防災の達人に聞く!備えることの重要性と「もしも」のときに備えておきたいものとは

防災の達人に聞く!備えることの重要性と「もしも」のときに備えておきたいものとは

いつ、どこで起きるかわからない災害。「もしも」の時の備えは万全ですか?災害がおきた際、ライフラインや流通が止まってしまうことが想定されるため、日頃から備えておくことが重要です。防災の達人に、防災グッズに入れておきたいものや自宅に備えておくべきもの、災害の際に気を付けるべきポイントを伺いました。

防災の達人に聞く!備えることの重要性と「もしも」のときに備えておきたいものとは

総合危機管理アドバイザー おりえ

秋田県出身。総合防犯設備士・自然災害2級危機管理士・社会リスク2級危機管理士・防火管理者・防災管理者の資格を持つ総合危機管理アドバイザーとして活動中。剛柔流空手の師範を父に持ち、自身も幼い頃から空手を嗜む。現在は世界硬式空手道連盟所属。日本唯一の女性護身術師でもある。

日本は常に自然災害に備えなくてはならない災害大国

ー今後、意識しなければいけない災害について教えてください

地震発生の新聞記事
日本は、毎年のように大きな地震、台風、豪雨などの災害に見舞われている災害大国です。2023年1月には、政府の地震調査委員会が南海トラフ地震について、今後20年以内に発生する確率を60%程度に引き上げたことを発表しました。また、今後10年以内の発生確率は30%程度ともいわれています。
世界的に課題となっている地球温暖化による雨量の増加や、それに起因する大災害の発生率が上がるとも言われています。例えば、台風の巨大化も起きるかもしれません。日本は海に囲まれているので、特に水害には注意が必要です。さらに、日本は火山大国でもありますので、自分の住む地域でどんな災害がおこる可能性があるのかをきちんと考え、意識しておく必要があります。

ーいつ起こるかわからない災害に対して、なぜ「備えること」が大切なのでしょうか?

インタビュー中のおりえさん
一番の理由は、いざというときに本当に必要なものを忘れてしまったり、家族と連絡がとれないなど「あのとき準備しておけば」ということを失くすためです。そして、物が潤沢にあるうちに準備しておくことで、買い占めのパニックを防ぐこともできます。
国土交通省が発表した資料によると、首都直下型地震が発生した場合、避難者は発災2週間後に最大で720万人となり、避難所避難者を中心とした食料不足は最大で3,400万食とされています。

既にこれだけの量の食料が足りないとされている中で、備えない理由はありません。また、自分が備えておくことで本当に必要としている人に必要なものが行き渡ることも大切なポイントです。災害が発生してから買い揃えようと思うと、手に入らなかったり、買い占めがおこる可能性があります。一人ひとりが備えておくことで、そういったパニックを防ぐこともできます。

日頃から備えておくべき防災グッズの目安と置き場所

ー何から備えたらいいかわからない人も!用意しておきたい防災グッズにはどのようなものがありますか?

防災グッズ一式
必ず用意しておきたいのは、水です。水は1日1人あたり3L準備が必要と言われていますが、自宅以外へ持ち出す場合は、その他の荷物も運ぶ必要があるため、最低1L程度だと思います。
また、どこで避難をするかで必要なものの内容が異なってきます。例えば、避難所の環境は3日程で整うと言われているため、避難所へ行くなら1人3日分の飲食物と生活用品が目安です。食料は、熱を加えずに食べられるレトルト食品が役に立ちます。
自宅避難の場合は、1週間分の備蓄が推奨されています。ただし、1週間ではライフラインや流通が再開しない場合もあるため、トイレットペーパーやティッシュなど保存の効くものはできるだけ多く備えておくことをおすすめします。また、断水やガスが止まる可能性も考え、給水車から水を持ち帰るためのポリタンクや、カセットコンロと予備のガスボンベもぜひ準備しておいてください。
首都直下型地震だと、ライフラインがすべて復旧するまでに1ヵ月程度かかると言われている地域もあります。避難所も限りがあるので、家が倒壊した家庭や帰宅難民の人以外は在宅避難を推奨されることが多いです。その場合は、事前に必要なものを備えておくのはもちろん、いかに快適に生活できるように備えておくかが大切と言えます。

ー防災グッズはどこに置いておくのがよいでしょうか?

