ方、省エネに役立つLED照明の活用など、選び方のポイントを紹介します。
空間の雰囲気に合った色味を選ぶ
宿泊施設では、空間の雰囲気に合わせて照明の色味を選ぶことがとても重要です。色温度によって、その場の印象や居心地が大きく変わるためです。
洋風のホテルと和風の旅館での違いはもちろん、レストランでは暖色系の照明で料理を美味しそうに見せたり、フロントでは優しい光でリラックス感を演出したりと、用途に応じた選択が求められます。照明の色味の選び方ひとつで、空間全体の印象や快適さが大きく左右されます。
複数の照明を組み合わせて使う
宿泊施設では、間接照明とさまざまな照明を組み合わせて空間を演出するのが基本です。これは、用途や過ごし方によって必要な明るさや雰囲気が異なるためです。
例えば、読書にはテーブルライトを、リラックスする空間には間接照明を取り入れるなど、機能性と感性の両方を考慮した照明の配置が求められます。単一の照明だけに頼らず、多様な灯りを組み合わせることで、快適で表情豊かな空間が実現します。
省エネに配慮してLED照明を取り入れる
宿泊施設では、LED照明を導入することでコスト削減と快適な空間づくりの両立が可能です。LEDは消費電力が少なく寿命が長いため、交換の手間や頻度も抑えられます。
フロントや通路など常に照明が必要な場所にLEDを使えば、電気代の節約に大きく貢献します。省エネ性とメンテナンス性に優れたLEDは、現代の宿泊施設にとって欠かせない照明といえるでしょう。
ホテルの付加価値を高める照明設計のポイント
宿泊施設の魅力を高めるには、機能面だけでなく感性に訴える照明設計が重要です。照明の質を見直すことで、リラックスできる空間づくりや、料理や内装を美しく見せる工夫が可能になります。ここではそのポイントを紹介します。
リラックスできる照明設計をする
宿泊施設では、まぶしさを抑えたリラックスできる照明設計がとても重要です。強い光や刺激の強い照明は、視覚的な不快感を与えてしまい、くつろぎの空間づくりを妨げる原因になります。
例えば、グレアレス照明やブルーライトを抑えた光を取り入れることで、まぶしさを軽減しつつ、落ち着いた雰囲気を演出することができます。照明の質にこだわることで、宿泊者の休息の質が高まり、結果的に施設全体の満足度向上にもつながるでしょう。
演色性の高い照明を取り入れる
宿泊施設では、演色性の高い照明を取り入れることで空間の魅力をより一層引き出すことができます。高演色の照明は、肌や料理、インテリアの色味を自然で美しく見せてくれる効果もあります。
例えば、レストランでは料理の彩りがより鮮やかに映ります。また、客室では素材の質感や細かな表情が引き立つのもポイントです。光の質にこだわることで、非日常を感じさせる上質な空間を演出できます。
【空間別】ホテルにおすすめの照明器具
ホテルでは、空間ごとに求められる照明の役割が異なります。フロントや廊下、客室の各エリアに適した照明を選ぶことで、快適性や機能性が向上し、施設全体の印象も大きく変わります。ここでは空間別におすすめの照明器具を紹介します。
フロント
フロントには、目にやさしく落ち着いた印象を与える照明が適しています。移動で疲れた宿泊客を明るすぎる光で迎えると、不快感を与えてしまう可能性があるためです。
反射を抑えたダウンライトやシームレスな間接照明を使うことで、安心感と快適さを演出できます。さらに、LED照明を採用すれば省エネ効果も高く、長時間の点灯にも対応できる点がメリットです。
廊下
廊下には、天井埋め込み型のダウンライトを使用することで、空間をすっきりと見せられます。照明器具の存在感を抑えると、デザイン性を損なわずに十分な明るさを確保できます。
首振り調整が可能な小口径のLEDダウンライトを選べば、足元やサインを的確に照らすことも可能です。天井が低い廊下でも取り入れやすく、改装時の照明計画にも柔軟に対応できます。
客室(全体)
客室に適しているのは、落ち着きとくつろぎを演出する照明です。リラックスするための空間には、まぶしい光や刺激の強い色温度は適しません。
ダウンライトで光の重心を下げ、間接照明やシンクロ調色機能を組み合わせることで、やわらかな明るさを保つことができます。さらに、視線に直接入らない暖色系の光を採用することで、癒しと快適さを両立させることが可能です。
客室(ベッドサイド)
ベッドサイドには、雰囲気と機能性を兼ね備えたブラケットライトが適しています。壁面からやわらかい光を届けることで、リラックス感を高めつつ、手元の明るさも十分に確保できます。乳白ガラスや真鍮カラーのデザインを選ぶと、落ち着いた印象や高級感をプラスすることも可能です。
さらに、設置が簡単な2WAYタイプのブラケットライトなら、壁に直接取り付けて使用することも、コンセントから電源を取ることもできて使い勝手の良いため、より快適なベッドサイド空間を実現できます。
客室(デスク周り)
デスクサイドには、作業性と雰囲気の両方を兼ね備えたスタンドライトがおすすめです。旅先でのメモや読書などに必要な明るさを、手軽に確保できます。ワークライト型を選べば機能的な作業スペースを、テーブルライト型を選べば空間に自然になじむやわらかなあかりを演出できます。デザイン性の高い照明を取り入れることで、客室全体の質感も一段と高まります。
ホテルの照明管理をスマートに。「LiCONEX」で快適さと省エネを両立
ホテルなどの宿泊施設では、快適性と効率性を両立する照明が求められています。アイリスオーヤマの「LiCONEX」は、独自の無線通信「メッシュリンク」により、高速かつ安定した制御を実現するLED照明システム。「LEDダウンライト」「LED一体型ベースライト」「高天井用LED照明」「LEDスポットライト」など、多彩なLED機器に対応し、明るさや光の色も自在に調整できます。
省エネと居心地のよさを両立できる点が特徴で、配線工事が不要なため施工も簡単です。空間の用途や時間帯に合わせた柔軟な照明制御が可能となり、さらにクラウドと連携することで遠隔管理やIoT化にも対応できます。
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ホテルの照明選びは“空間演出と省エネ”がポイント
ホテルの照明は、空間の雰囲気や快適さを左右する大切な要素です。明るさや光の色を工夫し、照明を使い分けて組み合わせることで、印象的な空間を演出できます。演出性を意識しながら、省エネ性にも配慮した照明設計を検討してみてください。
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