【家電王×開発担当】需要拡大中の冷凍庫の魅力を徹底解明!

【家電王×開発担当】需要拡大中の冷凍庫の魅力を徹底解明!

新型コロナウィルスの流行をきっかけに、毎日の食事の作り置きやストック食材の増加、お取り寄せをする家庭が増え、一気に需要が高まった"セカンド冷凍庫"。家の中という限られたスペースに設置するため、サイズ感やデザインも気になるところです。今注目の冷凍庫について、家電王・中村剛氏とアイリスオーヤマの冷凍庫の企画・開発担当者が、冷凍庫の魅力や選び方、今イチオシの冷凍庫について語りました。

【家電王×開発担当】需要拡大中の冷凍庫の魅力を徹底解明!

+1 Day 編集部

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今回の座談会の参加者

家電王 中村剛

家電王 中村剛

2002年に『TVチャンピオン』のスーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営にあたった。現在は家電王として動画『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信している他、雑誌や新聞などのさまざまなメディアで暮らしに役立つ家電情報を発信中。
アイリスオーヤマ 家電事業本部 大型家電事業部 統括事業部長 加藤泰史

アイリスオーヤマ 家電事業本部 大型家電事業部 統括事業部長 加藤泰史

2008年に入社し、2022年から大型家電事業部 統括事業部長を務めている。
アイリスオーヤマ 家電開発部 マネージャー 淡路雄一

アイリスオーヤマ 家電開発部 マネージャー 淡路雄一

1996年に入社し、プラスチック製品の企画・開発を担当。その後2014年に家電開発部に異動し、2019年より家電開発部冷蔵庫チーム マネージャーを務めている。

一家に2台?冷凍庫の需要が拡大中

―昨今のセカンド冷凍庫の需要の高まりにはどういった理由や背景があるのでしょうか?

アイリスオーヤマの冷蔵庫と冷凍庫

加藤:コロナ禍において作り置きの習慣の広がりや、冷凍食品の需要が高まったことが挙げられます。「スーパーに買い物に行っても、冷凍庫に入りきらないので自由に買えない」という声もありました。
こういった背景があり、1台の冷凍冷蔵庫ではどうしても容量が足りない、というところでセカンド冷凍庫の需要が拡大しているのだと思います。

中村さん:加藤さんのおっしゃる通り、コロナ禍で作り置きをして冷凍しておく人が増えました。

それと同時に、メディアで市販の冷凍食品の美味しさが取り上げられたり、冷凍食品専門店の進出など、冷凍食品=手抜き料理ではないという雰囲気も広まりました。

この2年ほどでいろんなことが重なり、冷凍の食材や冷凍食品を使うことに引け目を感じなくなったり、一気にまとめて買ってきて冷凍したいというニーズなどが増えたと感じています。

加藤:他にもふるさと納税の市場も拡大して、返礼品が冷凍で届くことも多いようです。ただ、今の居住スペースの中にプラスαのスペースを設けるというのはなかなか難しいと考えている人が多いようです。

―現在の冷凍庫市場の動向や、アイリスオーヤマの冷凍庫の売上の変化を教えてください。

加藤:市場全体では前年と比べると140%ぐらいの伸長率で、弊社においてはそれ以上の出荷実績です。また、弊社独自で推計している普及率推移という数値があるのですが、2022年で世帯に対する冷凍庫の出荷の普及率は7%です。
まだお客さまが購入するに至るまで、さまざまな課題はあるものの、マーケット全体の伸長率からすると、今後更に拡大していく市場ではないかと捉えています。

冷凍庫のトレンドと購入時のチェックポイント

―最近発売されている冷凍庫の共通点や、以前の製品との違いはどんなところでしょうか?

話をする中村さんと加藤

中村さん:今までは、上開きの業務用のような冷凍庫が多かった印象です。釣りを趣味としている人が獲ってきた魚を冷凍保存しておくような使い方が多かったのではないでしょうか。
かつてはあまり冷凍庫の電気代や省エネといった点はフューチャーされていませんでしたが、近年各メーカーの努力でそれらについても改善されてきました。リビングダイニングの居室レイアウトが一般化してきたこともあり、置き場所もスリムになったり、デザイン性を重視したりと、冷蔵庫自体が隠す存在ではなくなってきたのです。

加藤:各社ここ数年で冷凍庫に対して、すごく真剣に取り組むようになりましたよね。弊社の中で一番人気の商品は、「スリム冷凍庫80L KUSN-8A」という、幅がスリムな80Lの冷凍庫です。各社スリムなタイプは人気のようですね。お客さまのニーズとして、スリムだけど大容量で省エネもできる冷凍庫がほしいという希望があるようですね。

中村さん:市場がこなれてきましたよね。消費者側も賢くなってきていて、購入時の金額だけでなく、購入後のランニングコストも考えるようになったと思います。

―セカンド冷凍庫を購入する際にチェックしておきたいポイントは?

