【アイリスオーヤマのジャパン・ソリューション】“目に見えない”課題を解決!アイリスオーヤマの「エアソリューション」

【アイリスオーヤマのジャパン・ソリューション】“目に見えない”課題を解決!アイリスオーヤマの「エアソリューション」

アイリスオーヤマは、さまざまな社会課題を解決するためのソリューション提供を行っています。事業の柱となるのは、「家電事業」「LED事業」「精米事業」「ロボティクス事業」「エアソリューション事業」の5つ。今回は「エアソリューション事業」にフォーカスし、詳しくお伝えします。エアソリューション事業では、「安全な室内空間」と「省エネ・節電」のふたつの課題を同時に解決するソリューションを提供しています。具体的な仕組みと効果、これからの展望について、BtoB事業グループメーカー本部 執行役員の本所翔平氏にインタビューしました。

INDEX

【アイリスオーヤマのジャパン・ソリューション】“目に見えない”課題を解決!アイリスオーヤマの「エアソリューション」

+1 Day 編集部

理想の暮らしをさがす、つくる。
“ちょっといい”生活のヒントが見つかるライフスタイルマガジン
家電好きなメンバーを中心に、DIY やアウトドア、ペット関連など、衣食住にまつわる理想の暮らしにちょっと近づくアイデアや商品情報が詰まったコンテンツをお届けします!

新たな課題は「空気の質の向上」と「電力使用の効率化」

アイリスオーヤマ目黒オフィス
新型コロナウイルスの感染拡大はピークを過ぎ、オフィスや店舗に人が戻りつつあります。そんな中、新たな感染症への備えとともに、健康や防疫に対する人々の関心が高まっています。そこで課題となっているのが「空気の質の向上」です。外の空気を取り込む換気だけでなく、それ以上の質が求められています。
また同時に、電気代の急激な高騰やSDGsの広まりから、節電の対策が急務となっています。アイリスオーヤマでは、企業向けにLED照明を中心とした節電の提案に加え、空調効率の改善を図り省エネ・節電ができるソリューションも提供しています。それが、2022年から展開するエアソリューション事業です。
▼お話を聞いたのは…
アイリスオーヤマ株式会社 執行役員 BtoB事業グループメーカー本部 兼 事業本部 本部長/アイリス電工株式会社 取締役 本所翔平

アイリスオーヤマ株式会社 執行役員 BtoB事業グループメーカー本部 兼 事業本部 本部長/アイリス電工株式会社 取締役 本所翔平

2009年に入社し、2013年LED事業本部に所属。2019年よりLED事業本部の事業部長とアイリス電工株式会社の取締役を兼任。2022年からBtoBメーカー本部の執行役員を務めている。

「安全な室内空間」と「節電・省エネ」を同時に実現

―エアソリューション事業を開始したきっかけを教えてください。

インタビューを受ける本所氏
コロナをきっかけに「空気」に対する世の中の関心は高まっています。特に多くの人が集まる学校や幼稚園、保育所、また病院や介護施設などは、利用者も職員も常に感染のリスクと隣り合わせの状況にあります。そんな環境の中で、少しでも安心安全な環境にできないか、と考えていました。

また、オフィスではリモートワークから徐々にオフィスに回帰する動きがみられています。オフィスで働くことが当たり前ではなくなり、オフィスで働く社員の健康面への配慮が経営課題にもなっています。欧米では一般的になっていますが、一部の日本の企業ではビルやオフィスなどの空間を「効率化や生産性」だけでなく、「人間の健康」の視点から評価する「WELL認証」を取得するなど、社会全体が働く環境の「質」にも目を向けるようになりました。
GXのイメージ
昨今は「節電」への関心も高まっています。その背景として、さまざまな社会情勢からエネルギー原料が価格高騰したことで電気代が値上がりし、一般家庭での圧迫は勿論、企業では特に電気使用量の削減が経営課題となっています。政府も2023年2月、温室効果ガス排出削減目標の達成に向けた取り組みを推進する「グリーントランスフォーメーション(GX)」の基本方針を発表しました。

当社も、2010年から法人向けのLED事業に参入し、LED照明による省エネを推進することで、さまざまな節電ニーズにお応えしてきました。しかし、それでは追いつかないほど「省エネ・節電」がビッグワードになっているため、LED照明以外で新たなソリューションを模索していました。

