工事いらずで手軽に設置!ポータブルクーラーの魅力を家電ライターがチェック

工事いらずで手軽に設置!ポータブルクーラーの魅力を家電ライターがチェック

年々話題となる地球規模での気温の上昇。2023年の夏も猛暑が予想されており、熱中症対策は必須となりそうです。しかし、すべての部屋にクーラーを設置できなかったり、必要な時だけスポット的にクーラーを使いたいというご家庭もあるのではないでしょうか。そんな時におすすめしたいのが「ポータブルクーラー」。今回は、家電ライターの藤山哲人氏にエアコンとの違いやメリット、選び方のポイントを伺いました。また、アイリスオーヤマのポータブルクーラーを実際に設置から試してもらい、魅力を語ってもらいました。

工事いらずで手軽に設置!ポータブルクーラーの魅力を家電ライターがチェック

藤山 哲人

あらゆる家電を使い込んで比較する技術系家電ライターとして、「家電Watch」や「DIME」など多数の媒体で執筆。「家電おじさん」「体当たり家電ライター」の異名を持つ。TBS系列バラエティ番組「マツコの知らない世界」には5回出演。

年々重要になる暑さ対策

温度計
気象庁によると、2022年6月~8月の日本の平均気温は、平年を0.91度上回り、1898年の統計開始以来、2010年に次いで2番目に高かったと発表。原因として”日本の南の海上を中心に、太平洋高気圧の張り出しが強まったことに加え、地球温暖化で大気全体の温度が上がっていたことも考えられる”としています。
また、近年では屋外だけでなく、室内でも熱中症で搬送される人のニュースも頻繁に耳にするようになりました。
暑さ対策としてよく使用されるのは、クーラーや扇風機などの家電製品です。ただし、クーラーを設置する場合設置工事が必要となり、設置場所やスペースによっては設置ができない場合もあります。そんな時におすすめなのが「ポータブルクーラー」です。今回はそんな「ポータブルクーラー」の基本知識から、実際の設置を家電ライターの藤山哲人氏に教えてもらいました。

―エアコンやヒーター、ストーブ、コタツ、電気毛布など暖房器具にはいろいろな製品がありますが、冷房器具にはどのような種類がありますか?

インタビューを受ける藤山氏
まずは扇風機などの送風によって涼感を得られる冷風機器です。次にいわゆる"冷房"と呼ばれる機器としては、エアコンやクーラーがあります。これらは室内と外気の熱を交換して室温を下げる仕組みのもので、スポットエアコンやスポットクーラー、ポータブルクーラーと呼ばれるものもその中に含まれます。
また、エアコンやクーラーを効率的に冷やすために、サーキュレーターを使用することもあります。

―ポータブルクーラーとエアコンの違いを教えてください

アイリスオーヤマのポータブルクーラー
どちらも吸い込んだ空気を冷風と温風に分け、吹き出し口からは冷たい風を、排気口からは温かい風を逃がす仕組みです。エアコンはそれを行うための室内機と室外機が分かれていて、1台で冷房と暖房の両方の機能を担っています。

ポータブルクーラーは室内機と室外機が一体になっていて、冷房専用であるのが特徴です。一台で熱交換を行うため、熱風を外に逃がすためのダクトは必要になりますが、設置工事が不要な点がメリットです。室外機がないので、移動ができる点も便利です。

―ポータブルクーラーを選ぶ際のポイントは?

窓のサッシ
まずは畳数=適用床面積をチェックして、設置するスペースの広さに見合った性能のものを選んでください。そして意外に重要なのが静音性です。内部にコンプレッサーを搭載しているので、稼働音や振動音がどうしても響いてしまいます。ガレージなどで屋外に設置する際はあまり気になりませんが、居住空間に設置する場合は特にチェックしておきたいポイントです。

設置のしやすさは、どのメーカーのものでも大きな違いはないと思いますが、排熱したい場合は窓から排熱を逃すように設置したいので、取り付け用のプレートが付属しているか、別売なのかはチェックが必要です。半間(90㎝)用のプレートが付いているものは多いのですが、それ以上の高さの窓の場合、対応したプレートが別売で用意されているか確認してください。
最近は"ハイサッシ"と呼ばれる天井近くまで高さのある窓を採用している住宅も多いですから、その場合は1間(180㎝)とか2メートルまで対応しているプレートが用意されているかもポイントになります。
加えてチャイルドロック機能があれば、小さなお子さんや猫などのペットを飼っている場合は安心ですね。

