多くの企業が直面する社内の業務停滞や人員不足。これらの課題を解決するためには、業務効率化が必要不可欠です。しかし、具体的なアイデアが見つからないと悩む方も少なくありません。
本記事では、社内改善に取り組む担当者に向けて、業務効率化のメリットと具体的なアイデアを解説します。期待できる効果や具体的な施策を把握して、改革への不安を解消しましょう。
また、業務効率化の進め方や注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
業務効率化とは?
業務効率化とは、社内の業務を見直して、ムリ・ムダ・ムラの3つを合わせた通称「3M」を無くすことです。
業務の偏りや納期の過剰なプレッシャー、無駄な会議時間など、『ムリ』『ムダ』『ムラ』の要素を重視して業務を見直します。単純に「効率化する」という意味ではなく、3つの視点から非効率な部分を無くすことがポイントです。
業務効率化は従業員の勤務体制の改善だけでなく、会社全体の利益向上にも貢献します。会社の持続的な成長を促すために欠かせない取り組みです。
■「業務改善」や「生産性向上」との違い
業務効率化に似た概念として「業務改善」や「生産性向上」があります。
「業務改善」は効率化を目指す手段として用いられます。業務効率化とほぼ同じ目的を持ちますが、より具体的な手法を指すのが特徴です。業務効率化は、業務改善によって達成される中間目標と言えます。
「生産性向上」はより大きな成果を目指す取り組みです。業務効率化は「利益を出すスピード」を向上させることに重点を置きますが、生産性向上は限られた資源をより大きな成果につなげることに焦点を当てます。資源の効果的な活用が鍵となります。
なお、生産性向上を達成するためには、現状のムダを排除する業務効率化が不可欠です。両者は異なる概念ですが、いずれも会社の利益向上に貢献するための一連の取り組みと言えます。
業務効率化を進めるメリット
業務効率化に取り組む際には、具体的な利益やメリットが見えてこないと、モチベーションを維持するのが難しくなることがあります。ここからは業務効率化を進めるメリットを整理してみましょう。
■コストの削減
業務効率化を進めると、これまでの業務に要していた作業時間や残業時間が短縮され、それに伴う人件費や残業代の減少が期待できます。
業務効率化によって削減したコストは、他の設備に投資したり、従業員の教育や福利厚生などに振り分けたりすることが可能です。企業全体のインフラや技術力の向上、従業員の能力向上などにつながります。
■生産性の向上
業務の効率化により、たとえば従来では一日かかっていた業務を半日で完了させられるかもしれません。これにより、企業の利益が増大する見込みがあります。
また、生産性が向上して従業員の余裕が増えれば、業務の幅を広げたり、重要案件に集中する時間を作ったりすることも容易になります。また、個々のスキルや集中度が向上すれば、業務の品質向上も期待できます。
■従業員のモチベーションアップ
業務のなかに存在するムリ・ムダ・ムラは、従業員のモチベーションを予想以上に影響を与えていることがあります。業務効率化によって「3M」を削減できれば、従業員の負担が軽減され、仕事へのモチベーションが向上することが期待できます。
また、モチベーションが向上すると、安定的かつ迅速に業務の結果を出しやすくなります。
業務効率化の進め方
業務効率化においては、計画的に順序立てて進めることが重要です。現状の問題点を把握し効率化すべきところを的確に改善することで、より高い生産性を確保することができます。
ここからは業務効率化の進め方について、工程ごとに見ていきましょう。
1.現状を把握する
改善する箇所を見定めるために、まずは社内の業務状況を把握するところから始めましょう。部署ごとに必要な人・物・スキル・工数などの情報を収集します。
情報を可視化することで業務にかかっているリソースが見えてくるため、足りない人・物や、非効率な点を表面化できます。
2.改善すべき業務を見定める
次に表面化された情報をもとに、現時点で改善すべき業務や工程を見定めていきます。人員不足やコストがかさむなど、具体的に非効率だと思われる業務をリストアップします。
同時に、改善すべき業務に関する課題を整理しておくことも大切です。これは、どのように対処するかを計画する際に役立ちます。
3.業務効率化のための解決策を練る
改善すべき業務をまとめたら、効率化をするためにどのような策が適切かを考えます。たとえば前述の人員が足りない業務なら、次のような解決策があげられます。
- 繫忙期だけ人員補充を行う
- 工程を自動化できるツールを活用する
- 必要のない工程を省く
単純なリソースの補充というだけではなく、効率化するために多角的な視点から「3M」を削る策を考案することがポイントです。
また、改善すべき業務が複数ある場合は、優先順位を決めてから始めましょう。
すべてを同時に進めると、マンパワー不足や効率化に伴う検証の対応に追われてしまいます。効率化といっても現場にも無理を強いてしまう可能性もあるため、順番に施策を進めてください。
4.検証とブラッシュアップを繰り返す
業務効率化の解決策を実際に検証しましょう。
ただし、業務効率化のアイデアを実行するだけでなく、実施前と実施後の情報をデータ化して収集することが重要です。
また、従業員のフィードバックも収集し、業務効率化が効果を上げているかどうかを確認しましょう。もし効果が不十分だった場合は、原因を特定するために調査を行います。施策のブラッシュアップを行い現場で再検証することで、より効果的な業務効率化が実現できます。
業務効率化の具体的なアイデア
業務効率化にはどのような策があるのでしょうか。ここからは一般的な業務効率化の具体的アイデアをご紹介します。自社の業務効率化の参考にしてください。
■マニュアルの作成
業務のマニュアルを作成することで、効率化を図ることが可能です。
これまで各自が個別に進めていた業務や、特定の人にしかわからなかった業務も、マニュアル作成によってスムーズに進められます。マニュアルは、誰でも理解しやすいものを作成することが重要です。わかりにくいマニュアルは、確認作業に人員を割くことになり、かえって業務が滞る可能性もあります。
