アルコールチェッカーを選ぶ上で、重視したいのが精度です。ただしアルコールチェッカーは、センサーや測定方式、機能などに違いがあり、選択肢が多くて迷うことも。アルコールチェッカーの精度に関わる要素や誤差、誤検知が起こる原因、アルコールチェッカーの種類や選び方のポイントを解説します。

アルコールチェッカーの「精度」は何で決まるのか
アルコールチェッカーの「精度」とは、呼気中のアルコール濃度をどれだけ正確に数値化できるかを表す指標です。精度が高いほど、飲酒量や運転の可否を判断する基準として信頼性が増します。特に業務用では、精度の高さが最も重要視されます。
センサーの種類
精度を大きく左右するのが、アルコールチェッカーに内蔵されているセンサーです。詳しくは後述しますが、半導体センサーと電気化学式(燃料電池式)センサーの2種類があります。
一般的に、より精度が高いのは電気化学式(燃料電池式)センサーです。業務用で導入する際にも多く選ばれています。
最大許容誤差
アルコールチェッカーの精度を数値で把握する上で役立つのが、最大許容誤差(MPE)という指標です。
これは測定値と実際のアルコール濃度の間に生じるズレ(誤差)の上限を示したもので、数値が小さいほど高精度な機器といえます。
例えば最大許容誤差が「±0.03mg/L」とされている場合、0.15mg/Lの真値に対して、0.12~0.18mg/Lまでの誤差が許容範囲として認められます。なお国内のアルコール検知器規格「JB10001」では、最大許容誤差を±0.03mg/Lと定めています。
適切な校正作業
アルコールチェッカーに内蔵されているセンサーには寿命があり、使用を重ねるごとにセンサーが劣化していきます。そのため、検知の精度を維持するにはメンテナンスや調整が欠かせません。この作業を校正と呼びます。
校正の頻度は製品によって異なりますが、一般的には1年に1回程度が推奨されています。しかし使用頻度が高い場合は、もっと早めに校正を行う必要があるでしょう。
アルコールチェッカーの誤差や誤検知の原因&対策
どんなに高性能なアルコールチェッカーでも、誤差や誤検知を完全に避けることはできません。測定の性質上、さまざまな要因によって数値にズレが生じる可能性があるためです。
誤差とは、実際のアルコール濃度と測定結果の間に生じる値の差のこと。一般的には、わずかなズレは許容範囲内として扱われます。一方、誤検知とは、飲酒していないにもかかわらずアルコールを検出してしまう現象です。これは、環境や体内の状態など複数の原因が影響して起こるものです。
ここからは、誤差や誤検知の主な原因を具体的に解説していきます。
測定直前の飲食物や喫煙
測定前にガムや発酵食品を食べると、口内に残ったアルコール成分がセンサーに反応することがあります。他に誤検知の原因になるものとして、糖尿病の治療薬、アルコールを含む入れ歯安定剤、整髪料などが挙げられます。タバコに含まれる成分も、呼気中の成分に影響を与えて誤検知を引き起こしかねません。
【対策】
測定直前の飲食や喫煙は避けることが大切です。測定前には水でうがいをして口の中の残留物を取り除きましょう。息を吹きかけて測定するアルコールチェッカーは、周囲の空気や風によってエラーが起きることがあります。なるべく安定した環境で測定を行うのがポイントです。
使用環境の問題
アルコールチェッカーは、周囲の温度や湿度、風の影響を受けやすい機器です。極端に高温または低温の環境では、センサーの反応が鈍くなったり、逆に過敏になったりします。湿度が高い場合には空気中の水分がセンサーに干渉して測定の精度が落ちる可能性も。強風の屋外では呼気が機器に届きにくく、低い数値が出る可能性があるでしょう。
【対策】
室温が安定し、風の影響が少ない場所での測定が理想的です。
機器の状態
センサーは使い続けるうちに少しずつ劣化し、性能が低下していきます。そして、保管の仕方も測定精度に影響する重要なポイントです。汚れやホコリが付着したまま使ったり、定期的な校正やメンテナンスを行わなかったりすると、誤差や誤検知が起きやすくなります。さらに、使用回数や使用期間の上限を超えて使い続けると、精度が大きく損なわれるおそれがあります。
【対策】
汚れやホコリを避けて適切な場所に保管し、定期的なメンテナンスを行いましょう。定められた上限回数や期限も守ることも大切です。
測定方法の問題
呼気中のアルコール濃度を正しく測定するには、適切な方法で息を吹き込むことが重要です。吹き込みが足らないと、呼気中のアルコールが十分に取り込まれず、実際よりも低い数値が表示されることがあります。逆に強く吹き込み過ぎたり、長時間吹き続けたりしても、正確な数値が出ないことがあります。また先述の通り、測定前にとった飲食物が影響することもあるので、注意が必要です。