―「健康で安全な室内空間」と「節電・省エネ」の2つの課題に、各企業が同時に直面している状況なんですね。

はい、その2つの課題を総合的に解決するソリューションとして2022年5月に立ち上げたのが、「エアソリューション事業」です。1つ目は大規模空気清浄化技術を搭載した「Plasma Guard PRO™ アイリスエディション」、2つ目は空調を最適化し、省エネを支援する「エナジーセーバー」を、中核的な製品としてご提案しています。

「生きたイオン」で99.9%菌やウイルスを抑制する「Plasma Guard PRO™ アイリスエディション」

―まずPlasma Guard PRO™ アイリスエディションは、一般的な空気清浄機とどこが違うのですか?

わかりやすくいうと、空気中のウイルスや菌を取り除くアプローチが全く異なります。ポイントは、発生させる「イオン」にあります。イオンには空気中の菌やウイルスに接触し、酸化反応によって分解・不活化する機能があります。
しかし、このイオンには大きな欠点があります。それは「寿命が短い」ということ。空気清浄機でイオンが放出できる商品の場合、イオンが放出されても、わずか1秒未満でイオンでない状態にすぐ戻ってしまうので、空気中に浮遊するウイルスや菌に生きたまま到達しないのです。
プラズマガードの技術
一方でPlasma Guard PRO™ アイリスエディションでは、独自の低温プラズマ放電技術により、イオンを約1時間まで長寿命化します。イオンが生きた状態で約1時間、空気中に充満することによって、ウイルスや菌を99.9%抑制します。Plasma Guard PRO™ アイリスエディションを導入すると、私たちの目には見えませんが、室内が「生きたイオン」で満たされている状態になります。仮に会話などで飛沫が飛んだとしても、それを「生きたイオン」がとらえ、不活化してくれるのです。

―イオンが生きたままウイルスや菌に届く、というのがポイントなんですね。

PlasmaGuard PRO™-アイリスエディション-【アイリスオーヤマ】

「生きたイオン」が空気中にとどまり続けるだけでなく、机や椅子、床などにも行きわたるので、そこに付着したウイルスや菌に吸着し、不活化してくれます。つまり、何度もアルコールで拭くなどの手間が不要になります。
人が多く集まる学校や福祉施設、店舗などでは今も除菌作業に多くの時間を割かれています。その除菌の工程を減らしスタッフの負担を軽減できるという点も、大変ご好評をいただいています。
綿棒でテーブルを拭いている様子

※写真はイメージとなります

「生きたイオン」を実感していただくため、Plasma Guard PRO™ アイリスエディションの導入前には必ず設置した前後で拭き取り検査を行い、効果を検証しています。結果を数字で確認することで、効果を実感いただいています。

―置き型とダクト設置型がありますが、それぞれどんな施設に導入されていますか?

置き型のプラズマガード
ダクト設置型は、既存の空調ダクトに取り付けることで、約90坪までの範囲に有効です。そのため、オフィスや病院、商業施設など大規模な施設への導入が多いです。空調設備の入れ替えは行わないため、導入のために休館や閉鎖をする必要はありません。置き型は、工事も不要で移動もできるため保育所や図書館、医療・福祉施設など、小から中規模施設での導入が多いです。

設置いただいた保育所から、「以前は感染対策をしていても一気に拡散してクラス閉鎖になることもあった。導入後は園外で感染した子どもが発症しても、園内で拡散することがなくなったので、とても心強く感じている。」と嬉しい声をいただきました。

空調の「ばらつき」を制御する新しい省エネ「エナジーセーバー」

オフィスのエアコン

―次に、「省エネ・節電」に対するソリューションである「エナジーセーバー」についても教えてください。

エナジーセーバーは、新しい省エネソリューションとして2023年4月に販売を開始しました。施設に設置されているパッケージエアコンにAIを搭載した機器を直接取り付けることで、2つの温度センサーがリアルタイムで測定します。それにより室外機の必要以上の稼働を抑え、室温を一定に保つことで省エネを図るというものです。

