

「ごはんの時間が、未来をつくる」——こども食堂を支える支援活動
公開日:2025.06.30
最終更新日:2025.06.30
地域のこどもたちに、無償または低額で食事を提供する「こども食堂(※)」。全国に1万か所以上に広がり、こどもだけでなく多世代が集うコミュニティの場にもなっています。アイリスオーヤマも、こども食堂が地域に果たす役割に着目し、2022年から食料品の寄贈などの支援活動に取り組んでいます。今回は、宮城県富谷市の「とみやっこプレーパーク」の活動にフォーカスし、アイリスオーヤマによる支援の目的や内容を紹介します。
※本記事における「こども食堂」とは、広くこどもの居場所づくりの取り組みも含みます 。
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こどもたちの声が響く「とみやっこプレーパーク」

閑静な街を歩き、公園が見えてくると、こどもたちの楽しげな声が聞こえてきます。ここが「とみやっこプレーパーク」の会場です。
チャンバラや水鉄砲、花飾りづくりなど、学年もバラバラなこどもたちが、保護者やスタッフと一緒に自由に遊びを楽しんでいます。
チャンバラや水鉄砲、花飾りづくりなど、学年もバラバラなこどもたちが、保護者やスタッフと一緒に自由に遊びを楽しんでいます。

隣接する町内会館でも、卓球やゲーム、お絵かきなどに夢中になるこどもたちの声がにぎやかに響いています。

宿題に取り組む子や、覚えたばかりの「足し算」をホワイトボードに書いて見せる子も。そんな様子を地域のボランティアスタッフがやさしく見守っています。そして、お腹がすくと、こどもたちはスタッフのもとへ集まり、おやつや食事を受け取って思い思いに過ごします。

この日のメニューは、けんちん汁、とん角大根煮、桃のヨーグルト、ピラフ、ゼリー、そしてジュース。

こどもたちは「おいしい!」と笑顔でけんちん汁をかき込み、おかわりする子もいて、大きな鍋の中身はあっという間に減っていきました。
世代を超えた、地域の多様なつながりの場に

「地域のこどもたちが気軽に集まれる、オープンな居場所をつくりたいという思いから、この活動を始めました」

左・右:NPO法人「ふうどばんく東北AGAIN(あがいん)」副代表理事・富樫さん(左)、髙橋さん(右)
中:認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ プロジェクトリーダー・小山さん
「とみやっこプレーパーク」を運営するNPO法人「ふうどばんく東北AGAIN(あがいん)」の副代表理事・髙橋さんと富樫さんは、そう語ります。その言葉どおり、同プレーパークは地域の公園を活用した放課後の“遊び場”として定着。この日は50人以上が訪れ、日によっては70人を超えることもあるそうです。

また、こども同士だけでなく、保護者同士の情報交換や、高校生がボランティアとして関わるなど、世代を超えた地域のつながりの場にもなっています。ある高校生スタッフは、「一度参加したら楽しくて、それからずっと関わっています」と笑顔で話してくれました。

初参加のあるこどもは最初こそ緊張していたものの、すぐに輪に溶け込み、笑顔に。心配そうに見守っていたお母さんも、安堵の表情でこう語ってくれました。
「ここは初めて来ましたが、こどもたちが自由に過ごせる空間が広がっていて、貴重な居場所だと感じました」
「ここは初めて来ましたが、こどもたちが自由に過ごせる空間が広がっていて、貴重な居場所だと感じました」
全国に1万か所を超えるこども食堂の広がり

2012年頃に始まったとされる こども食堂の取り組みは、現在では全国各地に広がっています。こども食の支援活動を行う「認定NPO法人 全国こども食堂支援センター・むすびえ」の調査によると、全国のこども食堂の数は1万867か所に上り、公立の中学校・義務教育学校(計9,265校)を上回るまでに増えています(2024年度確定値)。
こども食堂がここまで拡大している背景について、同センター理事 兼 企業・団体との協働事業ディレクター・遠藤典子さんはこう語ります。
「政府や自治体によるこどもの居場所づくりの政策推進、企業などの支援の広がり、認知度の上昇などが主な要因と考えられます」
こども食堂がここまで拡大している背景について、同センター理事 兼 企業・団体との協働事業ディレクター・遠藤典子さんはこう語ります。
「政府や自治体によるこどもの居場所づくりの政策推進、企業などの支援の広がり、認知度の上昇などが主な要因と考えられます」

もともとは、ひとり親家庭や困窮家庭への経済的支援の側面が広く認知されたこども食堂ですが、近年では、その実態として、多くは参加に条件を設けずに地域のこどもたちが集まれるコミュニティの場、あたたかな「居場所」としても広く知られるようになってきました。そこに大人や高校生なども加わることで、多世代が交流する地域の拠点へと発展しています。冒頭で紹介した「とみやっこプレーパーク」も、その一例です。

少子高齢化や核家族化、人口減少により、地域のつながりが希薄になっている今、世代や立場を超えた多様なつながりを生む場として、こども食堂への期待はますます高まっているといえるでしょう。
こども食堂への支援活動と、企業の役割