玄関の写真
政府が推奨している防災グッズの置き場所は、玄関・寝室・物置・車の中です。寝ていてもすぐに取り出せる場所や、外にいてもすぐ取り出せる場所がよいとされています。

例えば、いつも置いておく場所を玄関と決めておけば、防災グッズがなくなっていた場合、家族が避難したと一目でわかります。押し入れや棚の中に入れておく人も多いようですが、できればすぐに取り出せる場所に出しておいてください。

防災の達人が教える、ぜひ準備しておきたい防災グッズ

ー「これはぜひ準備しておいてほしい」という防災グッズを教えてください。

透明なゴミ袋
最低限必要なものは、生きるために必要な水です。先程お伝えした通り、水を保存するのに便利なポリタンクです。加えて、防災グッズの中に入れておいてほしいのが、抗菌目薬とゴミ袋、スポーツドリンクの粉です。
2つの目薬
震災後は粉塵がひどく、避難所で結膜炎になる人が多かったと聞きました。地震で建物が崩壊してしまった際もそうですが、水害の場合も水が引いた後に粉塵が舞います。

そのため、粉塵が目に入ってしまった時のために、抗菌目薬があれば役に立つと思います。市販のもので大丈夫ですので、ぜひ準備しておきたいグッズのひとつです。
スポーツドリンクの粉を入れる人
スポーツドリンクの粉もあると安心です。災害時は、ストレスや慣れない環境のため体調を崩しやすく、風邪を引いたりお腹をこわす人も多いそうです。なかなか病院に行けないことも想定されるため、そんな時に水に溶かして飲むと脱水の予防や栄養補給も使えます。粉状でかさばらないので、備えておくと良いでしょう。

アイリスオーヤマの「女性向け防災セット」と「ライフラインボックス」をレビュー

アイリスオーヤマでは、東日本大震災を経験した防災士が監修した防災リュックや女性に特化した防災セットなど、さまざまな防災グッズを販売しています。数ある防災グッズのなかから、「女性向け防災セット」 と「ライフラインボックス」をおりえさんに実際に見ていただきました。

ー女性の防災士が監修したリュック型の防災セットです

防災リュックのある部屋
基本的なお水や食料はもちろん、やはり女性に嬉しいアイテムがたくさん入っていますね。
例えば、震災の時は着替えに困ったという声が多く聞かれたので、目隠しポンチョが入っているのはとても嬉しいポイントです。
女性向け防災セットとおりえさん
また、エアベッドが入っているのもいいですね。女性や高齢者は特に、冷えは大敵です。冬場ですと何時間も寒いところで過ごすという可能性があるので、エアベッドの有り無しで快適さが大きく変わってくると思います。

避難所で過ごす場合は体育館などの硬い床の上で生活することが多いため、クッションの代わりにも使えますよ。
アイリスオーヤマのメイク落とし
メイク落としも女性ならでは。意外と防災グッズに入れるのを忘れてしまうので嬉しいです。
肌の乾燥は気になるので、保湿タイプである点も「気遣いがさすが!」と思いました。
アイリスオーヤマのスマホ防水ケース
防水スマホ袋もとても嬉しいアイテムです。災害時、携帯電話はライフラインの1つなので、水害や粉塵で使えなくなることを防ぐために防水袋があると助かります。また、後程お伝えしますが、防犯面でも良いですね。首から下げられるので、両手を開けることができるのは大きなポイントです。
このリュックに入っているもの以外だと、高齢の方で普段杖を使っているなら、折りたたみ式の杖や、赤ちゃんのいる女性は、固形ミルクやおむつも入れておきましょう。お薬手帳のコピーもあると安心です。
豆知識として、リュックの場合は、重いものは上の方に入れたほうが重さを感じづらいので試してみてください。中身を詰めたら、肩紐を自分のサイズに合わせて、しっかり持てるか確認することも大切です。詰め込みすぎて持てない可能性もありますので。赤ちゃんがいる人は、抱っこした上でリュックを持てるかどうか試してみてください。

ー自宅にそのまま置いておけるライフラインボックスはいかがでしょうか?

