【アイリスオーヤマのサステナビリティ】ジャパン・ソリューションで地域の課題を解決~ふるさとの杜再生プロジェクト~

【アイリスオーヤマのサステナビリティ】ジャパン・ソリューションで地域の課題を解決~ふるさとの杜再生プロジェクト~

アイリスオーヤマは、さまざまな社会課題を解決するためのソリューション提供を行っています。近年では地方自治体との連携を強化し、地域のさまざまな行政課題の解決に一緒に取り組んでいます。今回は、宮城県仙台市との取り組みのひとつで、東日本大震災による津波で失われた仙台東部地域の海岸林を再生する「ふるさとの杜再生プロジェクト」に参加した様子をご紹介します。あわせて、仙台市をはじめとする自治体との連携に込めた思いや、アイリスオーヤマが実現を目指す社会についてお伝えします。

【アイリスオーヤマのサステナビリティ】ジャパン・ソリューションで地域の課題を解決~ふるさとの杜再生プロジェクト~

+1 Day 編集部

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震災で失われた海岸林の再生を目指して

2023年9月16日。この日、仙台市内では「仙台ふるさとの杜再生プロジェクト」の育樹会が開催され、アイリスグループ(アイリスオーヤマ株式会社、株式会社アイリスプラザ)の社員と家族が参加しました。本プロジェクトは、2011年3月11日の東日本大震災の津波によって失われてしまった仙台の海辺の森を再生する取り組みです。
今回は本プロジェクトに参加するきっかけとなった仙台市との包括連携協定について、またアイリスオーヤマがなぜ自治体と提携するのか、そこから目指す未来について、渉外室 室長の阿部裕之氏にインタビューしました。
▼お話を聞いたのは…
アイリスオーヤマ株式会社 渉外室 室長 阿部裕之

アイリスオーヤマ株式会社 渉外室 室長 阿部裕之

1994年に入社し、マーケティング・事業企画部門を経験後、2009年にペット事業部事業部長に着任。
その後、照明事業部やホーム事業部、原価管理部、BtoBメーカー本部建材事業部で部長を歴任したのち2022年から渉外室の室長を務める。

「仙台ふるさとの杜再生プロジェクト」について

仙台の海辺は、江戸時代から植樹が行われ、海岸林や居久根(いぐね)と呼ばれる屋敷林が海岸線に沿って広がっていました。これらの海岸林は、潮風が住宅に吹きつけるのを防いだり、風とともに飛んでくる砂から畑の野菜を守ったりするなど、地域の人々の生活に欠かせない存在でした。しかし、東日本大震災の津波被害によって、これらの海岸林や居久根は大きく失われてしまいました。
育樹について説明を受けている当日の様子

                   育樹について説明を受けている当日の様子

本プロジェクトでは、地域の人々の暮らしに根ざした海辺の森を再生するため、市民や企業と協働し、苗木を植え、定期的に手入れをしながら育てています。2014年に活動がスタートしてからこれまで述べ3,300人が参加し、約26,000本もの苗木が植えられました(2023年9月現在)。この生態系が持つ機能を生かした防災・減災の取り組みは、「Eco-DRR (Ecosystem based Disaster Risk Reduction)」といわれ、国際的にも注目を集めています。
現在は苗を植えるだけでなく、植えた苗木が雑草に負けないように成長の妨げとなる雑草を取る活動を中心に行われています。
育樹会当日、スタッフの方から「海岸に植えた苗の周辺に生えた雑草を取り除くことで、苗の成長に必要な栄養分や日光を届けることができる」という説明を伺った後、この日集まったアイリスグループの社員やその家族たちも、植えられた苗木の周りの雑草刈りに汗を流しました。
阿部:「定期的に雑草を取らないと、せっかく植えた苗木が曲がって育ってしまいます。木を植えて終わりではなく、こういった雑草取りなどの地道な活動を積み重ねることで、はじめて震災前の光景が取り戻されることを実感しています」
当日の参加者からは、以下のような感想があがりました。

除草は機械で行うのかと思っていましたが、小さな木を育てるのに、人の手で丁寧に行っていることに驚きました。

震災前の森を写真で見せていただいたので、周りを見渡した時に、津波の被害の大きさを改めて実感しました。将来の再生に向けて、微力ながらお手伝いしたいと思っています。
寄贈品

