近年、さまざまな原因によって電気代の高騰が続いています。企業が安定して事業を継続していくためには、電気代を削減することも大切です。自社の電気代も高くなり、節約できないか悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
電気代を削減するためには、節電対策が効果的です。本記事では、電気代を削減したい企業や担当者に向けて、電気代を削減する具体的な方法を解説します。また、電気代が高騰している背景や電気代の削減を検討する際のポイントも紹介します。

電気代高騰の背景

電気代は、2022年初頭から大きく値上がりしました。その背景には国外の社会情勢だけでなく、国内のさまざまな要素が深く関係しています。
燃料価格の高騰
電気代が大きく値上がりした原因の一つは、燃料価格の高騰です。
発電には、石炭・石油・LNG(液化天然ガス)などの燃料が必要になります。日本では、これらの燃料による発電に頼っているのが現状です。
燃料価格の高騰は、電気代の値上がりに直結します。2022年初頭からは、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まりました。中東地域の政治情勢やウクライナ侵攻などにより、燃料価格が変動したことが電気代高騰の大きな要因です。
日本国内の電力供給低下
国内での電力供給が低下すると、電気代の値上がりにつながります。
2011年3月に発生した東日本大震災では、国内の多くの原子力発電所が停止せざるを得ませんでした。原子力発電所の停止は国内の電力供給を低下させ、電力需要がひっ迫する事態に陥りました。
さらに2016年4月からは、電力自由化が始まり、消費者の選択肢が増えました。一方で多くの火力発電所が休止または廃止に至り、国内の電力供給は低下し続けており、電気代の値上がりを加速させています。
再エネ賦課金値上げの影響
電気代の高騰は、再エネ賦課金の値上げも関係しています。
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギー特別措置法に基づき、電力会社が再エネで発電された電力を買い取るための費用です。負担するのは、原則として電力を契約するすべての法人や個人です。再エネ電力の買取量が増えるにつれて、再エネ賦課金の単価も上昇しています。
また、2023年10月からスタートしたインボイス制度により、再エネ電力の買取に関する電力会社の負担が増えたことで、今後さらに上昇する見通しです。
再エネ賦課金の単価の推移や計算方法などは、こちらの記事で詳しく紹介しています。再エネ賦課金の負担を軽減する方法も紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
再エネ賦課金とは?単価の推移や計算方法、オフィスの負担を軽減する方法を紹介
企業が電気代を削減する方法

企業が負担する電気代は、取り組み次第で削減可能です。企業が電気代を削減する方法の例は、次のとおりです。
- 不要な照明を消灯する
- 照明をLEDに交換する
- エアコンの設定温度を見直す
- 空調を買い替える
- OA機器の省エネモードを活用する
- 電力会社を見直す
- デマンドコントロールを導入する
- 太陽光発電を導入する
まずはすぐに取り組める方法から実践し、電気代の削減につなげましょう。
不要な照明を消灯する
オフィスのなかには、会議室や休憩室のように常時使用しない部屋があります。常時使用しない部屋の照明は、こまめに消灯するようにしましょう。
不要な照明の消灯は、資源エネルギー庁の「節電アクション」でも効果的な手段として示されています。「節電アクション」によると、使用していないエリアの消灯を徹底することで、3%の節電効果が見込めるとされています。
ただし、廊下や階段などの照明をこまめに消灯する場合は、暗くなり過ぎないように注意しましょう。
オフィス内の照明は、時間帯や用途などの状況に応じてコントロールすることが大切です。当社のLiCONEX(ライコネックス)は、スイッチ一つで照明の明るさや光色を調節することが可能です。
状況や用途にあわせて照明を調節できるため、節電対策につながります。LiCONEXを導入した場合、導入費や製品代といった初期費用を含めても、62%のトータルコストを削減できます。
※出典元:資源エネルギー庁「節電アクション」
〈LiCONEX(ライコネックス)の詳細はこちら〉