【対策】
アルコールチェッカーの取扱説明書に記載された正しい手順を守ることが重要です。測定前に使う歯磨き、うがい薬、入れ歯安定剤などはアルコールを含まない製品を選びましょう。
アルコールチェッカーの種類
アルコールチェッカーには複数の種類があり、センサーや測定方式、形状などで分類できます。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解して選ぶことが重要です。
センサー
▼半導体式
比較的安価で、小型な製品が多いのが特徴です。ただしアルコール以外のガスにも反応しやすく、誤検知が起こりやすい傾向があります。周囲の環境や保管状況によっても、精度が落ちることもあります。
▼電気化学式(燃料電池式)
アルコールのみに反応しやすい高精度センサーのため、価格はやや高めです。一部のメーカーでは定期的なメンテナンスサービスを提供していて、精度を保ちながら長く使用できます。
測定方式
▼吹きかけ式
本体に直接息を吹きかけて測定します。専用アタッチメントが不要なので手軽に使えますが、周囲の空気を一緒に取り込むため、精度への影響や衛生面でのリスクがあります。
▼ストロー式・マウスピース式
専用アタッチメントを使って息を吹き込む測定方式です。外部環境の影響を受けにくく、高い精度で測定できます。衛生的に使えますが、アタッチメントは使い捨てや定期交換が必要なため、ランニングコストがかかります。
形状
▼据え置き型
事務所や営業所に設置して使用します。対面でのチェックができ、不正防止に有効な反面、導入コストが高く、場所が限定されるのがデメリットです。
▼携帯型
コンパクトで持ち運び可能な携帯型は、どこでも使用できて便利です。ただし不正行為のリスクがある他、機能が限定的な製品もあります。
その他の機能
便利な機能が付いたアルコールチェッカーも多数登場しています。
<機能の一例>
・測定結果の記録機能
本体に測定結果を保存できるので、過去データの管理に便利です。保存容量には製品差があります。
・スマホアプリ連携機能
測定結果を自動でスマホに送信し、クラウドに保存できます。データの手動入力や管理の手間を省けるので、安全運転管理者の業務負担軽減に役立ちます。
・センサー寿命通知機能
センサーの交換時期を知らせることで、アルコールチェックができなくなるリスクを減らせます。
高精度なアルコールチェッカーの選び方
アルコールチェッカーは種類や機能が豊富なため、自社に合った製品を選ぶことが重要です。センサーや測定方式の他にも、使用環境や運用方法なども考慮しましょう。ここでは選び方のポイントをわかりやすく解説します。
勤務スタイルに合わせて計測できる機器を選ぶ
アルコールチェックは、運転の前後に実施します。直行直帰や出張など、勤務スタイルによっては事業所以外での測定が必要になる場合もあるでしょう。据え置き型、持ち運びができる携帯型のうち、勤務スタイルに合った機器を選ぶことが大切です。
希望する形式でのデータ保存が可能な機器を選ぶ
アルコールチェッカーは、機器によって測定結果の保存方法が異なります。本体に結果を保存するのか、クラウド上でデータを管理するのか、自社の運用に合ったデータ保存形式を選びましょう。
使用回数・期限で選ぶ
アルコールチェッカーの多くは、使用期限がおよそ半年~1年、使用回数上限が1,000回~10,000回程度です。運転者が少ない場合は1台でも足りますが、人数が増えるほど使用頻度が高くなります。さらに運転者に携帯させる場合は、複数台の準備が必要です。使用状況や人数にあわせて機器を選びましょう。
高精度なアルコールチェッカーならアイリスオーヤマのALPiT
クラウド型アルコールチェッカーALPITは、電気化学式センサーを搭載し、高精度な測定が可能です。アプリを起動した状態で息を吹き込み、顔写真を撮影して送信するだけで、測定結果を自動でクラウドに記録できます。複数の運転者がいる場合も、データを一元管理できるため全体状況を把握しやすくなります。また、検知器の交換時期が近づいたら新しい検知器を自動でお届けします。
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精度の高いアルコールチェッカーを選ぼう
アルコールチェッカーの精度は、ドライバーの安全を守るだけではなく、企業としての信頼性を高めるためにも欠かせないものです。選び方のポイントを参考にしながら、自社の運用体制に合ったアルコールチェッカーを選び、より安全で安心な運転管理体制を整えていきましょう。
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