”手が届く”ドラム式洗濯機を目指して。アイリスオーヤマのドラム式洗濯機を深掘り!

”手が届く”ドラム式洗濯機を目指して。アイリスオーヤマのドラム式洗濯機を深掘り!

洗濯から乾燥まで一気にできるドラム式洗濯機は、ライフスタイルの変化によってニーズが高まっています。今回は、家電王・中村剛さんとアイリスオーヤマの開発担当者に、現在の洗濯機市場の傾向やユーザーのニーズについて語ってもらいました。また、アイリスオーヤマの目指すドラム式洗濯機や、今後の商品の展望についても深掘りします。

”手が届く”ドラム式洗濯機を目指して。アイリスオーヤマのドラム式洗濯機を深掘り!

+1 Day 編集部

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今回の座談会の参加者

家電王 中村剛

家電王 中村剛

東京電力エナジーパートナー株式会社 勤務。2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営にあたった。現在は“家電王”として動画『くらしのラボ』をYouTubeとFacebookで毎週配信している他、テレビや雑誌、新聞などのさまざまなメディアで暮らしに役立つ情報を発信中。無類のネコ好き!
メーカー事業部 大型家電事業部 統括事業部長 伊丹泰平

メーカー事業部 大型家電事業部 統括事業部長 伊丹泰平

2020年に入社、2023年より大型家電事業部 統括事業部長を務めている。

ドラム式なのに乾燥機能がなかった?!アイリスオーヤマのドラム式洗濯機の歴史

-まず、アイリスオーヤマのドラム式洗濯機の歴史を教えてください

伊丹:当社ではこれまで数々の大型家電を作ってきましたが、ドラム式洗濯機の参入は一番遅く、大型家電の中では一番若いカテゴリとなります。

2019年に乾燥機能がないモデル「ドラム式洗濯機/HD71」から販売をスタートし、徐々に容量を大きくしながら、今は乾燥機能付きも製造・販売しています。
中村さんと伊丹さんの対談

2019年に発売された同社初のドラム式洗濯機「ドラム式洗濯機/HD71」

伊丹:ドラム式洗濯機の参入が遅かったのは、海外と日本の差が大きかったからです。まず前提として、海外ではドラム式洗濯機が主流になっていて、そのほとんどに乾燥機能がついていません。コンクリート住宅が多い海外と木造住宅が多い日本とでは、洗濯機が動いている時の壁や床への振動の伝わり方も異なります。

そのため、海外の金型をもってきて品質チェックをすれば販売できるというわけではなく、日本の住環境に合う仕様に変更しなければなりませんでした。
日本のユーザーは、もちろん乾燥機能を求めていると思っていましたが、まずは品質担保のために最初に乾燥機能なしを販売したのです。

中村さん:きっと色々な戦略があるんだろうと思っていましたが、乾燥機能なしで販売された時は、チャレンジングだなと思っていました。でも、先程の理由を聞いて納得しました。
海外のドラム式洗濯機

※写真はイメージです

中村さん:伊丹さんがおっしゃっていたように、海外と日本では洗濯機を置く場所や環境が違います。海外では日本のように浴室に洗濯機を置くことが法規制されるなど良しとされず、キッチンや地下室に設置することが多いのです。そして、その影響もありキュービックタイプや100kgを超えるものがほとんどです。

そのため、日本のメーカーは日本の住環境にあわせて、縦型洗濯機のような形状のドラム式洗濯機を発売してきました。アイリスオーヤマもまずはコスト面や開発面に重点を置き、そこからドラム式洗濯機の歴史が始まったということですね。

伊丹:おっしゃるとおりです。ドラム式洗濯機含め、本来は大きいマーケットで使用されているものを持ってきた方が、コストは安いんです。しかし、それでは日本の住環境では受け入れられません。そのため、仕様変更のための投資が必要になります。

流通が少ない状態で投資をすると、商品価格も上がってしまい、当社の良さの1つでもあるコストパフォーマンスの良さがなくなってしまいます。そこで、まずは投資が少なくて済む乾燥機能なしのものを市場に投入し、ユーザーの反応を見る形になりました。