                         寄贈した物資

アイリスオーヤマでは、社員などの育樹会への参加だけでなく、活動に必要な軍手など物資の寄贈も行っています。本プロジェクトを運営する、仙台市建設局 百年の杜推進部 百年の杜推進課長の熊谷純さんは、アイリスオーヤマをはじめ企業のプロジェクトへの参画に対して、次のように期待を寄せています。

「このプロジェクトは、30年もの歳月をかけて苗木を植え育て、緑の財産を築いていく壮大なプロジェクトです。また、この活動を通じて震災の教訓や復興の記録を次代に語り継いでいく目的もあります。企業や団体の皆様には、この取り組みにご参加いただく社員様やご家族といった人員のご協力だけでなく、植樹・育樹に必要な資材の提供など、この活動を長く支えていただけるとこれほど心強いことはありません」

仙台市との包括連携協定に込めた思い

宮城県仙台市と包括連携協定を締結

                         包括連携協定の様子
左からアイリスオーヤマ株式会社 取締役BtoB事業グループ本部長 佐藤 昭彦、同 代表取締役社長 大山 晃弘
仙台市長 郡 和子 様、同 まちづくり政策局長 梅内 淳 様

2023年7月4日、アイリスオーヤマは、仙台市と「包括連携協定」を締結しました。
包括連携協定とは、個別の事業や分野における連携だけでなく、自治体が抱える多様な行政課題の解決に向けて、相互に連携・協力するための協定です。包括連携協定以前にも行政課題への取り組みを行っていたアイリスオーヤマですが、包括連携協定の締結にいたった理由を阿部は次のように語りました。
阿部:「1989 年に本社を宮城県に移転して以降、4 つの社屋をかまえる仙台市は、当社にとってホームタウンです。宮城県を拠点とするプロスポーツチームの東北楽天ゴールデンイーグルスやベガルタ仙台のスポンサーを務めるなど、仙台市をはじめ、東北地域を応援する活動を長年続けてきました。

これまで仙台市とは、健康増進や防災などの各分野で行政課題の取り組みをしてきました。当社はここ10年程の間に、家電やLED照明、食品からロボティクスまで、事業の幅が大きく拡大しました。これまで以上に幅広い分野で仙台市と連携し、両者が持つさまざまな資源を活用しながら協働することによって、より地域社会への貢献を果たせるのではないかと考え包括連携協定を結びました」
今回の仙台市との包括連携協定では、主に次の分野での連携を掲げています。
●防災環境都市づくりに関すること
●仙台の魅力発信に関すること
●スタートアップ支援に関すること
●市民の健康増進に関すること
●教育・人材育成に関すること
この中でもとりわけ大きな柱となるのが、仙台市が掲げる「防災環境都市」の実現に向けた防災・減災や脱炭素化などの取り組みです。冒頭で紹介した「仙台ふるさとの杜再生プロジェクト」への参加も、その「防災環境都市」づくりの一環です。

被災企業だからこそ力を発揮できる防災・減災支援

アイリスオーヤマの工場map
阿部「当社にはグループにホームセンターの「ダイシン」と公式通販サイトの「アイリスプラザ」があり、自社商品だけでなく多くの防災用品や食品の在庫を常時取り揃えています。万が一災害発生した際には、全国10拠点の工場からいつでも物資を提供できる体制を整えています。その意味では災害時の物資提供には非常に強い企業だと自負しています」
アイリスオーヤマの防災用品や水、パックごはん
阿部:「さらに、パックごはんなど精米事業や天然水など飲料水事業も、災害時の被災地への物資提供として大きな役割を果たします。もともと精米事業は、東日本大震災で甚大な被害に遭われた東北の農家の皆さんを助けたいという思いから始まりました。精米だけでなくパックごはんなども扱うことで、お米の消費拡大はもちろん、お客様には備蓄品としてもご提案しています。飲料水事業は、東日本大震災の際に水の確保に苦労した経験から、近い将来に首都圏に大きな地震が来た場合を想定して、静岡の富士小山工場に生産ラインを導入したのが始まりです。どちらも、東日本大震災が事業のルーツとなっています」
このように、アイリスオーヤマが防災や災害時の物資提供に力を入れてきたのは、自身が2011年の震災での経験も大きく影響しています。阿部は次のように強調します。
阿部:「被災の経験があるからこそ、当時の大変さを知っています。災害などがあった時に、困っている人にとっていちばん頼れる企業でありたいとの思いを強く持っています。店舗や通販サイトで揃える物資も災害時に必要とされるものを厳選し、品ぞろえを充実させてきました。そのような取り組みをしてきた当社だから、仙台市の『防災環境都市』づくりの取り組みに対しても貢献ができると考えています」