アイリスオーヤマの防災マニュアル
女性用防災リュックにも入っていましたが、「防災マニュアル本」はとても良いですね。最初にお伝えしましたが、いざというときに家族の連絡先がわからなくならないよう、連絡先が記載できるようになっています。パニックにならないように何をするべきかということも書いているので大変役に立つと思います。
アイリスオーヤマのアルファ化米
また、非常食のアルファ化米とレトルト食品は、さまざまな種類が入っているのがいいですね。災害時はあまり食欲が出ないこともあるので、味の種類が多いと食べ飽きないので喜ばれると思います。被災時の非常食ではミネラルがとりづらいので、わかめや野菜が入っているアルファ化米も良いですね。
東日本大震災の時、菓子パンなど炭水化物の配給が非常に多く、避難所の肥満問題が起きました。菓子パンやご飯だけではビタミンが取れず、栄養バランスが悪いので、肉じゃがなど野菜が取れるレトルト食品が入っているのはありがたいですね。
アイリスオーヤマのヒートパック
ヒートパックも嬉しいと思います。電気やガスが使えない時にレトルト食品を温めることができます。人は温かいものを食べると元気がでるので、素晴らしいアイテムですね。
これらの防災グッズと一緒に入れておきたいものとしては、視力の悪い人は使い捨てコンタクトや使っていないメガネなどがあります。

ー防災グッズを購入したあとに気を付ける点を教えてください

アイリスオーヤマの防災グッズ
防災グッズ購入後は、消費期限を確認してメモしておきましょう。非常食を食べ慣れておくことも重要です。

一般的に「ローリングストック」と呼ばれていますが、日常的に非常食を食べて、食べたら買い足すという行為を繰り返し、常に家庭に新しい非常食を備蓄する方法です。ローリングストックをすることにより、食べた感想を話して、追加したり不要なものを省いたりするのがおすすめです。

実際に試すことで、美味しく食べる方法や作り方がわかるようになります。食品以外のグッズは、購入した時点で使い方の確認や稼働チェックを必ずやっておくことも大切です。

災害のあるところに犯罪あり。防犯対策も忘れずに。

ー災害時の防犯対策について、私たちはなにをすべきでしょうか?

人影
悲しいことですが、被災地では、性犯罪・詐欺・空き巣など犯罪が増えてしまう傾向にあります。
例えば、家族と連絡取るために玄関に連絡先を書いたメモやどこの避難所にいるかメモを貼ることがあります。これにより、犯罪者にもこの家に人がいないということがわかってしまうのです。この場合、玄関ではなく予め家の裏に貼っておくなど決め事をつくったり、全員が鍵を持っているのであれば玄関のドアの裏に貼っておくなどで防犯対策をおこないましょう。
性犯罪については、「こんな状況でも犯罪を考えている人がいる」と意識することが大切です。
大前提として、性別や年代関係なく、一人にならないことは大切です。

また、犯罪者に対して、警戒していることをわからせるということが効果的です。犯罪者は「音と光と人の目」を嫌うので、音の出せるものや光をだせるものを常備しましょう。例えば防災リュックに入っていたホイッスルも、手の届くところに置いておき、危険なときに周囲に知らせることができます。スマホを首に提げておいてライトをつけたり、警視庁のデジポリスという防犯アプリをダウンロードしたり、自分で自分の身を守る対策を講じておきましょう。

「もしも」の時のためにストレスなく生活できる防災対策を

ー最後に改めて、防災対策の重要性を教えてください

インタビュー中のおりえさん
災害が発生する確率はどんどん上がっていますが、わたし達はそれを事前に知ることができています。つまり、準備をする時間は与えられているということです。

いざという時には、食料や生活の品は手に入りづらくなります。防災グッズや備蓄品は、事前に準備しておけるものは今日から揃えていきましょう。
何から揃えたらいいか悩む方には、今回拝見したリュックやライフラインボックスなどセットになっているものがおすすめです。ここに自分が必要なものを足したり引いたりして、もしもの時に自分や家族が困らないよう、ストレスなく過ごせるかを考えてみましょう。防災グッズをきっかけに、改めて家族で防災について話し合ってみてはいかがでしょうか。

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