昨年の原油高などのエネルギー供給問題に端を発して再度注目を浴びる省エネ・節電。企業は、電力ひっ迫に備えたデマンド削減や温室効果ガス削減、円安による経営への影響など、 さまざまな要因から節電対策を迫られています。これまでの省エネ・節電の経緯と今後についてご紹介します。
省エネ・節電は、それぞれ「温暖化対策の省エネ」と「エネルギー安定供給のための節電」のように目的が違います。
省エネルギー(略して省エネ)は、エネルギー資源を無駄なく使い、CO2排出量を減らす取り組み全般を指します。 産業革命以降の大量消費社会で排出された温室効果ガスによる温暖化対策として、1992年の 地球サミットで気候変動枠組条約が締結され、各国で省エネの意識が生まれました。その後京都議定書、パリ条約などを経て、具体的な温暖化対策のルールが決定されています。日本でも2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、効率的なエネルギー利用や自然エネルギーの推進など、各業界・企業で幅広い努力が行われています。
一方で節電は、ピーク時の電力消費量を抑えることで、石油・天然ガスの供給バランスが崩れたり、猛暑や寒波で電力需要が増えたりした際、停電リスク回避のために実施されてきました。昨今の日本では2011年の東日本大震災時の電力供給危機を乗り越えるべく節電が推進され、照明の間引き点灯や消灯、高効率なLED照明の推進、空調設定温度の引き上げなど、さまざまな取り組みが官民問わず行われてきました。2022年には国際情勢悪化によるエネルギー供給減や、原油などの原材料の高騰、冬季電力需要の高まりなどから、節電の重要性が再認識されています。
省エネ法では年間の電力使用量削減を基準としているため、ピーク時のみならず継続的な節電が省エネに繋がります。
SDGsやCSRの観点から各企業で省エネの重要性が高まる中、原油高や円安に起因するコスト増・経営への影響による省エネ、特に節電対策は喫緊の課題です。 しかし、LED照明の導入や最新の高効率な機器への入れ替えといった設備投資から、こまめな消灯・空調の設定温度の見直しなど現場レベルでの細かい対策まで、従来の企業努力は限界が見えてきたとも言えます。 特に、人手不足にあえぐ現状では、快適さを損なう職場環境や働く人に犠牲を強いる過度な省エネ・節電策は、人材確保や店舗での集客の面から大きな課題になり得るでしょう。 そのため、現在では多くの企業でこれまで以上に省エネ・節電するためにはどうしたら良いのか試行錯誤が続いています。
アイリスオーヤマでは、法人向けLED照明事業での省エネルギーなLED照明開発を通して、震災後の節電需要や各企業のカーボンニュートラルへの対応を後押ししてきました。 蛍光灯や白熱電球など従来光源のLED化はもちろんのこと、現在では震災後の設置から約10年を経たLED照明を、より高い省エネ性能を持った最新のLED照明に切り替える「LED to LED」を推進。 また、照明制御に適した無線制御システム「LiCONEX(ライコネックス)」を開発し、空間のさらなる省エネ・節電を促進しています。LiCONEXは照明の明るさや点灯状況をその空間や時間帯、利用用途に最適な状態に調節することで、空間の快適性を損なわず、大幅な節電が可能です。 タブレットから簡単に照明を操作でき、照明器具1台ごとの操作、自動スケジュール制御や複数フロアをまたいだビル全体の照明器具の制御・管理、さらには遠く離れた照明の遠隔管理などができ、無駄を省いた無理のない節電を実現します。また、LiCONEXは照明間に張り巡らせたネットワーク網と双方向通信することで、照明の点灯状況や消費電力データを収集して細かく把握でき、経費削減の指標として利用できます。温湿度センサーや二酸化炭素濃度センサーなど外部機器との連携も可能で、室温や空間の状況をモニタリングすることもできるため、快適な環境を維持しながらも自動化&省人化が可能です。空間のコンディションを可視化することで、空調温度の適正化を促すなど省エネの促進が期待できます。
そして、今年3月には、空調機器に取り付け、AIが運転を制御し大きな省エネ効果を実現する「エナジーセーバー」を発売しました。 従来の空調機器では、運転時のコンプレッサーの稼働がアバウトなため、設定温度を上下する幅が大きく、運転・停止を繰り返すことで無駄なエネルギーを浪費していました。自動車の運転に例えると、急アクセル、急ブレーキを繰り返し燃費が悪い状態です。 エナジーセーバーは既存の空調機器に取り付けてAI制御で繊細な運転を促します。言わば空調のアクセルとブレーキの凸凹を小さくして温度の上下幅を減らすことで、電力消費を最小限に抑えるという仕組みです。 施設の電力消費の大部分を占める空調を大きく省エネし、電気代コストの削減とデマンドの抑制を実現します。
地球環境の将来に多大な影響を及ぼす温暖化に対しては、企業も個人も当事者意識を持って積極的に取り組んでいかなければなりません。 気候変動による猛暑や寒波によって電力供給がひっ迫すること、国際情勢や経済動向など諸々の影響を受けてエネルギー供給が不安定化する事態も十分考えられます。 企業としては、危機を迎える前に可能な省エネ・節電策を継続して行っていくことが求められ、さらに人材確保の面から職場環境の快適性との両立が必要となります。 常に最新の省エネ・節電策の情報を収集しながら、最善の省エネ・節電策を実行し続けていくことが欠かせないと言えるでしょう。
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