―「室温を一定に保つ」ことが、なぜ省エネにつながるのでしょうか。

エアコンの基本的な仕組みからお話しすると、室内機と室外機があり、冷房の場合は室外機の冷媒ガスが圧縮されて室内機から冷たい空気が出てきます。
室内の温度設定が24度だった場合、実は24度を常に保っているわけではありません。22度まで下がったり、反対に室外機が止まることによって温度が上がったり、上下を繰り返しながら24度を軸に推移します。つまり24度を平均値として温度に「ばらつき」があるということです。
「ばらつき」がある、つまり冷やしすぎ、暖めすぎが生じているということは、イコール「エネルギーを使いすぎている」ということ。その「ばらつき」を補正し、常に設定した室温を維持するように空調を効率的に稼働させることで、省エネを図るのがエナジーセーバーです。

―具体的に、どのような仕組みで室温を一定に保つのですか?

エナジーセーバーの稼働イメージ
高性能温度センサーが室内機の吸気と給気の温度をリアルタイムでモニタリングし、室温の変化をいち早く検知します。AIによって空調を自動制御することで、室温の「ばらつき」を限りなく小さくしていきます。設定温度に対する室温の上下変動を最小化し、室外機の必要以上の稼働を抑えることで電力使用量を大幅に削減することができます。
例えるなら、照明の場合は室内の環境や時間帯によって明るくしたり暗くしたり、色を変えたりといった形で空間に合わせて調光・調色しますよね。その細かい調整を空調でも自動的に行いながら、節電するというイメージです。

―空調の「ばらつき」を制御すると、どのくらい節電になるのでしょうか。

節電効果

※当社の実証実験をもとにした試算です。実際の削減目安に関してはご提案時にシミュレーションさせていただきます。

デマンドコントローラーやBEMSなど既存の省エネシステムが、約5%~10%の節電効果があるといわれます。それに対してエナジーセーバーは、施設によって30%~70%の節電効果が立証されています。

―最大で70%!節電のインパクトはかなり大きいですね。

エナジーセーバーのシュミレーション例
デマンドコントローラーが電力使用量を強制的に抑制するアプローチであるのに対し、「エナジーセーバー」は設定した温度を変えることなく節電を実現できるもの。特に、政府が今夏に導入予定の「熱中症特別警戒アラート」によってクーリングシェルターとして開放を義務付けられる公共施設においては、そのメリットをより実感していただけるものと思います。
冒頭でもお伝えした通り、当社は2010年から法人向けのLED事業を立ち上げ、オフィスや店舗、施設の省エネ・節電をサポートさせていただきました。一方、「LED照明だけでなく、省エネできる方法はありませんか?」との声をたくさんいただきました。このエナジーセーバーを新たな省エネのソリューションとしてご提供することで、そのニーズに応えていきたいと考えています。

空気の安全性と省エネを同時に実現する「エアソリューション」

―「空気」にまつわる課題解決を図るのがエアソリューション事業なんですね

個別にみるとそうですね。ただ、私たちはこの「Plasma Guard PRO™ アイリスエディション」と「エナジーセーバー」を、総合的なソリューションとしてご提案したいと考えています。現在も、多くの施設では換気のため、窓を開けて外気を取り込んでいます。しかし、夏場は熱気、冬場は冷気を外から取り込んでしまうので、エアコンのエネルギーコストがかかっているのです。
でも、Plasma Guard PRO™ アイリスエディションを導入すれば、換気を減らしても感染リスクの少ない空間を実現でき、省エネにもつながる。そこにエナジーセーバーを合わせて導入すれば、エネルギーコストをさらに削減することができます。空気の安全性と省エネが互いに対立するのでなく、互いを掛け合わせることで効果を最大化させ、安心できる空間と省エネを同時に提供できる画期的なソリューションだと考えています。

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

笑顔の本所氏
このエアソリューション事業をさらに発展させていくとともに、今後はオフィスや店舗などのマネジメントに関わる他のソリューションとの連携も図っていきたいと考えています。現在は照明、空調、ロボティクスなどのソリューションが個々に独立しています。それらのソリューションを同じプラットフォームで運営することで、タブレット上のダッシュボードでウイルスの除去率や電気代の削減状況をタイムリーに管理することができ、同時にロボティクスなどによる省人化の効果も可視化できると考えています。

このように、個々のソリューションがつながるプラットフォームを実現することで、ソリューションの相乗効果をより高めていきたいと考えています。

\ シェアする /