2020年10月、日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。
「節電」をしたいと考える際、「ランニングコスト」をいかに削減できるかが大切になります。また、現在は急激な電気代の高騰により、「コスト削減」に関心のある企業も増えています。
はじめに節電の重要性について詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
電気代が高騰しています
現在は、さまざまな要因によって電気代が高騰しているといわれています。企業にとっての負担が大きく、節電が注目されています。大まかに挙げられる要因は下記の3点になります。
- 原料の輸入価格の高騰
- 脱炭素
- 火力発電所の老朽化と原発の停止
それぞれの要因について簡単にご説明します。
原料の輸入価格の高騰
1つ目は、原料の輸入価格の高騰です。
2021年9月から各電力会社の電気料金が値上がりしています。主な原因は、石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入価格の高騰により、燃料費調整額※1が値上げされているためです。日本は燃料のほとんどを海外からの輸入に頼っているため、石炭や液化天然ガスが高騰すると電気料金も比例して値上がりしてしまいます。
※1「燃料費調整制度」に基づいて決められる発電の燃料費のことです。毎月の電気料金のうち、電力量料金(従量料金)に対する補正として適用されます。燃料費調整額は、電気料金をプラスさせることもあれば、燃料費が安い時期には電気料金を値下げしてくれます。
脱炭素
2つ目は、脱炭素社会実現のための二酸化炭素排出量削減による影響です。
LNGは石油や石炭に比べて二酸化炭素排出量が少なく、脱炭素社会実現のために多くの国々がLNGへ移行しています。一方、LNGは全く二酸化炭素を排出しないエネルギーではないため、今後需要が低下することが懸念されているのです。これにより、増産に積極的な企業が少なく、需要に対して供給が大きく下回っているため、電気代を引き上げる要因のひとつとなっています。
発電所の老朽化と原発の停止
3つ目は、火力発電所の老朽化と原発停止による影響です。
2016年の電力自由化により維持費のかかる火力発電よりも収益性の高い再生エネルギーにシフトする動きが電力会社で加速しました。そのため、老朽化した火力発電所は次々に廃止されています。廃止によって供給量が低下しているため、電気代が高騰している要因のひとつです。
また、東日本大震災によって発生した原発事故により脱原発の世論が強まり再稼働することが難しくなりました。これにより、供給量が低下していることも原因になります。
日頃から節電の意識を持とう
脱炭素や火力発電所の老朽化、脱原発に加え、新型コロナウイルス感染症拡大やウクライナ情勢によって電気代がさらに高騰しています。そのため、オフィスで働く人々が日頃から節電の意識を持つことは非常に重要です。
もし、節電意識を持たずに生活していると、需要に対して供給が追いつかず、計画停電をせざるを得ない状況になる可能性もあります。電力不足は私達の生活や経済に悪影響を与えることもあるため、日頃から節電の意識を持つことは非常に重要です。
電気料金プランを見直そう
市場連動型プランを契約している企業は、プランを見直すことで節電効果を得られる可能性があります。市場連動型プランは、日本卸電力取引所の価格変動に影響を受けるプランのことです。需要が高まったり、供給が逼迫したりするとほかのプランに比べて電気代が高騰しやすいため、プランを見直すと節約できる可能性があります。
デマンドを抑えることが電気代削減の重要ポイント!
“デマンド”とは、30分間使用する電力量の平均です。なぜ、デマンドを抑えることが電気代削減の重要なポイントになるのでしょうか?
その理由は、デマンドの値を低くすることで基本料金を下げられるケースがあるからです。
基本料金は具体的に下記の値の合計を表します。
基本単価×デマンド値(年間で最も高い値)×力 率割引
この基本料金のデマンド値は当月を含む過去1年間の最大値が契約電力として適用されます。
つまり、デマンド値が低ければ低いほど、基本料金が下がるため、料金が安くなります。また、夏季や冬季など空調を使用する頻度が増える時期はデマンド値が高くなる傾向にあるため、注意が必要です。
節電を意識するときは、デマンド値を抑えることが重要であるといえるでしょう。
LED照明の普及率
オフィスでできることはいくつも挙げることができます。その中のひとつとして照明のLED化を思い浮かべる方もいるのではないでしょうか?
LED照明は白熱電球に比べて消費電力が8分の1といわれており、大きな節電効果を得ることができます。しかし、実際に日本においてLED照明の普及は進んでいるのでしょうか?
LED照明の普及率は、約46%(※日本照明工業会より)といわれています。その割合は50%にも届かず、不十分なことがわかるでしょう。
照明をこまめに消すなどの対策も重要ですが、オフィスの照明をLED照明に更新することもひとつの手になるでしょう。
オフィス照明の節電ポイントは大まかにわけて5つあります。それぞれのポイントについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
LED照明を利用する
1つ目は、LED照明を利用することです。
オフィスで使用している蛍光灯から直管LEDランプへの切り替えた場合の消費電力は最大約76%※2削減されます。そのため、大きな節電効果を得ることが可能です。
※2 蛍光灯40W ラピッドスタート式FLR40形(42W)と直管LEDランプ40形(ECOHiLUX HE200 2000lm 10W)との比較
また、寿命が長いこともメリットとして挙げられます。LED照明は蛍光灯と比較して寿命が約4倍です。さらに水銀を使用しないため、環境にも優しいといえるでしょう。
使用時間を短くする
2つ目の節電方法は、照明の使用時間を短くすることです。
オフィスを使用していないときに照明を点灯していると無駄な電力を消費することになります。オフィスに誰もいないときは必ず照明を消すことで節電効果を得ることができるでしょう。
明るさを調節する
3つ目の方法は、明るさを調節することです。
明るさを落とすことで明るさを調節できない照明よりも節電効果を得ることができます。オフィスの照明が調節できないという方は、インバーター式器具に買い換えるのもおすすめです。また、LED照明の導入初期は既存光源の劣化に対し明るくなるため、初期照度を補正することも重要です。急な眩しさの防止だけでなく、節電にも効果があります。
カバーを掃除する
4つ目の方法はカバーを掃除することです。
照明のカバーが汚れていると明るさが低下します。掃除することで節電できるわけではありませんが、照度の低下を防ぐことで照明の明るさを落とすことができるため、結果的に電力を節約することが可能です。定期的に掃除をして照度を低下させない、明るさをできるだけ低く設定することで節電を心がけましょう。
人感センサ付きLED照明や、照度センサなどを利用する
5つ目の方法は、人感センサや照度センサを利用することです。
人感センサ付きのLED照明を設置すれば、人を検知しないときに自動で照明が消灯し、人を検知すると点灯してくれます。照度センサを利用することで外光に応じて、適切な明るさに自動で調整ができます。これにより、自動で点灯時間を短くすることができるため、節電を実現することが可能です。
人感センサ付きの照明は、オフィスの中でも照明を頻繁に点滅させる箇所に設置するのが好ましいでしょう。特に、お手洗いや玄関口など人の出入りが激しい場所に設置するのがおすすめです。
最後に、節電と省エネの違いについて解説します。
節電とは
『節電』とは、その名の通り“消費電力を少なくすること”です。電力を節約して使用量を減らす取り組みを節電といいます。目的はあくまでも電力の使用量を抑えることのみです。
省エネとは
一方、省エネはエネルギー消費を抑えることです。そのため、電気だけでなくガスや石油などの消費を減らすことも省エネの中に含まれます。主な目的は無駄なエネルギー消費を減らすことです。エコのように環境保護の観点からエネルギー消費を減らすという意味ではないため、注意しましょう。
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