2023年12月より検知器を使ったアルコールチェック義務化がスタートしました。アルコールチェックは対面が原則のため、直行直帰の多い企業や事業所の場合、どう対応して良いのか気になる方もいるでしょう。この記事では、直行直帰のアルコールチェック対処法やアルコールチェックの流れ、怠った場合のリスク、効率化する方法について紹介します。

直行直帰も!2023年12月より検知器を使ったアルコールチェックが義務化
2022年4月以降、従来の緑ナンバー(タクシーやバス、トラックといった事業用車両)だけではなく、白ナンバーの社用車や営業車を保有する事業者にもアルコールチェックが義務化されました。さらに2023年12月からは、検知器を使ったアルコールチェックが義務化されましたが、これは直行直帰の場合にもあてはまります。
はじめにアルコールチェック義務化の背景について紹介します。
アルコールチェック義務化の背景
もともと運転前のアルコールチェックが義務化されていたのは緑ナンバーだけで、白ナンバーは対象外でした。
ところが2021年6月に、千葉県八街市で飲酒運転をした白ナンバーのトラックが児童をはね、死傷させる事故が起きてしまいます。運転前のアルコールチェックを義務化していなかったことが事故原因のひとつだとして、大きな問題になりました。
二度とこのような事故が起きないよう、飲酒運転の取り締まり強化を目的として道路交通法改正が行われ、白ナンバーの車両にもアルコールチェックが義務付けられたのです。
アルコールチェックの内容
業務で自家用車を使用している場合でも、運転開始前および運転終了後にアルコールチェックが必要です。2023年12月からは目視などによる確認に加え、検知器を使ったアルコールチェックが義務化されました。
運転業務の前後、出勤、退勤時などにアルコールチェックをし、記録内容は1年間の保管が必要です。もちろん直行直帰の場合も例外ではなく、アルコールチェックを行う義務があります。
直行直帰時に行うアルコールチェックの流れと記録簿の記載項目
ここでは、直行直帰時に行うアルコールチェックの流れと安全運転管理者がやるべきことを紹介します。
アルコールチェックの流れ
直行直帰の場合は、以下の流れでアルコールチェックを実施します。
- 運転前に電話やビデオ通話などを使い、安全運転管理者の目視による顔色とアルコール検知器の検査結果を確認する
- 運転者が記録簿にアルコールチェックの結果を記入する
- 運転業務開始
- 運転後に電話やビデオ通話などを使い、安全運転管理者の目視による顔色とアルコール検知器の検査結果を確認する
- 運転者が記録簿にアルコールチェックの結果を記入する
- 運転者は安全運転管理者に記録簿を提出する(紙で管理している場合は、出社時に提出する)
- 記録簿の内容は安全運転管理者がチェックし、記入漏れなどがあれば運転者に修正を依頼する
- 内容確認が終わった記録簿は、作成日から1年間保管をする
アルコールチェック記録の必要項目
記録簿の様式に規定はなく、Excelなどを使って作成しても問題ありません。またデータ、紙媒体のどちらであっても、国家公安委員会から記録簿の提出を求められる場合があるため、適切に保管しましょう。
<記録簿に必ず記載する項目>
- 運転者の氏名
- 確認者の氏名
- 確認日時
- 自動車ナンバーや識別できる番号
- 確認方法(アルコール検知器の有無/対面でチェックできなかった場合の具体的な確認方法)
- 酒気帯びの有無
- 指示事項(その他必要事項)
運転免許証の有効期限、天候、運転者の健康状態なども記録しておくと、アルコール以外の原因で起こる事故を未然に防ぐことにつながります。
直行直帰でのアルコールチェックで注意する点
直行直帰でのアルコールチェックにはいくつかの注意点があります。対面に比べると運転者の様子がわかりにくいだけに、声や受け答えの様子などをしっかり確認しましょう。またアルコール検知器の管理についても紹介します。
一方的な報告やセルフチェックは認められていない
メールやFAXなど、一方的な方法での報告は認められていません。また安全運転管理者を含め、セルフチェックも認められていません。先述の通り、時間外や休日であっても安全運転管理者、副安全運転管理者、補助者のいずれかの人間がアルコールチェックに対応する必要があります。
数値だけではなく運転者の様子もしっかり確認する
