アイリスオーヤマは、プラスチック製品の下請け町工場「大山ブロー工業所」として創業しました。
「アイリス物語」では、現在に至るまでのアイリスグループの歴史を連載でお届けします。
第十七話ネット通販事業の始まり
2001年にはグループ企業の「アイリスプラザ」がインターネット通販事業を始めました。
当時、当社のメイン取引先はホームセンターでした。当時、当社の商品は約7,000点ありましたが、店舗の売場には限りがあり、全ての商品が展示されているわけではありませんでした。また、全国のほぼすべてのホームセンターとお取引いただいていたため、ホームセンター間での差別化のニーズに応え、機能・外観を少し変えた商品を多数開発していました。その結果、当社の商品を一カ所で検討・購入できる機会がありませんでした。
そのため、生活者の皆様より当社へ「この製品はどこに行けば買えるか」といったお問合せを度々頂くようになり、ご要望に応える形で電話で受注する仕組みを設けました。その後、インターネットが普及し始めたことを受け、お客様にとってより利便性の高いインターネット通販の仕組みが立ち上げられました。売れ筋商品以外のニーズにもくまなくお応えできるのが、売場スペースが無限にあるインターネット通販でした。2004年に米WIRED誌の編集長クリス・アンダーソン氏が提唱した「ロングテール理論」をかねてから事業に反映していたと言えるでしょう。
社内にシステム構築やインターネット技術に長けた人材が育っていたこともネット通販事業開始の大きなポイントでした。直前に“2000年問題”があり、対応のために人材が増強されていたのです。
仙台市内にあったアンテナショップの一角、わずか5名のスタッフで事業はスタート。商品に関するお問合せのお電話を下さった方やアンテナショップにお越しになった方へサイトをご案内し、お客様になって頂きました。当時はお客様もインターネットになじみが薄く、操作や入力方法を電話で説明することもしばしばでした。
数千にも及ぶアイリスオーヤマ商品の画像やスペックの登録を地道に積み重ねた結果、ラビットケージのようなニッチな商品や、メタルラックの追加パーツなど店舗では選んだり、探したりするのが難しい商品も徐々に売上が伸びるようになりました。

ネット通販事業を始めたことにより、店頭だけでは満足して頂けないお客様に対しても、インターネットを介してサービスを提供する基礎を作ることができました。
(第十八話に続く)