業務に一定台数の自動車を使う企業は、安全運転管理者を選任して安全運転の促進や事故防止への取り組みを図る必要があります。ただ車の台数などによっては選任が必要ないケースも。その具体例や選任を怠った場合の罰則について解説します。安全運転管理者の業務をサポートする「ALPiT」についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
アルコールチェッカーをご検討の方へ
◆この資料でわかること
・アルコールチェック義務化について
・義務化対策状況のアンケート調査結果
・アルコールチェッカー導入のポイント4選
・アルコールチェックのクラウド管理について
資料ダウンロードはこちら
【基礎知識】安全運転管理者とは
一定台数以上の自動車を使用する企業や事業所には、安全運転管理者を選任する義務があります。まずは安全運転管理者とはどんな役割を担うのか、どんな人がなれるのかを解説します。
安全運転管理者の業務
会社の車両運行における安全確保を行うのが安全運転管理者の役目です。主な業務は以下の通りです。
- 運行計画の作成
- 交代運転者の配置
- 異常気象時などの措置
- 点呼や日常点検
- 酒気帯びの有無の確認(アルコールチェック)
- アルコールチェックの運転日誌の備え付け
- 安全運転指導
安全運転管理者は安全な環境を整え、法令や規則を守り、業務効率化を図るため総合的な業務を担当します。さらに、業務効率化やコスト削減も重要な業務です。運行ルートの最適化を図ることで、車の燃料消費を抑えコスト削減につなげます。
2022年4月1日からはアルコールチェックが義務化され、2023年12月からはアルコールチェック検知器を使ったチェックが義務化されました。安全運転管理者は運転前後のドライバーの酒気帯びを、目視や計器を用いて確認します。アルコールチェックの結果は記録に残し、1年間の保存が必要です。
必要な資格
安全運転管理者は、緑ナンバーで選任が必要な運行管理者のように試験を受ける必要はありません。道路交通法施行規則第9条の9第1項に基づき、次の要件を満たす必要があります。
<安全運転管理者の要件>
- 20歳以上(安全運転管理者の補佐をする副安全運転管理者が置かれている場合は30歳以上)
- 自動車運転管理の実務経験が2年以上ある
- 過去2年以内に安全運転管理者の解任命令を受けていない
- 過去2年以内に違反行為をしていない
保有台数が多い場合は副安全運転管理者も必要
20台以上の自動車を使用している事業所では、安全運転管理者に加えて副安全運転管理者も選任する必要があります。副安全運転管理者になるには、道路交通法施行規則第9条の9第2項により、以下の要件を満たす必要があります。
<副安全運転管理者の要件>
- 20歳以上
- 自動車運転管理の実務経験が1年以上、または運転経験が3年以上ある
- 過去2年以内に安全運転管理者の解任命令を受けていない
- 過去2年以内に違反行為をしていない
安全運転管理者の選任が必要なケース
自社が安全運転管理者を設置しなければいけないかどうかは、次の条件を確認してみてください。
- 乗車定員11人以上の自家用自動車を1台以上使用している
- 5台以上の自家用自動車を使用している(原動機付自転車を除く自動二輪は1台につき自動車0.5台として計算)
安全運転管理者の選任が必要ないケース
白ナンバーの自動車を使っているすべての会社に、安全運転管理者の選任義務があるわけではありません。安全運転管理者の選任が必要ないのは、以下のケースです。
- 車の台数が5台未満
- 各事業所の台数がそれぞれ5台未満
- マイカーを通勤だけに使っている
- 運行管理者を選任済み
- 法人の敷地内専用の車両使用
- ナンバーのない特殊車両
- 車の台数が減って5台未満になった
具体例と照らし合わせて、自社に安全運転管理者を設置すべきなのかどうかを確認してください。
ケース1. 車の台数が5台未満
事業所が使用する自動車の台数が5台未満であれば、安全運転管理者の選任義務は発生しません。リース車両やレンタカーを業務に使用する場合も同様です。車両の名義に関係なく、安全運転管理者専任の対象自動車にカウントされます。しかし5台未満であれば、安全運転管理者の選任は必要ありません。
ケース2. 各事業所の台数がそれぞれ5台未満
本社と支社、営業所など複数の拠点で自動車を使用する企業の場合、選任の必要があるか迷いやすいところです。例えば本社が3台、支社が3台の場合、会社として保有するのは合計6台になります。安全運転管理者の選任は各事業所の台数を基準としているので、この場合は安全運転管理者の選任は必要ありません。本社が5台、支社が3台の場合は、本社にのみ選任義務が発生します。
ケース3. マイカーを通勤だけに使っている
