IRIS OHYAMA アイリスオーヤマ

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アイリス物語

アイリスオーヤマは、プラスチック製品の下請け町工場「大山ブロー工業所」として創業しました。
「アイリス物語」では、現在に至るまでのアイリスグループの歴史を連載でお届けします。

第十九話セールス・エイド・スタッフの導入

当社は2002年より、得意先店舗へのセールス・エイド・スタッフ(SAS)の派遣を開始しました。
その役割は、売場作りの支援、接客や実演販売によるアイリスオーヤマ製品の販売促進です。2015年8月現在、約1000店舗にて活動しています。

セールス・エイド・スタッフ

SAS導入当時、デフレ環境下におかれていた小売業界では、経費を抑えるため店舗の従業員数が削減されていました。そのようななか、一部の店舗では商品が導入・納品されても売場作りや品出しが追い付かず、売場の訴求力が落ちていると健太郎は感じていました。また、従業員の削減だけでなく、正社員からパートタイマーへの置き換えが進められており、充分な商品知識をもとにお客様の悩みに応じた商品をお勧めすることができる店員が少なくなっていることを憂慮していました。生活者の潜在的不満を解決するソリューション型商品は、ただお店に陳列されているだけではそのよさが伝わらないことがあります。セルフ販売中心のホームセンターであっても、私たちの提案をしっかり伝えたい。また、商品知識を持つスタッフがしっかりお客様をフォローする仕組みが求められているはずだと考え、SASの派遣を始めたのです。

SASという今までにない仕組みを根付かせるには一朝一夕ではいきませんでした。一部の得意先からはSASに経費を掛ける位ならば値引きをしてほしいとの声もありました。社内ですら「余計な業務が増える」と後ろ向きな意見が聞かれました。しかし、お得意先様・来店されるお客様、そして当社にとっても大きなソリューションとなるという信念を持ち、担当部門のスタッフはその意図するところを粘り強く伝えていきました。

また、SASは得意先様の店舗に派遣されるため、常に上司や指導者が近くにいるわけではありません。導入初期はフォローが行き届かず、採用してもすぐに辞めてしまうことが少なくありませんでした。健太郎はSASを孤独にしないため、スーパーバイザーによるバックアップ体制を構築し、巡回によるフォロー、エリア別勉強会や販売コンテストなどを通じてモチベーションやスキルの向上に注力させました。

勉強会風景 勉強会・コンテストを通じてスキルやモチベーションをアップ

導入当初、SASの果たす機能は品出しや売場のメンテナンスといった「作業」が中心でしたが、やがて継続的な教育が実を結び、導入から約3年が経った頃より、接客や実演販売を通じお客様に的確な提案ができるようになりました。結果、SASを導入した店舗では商品回転率がアップするなど目に見えて効果が出ています。お客様のなかには、SASと親しくなり出勤日を見計らって来店される方もいらっしゃるそうです。前回購入したものを覚えていて、「今回はこちらではいかがですか」などとご提案するきめ細やかな接客がお客様にご贔屓にして頂けている理由でしょう。

実は、SASの貢献は担当店舗の販売だけに留まりません。売場の画像や成功事例は携帯端末を通じて素早く他店のSASに共有されます。それまでは営業担当が一店一店臨店しながら行っていたことが、組織化されたSASが配置されたことで一気に推進されるようになったのです。

また、全国のSASが本部に向けて送信する日報の件数は1年間に約80,000件。 彼女たちがお客様との対話から見つけた潜在的なニーズや課題は、ただちに商品開発部門にフィードバックされ、商品開発や改善に活かされています。導入から10年以上が経過した今、SASはアイリスオーヤマの事業展開やマーケティング戦略を現場で支える欠かせないものとなっています。

このように、SASは来店されるお客様、お得意先様、当社それぞれにメリットをもたらす「三方よし」の仕組みとして機能しています。

(第二十話に続く)