安全運転管理者とは、会社の車両運行における安全確保を行う責任者です。安全な運転環境を整え法令や規則を守り、業務効率化を図る役割があります。ここでは選任基準や業務内容、そして罰則規定について分かりやすく解説します。安全運転管理者の業務に活用できるおすすめ商品も紹介するので、参考にしてみてください。
安全運転管理者とは
安全運転管理者選任義務の対象になるかどうかは、会社が保有する白ナンバーの自動車の台数次第です。また、安全運転管理者は自動車を使用する事業所ごとに選任する必要があります。さらに、自動車の台数が多い事業所では副安全運転管理者の選任も求められます。
副安全運転管理者は、安全運転管理者の業務をサポートする役割です。
安全運転管理者を選任する基準
安全運転管理者を選任する対象の条件は、以下のいずれかに該当する企業や事業者です。
自社は選任が必要かを判断する際の参考にしましょう。
<対象条件>
- 乗車定員数が11人以上の自動車を1台以上使用している場合
- その他の自動車を5台以上使用している場合(大型自動二輪車や普通自動二輪車は、それぞれ1台を0.5台として計算)
安全運転管理者を補佐する副安全運転管理者
保有する自動車の台数が20台を超える事業所では、安全運転管理者だけではなく、副安全運転管理者も選任します。副安全運転管理者は、主に安全運転管理者の補助や代行する役割があります。使用する自動車の台数が多いと、ひとりで業務を遂行することが難しくなるため、サポートとして副安全運転管理者が必要です。
安全運転管理者と運行管理者との違い
運行管理者と安全運転管理者はどちらも安全運転を確保する役割を担っていますが、管理対象の車両の種類が異なります。
運行管理者の管理対象は、トラックやバス、タクシーといった運送業の事業用自動車(緑ナンバー)です。一方で安全運転管理者の管理対象は、営業回りや自社商品の運送などに使用する自家用自動車(白ナンバー)です。
安全運転管理者の資格要件
安全運転管理者の資格要件は、道路交通法施行規則第9条の9で定められています。
基準については以下を参考にしましょう。
安全運転管理者 | 副安全運転管理者 |
---|---|
20歳以上(副安全運転管理者が置かれている場合は30歳以上) | 20歳以上 |
<次のいずれかに該当する者> 〇自動車の運転管理に関し2年以上(自動車の運転管理に関し公安委員会が行う教習を修了した者にあっては、1年)の実務経験がある者 〇自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者 |
<次のいずれかに該当する者> 〇自動車の運転管理に関し1年以上の実務経験がある者 〇自動車運転の経験期間が3年以上ある者 〇自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者 |
<次のいずれにも該当しない者> 1.過去2年以内に都道府県公安委員会による安全運転管理者等の解任命令を受けた者 2.過去2年以内に次の違反行為をしたことがある者 〇ひき逃げ 〇酒酔い・酒気帯び運転 〇飲酒運転に関し車両等を提供する行為、酒類を提供する行為及び要求・依頼して同乗する行為 〇麻薬等運転 〇運転、無免許運転に関し自動車等を提供する行為及び要求・依頼して同乗する行為 〇酒酔い・酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反運転、積載制限違反運転、放置駐車違反の下命・容認 自動車使用制限命令違反 妨害運転 |
安全運転管理者選出後の流れ
安全運転管理者選出後は、15日以内に届出を出す必要があります。その後、安全運転管理者は道路交通法にもとづいて、法定講習を受講しなくてはなりません。届出を出さなかった場合、罰金を課せられる恐れがあるので注意しましょう。
選任後15日以内に届出をする
安全運転管理者を選任したら、15日以内に管轄の公安委員会に届出を提出しましょう。これは道路交通法第74条の3第5項で定められています。届出方法は次の3パターンがあります。
- 管轄する警察署の交通課窓口へ行く
- 管轄する警察署の交通課へ郵送する
- 警察行政手続きサイトでオンライン申請
違反すると、罰則の対象となるため注意してください。
法定講習を受講する
安全運転管理者に選出された人は、年1回公安委員会が行う法定講習の受講が必須です。法定講習では、道路交通法遵守や自動車の安全な運転に必要な知識を学びます。選任後、管轄公安委員会から講習受講の通知と講習申出諸書が送付されます。受講しなければ、業務を続けることができないので必ず受けましょう。
安全運転者管理制度における罰則
安全運転管理制度には、4つの違反に対する罰則が設けられています。2022年の道路交通法改正により、安全運転管理者の選任違反は最大10倍になるほど厳罰化されました。
選任義務違反
安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しない場合は選任義務違反に該当します。2021年に起きた、飲酒運転のトラックによる児童5人が死傷した事故を受け、2022年10月の道路交通法改正で厳罰化されました。違反すると50万円以下の罰金が科せられます。
解任命令違反
公安委員会が安全運転管理者の解任命令を出した場合に適切な手続きを取らず、職務を続けることは解任命令違反です。違反すると50万円以下の罰金が科せられます。
是正措置命令違反
自動車の使用者に対する是正措置命令が出された後も適切な対応を取らなければ、是正措置命令違反になります。違反すると50万円以下の罰金が科せられます。
選任解任届出義務違反
安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合は、選任解任届出義務違反です。違反すると5万円以下の罰金が科せられます。
安全運転管理者の業務内容
安全運転管理者は以下の業務を行う責任を負います。
①運転者の状況把握
運転者の適性や技能、知識などを把握する。
②運行計画の作成
放置駐車違反行為や過労運転の防止など、安全運転の確保に留意して運行計画を作成する。
③交代要員の配置
長距離運転や夜間運転を行う場合、疲労などで安全に運転できない可能性があるときは、必要な交代の運転手を準備する。
④異常気象時等の安全確保の措置
異常な天候や自然災害など、運転に支障が出る場合は、安全運転を確保するための措置を取る。
⑤安全運転の指示
運転者に点呼を行い、自動車点検の実施状況や過労などで運転をできない可能性があるかを確認。安全運転を確保するために必要な指示をする。
⑥運転前後の酒気帯び確認
運転者に対して、酒気帯びがあるかを目視やアルコールチェッカーを使用して確認する。
⑦酒気帯び確認の記録・保存
酒気帯びの確認結果を記録し、1年間保存。合わせて、アルコール検知器を常時有効に保持する。
⑧運転日誌の記録
運転者に運転開始・終了時の日時や距離などの必要事項を記録させ、運転状況を把握する。
⑨運転者に対する指導
運転の技術や知識など、安全な運転に関する情報を運転者に指導する。
安全運転管理者の業務負担を軽減する「ALPiT」
ALPiTは、アルコールチェックを自動化・一元管理化できるクラウド管理サービスです。専用のアプリから測定結果と記録義務項目を送信すると、自動的にクラウドへ保存されます。一元管理によって、複数拠点の状況も把握が可能です。自動記録ができ、安全運転管理者の業務負担を大幅に削減できるでしょう。
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安全運転管理者を選任して安全運転の促進につなげよう
安全運転管理者は、職場の安全運転を確保するための業務を担当する責任者です。選任基準は、保有する自動車の台数によって決まっています。交通事故を発生させないためにも安全運転管理者の体制を整えて、安全運転の促進につなげましょう。また、安全運転管理者の業務負担を削減するためにも、自動化・一元管理ができる「ALPiT」の導入を検討してみてください。
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