直行直帰のアルコールチェックは、電話やビデオ通話の画面を通して行うため、対面する場合に比べると運転者から得られる情報が少なくなってしまいます。そのため、アルコール検知器の数値だけに頼り過ぎず、顔色や声の調子、体の揺れ、受け答えの様子などをしっかりチェックすることが大切です。
アルコール検知器の数や寿命を管理する
直行直帰の場合、運転者1人につき1台のアルコール検知器が必要です。国家公安委員会が指定しているアルコール検知器は、アルコール検知による酒気帯びの有無・濃度を警告灯や警告音、数値で示す機能があれば、性能に関する要件は問われません。
ただし低価格の検知器は記録機能が不十分な可能性もあり、対面で行えない直行直帰のアルコールチェックには、特に高品質な検知器を購入する必要があるでしょう。
安全運転管理者は、アルコール検知器の管理も大切な業務です。不足がないよう、十分な数の準備が必要です。また持ち忘れがないよう、運転者に確実に持たせる工夫、車両に備え付けておくなどの対策も必要です。アルコール検知器には寿命があるため、その管理も忘れずに行ってください。
直行直帰のアルコールチェック│3つのポイント
アルコールチェックは対面で行うのが原則ですが、会社や事業所に立ち寄ることがない直行直帰の場合はチェックのタイミングや方法をどうすれば良いのか迷う部分もあるでしょう。直行直帰のアルコールチェックについて、3つのポイントを紹介します。
①通常と同じく出発前と帰宅時の2回行う
直行直帰の場合、どこまでが通勤時間や労働時間なのか判断が難しく、アルコールチェックのタイミングを迷うかもしれません。労働基準局の解釈では、会社や上司の指揮命令下におかれている間が労働時間です。移動中であっても、上司の指示で仕事をしている場合は労働時間に含まれます。
アルコールチェックを行うタイミングは事業所で行うのと同じく、自宅からの出発前と帰宅時の2回です。事後報告は法令違反にあたるため、注意しましょう。
②対面に準じた方法で対処する
アルコールチェックは対面で行うのが原則ですが、直行直帰で対面が困難な場合は以下のような対面に準じた方法で実施が可能です。
<実施方法>
運転者にアルコール検知器を携帯させて行います。
- 安全運転管理者が、カメラやモニターなどを使い運転者の顔色、声の調子、アルコール検知器の結果を確認する
- 安全運転管理者と運転者が、携帯電話や業務無線などを使って直接会話する方法で、声の調子の確認と、アルコール検知器の結果を報告する
③休日や時間外の管理体制を整える
アルコールチェックは、直行直帰が早朝や深夜の場合でも行います。原則として、アルコールチェックは安全運転管理者や副安全運転管理者が担当しますが、業務時間外や休日でどちらも不在のケースもあるでしょう。その場合は補助者が担当することが可能です。補助者の選任基準は特にないため、誰でも担当できます。
しかしいずれの場合も、チェックの責任者は安全運転管理者です。もし補助者のチェックで酒気帯びが確認された場合は、安全運転管理者に報告をし、必要な対応の指示を受けます。そして安全運転管理者が運転中止の指示を運転手に出す流れです。こういったケースも想定し、管理体制を整えておくことが大切です。
義務化されたアルコールチェックを怠った場合のリスク
アルコールチェックは義務化されているため、実施を怠ってしまうと罰則を受ける可能性があります。ここでは、アルコールチェックを怠った場合のリスクについて紹介します。
安全運転管理者の業務違反に該当する
アルコールチェックは、安全運転管理者の業務として道路交通法施行規則で定められているため、法令通りに行われなかった場合は業務違反に該当します。
現在、直接的な罰則はありませんが、安全運転の確保に問題がある場合や、著しい業務違反があった場合は、公安委員会から安全運転管理者の解任などの処分を受ける可能性があります。
アルコールチェックを怠り、運転手が業務中に飲酒運転で事故を起こした場合は、運転手だけではなく安全運転管理者や企業も責任を問われることになるでしょう。
酒酔い運転、酒気帯び運転をした場合は罰則が課せられる
もし酒酔い運転、酒気帯び運転をしてしまった場合は、運転者だけではなく企業や同乗者にも責任が及びます。罰則は酒酔い運転か酒気帯び運転かで異なります。
酒酔い運転
飲酒をして酔っぱらっている状態で運転することを酒酔い運転といいます。アルコールチェッカーの測定結果にかかわらず、運転者の動静で判断されます。
