必要ないときは「取り外せる」加湿ユニット搭載! マスク技術を応用した加湿空気清浄機をレビュー
公開日:2023.12.26
最終更新日:2023.12.26
空気が乾燥する季節は、喉はイガイガ、肌はカサカサ、髪は静電気でパチパチとさまざまな不調が起こりがち。さらに風邪や感染症など、ウイルス対策も気になるところ。そこで活躍するのが、加湿機能付き空気清浄機です。今回は、加湿と空気清浄が1台でできるアイリスオーヤマの「加湿空気清浄機 10畳/KAP-SH201」(以下、KAP-SH201)をレビューします。最大のポイントは、なんといっても加湿ユニットが取り外せること。従来の加湿空気清浄機ならではのデメリットを克服したKAP-SH201に注目です!
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家電ライター 倉本 春
白物家電やガジェットをはじめとしたモノ系情報を執筆する家電ライター。生活者の目線に立ったわかりやすいレビュー記事に定評がある。自宅には廊下に溢れるほど数多くの家電を常備。電気調理鍋、掃除機だけでもそれぞれ10台以上を所持している。
便利? 不便? 加湿空気清浄機のメリットとデメリットとは
空気清浄機にはさまざまな種類が存在しますが、世界的にみると「空気清浄機能」だけの単機能製品が主流です。一方、日本の大手メーカーに限っては、上位モデルのほとんどが加湿機能も搭載した「加湿空気清浄」モデルを採用しています。これは「空気清浄機」と「加湿器」の2台を部屋に置くのは難しいという、日本ならではの狭い住宅事情が理由です。
狭いスペースを有効活用できる加湿空気清浄機ですが、実は複合機能ならではの使いにくさも。そのひとつが本体サイズです。加湿空気清浄機は、同レベルの単機能空気清浄機より本体サイズが大きめ。このため、加湿が不要な梅雨や夏でも「加湿機能は使わないのにサイズが大きい空気清浄機」を使わないといけません。
もうひとつがメンテナンスの煩雑さ。加湿空気清浄機は本体サイズを可能な限り小さく抑えるため、内部構造が複雑になりがちです。このため、水タンクやフィルターの形が凸凹と入り組んでいて、掃除が面倒なことが多いのです。
着脱自在な加湿ユニットが画期的!「KAP-SH201」の特徴
今回レビューするKAP-SH201は、加湿ユニットが着脱できるという珍しい構造をしています。加湿器が必要ない季節は加湿ユニットを外してコンパクトに利用可能です。さらに、加湿ユニットの構造も単純でメンテナンスも簡単。
かなり珍しい着脱式の加湿空気清浄機ですが、その仕組みは意外とシンプル。KAP-SH201の本体はフィルター式の空気清浄機で、本体下部から部屋の空気を吸引して高機能集じん脱臭フィルターを通してキレイになった空気を本体上部から吹き出します。
一方、加湿ユニットは、加湿フィルターが入ったドーナッツ型のバケツのような構造。加湿ユニットを空気清浄機にのせると、空気清浄機からでた風がドーナッツ中央の穴から濡れた加湿フィルターを通って、水分をたっぷり含んで部屋に放出されるという仕組みです。
この構造からわかるように、KAP-SH201は水の蒸発を利用した「気化式」とよばれる加湿方式を採用しています。
加湿器にはスチーム式や超音波式などさまざまな方式がありますが、気化式は部屋をほど良く加湿し過加湿を起こしにくいというメリットがあります。また、水を沸騰させるスチーム式のような火傷の心配がなく、超音波式のように雑菌ごと空気中に飛散することもありません。
実際に「KAP-SH201」を自宅で使ってみました!
KAP-SH201を配置した感想は、思ったよりコンパクトということ。本体サイズは直径21×高さ45cm、重量約3kgで持ち運びも手軽です。デザインもシンプルなので、加湿ユニットがついた状態でも圧迫感がありません。個人的に床にモノを置くと掃除機をかけるのが面倒になるため、ベッド横のサイドテーブルに置けるサイズ感が嬉しかったです。
もちろん加湿器のいらない梅雨や夏なら加湿ユニットを取り外し、さらにコンパクトにして利用できます。
加湿器としての性能もバッチリ! 場合によっては省エネ効果も?