照明をLEDに交換する
オフィスで使用している照明が水銀灯や蛍光灯の場合、LEDに交換することで大きな節電効果が期待できます。
たとえば当社のHf蛍光灯(インバーター式34W)から直管LEDランプ40形(ECOHiLUX HE190S 2000lm10.5W)に交換した場合、最大約69%の電気代削減につながります。
水銀灯や蛍光灯は、今後使用できなくなるので注意が必要です。水銀に関する水俣条約の締約国会議により、水銀灯は2021年から製造及び輸出入が禁止されています。蛍光灯に関しても、2027年末までに製造及び輸出入の禁止が決定しています。
また、すでにLEDを使用しているオフィスでも、古いモデルから最新のものに交換すると節電効果を高めることが可能です。
当社では、さまざまなタイプのLED照明を取り揃えております。節電の方法に関するご相談も承っておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。
〈当社のLED照明や節電に関するご相談はこちら〉
エアコンの設定温度を見直す
企業が電気代を削減する際には、エアコンの設定温度の見直しも検討してみましょう。
一般的なオフィスビルでは、エアコンの電力消費が多くを占めているのが現状です。
資源エネルギー庁の「節電アクション」によると、一般的なオフィスビルの消費電力は、エアコンが48%を占めていることがわかっています。
また、資源エネルギー庁の「家庭でできる節電アクション」によると、温度設定を冷房時に1度高くする、暖房時に1度低くすることで、約10%の消費電力の削減につながるとされています。
エアコンの使い方次第では、大きな節電につながる可能性があるため、従業員に負担がかからない程度に設定温度を見直してみましょう。
また、大きな節電につなげるためには、当社のエナジーセーバーを設置するのも手段の一つです。
エナジーセーバーは空調の快適さを損なわず、最大50%の省エネを実現できるAI搭載の空調制御システムです。AI技術を活用して最適温度に自動設定できるため、担当者の負担軽減にもつながります。
※出典元:資源エネルギー庁「節電アクション」
〈エナジーセーバーの詳細はこちら〉

