IRIS OHYAMA アイリスオーヤマ

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アイリス物語

アイリスオーヤマは、プラスチック製品の下請け町工場「大山ブロー工業所」として創業しました。
「アイリス物語」では、現在に至るまでのアイリスグループの歴史を連載でお届けします。

第九話メーカーベンダーのシステム化

健太郎には、単なる「メーカー」ではなく「メーカーベンダー」であるという大きな自負がありました。「メーカーベンダー」という経営スタンスによって、他のメーカーとは発想の違う革新的な商品開発や物流の合理化、情報の活用を行っているからです。
通常企業規模が拡大すると、商品数が増え、在庫管理や販売予測がより複雑化し、難易度が上がることで企業経営は困難に陥ります。
しかし、アイリスオーヤマの「メーカーベンダーシステム」は年間を通じて確実に、かつ迅速に多品種の商品を供給するために「商品」「物流」「情報」の3点をシステム化することで克服し、企業規模が拡大するごとに、メリットを生み出しながら円滑に回転し、収益性を高めています。

物流ネットワーク

メーカーが製造の他に問屋機能を完全に揃えられたのは、アイリスオーヤマが独自に開発したシステムが支えています。
このシステムにより、販売店であるホームセンターとホストをオンラインで結び、EOS(エレクトロオーダーシステム) による注文がアイリスオーヤマのホストコンピューターに情報が入ります。各工場の在庫を管理するホストコンピューターは、注文と同時に工場別の在庫の引き落としを行います。適正在庫に不足する分は自動的に補充され、将来予測の修正がされて生産指示が出され、受注から生産、配達指令もすべてこのコンピューターがコントロールしています。
コンピューターシステムによる効果は、受注から発送までのリードタイムが極端に短縮されるメリットのほか、小ロット多品種納品も可能となりました。ホームセンターの仕組みは店頭販売数を発注するため、市況の変化を早く読み取り、需要予測の的中率向上により、見込み生産を90%近い受注生産率に置き換えることができるようになりました。

在庫システム

また、全国の店舗ごとに、商品の売り上げや営業所別、担当者別の販売情報がすぐにわかるオンラインシステムを構築し、商品毎の流通在庫がコンピューターによって正確につかめるので、生産計画の見直しや在庫調達などが効果的に行えるようになりました。
品種を大量に広げながら、在庫は半月から一ヶ月分まで圧縮した一方で、欠品率は0.4%以下に抑えることが可能になりました。
こうした面からも新商品の開発や営業戦略の展開でも、販売店との直接取引の強みが発揮され、オンラインの情報が確かに役立つことを立証しました。
しかし、何もしないで売れたのか、売り場の工夫で売れたのかという点は判然としません。営業マンが臨店することで、売り場の状況や商品の消費者受け、競合他社の商品の動向が直接吸い上げられ、コンピューターの正確な情報と営業マンの生きた情報を組み合わせることで、本当のお客様ニーズをつかもうと考えました。
そこで、地域規模で典型的な200店舗を選出し、これらの平均を基準店舗として、営業が店舗訪問の際に当該店舗と基準店舗の売り上げを比較し、当該店舗のチャンスロスと強みを分析した資料を提供することで、コンサルティングの役割を果たし、ホームセンターとアイリスオーヤマの絆はより強くなり互いに成長していきました。

こうした売り場支援の情報提供は、小売店の成長なくしてはアイリスオーヤマの成長はないと断言する健太郎の信念に基づいた、「メーカーベンダー」ならではのサービスといえます。

※EOS(エレクトロオーダーシステム)とは・・・
受発注の効率化や迅速かつ正確な発注作業などが可能になる企業間のオンライン受発注システム。

(第十話に続く)

いち早くIT化へ
いち早くIT化へ
製造と卸という二つの機能を担うことで、会社の事務作業量は膨大になりました。処理を可能にしたのは情報技術(IT)の取り組みでした。70年代後半から経営改革の中でいち早くコンピューターを積極的に導入し、システムを開発することで、IT能力を蓄えたことが、膨大な商品の生産、保管、流通を管理することにつながっています。