ペット企業だからできる、ペット世帯へのサポートとは?
こころでは賞味期限間近、缶にへこみができてしまったなど、安全ですが流通に乗せることが難しいフードを消費者まで届けるという事業をされていますね。
- 雫石
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こころさんのペットフード二次流通に関しては、その考え方自体がすばらしいと思っています。
我々もフードロスは出さないよう、しっかりと計画を立て、生産を行っておりますが、それでも様々な事情で、賞味期限間近の商品は生まれてしまいます。
従来のペット業界においては、フードロスについて積極的に語ることはありませんでした。 しかし、こころさんの活動では二次流通のイメージ自体を変えることから丁寧にスタートされています。 - 菅沼
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少し、この事業を立ち上げたきっかけからお話しさせていただくと、元々私は園芸用品を扱っておりまして、知人の紹介でペット用品を売ってみたというのがスタートです。
賞味期限が切迫したフードを扱ってみたところ、非常に速いサイクルで購入されていく。 どういう方が購入されるのか、純粋に興味を持ちました。 -
その興味から購入者様へヒアリングを行ったところ、愛護団体様であったり、多頭飼いをされる方とつながりました。
そこで初めてこういう世界があることを知ったんです。
さらに深堀をしていくと、信じられない量のペットフードが廃棄されていることも分かってきました。
ここでアクションを起こせば、いい循環が生まれるかもしれないと、事業をペットフードに切り替えたのはその時です。 必要としている人がたくさんいるのに廃棄されてしまうフードがある。本当に必要な人に届けたい、つなげたい、そういう思いでした。
事業は順調に軌道に乗ったのですか?
- 菅沼
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立上げ当初2年ほどはメーカーとのコミュニケーションがうまくいかない時期がありました。
メーカーが良い商品を開発したにも関わらず、うまく流通に乗れず、商品が滞留しているケースも在します。 しかし、その商品を私たちの流通に乗せて、ちゃんとペットオーナーやその先のペットの元に届ける。 そして試してもらって「ペットが喜んで食べる、これを食べさせたい」とお客様が店頭に買いに来てくれる。そこに新しいサイクルが生まれる。 こういったことの積み重ねで徐々にメーカーからの信用を得てきました。 - 雫石
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さらに物流も難しいところだと思います。
弊社も食品事業を行っているので、賞味期限のある商品を鮮度管理することの大変さは身に染みて分かっています。 賞味期限が短い商品の仕入れと販売ということですと、さらに管理が難しくなってくると思うのですが。 - 鵜飼
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JANコードが同じ商品が大量に入荷するわけではなく、賞味期限が違う商品が、今日、明後日と少数不定期に入荷します。
こういった状況を管理できるシステムが、まず世の中に存在していませんでした。
倉庫内にワンちゃんと猫ちゃんの絵を描いて、その前に商品を並べてみて…という手探りの時期もありました。 失敗を重ねながら、一つひとつDX化を検討したどり着いたのが、3軸を管理できるロケーション配置です。
通常はJANコードとロケーションの情報があれば、縦軸横軸の管理ができますが、そこにもう一つ賞味期限という斜め軸が入ってきてしまうので、 この3軸を管理するためにはフリーロケーションしかありませんでした。 入荷商品を決められた場所に配置するのではなく、入荷の都度、3軸管理ができるマスターデータを作るという仕組みをスタートさせました。 -
▲こころの3軸管理ロケーション配置
フードロス削減という理念だけではなく、それを実現させるための企業努力があったのですね。
アイリスオーヤマでも、今年からペットオーナーとペット双方のための取組をスタートしたと聞いていますが。
- 雫石
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ペットオーナーとペットの関係は、空間的にも精神的にもますます近しくなってきています。
同じソファ、同じベッドを共有して…人間1、2人にペットという家族構成も珍しくないと思います。
そうした中で当社は、オーナーもペットも活き活きと過ごせるような商品の開発を強化しています。
▲PLYWOODペットベッド- 例えば、多忙なペットオーナーさんが楽にペットのお世話ができるアイテム。 一方のペットにとっては、お留守番の間、自由で安全、快適に過ごせるファニチャーなどです。
ペットオーナーとペット、その間をつなぐ開発ができればと考えています。
- 雫石
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もう1つ力を入れているのがペット防災です。
東日本大震災から11年経ち、今はペット同行避難が基本となっていますが、災害時のペットの保護体制はまだ十分とは言えません。 ペットアレルギーを持つ方との調整、スペースの問題から、ペットが避難所に入ること自体が難しいこともあります。 また被害が大きい場合、公的支援が届くまで3日それ以上の時間が必要となってしまいます。
弊社では、災害直後にペットオーナーとペットをサポートできる商品の開発を進めています。 - 菅沼
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私たちもペットフードの通信販売をさせていただいているので、何かしら寄付できないか、各避難所に問合せをしたことがあります。
でも実際には支援物資を送っても避難所で必要な方に分配することができず、却って迷惑になってしまうというお話も聞いています。
ただ私たちのユーザーには、こういった寄付活動・支援を日常的に行っている方がいらっしゃいます。 災害時に支援セットなどを提供することで、実際に被災者の方へ届くような仕組みができればと考えております。
アイリスさんの避難セットも扱えれば、店舗での紹介や寄付など新しい取り組みができるかと思いますね。
- ▲雫石さんと愛猫バロン