図や詳細な説明を盛り込み、従業員からの意見も取り入れながら、実用性の高いマニュアルを作成しましょう。完成後の改善を続けることも大切です。
■業務の自動化
従業員の得意不得意を整理し、得意な業務に再配置することで効率化が可能です。従業員に不得意な業務に慣れさせるための時間を費やすよりも、得意な業務を担当してもらうほうが、より効率的に結果につながることもあります。
また、「人員を見直す」という意味では、部署や案件ごとに人員が適切かどうかを再考することも重要です。適切な人員数を配置することで、業務を円滑に進めやすくなります。
さらに人材配置の見直しの一環として、一部業務を自動化する方法もあります。たとえば清掃作業には、自動清掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」を導入することで、床面清掃にかかっていた人員リソースを削減できます。導入した企業さまでは、業務効率が約44%向上したという結果もあります。ぜひ導入をご検討ください。
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■ペーパーレス化
業務や会議に必要な書類などをペーパーレス化することも、業務効率化のアイデアの一つです。
ペーパーレス化は、文書や書類を印刷する代わりに、クラウドなどのデジタル環境で共有し、各個人のパソコンなどから自由にアクセスできるようにする取り組みです。また、紙に印刷されていた情報をデジタル形式に変換することもペーパーレス化に含まれます。
文書を印刷し、整理する手間を省くことで作業効率が向上し、業務の効率化が実現します。
また、ペーパーレス化によって申請手続きなどがスムーズに行われるようになれば、作業時間短縮も期待できます。
■リモートワークの導入
リモートワークを導入することで、通勤時間を無くすアイデアもおすすめです。
従業員は通勤に要していた時間を仕事に充てることができ、業務に集中できる環境が整います。また、時間や場所に制約されずに業務を進められるメリットもあります。
ただしリモートワークは、人によっては集中しにくい、コミュニケーションがとりづらいといったデメリットがあります。
導入する際は、終業時間の設定や進捗の管理ツールの導入、従業員同士のコミュニケーション手段の構築なども検討が必要です。
■チャットツールの導入
業務効率化には、チャットツールの導入も有効です。円滑なコミュニケーションを確保するために役立ちます。
迅速かつリアルタイムで情報共有や連絡が可能で、電話やメールによるやり取りの手間や時間を軽減できます。
また、過去のやり取りを簡単に確認できる利点もあります。特にリモートワークでは、効率的なコミュニケーションを実現するためにチャットツールは必要不可欠です。
■会議・面接のオンライン化
会議や面接はオンラインで実施することで移動時間を短縮できます。特に遠方の取引先や地方の面接希望者への対応では、メリットが大きくなるはずです。
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■アウトソーシングの活用
社内で人的資源が不足していたり、対応が難しい場合には、アウトソーシングを活用するのもよいでしょう。
アウトソーシングとは、外部の専門家や企業に業務を委託することです。専門的な業務を任せることで、効率的に業務を進められます。
アウトソーシングには、外部の専門企業に業務を委託する方法や、フリーランスの技術者に依頼する方法などがあります。依頼したい業務に応じて適切な選択肢を検討しましょう。
■無線制御システムの活用
オフィス内の照明設備を無線制御システムで管理することで、照明の操作といった付帯業務の削減や、消し忘れによるムダな電力消費の削減を実現することができます。
当社の「LiCONEX(ライコネックス)」は高速&安定した通信を実現する無線制御システムです。時間帯や空間の用途、状況にあわせた照明の明るさや色味の設定が可能で、管理業務の手間や電力消費のムダを削減できます。
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業務効率化の施策を進める際の注意点
最後に業務効率化の施策を進める際の注意点をまとめました。
■検証の際に現場の意見をしっかり聞く
業務効率化を進める際は、現場の従業員の声を重視することが重要です。「導入した施策は効果があるか」「不便さやミスはないか」といった具体的なフィードバックを入手するため、従業員の意見を丁寧に聞きましょう。
改善策を取り入れることなくして、業務効率化は成功しません。実際に業務が停滞してしまうリスクも考えられます。そのため、現場の意見を取り入れて改善点を見つけることが不可欠です。取り組みの後も現場の声に耳を傾け、さらなる改善策を模索しましょう。
■必要な業務まで削らない
業務効率化を追求する際に、業務の本質を見失わないように注意しましょう。効率化のみに注力してしまうと、余分な手間やコストがかかる可能性があります。
あくまでも非効率な部分を削ることが目的なため、実務的に必要なフローかどうかヒアリングをしながら進めましょう。
■手段を目的化しない
業務効率化は目的ではなく、手段であるということを忘れずに進めることが大切です。たとえば、会議時間を短縮するために時間を制限した結果、業務の調整や相談が不足するようでは本末転倒です。
業務効率化の目的は「他の業務に時間を回すために無駄な時間を減らすこと」です。従業員からの意見を積極的に取り入れながら、定量的に評価しましょう。
適切な業務効率化のアイデアを実行しよう
企業の成長には、業務効率化が欠かせません。ムリ・ムダ・ムラを取り除くことで、従業員の働きやすさはもちろん、企業全体の生産性向上にもつながります。
本記事でご紹介したアイデアは業務効率化に役立つものばかりですが、会社ごとの課題に合った適切な方法を選ぶことが大切です。業務効率化できそうな部分を洗い出し、問題点や解決策をしっかり見定めてください。
適切な業務効率化のアイデアを取り入れて、働きやすく生産的な企業の発展を目指しましょう。