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アイリス物語

アイリスオーヤマは、プラスチック製品の下請け町工場「大山ブロー工業所」として創業しました。
「アイリス物語」では、現在に至るまでのアイリスグループの歴史を連載でお届けします。

第三十話アイリスオーヤマの3つのイノベーション
~②メーカーベンダーによる市場創造のイノベーション~

今回は、アイリスオーヤマの成長を支えてきた3つのイノベーションの2つ目となる「メーカーベンダーによる市場創造のイノベーション」についてご紹介します。

アイリスオーヤマは、メーカー(製造業)でありながら、自社にベンダー(問屋業)機能を併せ持つ「メーカーベンダー」で流通の無駄を省く独自の仕組みをつくり、市場創造しています。1980年の家庭用園芸用品市場へ進出したことをきっかけに、「メーカーベンダー」という前例のないビジネスモデルへの挑戦が始まりました。

それ以前は当社も、問屋経由で小売店に商品を納品していました。家庭で春の花を楽しみ、庭いじりをするのは多くがゴールデンウィークの晴れた日。アイリスが生活者にとって便利なプラスチック製の鉢やプランターを開発・発売し、「これはユーザーに喜ばれる商品だ」といくら自信がある商品でも、今年のゴールデンウィークが晴れるのか雨が降るのか誰にも分かりません。もし、問屋が園芸用品を仕入れて雨が降れば大量の在庫が売れ残り、大きなリスクになります。売れるか売れないか分からない商品はできれば扱いたくない。これが、中小メーカーにとっての「問屋の壁」でした。当時の園芸用品は、問屋経由で金物店や生花店に商品が流れるルートが主流でしたが、これまでにない需要創造型の新商品を発売しても、ピーク期に商品を十分に供給してくれなければ意味がありません。

そこで、新興勢力だったホームセンターと直接取引を始めました。ホームセンターも発展途上の業態でしたが、取引量が増えると、改装や新店開店の準備や作業、品出しなど問屋と同じようにして欲しいと求められました。健太郎は、オイルショックのリバウンドで経験した倒産の危機を思い出していました。信頼関係にあった問屋が他社メーカーへ仕入先を移し、アイリスは大口の商圏を失い、より苦境に立たされたことを。「好不況に左右されずに利益を出す会社」を目指すなら販路は自社で確保すべきだ。そう決意した健太郎は、ベンダー機能を自社で持つ、あえて厳しい道を選択しました。この決意が、ホームセンターとの取引拡大に繋がりました。

流通の無駄を省くメーカーベンダーの仕組み 流通の無駄を省くメーカーベンダーの仕組み

のちに、健太郎は振り返ります。「メーカーベンダー」を選択したことは、多くのメリットを生みました。クリア収納ケースのように軽くて嵩張る商品と園芸用の土のように重くて小さな商品を混載すれば物流費が抑えられること。店頭での売上を即時に掌握できて生産・在庫管理の予測が容易になること。営業はそのデータを元に売れ筋商品の提案ができるようなること。何より、生活者に近づいたことで、ユーザーインの商品開発がさらに前進したこと。アイリスオーヤマの歴史にとって、メーカーベンダーに転じたことは大きな意味を持っているのです。

次回は、「業態転換による事業創造のイノベーション」についてお話します。

(第三十一話に続く)