空調を買い替える
古い空調を使用している場合は、最新かつオフィスに適したものに買い替えると、電気代の削減が期待できます。
古い空調は冷暖房効率が低く、余分な電力を消費するため、電気代が高くなりやすい側面があります。近年は、省エネ性能に優れた空調も数多く発売されており、買い替えると節電につながるでしょう。
また、オフィス内の冷暖房効率を高めるためには、サーキュレーターとの併用もおすすめです。
空気には温めると上に、冷ますと下に移動する性質があります。サーキュレーターを設置し、空気を常に循環させれば、空調のパフォーマンスを上げ、電気代の削減につながります。
OA機器の省エネモードを活用する
資源エネルギー庁の「節電アクション」によると、一般的なオフィスビルのOA機器の電力消費は16%を占めていることがわかっています。OA機器の電力消費は、空調48%、照明24%に次ぐ3番目に多い割合です。
そのため、空調や照明と同時にOA機器の節電に取り組むと、大幅な電気代の削減につながる可能性があります。
OA機器を使用する際には、省エネモードやスリープモードを有効にしましょう。省エネモードやスリープモードを活用すると、約3%の節電効果が期待できます。
また、古いモデルのOA機器には、省エネモードやスリープモードが搭載されていないことがあります。古いモデルを使用している場合は、新しいモデルに買い替えて省エネ対策しましょう。
※出典元:資源エネルギー庁「節電アクション」
電力会社を見直す
2016年4月からは、電力が完全自由化され、法人や個人は電力会社を自由に選べるようになりました。電気代が高いと感じている場合は、電力会社の切り替えを検討してみましょう。
料金プランには、従量電灯プランと市場連動型の2種類があります。従量電灯プランは、電力の使用量に応じて電気代が段階的に上がっていくプランです。
一方の市場連動型プランは、市場価格に応じて電力量料金の単価が変動するプランです。市場連動型プランの場合、燃料価格の高騰の影響を受けにくく、市場価格が安い時間帯であれば電気料金を抑えられる可能性があります。
ただし、電力会社を切り替える際には違約金が発生することもあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
デマンドコントロールを導入する
企業の電気代を削減するためには、デマンドコントロールを導入するのも一つの方法です。デマンドコントロールとは、使用する電力量を監視・調整し、消費電力量を計画的にコントロールする仕組みです。
電力の基本料金は、過去12ヶ月の期間で最も高い30分のデマンド値が基準となります。電気代を抑えるためには、デマンド値を上げ過ぎないように注意して電気を使用することが大切です。
オフィスにデマンドコントロールを導入すると、無駄な電力消費を抑えられるため、最大デマンド値の上昇を避け、電気代の節約につながります。
なお、デマンド値の詳細やデマンドコントロールを導入するメリットなどは、こちらの記事で紹介しています。
電気代を左右するデマンド値とは?計算方法やデマンド値を抑える方法を解説
太陽光発電を導入する
電気代を抑えるためには、太陽光発電を導入し、自家消費するのも手段の一つです。自社の電力供給用に太陽光発電を導入すると、電気代の大幅な削減が期待できます。
太陽光など再生可能エネルギーによる発電は、化石エネルギーとは異なり、CO2の排出量を抑制できます。CO2の排出量の削減は世界的な課題となっており、自社が太陽光発電を導入することは社会貢献の一環となるでしょう。
太陽光発電を導入する際には、PPA事業者に依頼すると初期費用が不要です。PPA事業者とは、施設所有者の敷地や屋根に太陽光発電設備を所有、管理する事業者です。太陽光発電設備の設置はPPA事業者が行うため、企業は初期費用を負担せずに導入できます。
また、自家発電・自家消費をしている場合は、再エネ賦課金の負担も対象外です。
企業が電気代の削減を検討する際のポイント

最後に、企業が電気代の削減を検討する際のポイントを解説します。ポイントを把握し、自社の電気代削減に向けて取り組みましょう。
従業員の健康と快適な環境を優先に考える
企業が電気代を削減する際には、従業員の協力が必要です。ただし、節電を重視し過ぎないように注意しましょう。
節電を重視し過ぎると、空調を使用しても快適に過ごせる環境にならず、体調を崩す従業員が出てくる可能性もあるためです。照明を暗くし過ぎた場合、従業員の業務に支障を来すおそれもあります。
そのため、企業が電気代を削減する際には、節電を重視し過ぎず、従業員の健康や快適に過ごせる環境づくりも考慮するようにしましょう。特に空調や照明は業務効率にも影響するため、従業員の様子を見つつ取り組むことが大切です。
PDCAサイクルを回す
電気代の削減に取り組む際には、PDCAサイクルを回すことを心がけましょう。PDCAサイクルは、次の4つのステップで構成されています。
- P=計画(Plan)
- D=実行(Do)
- C=検証(Check)
- A=改善(Action)
まずは、電気代を削減するためのプランを立てます。プランに沿って取り組みを実施したあとは、結果につながったかを確認するための検証が必要です。検証の段階で課題が明らかになれば、改善策を検討します。
自社に適した電気代の削減方法を見つけるためには、PDCAサイクルの流れを意識し、何度も繰り返すことが大切です。
電気代の削減はできることから始めてみよう

燃料価格の高騰や電力供給の低下、再エネ賦課金の値上げなどの影響から電気代の高騰が続いています。
さらに2024年5月には、政府が実施している激変緩和措置が縮小することで、大手電力会社が電気代の値上げをする予定です。
電気代の高騰はしばらく続く見込みのため、企業でも何らかの対策が必要となるでしょう。
この記事では、電気代を削減する方法を紹介しました。まずはすぐにできる対策から実施し、徐々に取り組みの幅を広げていくのも手段の一つです。
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