復旧は速やかに、復興は時間をかけて
「復旧は速やかに、復興は時間をかけて」というのが会長の健太郎の考えでした。
精米事業への参入
東日本大震災後、甚大な被害を受けた地域への復興支援として、当社は2013年4月に農業生産法人舞台ファームと宮城県仙台市に精米事業の共同出資会社「舞台アグリイノベーション株式会社」を設立しました。
(2025年1月に社名をアイリスアグリイノベーション株式会社に変更)

当時、舞台ファームは設立から10年ほどの会社で、代表者は15代続いた大農家でしたが、津波で農地の3分の2が浸水し、倒産寸前でした。そこで、被災地支援と東北の農業復興のため、農商工連携で「簡単・おいしい・便利」をコンセプトに米の生産・販売を目的とし、設立しました。
東北の企業として、どうすれば東北の復興に貢献できるか。考え抜いた結果、農業ビジネスを興し、競争力を高めることを決めました。
また、被災地を中心とした若者のビジネス参入の機会を提供し、これまで農作物として位置づけられていた“製品”としてのコメを“商品”に変えることで、TPPに影響されない農業ビジネス化を目指してきました。
アグリソリューションによる農業支援
2017年、アイリスグループの舞台アグリイノベーション株式会社は、福島県南相馬市小高区(旧小高町)にて株式会社紅梅夢ファームと連携し、稲作の営農再開の支援を始めました。
日本農業の抱える、農業者の高齢化と減少、担い手の不足、耕作放棄地の増加などの課題を解決するため、生産者とともに消費者のニーズに変化対応する新しい日本の農業を形作ることを目的としました。
地元自治体である南相馬市からも多大な支援を得て、「地元農業者」「アイリスグループ」「地元自治体」の三位一体の体制で取り組むことができました。
「株式会社アイリスプロダクト」設立
2019年6月、東日本大震災および原子力災害によって大きな被害を受けた福島県の復興を目的とし、株式会社アイリスプロダクトを設立いたしました。

東日本大震災および原子力災害により深刻な被害を受けた福島県浜通り地域の復旧・復興には、産業の回復による雇用の創出が必須です。そのため国と県・市町村および民間事業者が一体となり、国家プロジェクトである福島イノベーション・コースト構想を中心に産業集積や雇用拡大、交流人口の拡大などに取り組みました。その一方で、浜通り地域の持続的成長を支えるためには、新たな産業基盤の構築が求められていました。
そこで、アイリスグループの幅広い事業展開を通じて培った製造業のノウハウと強固な流通ルートをより一層活用するため、福島県南相馬市の復興工業団地に総投資額50億円の集合型工場を新設し、従業員50人以上の雇用を創出します。
新工場にはアイリスグループのノウハウを活用したロボットによる高効率生産ラインやIT及びIoTを活用した受発注予測・生産計画管理システムを導入します。また、福島イノベーション・コースト構想の一環として、地域企業のロボット導入に向けた支援や福島ロボットテストフィールドの活用促進への貢献などの活動も展開していきます。
最後に
東日本大震災の発生から10年という節目を迎え、「震災10年とアイリスのあゆみ」としてこれまでの取り組みをお話させていただきました。「当時のことを忘れず、今、なにができるのか。」と考えるきっかけにしていただけると幸いです。