一般的に、部屋の湿度は40〜60%前後が良いとされていますが、12月初旬の我が家の湿度は35%とかなり乾燥気味。この状態で寝ると、起きたときに「喉がイガイガする」と感じてしまいます。
KAP-SH201の加湿量は3段階で調整可能です。「弱」モードなら80mL/h、最大の「強」モードで250mL/hの加湿量があります。とはいえ、数値だけをみても、どれくらいの加湿量があるのかピンとこない人も多いでしょう。そこで、実際にKAP-SH201がどれだけ部屋を加湿してくれるかを我が家の寝室(木造:6畳)でチェックしてみました。
KAP-SH201の「強」モードで加湿したところ、8分ほどで40%まで湿度が上昇しました。その後、1時間半ほどかけて60%近くまで湿度が上がったあと、ほぼ60%前後の湿度を維持。
ただし「強」モードでの使用は、運転音が気になります。強モードの運転音は約49dBほどあるのですが、これは静かな事務所や家庭用エアコンの室外機と同レベルの音です。昼はあまり気になりませんでしたが、夜に寝る環境としては少々気になるうるささでした。そこで、我が家では夜は「弱」モードに切り替えることに。弱モードでの運転音は20dBほどで、静かな夜でもほとんど気になりません。我が家の寝室でこのモードを利用すると、だいたい50%前後で湿度をキープしてくれました。
ちなみに我が家の6畳の寝室の場合、「弱」モードだと約13時間水の補給なしで加湿ができます。水タンクの一部が透明になっているので、水残量は外からひと目でわかるのもポイントです。
水の補給も上から注ぐだけと手軽。加湿ユニットを取り外して、直接シンクから給水することもできる2WAY給水方式を採用するなど、使いやすさについても考えられている製品だと感じます。
ところで、今回は喉の乾燥対策のために寝室に加湿器を導入しましたが、我が家では意外にも「省エネ」というメリットもありました。というのも、部屋の湿度が上がると体感温度もアップするので、エアコンの設定温度を自然と1〜2℃下げられるようになったのです。暖房の設定温度は1℃下げることで5〜10%の節約になるともいわれているので、ガマンせずに設定温度が下げられるというのは嬉しい効果でした。
ユニット丸ごと水洗いできる手軽なメンテナンス
加湿器の導入をためらう理由のトップに、メンテナンスが面倒ということが挙げられます。加湿器は長時間水を溜めるため、水タンクや加湿フィルターなどに雑菌やカビが発生しやすいのです。そこで、KAP-SH20は水タンク内に水色の銀ビーズケースを配置し、水に溶けだした銀イオンが菌やカビの発生を抑制してくれるという機能を搭載しています。
もちろん、銀ビーズがあっても1ヵ月に1回程度、フィルターや水タンクを洗う必要はありますが、加湿ユニットは着脱式のシンプルな構造だけにすべて水洗いが可能。タンク構造も複雑ではないので洗うのが驚くほど簡単です。加湿ユニットをシンクでジャバジャバ洗えるので、メンテナンスも負担に感じませんでした。
マスクの技術を応用した高性能フィルターで空気清浄機能も魅力的!
KAP-SH201は、空気清浄機能も高性能です。空気清浄機としての最大の注目ポイントが、フィルターの素材。アイリスオーヤマといえば感染対策用の高性能なマスクでも評価のあるメーカーですが、KAP-SH201はこのマスクの特殊帯電技術を応用した不織布フィルターを採用しています。このため、KAP-SH201は医療用マスク最高クラス(JIS T9001における医療用マスク クラスⅢ適合)の基準を満たす集じん性能があり、微粒子、バクテリアやウイルス、もちろん花粉の捕集性能も約99.9%と安心感があります。
コロナ禍以降高性能な空気清浄機は増えましたが、同時にフィルターの高価格化も進んでいます。高機能空気清浄機のフィルターともなると1年交換目安で1万円以上する製品も多いのですが、KAP-SH201はランニングコストの手軽さも魅力のひとつ。
集じんフィルターの交換目安は約2年で、フィルターは直販価格で2,508円(2023年12月現在)と高性能フィルターとしては驚くほど低コストです。いくらフィルター性能が高くても、買い替えを控えてフィルターが汚れたままでは空気清浄機は正しい性能を発揮できません。しかし、2年に一度、この値段ならあまり負担なく買い替えができるのではないでしょうか。 この価格帯も高性能マスクやフィルターを自社生産しているアイリスオーヤマならではの魅力だと感じます。
フィルターは高性能ですが、空気清浄機としての機能はシンプル。風量を「弱/中/強」と、空気の汚れ(におい)にあわせてパワーを自動調整できる「自動」モードの4つのモードが選択できます。また、4時間/8時間後に自動的に電源をOFFできる切タイマーも搭載しています。
電源ボタンの上には、空気の汚れ(におい)を赤(汚い)黄色(やや汚い)緑(キレイ)で知らせてくれる「キレイランプ」も配置しているので、部屋の空気の汚れがひと目でわかるのも嬉しいポイントです。
加湿コントロール可能なKAP-SH201で1年中お部屋を快適に
取り外せる加湿ユニットとメンテナンスしやすい構造、高性能でコスパの良い空気清浄フィルター、空気の汚れが目にみえるランプ……KAP-SH201は使うほどに魅力が実感できる加湿空気清浄機です。今回は寝室で使うために空気清浄機能適用床面積10畳のKAP-SH201をレビューしましたが、同シリーズには適用床面積16畳のKAP-SH301もあります。リビングで利用したい場合など、部屋のサイズにあわせて製品が選択できるのも嬉しいですね。
コロナ禍以降、空気清浄機を導入する家庭は増えましたが、加湿器はまだという家庭も少なくありません。しかし、部屋を適切に加湿することで鼻や喉などのガード機能が正常に働く他、花粉やウイルスなどの微粒子を飛び散りにくくするなど家族に嬉しいメリットがたくさんあります。まずはKAP-SH201のような「加湿機能がいらない場合は外せる」加湿空気清浄機で、加湿コントロールを試してみてはいかがでしょうか。