近年のドラム式洗濯機の傾向とニーズの変化

中村さんと伊丹さんの対談

-家電メーカー各社の近年のドラム式洗濯機の傾向について教えてください

中村さん:ドラム式洗濯機の乾燥機能を大別すると、ヒーター式とヒートポンプ式があります。商品価格が高くなってしまうものの、傾向としてはヒートポンプ式が省エネでもあり多くなっています。ただし、デザイン性などを重視した製品はヒーター式が搭載されることもあります。

ヒートポンプ式は、ある程度乾燥が終わってあと少しだけ乾燥したい、というのが苦手なんです。そのため、しっかり乾かせるヒーター式とのハイブリッド型も登場しています。

さまざな要望を叶えようと思えば、技術的には可能だと思いますが販売価格が高くなってしまいます。各社どこを重視するのか、価格帯と機能でいろいろと個性が出てきていると思います。

-ユーザーニーズは変化していますか?

中村さん:最近は一人暮らしでも少し大きめの容量を選んで大きめのものを家で洗ったり、まとめ洗いをしたり、サイズが大きいものがユーザーに求められていると思います。単純に大きさを重視しているというよりは、電気代・水道代など全てが高騰しており、コスパ・タイパを考えて購入する人が増えていると感じています。

伊丹:お手入れの手軽さを求める人が増えています。家電量販店から聞いた話では、洗浄力はもちろん、細かいところがお手入れできるのか、簡単にキレイにできるのかを気にする人が多いそうです。
洗濯物をいれる人

中村さん:洗濯機自体が掃除できる機能をもっているものもありますね。ドラムの裏側や扉のパッキン等まで洗浄したり、ヒートポンプの部分を洗浄できたり、そもそも汚れづらい場所に設置したり。お手入れを簡単にして、より長く使えるような商品が増えてきている印象です。

例えばエアコンであれば通常運転とお掃除運転は分かれていますが、洗濯機ならどちらも水を使うので、洗濯している時にお手入れも同時にするのが効率的ですよね。

伊丹:とても良いアイデアですね!今後の商品開発の参考にメモさせていただきます(笑)

ドラム式洗濯機を選ぶポイントは「使い方」と「洗う物」

家電王中村さん

-ドラム式洗濯機をこれから買う人へ向けて購入前のチェックポイントがあれば教えてください

中村さん:ドラム式を選ぶ人は、やはり乾燥ができるという点をメインに考えていると思います。注意したい点は「洗濯容量」と「乾燥容量」が異なる点です。

洗濯容量が6kgでも乾燥容量は4kgという場合2kg分洗濯物を抜かないといけません。それが面倒だと思うのであれば、洗濯物の量を乾燥できる量に合わせるなど、使い方を考える必要があります。

また、「何を洗いたいのか」も選ぶ上で重要です。縦型洗濯機と違って、ドラム式洗濯機は洗い方が丁寧です。日常の汚れにはドラム式で十分ですが、泥汚れなどは縦型の方が落としやすいので、どんなものを洗うのかを考えて選ぶことも大切です。

洗濯機は本体そのものの洗浄力はもちろん、洗剤の力も大きいので適した洗剤を使う必要もあります。

機能を絞って”手が届く”コスパ!アイリスオーヤマのドラム式洗濯乾燥機

ドラム式洗濯機の前の中村さんと伊丹さん

-本日ご用意いただいた「ドラム式洗濯乾燥機/FLK842」含め、アイリスオーヤマのドラム式洗濯機の特色について教えてください

伊丹:当社で想定してるユーザーは、結婚して子どもができるまでくらいの「ニューファミリー層」です。容量は8kgがメインです。

共働きが想定されるニューファミリー層は、毎日忙しく、家事の手間をできるだけ減らしたいと考える人たちが多いと思っています。

そのため一気に洗濯から乾燥まで終えられるよう、乾燥機能はヒーター式で、しっかり乾燥ができるものを開発しました。
乾燥できれば良いというわけではなく、さまざまなテストを行いながら、より衣類がふわっと乾燥できるものを開発しています。