従業員のマイカーを通勤だけに使用する場合は、安全運転管理者の選任義務はなく、車両の制限もありません。使用状況の管理監督ができないため、事業者の責任範囲外です。
ケース4. 運行管理者を選任済み
運送業など緑ナンバーの車両を保有する事業所で、すでに運行管理者を配置している場合が該当します。白ナンバーの自動車が5台以上あっても、新たに安全運転管理者を選任する必要はありません。
ケース5. 法人の敷地内専用の車両使用
法人内の移動だけに自動車を使い、敷地外の業務に使用しない場合が該当します。
ケース6. ナンバーのない特殊車両
農耕用のトラクターやフォークリフトなど、ナンバーのついていない特殊車両は台数にカウントされません。これらの車両を5台以上保有していたとしても、安全運転管理者の選任は必要ありません。ただしナンバーのついた小型特殊車両や大型特殊車両については台数に計上されるため、5台以上保有しているならば選任が必要です。
ケース7. 車の台数が減って5台未満になった
安全運転管理者を選任している事業所で、使用する自動車の台数が減って5台未満になった場合は、安全運転管理者を解任します。届出用紙に必要事項を記入し、所轄の警察署窓口に提出します。
安全運転管理者の選任が必要な事業所のやることリスト
安全運転管理者の選任が必要なことが分かったら、次の手順に沿って手続きを行います。届出内容や方法などを確認し、スムーズに進めましょう。
安全運転管理者を選任する
資格要件を満たす人を1名選任します。20台以上自動車を使用する場合は、副安全運転管理者も選任する必要があります。
選任した日から15日以内に届出をする
安全運転管理者を選任した後は、選任した日から15日以内に管轄の警察署へ届出をします。所定の用紙に記入し、管轄する警察署の交通課窓口へ直接行くか、郵送する、またはオンライン申請で届出が可能です。郵送に対応していない警察署があるので、事前に確認をしてから手続きを進めてください。
年1回の法定講習を受講する
法定講習では安全運転に関する技能や法令情報など、安全運転管理業務遂行に必要な知識を学びます。講習の日程や受講手数料は都道府県により異なり、オンラインで受講できる場合も。管轄の警察のホームページで、詳細を確認できます。
届出内容に変更が生じたら再度手続きをする
管理者が交代したり、自動車の台数が減ったりと、届出内容に変更が生じたら手続きが必要です。交代の場合は前任者の解任と後任者の選任が、安全運転管理者の選任対象から外れる場合は、解任手続きが必要です。
安全運転管理者の選任を怠った場合の罰則
2022年の道路交通法改正により、安全運転管理者の選任違反は最大10倍になるほど厳罰化されました。選任を怠った場合はもちろん、解任手続きを取らなかった場合にも罰則が課せられます。
選任義務違反
2021年に起きた飲酒運転のトラックによる児童5人が死傷した事故を受け、2022年10月の道路交通法改正で厳罰化されました。安全運転管理者の選任義務の対象であるにもかかわらず、企業や事業所が選任しない場合は選任義務違反となり、50万円以下の罰金が科せられます。
解任命令違反
安全運転管理者の解任命令が出されても適切な手続きを取らず、職務を続ける場合は解任命令違反となります。50万円以下の罰金が科せられます。
是正措置命令違反
自動車の使用者に対して是正措置命令が出されても適切な対応を取らなかった場合は、是正措置命令違反となります。50万円以下の罰金が科せられます。
選任解任届出義務違反
安全運転管理者の選任や解任を適切に届け出ない場合は、選任解任届出義務違反となります。5万円以下の罰金が科せられます。
安全運転管理者の業務負担を減らす「ALPiT」
ALPiTは、アルコールチェックを自動化・一元管理化できるクラウド管理サービスです。安全運転管理者の業務負担を大幅に減らして効率化でき、コスト削減にもつなげやすいのが特徴です。専用のアプリから測定結果と記録義務項目を送信すると、自動的にクラウドへ保存されます。複数拠点の状況も把握可能。月額料金にはアルコールチェッカー代が含まれ、寿命が近づいたら交換用のセンサーが届きます。
<ALPiTの詳細はこちら>

安全運転管理者の選任が必要なのか必要ないのかを正しく把握しよう
事業所の交通事故を防止し、業務効率化やコスト削減といった役割を担う安全運転管理者。車両の安全を守る重要な立場ですが、アルコールチェックが義務化されてからより一層負担が増しています。安全運転管理者の業務負担を減らせるALPiTの自動化・一元管理ができる「ALPiT」の導入を検討してください。
※こちらに掲載されている商品情報・価格・キャンペーンは掲載日時点での情報です。
※価格は変動することがございますのであらかじめご了承ください。