

【アイリスオーヤマのジャパン・ソリューション】なるほど家電のヒミツは大阪にあった?
公開日:2023.02.02
最終更新日:2024.02.21
アイリスオーヤマは、さまざまな社会課題を解決するためのソリューション提供を行っています。事業の柱となるのは、「家電事業」「LED事業」「精米事業」「ロボティクス事業」「エアソリューション事業」の5つ。まずは、主力となる「家電事業」について紐解いていきます。なぜアイリスオーヤマが家電の販売を始めたのか、家電開発を支える大阪R&Dセンターや今イチオシの「なるほど家電」について、家電開発部の原氏にインタビューしました。
INDEX
- アイリスオーヤマの家電事業の始まり
- ーアイリスオーヤマが家電事業に取り組むことになったきっかけを教えてください。
- 「家電戦士」の集まる大阪に家電事業の拠点を開設
- ー家電の主力拠点は、なぜ本社のある宮城ではなく大阪なのでしょうか?
- ー大阪にはどのような技術・経験を持つ「家電戦士」が集まっているのでしょうか。
- ー大阪R&Dセンターで行っている業務の内容を教えてください。
- 日本のニーズに応えるアイリスオーヤマの家電
- ーアイリスオーヤマの家電は、暮らしのニーズにマッチした商品が多いですよね。今後、日本ではどのような商品が求められてくると思いますか?
- ー最近発売された中で印象に残った商品や、「なるほど」と思ったアイデアはありますか?
- ーこれは便利!ぜひ買ってほしい!と、人にすすめたくなる最もおすすめの家電を教えてください。
- ー現在発売されている商品の中で、コスパ最強の商品を教えてください。
- 業界常識を覆す?アイリスオーヤマのチャレンジ
- ー最後に、アイリスオーヤマの思いや今後の展望を聞かせてください。

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アイリスオーヤマの家電事業の始まり

日用品、ペット用品、園芸用品や家具、食品にいたるまで多種多様なアイテムを扱うアイリスオーヤマですが、その中でも主力とも言える家電商品。そんな家電を生み出している主力の拠点は、実は本社がある宮城ではなく大阪にあります。
▼お話を聞いたのは…

執行役員 家電開発部 部長 原英克
1999年に入社し、2012年より家電開発部へ異動。2016年に家電開発部にてマネージャーを勤め、2018年から家電開発部執行役員部長を勤めている。
ーアイリスオーヤマが家電事業に取り組むことになったきっかけを教えてください。

アイリスオーヤマはもともと、ホームセンターで園芸用品などのプラスチック製品や組み立て家具などを販売していました。さまざまな商品を販売していく中で、販売店であるホームセンターの方から「ホームセンターでも販売できる値ごろな家電製品を作ってほしい」という要望があったことがきっかけです。
家電事業として最初の商品を特定するのは難しいのですが、「電化製品」というジャンルであれば、シュレッダーやラミネーターなどの事務用品です。一般家庭向けの家電だと、一人暮らし用のケトルや炊飯器などの小型家電です。
「家電戦士」の集まる大阪に家電事業の拠点を開設
ー家電の主力拠点は、なぜ本社のある宮城ではなく大阪なのでしょうか?

2011年に起こった東日本大震災の際、復興事業としてLED事業に参入したことを皮切りに、アイリスオーヤマは家電事業を拡大していきました。取り扱う商品の種類が増えましたが、元々家電を販売していたメーカーではないため開発できる人材は限られていました。どうすればいち早く高品質な商品をお客様へ届けられるか考えた時に、経験豊富なハイキャリア人材を確保したいという結論に至ったのです。
また当時は、リーマンショックの影響で大手家電メーカーのエンジニアや開発者が、外国メーカーに流出しているタイミングでもありました。数千名単位での人員削減や人材の海外流出が社会問題にもなっていたんです。
その時、現会長の大山が「日本の高い技術が海外へ流出するのはもったいない。当社が家電事業に取り組むことで技術者たちの雇用・活躍の場を創出できるのではないか」と考えました。
その時、現会長の大山が「日本の高い技術が海外へ流出するのはもったいない。当社が家電事業に取り組むことで技術者たちの雇用・活躍の場を創出できるのではないか」と考えました。

そこで大手家電メーカーが集中している関西に、家電開発の拠点を設けることにしました。これはエンジニアに関西から宮城に来てもらうよりは、拠点を関西に設けた方が物理的に都合が良かったからです。
その頃、宮城の家電開発部には20名ほどのメンバーがいましたが、人材確保を優先させるため全員大阪へ異動したんですよ。ハイキャリアな家電戦士が集まる大阪で、人材を獲得するというよりは迎え入れる形で家電開発部がスタートしました。
その頃、宮城の家電開発部には20名ほどのメンバーがいましたが、人材確保を優先させるため全員大阪へ異動したんですよ。ハイキャリアな家電戦士が集まる大阪で、人材を獲得するというよりは迎え入れる形で家電開発部がスタートしました。
ー大阪にはどのような技術・経験を持つ「家電戦士」が集まっているのでしょうか。

開設当初、大阪R&Dセンターのエンジニアの7~8割がハイキャリア人材でした。エンジニアにも、得意とする分野があるんです。当時、特に力を入れていたのは炊飯器やIHクッキングヒーターなどの調理家電や加湿器、空気清浄機などの小型家電でしたので、その分野の経験があるエンジニアをメインに採用していました。