話をする中村さんと加藤

「195L IUSN-20A」の省エネ性能

中村さん:チェックしておきたいポイントは2つあります。まず1つ目は省エネ達成率ですね。容量セグメント別に基準値は異なるのですが、各社とも同じ基準なので、メーカーが違っても比較ができます。同じ容量だったら省エネ性の数値が高いものを選ぶのが良いでしょう。

もう1つは冷却方式です。直冷式かファン式(間冷式)の2種類がありますが、直冷式は霜取りが必要なので、やはりファン式(間冷式)のほうが使い勝手がいいと思います。

―先程省エネ達成率の話がでてきましたが、省エネ性の向上のために、アイリスオーヤマではどのような工夫をしていますか。

淡路:当社の現在のラインナップでは、スタンダードモデルとスリムモデルを展開していますが、スタンダードモデルは、コンプレッサー(※1)をインバーター制御(※2)することで省エネ性を高めています。インバーター制御をしていない場合は、コンプレッサーをオンかオフかしかできないため、電力の消費量が大きくなってしまいます。これに対し、インバーター制御は、庫内の温度変化に合わせて効率的に細かく運転することができるので、電力の消費量を抑えることができます。

淡路:一方スリムタイプは、壁材に真空断熱材を使うことで省エネ性を高めています。真空断熱材は通常のウレタンに対して断熱効果が高く、同じ厚みでも約10倍の断熱効果があるため、冷気が外に漏れにくく、電力の消費量を抑えることができます。

中村さん:真空断熱材を使ったりすることでランニングコストを抑えてユーザーに使ってもらいやすいように努力をされているのは、作り手での誠実さを感じますね。

淡路:真空断熱材を使用する利点はもう一つ、壁材の厚みを薄くできるので冷凍庫をスリムしても内容量を大きくすることができます。これは、大型の冷凍冷蔵庫では使われている一般的な技術ですが、家庭用冷凍庫に使用しているのは、今のところ当社だけです。

中村さん:専用冷凍庫の中ではアイリスオーヤマが唯一ってことですね!
※1インバーター:家電製品のモーターを自動で制御するもの
※2コンプレッサー:本体に内蔵されたモーターで動作する装置で、冷媒を圧縮することで冷凍庫内を冷却する

―冷凍庫の性能を表す指標として「JIS規格」があります。グレードの違いなど「JIS規格」について教えてください。

JIS規格について

中村さん:まずJISとは日本の産業製品に関する規格や測定法などが定められた日本の国家規格のことです。その中で、冷却性能を表す指標にはワンスターからフォースターまで4段階の基準があるんです。一番高いフォースターであっても、-18℃で保存可能な目安は3ヶ月とされています。
ユーザーの皆さんの中で、「冷凍すれば時間が止まって食品が腐らない」と思っている人も多いようなんですが、そんなことはないんですよ(笑)。扉の開け閉めなどによって冷凍庫内の温度が変化し食品の劣化などがおこるんですよ。

淡路:弊社の冷凍庫は、フォースターしかありません。(2023年2月末時点)3年ぐらい前までは直冷式で扉が上に開くものが主流で、品揃えも少なかったのですが、前開き冷凍庫が台頭し始めて以降は、フォースターが基準となっています。

アイリスオーヤマの冷凍庫は"冷たい収納"?

―アイリスオーヤマの冷凍庫の中で、好評な機能はありますか?

アイリスオーヤマの冷凍庫のを見る中村さん

淡路:本日こちらにご用意している「195L IUSN-20A」にも採用しているのですが、引き出しの収納性が好評です。実は私、入社当時は家電ではなく、プラスチック収納用品の開発を担当していました。冷凍庫も冷凍食品を収納する“冷やす収納用品”だと考え、もともとあった「冷凍庫ってちょっと使いづらい」と感じていた部分を改良しました。

私が考える一番使いやすい収納は、引き出し式の収納用品だと思っています。やはり手前に引き寄せることができるのでモノの出し入れがしやすいく、ケースが透明だと中が見えて探しやすいです。この冷凍庫にはサイズの違う引き出しを3種類用意しました。深型は業務用冷凍食品の大判サイズに、浅型はファスナー式保存袋や袋入り氷など、当社の引き出しは入れるモノに合わせて作っています。
冷凍庫の収納

加藤:一般的なものは冷凍食品を入れるとちょっと幅が足りないなんてこともあるのですが、弊社の冷凍庫はキレイに入るよう設計しています。
冷凍庫の仕切り

淡路:扉を開けた際に庫内の冷気を逃がさないためには、できるだけ短い時間でモノを出し入れすることが重要です。深いところにいくつも積み重ねるよりも、冷凍食品に合わせた引き出しサイズになっていれば、スムーズに取り出すことができます。さらにストック品の残数も一目瞭然です。
また、引き出し内の仕切りも好評です。大判の冷凍カット野菜は使っているうちにどんどん少なくなっていきますよね?こういう時に縦に丸めて置かれる人が多くて「中で細かく仕切れて便利!」と嬉しい声をいただいています。

中村さん:家電以外にもさまざまな商品を作っている、アイリスオーヤマならではの視点じゃないでしょうか。収納のノウハウがあったからこそのオリジナリティあふれる機能ですね!

アイデアがつまった冷凍庫、今後の展望は?

―今後どのような商品を開発していく予定ですか?

冷凍庫の仕切り

加藤:置く場所がないという消費者に対して、その不満を解消する商品ができないかと考えています。セカンド冷凍庫を購入したユーザーに設置場所を訊ねたところ、リビング、キッチンという回答が多い結果となりました。

リビングに置くにしても、今の真っ白な冷蔵庫だと少し味気ないと思いますので、もう少しデザイン性を高めたり、幅以外の不満を解決をしたものを開発中です。幅がスリムなタイプでもう少し容量が大きいタイプや省エネ性を高めたタイプなど、今後もニーズに応じて開発していきます。

淡路:当社はユーザーインの生活者視点で発想し、「機能はシンプル、価格はリーズナブル、品質はグッド、+なるほど」で、ものづくりをしています。
今回ご紹介した冷凍庫も、置き場問題の解決や省エネ性、収納性の向上など、この発想で開発しました。
今後もユーザーの声に耳を傾けながら、ニーズにマッチした新たな商品を企画し提案していきますので、ご期待ください。

中村さん:今後冷凍庫の需要が増える中で、切磋琢磨してオリジナリティのある冷凍庫が発売され、ユーザーに選択肢が増えることを楽しみにしています!

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