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アイリス物語

2018年は、アイリスオーヤマがプラスチック製品の下請け町工場として創業してから60年。
「アイリス物語」では、アイリスグループの歴史を連載でお届けします。

第十八話アイリスチトセの設立
〜損益マネジメントによる企業再生〜

2001年には国内初のM&Aを行い、新たな企業をグループに迎え入れました。民事再生法を申請した老舗家具メーカー「チトセ」の営業権を譲り受け、「アイリスチトセ」を設立したのです。

当時のアイリスチトセの主力商品は子供用の学習机でした。保管や運送にコストがかかり、需要期が限られる“人がやりたがらないビジネス”だからこそチャンスが大きいと考え、新商品開発や営業活動のテコ入れを行いました。しかし、3年が経過しても業績は上向かず、学習机のビジネスからは早々に撤退することになってしまいました。

スクールセット スクールセット 弾力性があり、長持ちする樹脂製物入れ 弾力性があり、長持ちする樹脂製物入れ

学習机は見限ったものの、アイリスチトセにはもう一つ有望な商材がありました。学校用のパイプ椅子・パイプ机といったいわゆる「スクールセット」です。スクールセットは自治体への入札営業がメイン。学習机に比べブランドにこだわる顧客が少なく、品質や価格が重要視されます。アイリスチトセの再建を託された大山富生は、木・金属・樹脂など様々な素材を加工できる大連工場の強みを活かせば、コスト・品質ともに競争力のあるスクールセットが作れると考えました。そこで、日本中の学校に納入されているスクールセットを徹底的に調べ尽くし、置き換え可能な製品の開発を指示するとともに、スクールセットの販売に営業活動を集中させることで納入実績を増やしていきました。また、学校関係者のニーズをヒアリングしながら、スタッキングができる机やへこみにくく長持ちする樹脂製の物入れがついた机といったような他社にないソリューションのある製品を開発し業界内での存在感を高めていきました。

結果、アイリスチトセは規模は小さいながらも成長性や収益性で業界随一のメーカーに変身を遂げました。現在では福祉施設向け用品等の新事業やアイリスオーヤマの持つLED照明やオフィス文具の販売にも注力し、提案の幅を広げています。

民事再生法を申請したチトセが利益を出せる会社に生まれ変われたのにはいくつかの要因があります。ひとつは、アイリスオーヤマのユーザーイン発想を製品開発に取り込み、また大連工場を活用することで製品競争力が高まったこと。もうひとつは、事務所や物流センターなどの施設、経理や人事などの間接業務を行う人員をアイリスオーヤマとシェアし、固定費を削減したこと。そして、最も大きな要因は経営の状態を可能な限りオープンにし、社員の働く意欲を引きだしたことです。具体的には、会社全体の業績はもちろん、個人別のコスト・収益までオープンにし、各々が利益を生むために何をすべきかを主体的に考えることを促したのです。

新会社発足当初、大半の営業の個人別損益は赤字でした。赤字の理由はそれぞれですが、なぜ赤字かが分からないだけでなく、そもそも自分の営業活動の結果が利益を生んでいないという認識がない社員も少なくありませんでした。業績が悪化し、運転資金を得るために売上を上げることばかりが意識され、利益について考える風土をなくしていたのです。 しかし、収益やコストの状態が明確にフィードバックされれば、同じ赤字でも売上高が足りないのか、経費がかかり過ぎているのか、また、その経費とは運賃なのか人件費なのか、など分析ができるようになります。何をどう改善すれば利益が出せるようになるのかが分かり、働く意識やモチベーションは大きく変わりました。

伊東浩志(現:ホウトク営業本部長) 伊東浩志
(現:ホウトク営業本部長)

東北支店の支店長を務めていた伊東は当時を振り返り以下のように語ります。 「アイリスチトセになるまでは、利益といっても粗利レベルでしか考えていませんでした。決められた価格でしっかり販売しているのに、どうして会社は赤字なんだろうと思っていました。アイリスオーヤマ式の収益管理に変わった時、事務所家賃や交通費、関連部署の人件費まで把握する仕組みに大いに戸惑いましたが、この仕組みによりこれまでの売り方ではダメだったんだと初めて気づくことができました。重点的に販売する製品も明確に絞り込まれ、初めは好きに売らせてほしいと窮屈にも感じましたが、その結果効率が上がり、収益が上がりだしました。いかに経営やマーケティングというものを意識せずに営業をしてきたか、日を追って痛感するようになりました。」(伊東)

アイリスチトセ設立以降も、健太郎は製造業を中心にM&Aを積極的に行っています。 業績が悪化する企業の共通点は、売上優先の経営であることと“どんぶり勘定”がまかり通っていることです。M&Aでアイリスグループの一員となった企業はいずれもスタッフが収益構造の実態を学び、主体的に利益を生みだす方法を考え抜くことで1−2年のうちに収益を大きく改善しています。

今後も、高い技術がありながら、マネジメントやマーケティングの課題により行き詰まっている企業があれば、積極的にグループの一員に加え、輝きを取り戻させていきたいと考えています。

(第十九話に続く)

アイリスチトセ以降のM&A
アイリスチトセ以降のM&Aは次の通りです。
2006年 ニッテツ・ファインプロダクツのカイロ事業営業権譲受(アイリス・ファインプロダクツ)
2007年 ニッテツ・ファインプロダクツの脱酸素剤事業営業権譲受(アイリス・ファインプロダクツ)
2007年 シンヨー化成(波板等製造)の営業権譲受(アイリスシンヨー)
2008年 ソーコー(人工芝・ゴルフ用品等製造)の営業権譲受(アイリスソーコー)
2008年 ダイシン(ホームセンター)を子会社化
2010年 ホウトク(椅子・机等製造)を子会社化
2014年 ユニリビング(ホームセンター)を子会社化