-アイリスオーヤマの特徴である「ユーザーイン発想」で作られた機能やデザインはありますか

自動投入ユニット

※自動投入機能が搭載されているのはHDK842Z、FLK842Zの2モデルとなります

伊丹:ターゲット層が若いファミリーなので、洗剤投入の手間を減らせるよう自動投入ユニットをつけました。「ドラム式洗濯乾燥機/FLK842」の発売当時は8kgの容量帯で洗剤の自動投入がついているものはなく、先んじて商品化した形です。

この機能が欲しい!という声ももちろんですが、この商品を買ってくれるお客様はどんな生活をして何を望んでいるのかを想像してつけた機能でもあります。

当社の商品を求められるお客様は、コスパを重視される方も多いです。機能については、何でもつけたら良いということではないと思っているので、吟味しています。
ドラム式洗濯機の投入口

伊丹:また、お客様の声だけでなく当社内でも商品について気軽に意見を言えるツールがあります。そこで実際に使ってもらって、投入口のサイズや角度、取り出しやすさなど細かなデザイン部分や使用感について、意見をもらいました。ユーザビリティについては、今後の商品開発の参考にしています。

中村さん:アイリスオーヤマの特色である「ユーザーイン発想」はさまざまなところから意見を取り入れて生まれているのですね!

ドラム式洗濯機のこれから

-今後のドラム式洗濯機の商品展開について教えてください

アイリスオーヤマのドラム式洗濯機

伊丹:洗濯機市場は、流通金額でいうと縦型洗濯機とドラム式洗濯機が55:45くらいの割合です。今後当社のドラム式洗濯機は、ファミリー向けに乾燥機能に関しても申し分ない10kg以上の大容量モデルを作っていく予定です。

ドラム式洗濯機は10kg以上になると、初期費用が高くなる傾向にあります。そこで、当社ならではのコスパが良く品質が高い商品を目指したいですね。

洗浄力、乾燥能力、ユーザビリティといった基本性能はコストを上げなくても追求できますし、逆に値段が安くても基本ができていないと購入してもらえないと思います。もちろんデザインにもこだわっていくつもりです。

-中村さんから見て、今後のドラム式洗濯機の市場はどうなると思いますか?

中村さん:どの家電メーカーも、ドラム式洗濯機に注力しています。やはり、みんなドラム式洗濯機が欲しいんです。でも、置き場所や金額の問題でなかなか手に入れることができないのが現状でしょう。

各社ドラム式洗濯機の特徴的な機能を打ち出していますが、ユーザーによって欲しい機能は違いますよね。高機能なら高価格になるのは当然です。最近のユーザーはその辺りもしっかり理解していると思いますので、そこが各社の腕の見せ所であり、違いを見せるポイントだと思います。

また、前述の通り節水や節電についての需要も高いと考えます。

伊丹:以前は量販店に足を運んで、販売員さんにおすすめを聞いて購入される方が多かったのですが、現在はインターネットなどでお客様自身が情報を集められるようになりました。そのため、必要な機能、不要な機能について分かりやすく整理する必要があると感じています。
ドラム式洗濯乾燥機/FLK842

アイリスオーヤマのドラム式洗濯乾燥機/FLK842

中村さん:アイリスオーヤマの家電はオーバースペックにならず、必要な人に必要な機能のある商品であるという点が特徴だと思います。

今後は、バリエーションを増やしてユーザーが「選べる」ものを販売してもらえると嬉しいですね。

伊丹:ドラム式洗濯機が欲しいけどなかなか手が届かないと思っている人へ、品質は担保した上で値段を考慮し、手が届くものを開発していきたいと思います。
また、2023年11月29日(水)に発売の「ドラム式洗濯乾燥機 FLK852-W」は、5つのセンサーを組み合わせた乾燥検知方式を搭載。センサーによる温風温度・庫内温度・吸気温度・衣類量・運転時間の管理で衣類をしっかり乾かします。洗濯8kg、乾燥5kgと乾燥容量も余裕をもって乾燥できるドラム式洗濯乾燥機です。
「ドラム式洗濯乾燥機 HDK852Z-W」も5kgまで乾燥ができて、シワのないふんわりした仕上がりを実現します。

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