- まっすぐ歩けない
- ろれつが回っていない
- 受け答えがまともにできない
酒気帯び運転
アルコールチェッカーの結果、呼気中のアルコール濃度で判定されます。
- 呼気中のアルコール濃度が0.15mg/L以上
- 血液中のアルコール濃度が0.3mg/mL以上
酒酔い運転 | 酒気帯び運転 | |
運転者 | 5年以下の懲役 または 100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金 |
車両提供者 | 年以下の懲役 または 100万円以下の罰金 | 3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金 |
酒類の提供者・車両の同乗者 | 3年以下の懲役 または 50万円以下の罰金 | 2年以下の懲役 または 30万円以下の罰金 |
直行直帰のアルコールチェックの効率化にはクラウド化がおすすめ

直行直帰のアルコールチェックを効率化するなら、クラウド化がおすすめです。アルコールチェックの義務化によって、安全運転管理者の業務が増加し負担が大きくなっています。
紙の帳簿で管理すると、後から記録簿を提出する直行直帰の場合は、提出漏れが起こる恐れがあります。またチェックの結果を1年間保存する必要があるため、紙の帳簿管理には手間がかかり、保管場所の確保やコストも必要です。
アルコールチェックをクラウド化すれば、結果をデータで送信でき、管理・保存もしやすくなります。業務効率化につながるだけでなく、コストカットも実現しやすいでしょう。
さらにスマホとの連動型なら、直行直帰でも測定しやすく、データはリアルタイムでクラウド上に保管されます。安全運転管理者の業務軽減とアルコールチェックの効率化のためにも、クラウド管理を検討してみてください。
直行直帰のアルコールチェックにおすすめ「ALPiT」

アイリスオーヤマの「ALPiT」は、アルコールチェックの記録をクラウドで一元管理できるサービスです。導入実績は500社を超え、低コストで業務効率化を実現できます。
アルコール検知器協会会員企業によるサービスだから安心して利用でき、紙で管理するよりも効率良く、コストを抑えられる点などが魅力です。
いつでもすぐに検査でき管理も簡単
場所を選ばず使える端末と専用アプリで、すばやく検査・すばやく検査結果の送信が可能。運転者がスマホにアプリを入れて検知結果を記録するだけで、管理者用のクラウドから帳票を管理できます。
任意の質問も作成でき、クラウドに自動記録されるため管理も簡単。さらに最大3年間の記録が見返せるため、万が一提出を求められたときもスムーズに対応できます。
運転日誌機能もあり、走行距離の記録や車両運転履歴としても活用できます。安全運転管理者が管理しなければならない帳簿すべてがALPiTのみで一元管理できることから、直行直帰が多い事業所におすすめのサービスです。
買い替えの必要がなくコスト面も魅力
アルコール検知器の寿命の管理や買い替えなども、安全運転管理者の業務です。ALPiTは検知器の寿命が近づいたら新しい端末が届くため、寿命の管理や買い替えなどの面倒な業務が必要ありません。低コストのため、1人に1台支給しても紙で管理するより約3割のコストダウンが可能です。
全国一括管理ができる
管理者/拠点管理者の割り振りができ、全国一括管理も可能です。活用事例としては、本社総務と全国20拠点の安全運転管理者、各部署の所属長まで管理者に設定し、チェックの漏れをなくす取り組みをしている企業もあります。
〈ALPiTの詳細はこちら〉
https://www.irisohyama.co.jp/b2b/camera/products/alpit/
アルコールチェック義務化により直行直帰時でも必ず実施を
アルコールチェック義務化により直行直帰時でも必ず実施を

アルコールチェックは対面で行うのが原則ですが、直行直帰の場合も行わなければなりません。今回紹介した手順を参考にして、適切にアルコールチェックができる体制を整えましょう。直行直帰が多い企業や事業所では、どこでも対応できるクラウド型サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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