ここ数年は、洗濯機・冷蔵庫・エアコンなどの大型白物家電に力を入れています。そのため、大手家電メーカー創成期から開発に携わっていた40代後半から50代前半のエンジニアを中心に採用しています。
なぜその年齢層の人材を採用しているかというと、消費者の要望やクレームなどを知っているためです。当社は家電事業に携わっている期間は他の家電メーカーに比べ短いですが、ハイキャリア人材が持つ技術や知識を活かすことで、ユーザーが求める商品を作ったり、安全性や品質を担保することができます。
なぜその年齢層の人材を採用しているかというと、消費者の要望やクレームなどを知っているためです。当社は家電事業に携わっている期間は他の家電メーカーに比べ短いですが、ハイキャリア人材が持つ技術や知識を活かすことで、ユーザーが求める商品を作ったり、安全性や品質を担保することができます。
ー大阪R&Dセンターで行っている業務の内容を教えてください。

現在、家電開発の拠点は大阪、宮城、東京にあるのですが、家電開発業務の約8割が大阪になります。一部、東京や宮城で行うこともありますが、基本的に企画立案から設計、開発、品質管理にいたるまで、大阪でほぼ一括して実施しています。
商品の品質を担保するため、繰り返し使用したり、耐久性のテストを行いますが、その規格を作っているのも大阪です。大阪にいるハイキャリア人材がもつ経験や知識をもとに作成し、実際のテストは宮城にある評価センターで行っています。

大阪R&Dセンターには、実際に商品を手に取ることができる「心斎橋アイリスプラザアンテナショップ」も併設されています。店頭では気になる商品を試して、その場で注文もできるので、心斎橋に来た際はお気軽にお立ち寄りください!

日本のニーズに応えるアイリスオーヤマの家電
ーアイリスオーヤマの家電は、暮らしのニーズにマッチした商品が多いですよね。今後、日本ではどのような商品が求められてくると思いますか?

アイリスオーヤマが生み出す商品のコンセプトは、「S(Simple)R(Reasonable)G(Good)」。シンプルで、価値にふさわしい値段、ベストではなくても"良し"とする余計な機能がついていない商品です。このコンセプトが、今後日本のニーズとマッチしてくるのではないかと考えています。
先の見えない経済状況のなか、キーワードになるのは「代替需要」でしょう。多機能で高価な一番良いものより、少しランクと価格を落とした商品、値ごろで最低限のニーズは満たせる代替商品、もしくは買い替えではなくプラスワンとして買い足しできる商品に需要が高まると考えています。
ー最近発売された中で印象に残った商品や、「なるほど」と思ったアイデアはありますか?

印象的なのは「充電式サイクロンスティッククリーナー daspo」ですね。daspoの特徴は、周りを気にせず掃除できること。本体のモーターを動かさず、ヘッドのモーターだけで掃除するというのは、"なるほど"と思えるアイデアでした。
赤ちゃんが寝ている時や、夜遅い時間帯でも気にすることなく掃除機をかけられます。空気も汚れません。テレビを見ながら、音楽を聴きながらでも、掃除機をかけられるので便利ですよ。幅広い人のニーズにマッチする掃除機ではないかと思います。
ーこれは便利!ぜひ買ってほしい!と、人にすすめたくなる最もおすすめの家電を教えてください。

おすすめしたいのは、サーキュレーター付きの衣類乾燥除湿機です。除湿機だけでも洗濯物はよく乾くのですが、サーキュレーターがついていることで劇的に干す時間が短縮できます。浴室乾燥機よりも省エネで電気代も安いですし、使ってみると便利さがわかる商品ですね。家族が多い人には、特におすすめしたいです。
ー現在発売されている商品の中で、コスパ最強の商品を教えてください。

コスパで言うと、DCモーターを搭載したサーキュレーターです。この商品は、品質とコストのバランスが良く、かなりお買い得だと思います。商品そのもののコスパはもちろんですが、エアコンとの併用で電気代を下げられる面でもコスパが良い商品ですね。
サーキュレーターは、10年程前から取り扱っています。もともと欧米で使用されており、日本ではあまりなじみのないものだったのですが、自分達が実際に生活者として使ってみてとても便利だったので、ぜひ精力的に売り出そうと考えました。

まずは使い方を知ってもらうべく、消費者のみなさんに、「エアコンと併用すると電気代が削減できる」など、具体的な使い方を訴求しました。今では「サーキュレーターといえばアイリスオーヤマ」と言ってくださる人も多いです。

その他、力を入れているのがドラム式洗濯乾燥機です。洗濯容量8kg、乾燥容量4kgという2~3人の核家族向けサイズの洗濯機なのですが、自動洗剤投入機能がついて20万以下で販売しています。他の家電メーカーだと25~30万円が相場ではないでしょうか。
もともと海外で売られているドラム式洗濯機には、シンプルな機能しかついていません。最近よくみる斜めにドラムがついた商品も、実は日本特有の機能です。これがドラム式洗濯機の価格を高騰させている原因でもあるんですよね。この商品は余計な機能のついていないグローバルスタンダード仕様にすることで、コストダウンをして手の届きやすい価格にすることができました。ぜひおすすめしたいです。
業界常識を覆す?アイリスオーヤマのチャレンジ
ー最後に、アイリスオーヤマの思いや今後の展望を聞かせてください。

アイリスオーヤマはさまざまな分野の家電商品を販売していますが、今のところ日本でのシェア率が大きいとは言えません。特に大型白物家電は、まだまだシェアが低い。アイリスオーヤマは、これからもグローバルスタンダード仕様を基本に、「SRG」で日本のユーザーのマッチした機能を搭載した家電を生み出していきます。
シェア獲得はもちろん、値ごろで本当に使いやすい家電を世に送り出すことで、業界常識を覆していくつもりです。