―ポータブルクーラーを設置する際の注意点を教えてください

寝室に設置したポータブルクーラー
「熱と水をどこに逃すか」という点です。先程お伝えした通り、ポータブルクーラーは排熱のため排気ダクトの設置が必要となります。そのため、窓が近くにある場所か、熱を逃がすための場所が必要となります。
エアコンは、空気が熱を失って凝縮した水(ドレン水)の排出が必要なので室外機からドレン水を流していますが、ポータブルクーラーはノンドレン方式というものを使っているので、排水の手間がかからないというメリットがあります。
ただし、湿度の高い場所や室内環境によってはドレン水の蒸発や排出が追い付かず、内部に水が溜まることもあるので、その場合は排水が必要です。

バケツなどを用意して排水するのですが、水は時間とともに溜まっていきますので、頻繁に取り替えるのが面倒な場合は容量20Lぐらいのキャンプ用のバケツやポリタンクがおすすめです。

―「ポータブルクーラー」はどんな家庭や場所に適していますか?

インタビューを受ける藤山氏
設置工事の必要がないので、室外機を置けない部屋や原状復帰が求められる賃貸住宅でも気軽に利用できます。ガレージへの設置にもおすすめです。コンパクトな本体で底面にキャスターも付いていて移動もしやすいため、キッチンやサニタリールームなどにも便利だと思います。

ただし、先程お伝えした通り、窓が近くにない場合には、本体スペースに加えて排熱ダクトや排水のためのスペースも必要になることを考慮した上で検討してください。

アイリスオーヤマのポータブルクーラー「IPA-2222G」の実力は?

―実際にポータブルクーラー「IPA-2222G」を使ってみていかがでしょうか

IPA-2222G
まずデザインですが、表面がマット調の処理がされていて落ち着いた印象があって好印象です。
プラスチック成形でこの加工をやるのは高度な技術が求められるのですが、日用雑貨なども多数手掛けているアイリスオーヤマだからこそできる技術だと思います。プラスチック樹脂の扱いはさすがですね。
ダクトの取り付け
本体の設置も、基本的にはドライバーなどの工具を使わずにパーツの取付ができるのがいいですね。
私は慣れているので数分でできますが、初めて使用される人も取扱説明書を見ながらカンタンに取り付けることができると思います。接合部分はツメがついていてカンタンに外れないようになっている工夫も嬉しいです。

窓にパネルを設置する様子
今回は別売りで販売している「ロング窓パネル IPAM-AL200」も使用してみましたが、こちらは200cmまで対応しているので、大概のおうちで設置ができるでしょう。
こちらもドライバーなどの工具が不要なので、本当に簡単です。高さ調整はスライド式で行うことができ、ロックやレバーを締めたり、緩めたりするだけで完結します。DIYで家具の組み立てができる人であれば、まったく問題なく設置できると思います。
付属のパネルはプラスチック製ですが、このパネルにはアルミ素材を採用しているので、より丈夫です。
操作パネル
操作パネルもスッキリ整理されていてわかりやすいと思います。リモコンも用意されているので、遠隔操作ができるのも便利だと思います。1つ残念なのは、本体にはチャイルドロックが付いていないので、ネコを飼っている我が家としては残念ですが…ボタン式なので指でしっかりと押さなければならず、よほど器用なネコちゃんでない限り大丈夫でしょう(笑)。
アイリスオーヤマのポータブルクーラー「IPA-2222G」と藤山哲人さん
また、リモコンには「内部洗浄」ボタンがついていて、運転が終わった後しばらくの間ファンをまわして本体内部を清潔に保ってくれるそう。カビによる嫌なニオイやアレルギーなどのリスクを抑えてくれるのはありがたいです。
フィルター
お手入れに関しても、背面と側面のエアフィルターを簡単に取り外すことができるのでカンタンです。掃除機でホコリを吸い取って、水洗いをしたら完了です。2週間に1回程度掃除するだけなので手間にならないでしょう。
アイリスオーヤマのポータブルクーラーと藤山哲人さん
消費電力も755/870Wと控えめで、5.5合炊きの炊飯器と同等、ドライヤーよりも低い数値です。これは、電気代が高騰している昨今のご時世ですのでありがたいですね。
少し専門的な話になりますが、R410Aという冷媒を使っているので、小さな筐体で、より冷たい風を出せるように、高圧で冷暖房能力が高い冷媒を使っているんだなと納得しました。
アイリスオーヤマのポータブルクーラー「IPA-2222G」
気になる運転音は、中にコンプレッサーが入っているので、「強運転」にすると音がしますね。静かとまでは言えないですが、ポータブルクーラーとしては一般的なレベルだと思いますよ。小さい割に冷たい風がしっかり出て、ポータブルエアコンでは性能が高いと思います。

ぜひ一度、販売店などでチェックしてみてはいかがでしょうか。

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