こども食堂は、法的な位置づけを持たない民間の自発的な取り組みです。その多くはボランティアや企業・団体の支援によって成り立っており、近年ではSDGsやESG経営の観点から、支援に取り組む企業も増えています。
なかでも食品メーカーや小売店は、自社で保有する食料品をこども食堂に寄贈するケースも多く見られます。提供される食料品の多くは、製造日からある程度の期間が経過しているものの、品質や安全性には問題がなく、家庭の食卓にふさわしいものばかりです。
こうした寄贈によって、こどもたちは安心して食事を楽しむことができ、結果として食品の有効活用にもつながっています。双方にとって価値のある、社会的意義の高い取り組みといえるでしょう。
なかでも食品メーカーや小売店は、自社で保有する食料品をこども食堂に寄贈するケースも多く見られます。提供される食料品の多くは、製造日からある程度の期間が経過しているものの、品質や安全性には問題がなく、家庭の食卓にふさわしいものばかりです。
こうした寄贈によって、こどもたちは安心して食事を楽しむことができ、結果として食品の有効活用にもつながっています。双方にとって価値のある、社会的意義の高い取り組みといえるでしょう。

この日、「とみやっこプレーパーク」でこどもたちにふるまわれた、けんちん汁やとん角大根煮の缶のラベルにも、「アイリスオーヤマ」のロゴが見られました。ほかにもピラフやゼリーなど、複数のメーカーから提供された食品が全国のこども食堂に届けられています。
こども食堂への支援の意義について、アイリスオーヤマの担当者は、自らの体験を振り返ります。
「あるこども食堂を訪れた際、こどもたちが『今日はお餅があるから来たんだ!』と笑顔で話してくれたのが印象的でした。私たちの寄贈品が、こどもたちにとって“楽しみ”や“安心感”につながっていると感じた瞬間でした」
こども食堂への支援の意義について、アイリスオーヤマの担当者は、自らの体験を振り返ります。
「あるこども食堂を訪れた際、こどもたちが『今日はお餅があるから来たんだ!』と笑顔で話してくれたのが印象的でした。私たちの寄贈品が、こどもたちにとって“楽しみ”や“安心感”につながっていると感じた瞬間でした」
「真にこども食堂が望む支援のあり方」を考える

ただ、企業によるこども食堂への支援には、課題もあります。「多くの企業のご支援には感謝していますが……」と前置きしたうえで、現場からはこんな声が聞かれます。
「賞味期限が迫った食料品が、突然届くことがあります。急いで配らなければならず、調整する暇もなく配りきれないこともあるんです」
企業が食料品を寄贈するタイミングや量は、あらかじめ決まっているわけではありません。したがって、こども食堂側の意向にかかわらず、賞味期限の近い食料品が届けられる、というミスマッチが生じてしまうのです。
善意の支援であっても、運営側は保管や提供の段取りに苦慮することがあります。こうした実情をふまえ、アイリスオーヤマでは月に一度、あらかじめリスト化した食料品を、受け入れ側の希望を伺ったうえで定期的に届ける支援を行っています。
「提供内容が事前にわかるので、食事の準備がしやすく非常に助かっています」(ふうどばんく東北AGAIN・髙橋さん)
「継続的なご支援のおかげで、計画が立てやすくなり、活動の安定にもつながっています」(むすびえ・遠藤さん)
2011年の東日本大震災でも、善意の寄贈と現地ニーズのすれ違いが課題となりました。だからこそ、支援を受ける側の実情に寄り添う姿勢が、改めて求められています。
被災地に本社を構える企業として、アイリスオーヤマはその経験を活かし、「何が本当に役に立つのか」を見つめながら、今後も継続的な支援に取り組んでいきます。
「賞味期限が迫った食料品が、突然届くことがあります。急いで配らなければならず、調整する暇もなく配りきれないこともあるんです」
企業が食料品を寄贈するタイミングや量は、あらかじめ決まっているわけではありません。したがって、こども食堂側の意向にかかわらず、賞味期限の近い食料品が届けられる、というミスマッチが生じてしまうのです。
善意の支援であっても、運営側は保管や提供の段取りに苦慮することがあります。こうした実情をふまえ、アイリスオーヤマでは月に一度、あらかじめリスト化した食料品を、受け入れ側の希望を伺ったうえで定期的に届ける支援を行っています。
「提供内容が事前にわかるので、食事の準備がしやすく非常に助かっています」(ふうどばんく東北AGAIN・髙橋さん)
「継続的なご支援のおかげで、計画が立てやすくなり、活動の安定にもつながっています」(むすびえ・遠藤さん)
2011年の東日本大震災でも、善意の寄贈と現地ニーズのすれ違いが課題となりました。だからこそ、支援を受ける側の実情に寄り添う姿勢が、改めて求められています。
被災地に本社を構える企業として、アイリスオーヤマはその経験を活かし、「何が本当に役に立つのか」を見つめながら、今後も継続的な支援に取り組んでいきます。
地域の防災支援拠点としての、こども食堂の可能性

こどもから大人までが集い、交流を育むこども食堂は、非常時には地域の防災支援拠点としての役割も期待されています。アイリスオーヤマでは、食料品に加え、防災用品や衛生用品など、自社の製品を活かした支援を通じて、地域の防災力向上にも貢献していきたいと考えています。
――夕暮れの公園に響く、こどもたちの「また来るね!」という声。
アイリスオーヤマはこれからも、こどもたちの笑顔と、地域の未来を支える活動を続けていきます。
――夕暮れの公園に響く、こどもたちの「また来るね!」という声。
アイリスオーヤマはこれからも、こどもたちの笑顔と、地域の未来を支える活動を続けていきます。