さまざまな分野で地域のサステナビリティを支援

仙台市が推進する体験学習

                 仙台子ども体験プラザのアイリスオーヤマブース

今回の包括連携協定では、防災・減災分野以外にも、仙台市の抱える幅広い行政課題での連携・協力を行っています。
たとえば、教育・人材育成の分野では、仙台市が推進する体験学習での就労体験に協力し、市内の小学校5・6年生と中学生を対象に社会と自分との関わりや経済の仕組み、働く意義などを学ぶ機会を提供しています。
仙台市ウクライナ避難民の方への寄贈写真

               仙台市を通じて来日ウクライナ避難民に提供された生活用品

また、仙台市ではウクライナ避難民の方々を受け入れ、生活支援金の給付や市営住宅の提供などに取り組んでいますが、その避難民の方々の生活に必要な家電製品や寝具などをアイリスオーヤマが提供しています。
仙台市ウクライナ避難民の方への寄贈写真

                       仙台城跡 伊達政宗公騎馬像

BtoB向けに行っているライティングソリューション事業は、仙台市の脱炭素化に向けた取り組みのサポートを始めています。管理・運営している公共施設の省エネ化・脱炭素化に対して、LEDのリースプランを提案しています。毎月のリース代は、削減した電気代でカバーできるため、予算ありきの公共工事に比べて一気に施設のLED化が可能であることもあり、全国の自治体様での活用が広がっています。

他にも、産業振興分野における地元企業の産業支援やスタートアップ支援や、観光分野におけるインバウンド観光客の獲得など、さまざまな行政課題に対して市職員との意見交換などが進んでいます。
阿部:「包括連携協定によって、お互いがパートナーという対等な立場で協力し合えるようになったことで、仙台市からはさまざまな行政課題についてざっくばらんに相談していただけるようになったと感じています。観光分野など、当社の事業とは直接リンクしない分野でも、気軽にアイデアを出し合いながら課題解決の方向を探っています」
アイリスオーヤマでは仙台市の他にも、「角田I.T.P.(インダストリアル・テクノ・パーク)」のある宮城県角田市 、「富士裾野工場」のある静岡県裾野市 とも、包括連携協定を締結するなど、自治体との連携を広げています。
阿部:「自治体の皆さんのお話を聞いてみると、各自治体の抱えている行政課題には共通点が多いと感じています。同時に、私たちが取り組んできたソリューションが他の分野にも広く生かせるものと考えています」

アイリスオーヤマの考える「日本の課題解決」に向けたステップとは

アイリスオーヤマの「ジャパンソリューション」ロボット掃除機と田植えの様子

           (左)亜細亜大学様/グローブシップ様/(右)2023年5月の田植えの様子

アイリスオーヤマでは事業を通じて日本社会が抱える課題を解決する「ジャパン・ソリューション」を経営の軸にしています。ライティングソリューション事業は省エネと脱炭素化。精米事業は東北地方の農業支援と日本のお米の消費拡大。ロボティクス事業は人手不足の解消の生産性の向上――これらの事業に共通するのは、サステナブルな社会の実現であり、そのまま行政の抱える課題ともリンクしています。
阿部:「現時点でもさまざまな自治体からお声がけいただいている状況です。今後は自治体との官民連携を強化し、このような輪を広げていければと思っています。その際に、改めて各自治体の課題と、当社ができるサポートについて考えていければと思っています。課題を解決するためには既存のソリューションはもちろん、当社のソリューションもアップデートすることにより、当社としても日々進化していければと考えています。

また、忘れてはいけないのは、協定を結ぶことがゴールではないということです。日本の課題という大きな問題に対して、どう解決していくのか考えひとつずつ実行していきます」
仙台市をはじめとする自治体との連携も、苗木を一本一本植え、育てていくように長期にわたって協力関係を築いていきながら、サステナブルな地域社会を実現していきたい――アイリスオーヤマの新たな挑戦は、まだ始まったばかりです。

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