アイリスオーヤマは、プラスチック製品の下請け町工場「大山ブロー工業所」として創業しました。
「アイリス物語」では、現在に至るまでのアイリスグループの歴史を連載でお届けします。
第二十九話アイリスオーヤマの3つのイノベーション
~①ユーザーイン発想による需要創造のイノベーション~
アイリスオーヤマのこれまでの成長を支えてきたのは3つのイノベーションです。1つ目「ユーザーイン発想による需要創造のイノベーション」。2つ目「メーカーベンダーによる市場創造のイノベーション」。3つ目「業態転換による事業創造のイノベーション」です。皆さんにアイリスオーヤマをより知っていただくために、これらのイノベーションを深掘りしてみようと思います。
はじめに、1つ目の「ユーザーイン発想による需要創造のイノベーション」について。製造業やサービス業における商品・サービス供給の姿勢や戦略は3つです。自社の強みを活かし競争力を維持するプロダクトアウトの考え方です。これは競合が少なく、市場で優位性を持てますが万が一、市場ニーズやトレンドに合致しなければ、製品の特長などが受け入れられない可能性もあります。一方、顕在化している市場ニーズに応えた商品を開発・販売するマーケットインの考え方は、顧客が欲しいと思っているものを提供できますが、価格競争に陥りやすく、商品・サービスが広く普及すると自社の商品・サービスは市場において特別なものでなくなってしまうかも知れません。
アイリスオーヤマもかつては、プロダクトアウトの経営をしていました。 当時20代の健太郎は、高品質で安価な商品を大量に市場へ投入してシェアを獲得し、右肩上がりで成長してきました。そのようななか1978年、オイルショックのリバウンドで倒産の危機に陥り、10年かけて築き上げた会社の資金は僅か2年で底を突く辛い経験をしました。
掃除がしやすく清潔で犬が快適に過ごせるプラスチック製犬舎
「このままでは終われない」そう決意した健太郎は、悩み・考え・調べ抜き、自社の技術を活かしながら、生活者が求める潜在化したニーズを掘り起こし、生活者の不足・不満・不便を解消する商品を開発する「ユーザーイン」に辿り着いたのです。このユーザーイン発想で、プラスチック製の鉢やプランター、犬舎やクリア収納ケースなど数々のヒット商品を発売して需要創造し、まさにイノベーションを巻き起こしました。
中身が見えずに探す不満を解消したクリア収納ケース
その後もアイリスオーヤマのモノ作りは、生活者の視点に立った「ユーザーイン」を基本とした開発を続けており、この考え方は経営の根幹になっています。生活者の代弁者として、多くのホームソリューションを中心に需要創造をしてきたことは現在、日本の課題解決を目指す「ジャパン・ソリューション」に繋がっています。
次回は、「メーカーベンダーによる市場創造のイノベーション」についてお話します。
(第三十話に続く)