IRIS OHYAMA アイリスオーヤマ

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アイリス物語

アイリスオーヤマは、プラスチック製品の下請け町工場「大山ブロー工業所」として創業しました。
「アイリス物語」では、現在に至るまでのアイリスグループの歴史を連載でお届けします。

第五話大ヒット商品の誕生

1980年代後半。ホームセンターに革命を起こした大ヒット商品が次々と誕生します。

1987年 ペット用品発売

プラスチック製犬舎 プラスチック製犬舎

きっかけは、当時小学校へ通っていた健太郎の子供たちが「犬を飼いたい」と言い出したことでした。
その頃、犬は一般的に番犬として外で飼われていることが多く、ベニヤ板で作られた犬小屋が主流でしたが、雨に弱く、尿の臭いがこもり、掃除も大変でした。
時代の変化とともに犬はファミリーの一員となっていきました。
そうした時代の変化にもかかわらず、売り場には、従来どおりのベニヤ板製の犬小屋が並んでいました。そこで、家族の一員として、犬が快適に過ごせる環境を作るためプラスチックの簡単なフェンスを作りました。
たった1メートル四方の狭いサークルでも、犬は鎖に縛られることなく自由に動きまわれます。また、犬小屋に関しても、プラスチックの成型技術を生かして、カラフルで水に強く、清潔で掃除も簡単な犬舎を作り、爆発的なヒットとなりました。
人間と同じファミリーという目線で考えると、犬にも快適な生活をさせてあげたいという思いが湧き上がり、これが後に発売するペット用トイレやシーツ、室内用のハウスやサークルなどの商品化に結びついていきます。

1989年 クリア収納ケース発売

クリア収納ケース クリア収納ケース

日本では昔から、伝統的な収納として、タンス、長持、行李(こうり)などが使われてきました。生活が豊かになるにつれ、女性はもちろんのこと男性も、いろいろな服を着るようになり、衣類はどんどん増えていきました。
ところが、タンスのサイズも収納スペースも、昔と変わりません。そのため、衣類の収納については、どこの家庭でも大変苦労していました。
そこで、普段着るものはタンスに、それ以外は段ボールやプラスチックの箱に収納して、半年あるいは一年保管するということが当たり前になっていたのですが、いざ取り出して着ようと思った時に、どこに何を入れておいたのか、わからなくなることがよくありました。
主流となりつつあったプラスチックの衣装ケースでさえ、カラフルに着色されたものでしたが、これらの箱は、「しまう」ということを重視して中身が見えない形となっていました。
しかし、生活者の視点からいえば、家庭で求められているのは、「しまう」ことよりも「探す」ことではないか。この発想も健太郎の体験によるものでした。あるとき、釣りに行こうとして、着たいと思っていたセーターが見つからず、いくつかのケースを開けた最後に探していたセーターが出てきたことがあり、そこから、しまったものがすぐに取り出せる、「中身が見える収納」を思いつきました。これは生活者視点から生まれた気づきです。

中身が見える便利さは、衣装ケースだけでなく、引き出し収納や多段チェストへと広がりを見せ、従来使用していた段ボールや着色されたプラスチック容器から、クリアな収納容器に置き換えが進んで、大きな需要を創造することができたのです。

(第六話に続く)

『世界の収納を変えるクリア収納ケース』
現在のアメリカ工場・ウィスコンシン工場
現在のアメリカ
ウィスコンシン工場
日本で大ヒットしたクリア収納ケースはアメリカでも多く普及しました。
アメリカの収納は日本と違って家も広く、収納スペースも広いので、「しまう」という不満はありません。しかし、「探す」という不満があるという仮説を立て、アメリカ法人を設立しカリフォルニアに進出しました。発売当初、アメリカのバイヤーは「市場の収納用品よりも価格が高いものは売れない」と否定的でしたが、テスト販売では「中身が見えて便利だ」と高く評価され、収納用品は2年もたたないうちにアメリカでも広く普及しました。また、後にヨーロッパをはじめ各国でも透明収納の文化が広まっていったのです。